車両火災の原因になる?バッテリーや電気配線の取り付けには要注意

ヒューズボックスから電源取り出し 車の事故

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車両火災の原因として、電装品やその周辺の配線が火元になっているケースがあります。

その原因は車両本体の老朽化やリコールに発展するような設計上の問題点もあります。

ですが、電装品の取り付けや電源の増設などをユーザー自身が行い、車両火災の原因を作ってしまっていることも報告されています。

整備士としてお客様の車を点検していると、電装品に関してとんでもない取り付けをしていたこともありました。

ご本人は

「まさかそんなことに・・・!」

と驚くような危険な事例もあり、体験談も含めてお話していきます。

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車両火災の原因|バッテリーの取り付けミスなど

日産のノート バッテリー腐食

車両火災が起きる原因として多いのが、エンジンが高温になることで周辺の可燃性のあるものを高熱にし、発火させるというケースです。

ですが、自動車メーカーも車両火災への対策をしっかりと施しているので、エンジンルームが製造されたままのコンディションであれば火災になる可能性は低いです。

ところが、ユーザー本人によるDIYでの部品取り付けなどが原因で車両火災のリスクが発生してしまうことはかなり多く、僕自身も整備士として車検などの点検で異常を発見することもあります。

バッテリーの取り付けに問題があると端子がショートして火災に

プリウス サブバッテリー

車のバッテリーは「直流電源」といって、乾電池のようにプラス端子とマイナス端子があり、もしもプラス端子がマイナス側に触れるとショートし、火花が出ることもあります。

今の自動車では、車体の金属部分がすべてバッテリーのマイナス端子とつながっていて、整備士は「ボディアース」という言い方をしています。

それに対して、バッテリーのプラス端子側は絶対にマイナス端子側に触れてはいけないので、車体のどの部分にも接触しないようにしっかりと樹脂やゴムなどの電気を通さないものでカバーされています。

車両火災の発火原因として、電気配線がショートし、スパークが発生することで起きる電気火災も多く、その直接の原因は配線ミスなどがほとんどです。

バッテリーへの接続ミスや固定不足

実際に僕が経験した事例を挙げると、バッテリーのプラス端子を車体側に近い方向で組み込んでいたケースがありました。

本来、自動車の場合はバッテリーのプラス端子が右側にあるものと、左側にあるものがあり、バッテリーを搭載する位置との関係でプラス端子が車体から離れたほうに位置するように設計されることが多いです。

ところが、バッテリーの端子が逆のものを無理やりに付けることをしているユーザーさんもいて、バッテリーのプラス端子が車体フレームにギリギリになってしまうことがあります。

プラス端子がボディアースに接触

バッテリー B20L

サボカジ
サボカジ

↑もしもバッテリーのマイナス端子側にプラス端子があれば、

車体に近く事故の影響を受けやすい部分と近接してしまうことになります。

たとえば、40B19Lという軽自動車では定番のサイズのバッテリーだと、端子の位置が逆の40B19Rを取り付けることはできません。

もしも無理やりにプラス端子が逆の位置にあるバッテリーを付けてしまうと、上述したようにプラス端子がボディーギリギリになってしまうからです。

この状態で衝突事故などで外部から車体に衝撃が加わってしまい、車体が損傷、バッテリーのプラス端子とフレーム側(マイナス端子)が接触し、ショートする可能性が高くなります。

車検に合格できなくなるケースも

「近所の人からもらったバッテリーが、ちょうど同じ”くらい”だったから自分で取り付けした」

そんなことを言うお客様のエンジンルームを確認してみると、はたして端子が逆のバッテリーを無理矢理に接続しているではありませんか。

しかもそのユーザーさん、どうにかして端子とターミナルをつなぐためにバッテリーを固定するはずのステーを付けずにバッテリーがぐらぐらと動く状態にしていました。

この状態では走行中にエンジンルームの中でバッテリーが動き回ることになり、非常に危険な状態です。

もちろんこの状態では車検に合格できませんが、それ以前につねにバッテリーがショートする危険がある状態でしたので、「こんこんと」説明をしたうえで本来の状態に戻しました。

バッテリー液を補充しすぎて可燃ガスが発生

日産のノート バッテリー腐食

整備士サボカジ
整備士サボカジ

↑ バッテリーから吹き出た希硫酸がバッテリーの下側に流れ、

ミッションケースまで腐食してしまうこともありました。

DIYでバッテリーのメンテナンスを行おうとして車両火災のリスクを作ってしまった事例をもう一つ挙げておきます。

今では車のバッテリーでも密閉タイプのものが増えましたが、バッテリーには蒸留水を補充して液面を既定値に調整するタイプのものが一般的でした。

今でも安価なバッテリーには6個のキャップがあり、それぞれのセルにバッテリー液を補充できるようになっています。

ホームセンターなどでもバッテリーに補充するための蒸留水や補充液が販売されていますが、バッテリーの液面には上限があり、それ以上に液を補充してしまうと、希硫酸がバッテリーから溢れてしまうことがあります。

とくに走行中ではエンジンの回転からベルトを介して発電機(オルタネーター)が駆動し、バッテリーを充電するために電気を送っています。

バッテリーは充電される過程で化学反応として水素ガスが発生しますが、過充電やバッテリー液の入れ過ぎで、バッテリーのキャップから水素ガスが多量に出る可能性があります。

水素は引火しやすく、もしもエンジンルームに気化した水素のガスが充満すると車両火災になる恐れがあります。

バッテリーのメンテナンスのため、良かれとバッテリー液を大量に補充してしまわないように気を付けましょう。

ちなみにですが、過去にはボンネット周辺の防水性が悪く、バッテリーに雨水が流れ込んで希硫酸が溢れ、その真下にあるブレーキパイプを腐食させるというリコールもありました。

リチウムイオン電池も車両火災になりうる

ハイブリッドカーやEVにも搭載されることが多くなったリチウムイオンバッテリーは充放電の時間が短く高性能なため、車の後付部品などにも使用されることが増えました。

リチウムイオンバッテリーは小型化できるというメリットがありますが、それゆえに高密度でショートをすると高温になり発火するおそれがあるというデメリットもあります。

パソコンやスマートフォンにもリチウムイオンバッテリーが使用されていますが、車内が高温になったり衝撃が加わるなどで発火した事例もあります。

ドラレコが原因で車両火災の可能性も

ユピテル製のドライブレコーダー(DRY-FH200)のリチウムイオン電池が原因とされる発煙・発火の可能性があるとして、リコールが実施されたという実例があります。

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【外部リンク】消費者庁リコール情報サイト

ハイブリッドカーやEVは大丈夫?

プリウス メインバッテリー2

一部のハイブリッドカーやEVにはリチウムイオンバッテリーが使用されていますが、これらが直接の原因となるような車両火災は発生していません。

強い衝撃を受けると内部でショートをして高温になるというデメリットに対して、各自動車メーカーもしっかりと対策を行っています。

まずバッテリーの搭載位置が車体の中心付近、ほとんどは人が乗車する室内に配置することで衝撃を受けにくいようになっています。

車検などでハイブリッドカーの下回りを点検するとわかるのですが、高電圧が流れるような配線は厳重に保護されています。

 

車両火災は電気配線の老朽化や配線ミスでも発生する

車両火災

スターターへの配線の老朽化

老朽化した配線が原因で車両火災になる事例もあり、とくに大電流が流れるスターターモーターのプラス端子(B端子)は、バッテリーのプラス端子と直接つながっています。

絶縁用の樹脂やゴムの経年劣化や腐食

途中でカプラーなどが存在することもあり、本来は絶縁しているはずの部分の樹脂が劣化して割れてしまい、車体(ボディアース)に接触しショートしてしまうこともあります。

また、室外に取り回されている配線やハーネスなどは、防水処理がされてはいるものの、水分が付着したままでは金属製の端子に緑青(ろくしょう)が発生することがあります。

緑青とは銅製の端子の周辺にできる白い粉のような成分で銅の周辺にできるサビのようなもので、主成分は塩基性炭酸銅です。

大電流が流れるカプラーや端子に緑青ができると、接触不良になり電気が流れにくい抵抗となり配線の付け根が腐食で折れたりすることがあります。

漏れたオイルが発電機に付着

1Gエンジン デスビ付き

発電機(オルタネーター)の真上にエンジン内部とつながった部品があり、そこからエンジンオイルが漏れ出し発電機に付着して発火したケースもありました。

オイル漏れの二次災害で発火

現在の車は使用されていませんが「ディストリビューター」と呼ばれる、点火順序に応じて高電圧を点火プラグへ送る部品からのオイル漏れがよく発生していました。

オイル漏れ修理をせずにそのまま放置していると、ディストリビューターの付け根からエンジンオイルが滴るように漏れ出し、その下側に配置されている発電機に降り注ぐことになります。

発電機の内部ではカーボン製のブラシとアーマチュアの接触部分、コンミテーター(コミュテーター)の接触部分に高電圧の電気が流れておりそこに流れ込んだエンジンオイルが原因でショート、火災の火種になるというメカニズムです。

オイル漏れや水漏れが原因で周囲の部品を劣化させ、車のコンディションをさらに悪くするケースはかなりあります。

サボカジ
サボカジ

自動車のトラブルも「早期発見、早期修理」が望ましいですね。

バッテリー電源を直接取り出すのは要注意

車中泊などがブームになっていて、車のなかで快適に過ごすためにさまざまな電気製品が使えるように電源を取り出すための増設作業も増えました。

とくに家庭用の100V仕様の電気製品を使うには、12Vの直流電源を100Vの交流電源に変換する必要があります。

いわゆる「コンバーター」と呼ばれるものですが、コンバーターに車の電源を直接引き込むときは配線にも気をつけなければなりません。

使用する電気容量にあった太さのコードを使う

整備士の間ではバッテリーのプラス端子から直接電源を取ることを
「ばっちょく」などということがあります。(僕の住むエリアだけかなw)

バッテリーから直接電気を取り出すので「バッ直」なのですが、決して間違った配線ではありませんが配線方法には気をつける必要があります。

ヒューズボックスから分岐させないで直接電源を取り出すということは、かなり大きな電気を流すことになり、それに見合っただけの太いケーブルを使う必要があります。

サボカジ
サボカジ

家庭用の電気製品でも

ジャーポットやヘアドライヤーのコードって太いですよね。

 

それだけ電気を多く消費するわけで、

もしも細いコードを使ってしまうとコードが焼けてしまうおそれがあります。

必ずヒューズも経由させること

ヒューズボックスから電源取り出し

バッテリーから新たに電源を取り出す場合は、万一のショートでも火災にならないようにヒューズを設ける必要があります。

より大きな電気を消費する場合はそれに応じて容量の大きなヒューズを使うようにし、ケーブルの太さとのバランスも取るようにします。

カーナビなどの取り付けで絶縁不良

お客様がDIYでカーナビやETC、ドライブレコーダーを取り付けることも多いのですが、なかには「あわやショート寸前」という配線をしていたこともあります。

具体的には、

・プラス側の配線を絶縁処理していない

・絶縁のやり方が不十分

・配線を束ねずにブラブラさせたまま

車は走行中にいろんな振動や縦方向、横方向にGがかかるため、家などのように静止していないことを意識して配線や結線をする必要があります。

絶縁テープや絶縁スリーブを使用する

カーオーディオなどはそれほど大きな電気を消費せず、かりにプラス端子がショートしても大きな火花が出るようなスパークは起きにくいです。

とはいえ、一度取り付けたら数年間は使用することを前提に、しっかりとした接続をする必要があります。

絶縁テープや絶縁スリーブも必ず使用し、プラス側の端子がむき出しにならないように結線しましょう。

ウーハーの取り付けにも知識が必要

オーディオ本体やカーナビよりも重低音を発生させるウーハーやサブウーハーのほうが大きな電力を必要とします。

それだけに電源と取る場合はその機器が必要とする電気量に合わせて行わなければ配線が焼けることもあります。

まとめ

運転する女性

今回は車両火災の原因にもなりうる電装品のトラブルや配線方法、バッテリー交換の注意点などに関するお話でした。

車両火災の原因として多いのは放火や交通事故が多く報告されています。

その一方では、ユーザー自身や、知識不足な作業員による電装品の取り付けや配線が原因で回路がショート、発火する事例も少なからず起きています。

車に関係する維持費を安く抑えようとDIYにチャレンジすることは間違っていませんが、リスクも付きまといます。

ひとつ間違うと事故になってしまうような、費用対効果が釣り合わないような作業に関してはカー用品店や整備工場に依頼するほうが結果的に割安で済むこともあるのです。

 

 

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