今回はトヨタの「THSⅡ」を搭載するハイブリッドカーについてのお話です。
THSⅡとは初代プリウスのTHS (TOYOTA Hybrid System) をより高効率化したもので、トヨタのハイブリッドモデルのなかで最も多く搭載されているシステムです。
海外でもトヨタのハイブリッドカーの評価は高く、この記事を書いている2024年9月時点でも、10年以上経過している30系プリウスがけっこうな買取価格で買い取られ海外に輸出されています。
その一方で、ハイブリッドカーに対するイメージはまだまだユーザーさんによって違っており、ネガティブなとらえかたをしている方も多いです。
ハイブリッドカーは燃費がよくても車両価格が高いからお得じゃない
メインバッテリーの寿命が心配だし故障したら高くつきそう
下取りに出したときの買取額が厳しいとか・・?
運転しててもつまらなさそう
お客様からのこんな声を聞きながら「そうでもないけどなぁ・・」と感じたこともありました。
僕自身もトヨタのTHSⅡ搭載のハイブリッドカーのオーナーであり、整備士としてハイブリッドカーの車検や整備をたくさん行ってきました。
そこで今回はトヨタのスタンダードなハイブリッドシステム、THSⅡ搭載モデルに対する走行レビューやメリット・デメリットなどについて述べていきます。
トヨタ以外のハイブリッドカーにも共通している部分もたくさんあるので、ハイブリッドカーを購入しようと考えている方の参考になればと思います。
THSⅡ搭載モデル(一例) |
トヨタ アクア、カローラ、カローラアクシオ、カローラスポーツ、カローラクロス、フィールダー、ヴィッツ、ヤリス、ヤリスクロス、プロボックス プリウス、C-HR、ヴォクシー・ノア など |
レクサス
NX、RX、LBX、RX、UX、IS、ES、GS、LS、HS、CT、LC、CT200h、など |
日産 アルティマハイブリッド |
ダイハツ メビウス(プリウスαOEM) |
スズキ ランディハイブリッド(ノアハイブリッドOEM) |
マツダ アクセラハイブリッド |
スバル クロストレックハイブリッド |
トヨタTHSⅡ搭載ハイブリッドカーのメリット・ユーザーレビュー
完成度の高いハイブリッドシステム
ハイブリッドカーのなかでもとくに完成度が高いと言われているのがトヨタのシリーズパラレルハイブリッドシステム「THSⅡ」です。
世界初の量産ハイブリッドカーとして販売された初代プリウスのTHSを改良し、高い燃費性能とハイブリッドカーとしては安価な車両価格を実現しています。
THSⅡではモーターだけで走行することもエンジンとモーターの両方の力で走行することもできます。
またエンジンで走行するときも負荷が小さな低速域などでは、同時に発電も行うことで無駄な燃料を消費しません。
加速時でエンジンとモーターで駆動していても負荷が少ない中速域ではモーターのみの走行(EVモード)に切り替わりますが、エネルギーモニター注意深く見ていないと、どのタイミングでエンジンが止まったのかすらわかりません。
エンジンとモーターを細かく使い分ける制御できることでシリーズハイブリッドやパラレルハイブリッドのいいとこ取りを実用レベルまで完成させていることが他メーカーにはない強みです。
シリーズ方式とパラレル方式の両方の特性を備えているため「シリーズ・パラレル」とも呼ばれるTHSⅡはさらに発展しており、レース用の「THS-R」としても結果を残しています。
磨き上げた仕組みを横展開
ここらへんはトヨタの得意な利益の出し方と言えますが、優れた仕組みを先行投資で開発、ブラッシュアップさせたあとは多くのモデルに横展開していきます。
リコールなどの不具合が発生した場合でも、年次改良では対策されていき故障も少なくなっていきます。
より多くの車種に採用すれば多くのデータも集まり、車種別に細かな仕様の変更ができたり生産コストをさらに下げることもできます。
車種ごとの「独自開発」「専用設計」をしないメリット
逆に専用設計した仕組みを採用した場合は、車両価格も高く、故障などの不具合もその都度対応することになり「価格が高い」「よく壊れる」という売れない車のパターンに陥るおそれがあります。
トヨタはそこらへんのこともよく理解して商品開発をしているんでしょうね。
多くのTHSⅡ搭載モデルがラインナップされている
THSⅡ搭載車で売れているのは、アクアをベースにした1500ccエンジン搭載プラットフォームでもいくつかのラインナップがあります。
さらにプリウスの1800ccエンジン搭載プラットフォームを使って、ミドルクラスのミニバンやSUVもあり、好調なセールスを維持しています。
さらに2400ccエンジンやレクサスブランドなど、グループ全体の商品ラインナップにTHSⅡ搭載車が多く存在します。
航続距離が長い
ガソリンスタンドに行く頻度が低いというのは使用者には意外と大きなメリットです。
いくら燃費がよくても燃料タンクを小さくしてしまうと航続距離はエンジン車と変わらなくなってしまいますが、トヨタではハイブリッドモデルでもガソリン車と同じくらいのタンク容量です。
たとえば、筆者のシエンタハイブリッド(NHP170G)の場合、タンク容量は42Lで街乗りや通勤などの普段使いでの実燃費は18km/Lから22km/Lぐらいです。(エアコンの使用頻度で違ってきます)
航続距離700km超えはホントに助かる
仮に燃費が18km/Lだった場合でも18km/L × 42L = 756kmとなり、かなり燃費が悪いときでも700kmを超える航続距離です。
給油ランプの点くタイミングで給油に向かうよりも「だいたい700km走ったら給油」という感じで乗り続けています。
それまで乗っていたエブリイワゴンターボ(DA64W)では「350km走ったらぼちぼちガソスタ行かなきゃ」だったので単純に給油のタイミングは半分で済みます。
仕事で車を使っている人にとっても航続距離が長いことは大きなメリットですが、旅行などで土地勘のない地域で「ガソリンスタンドないかな・・」という心配もかなり減ります。
かつてアルト・エコは過度な軽量化のために燃料タンクを20Lにしていました。燃費が良くても航続距離が短いのでは意味がありません。
実燃費が非常によく、かつタンク容量も小さくないことは当たり前ではないのです。
低速走行は滑らかで静か。しかもトルクフル
マイルドハイブリッドではほとんどがエンジンの力で走行していますが、シリーズハイブリッドやTHSⅡ(シリーズ・パラレルハイブリッド)では発進時や極低速ではモーター駆動で走行しています。
モーターのほうが低速トルクが強くとくに低速走行や発進時の燃費の悪化を抑えることができます。
なおかつ、エンジンでは低回転時の振動やトルクのムラが発生しやすく車内に振動も伝わりますが、モーター駆動なら静かで滑らかな発進が可能です。
車庫入れが楽ちん
車庫入れでもモーター駆動のメリットがあり、エンジン車のようにエンジン回転によってクリープ速度が変化することがないので感覚をつかみやすいです。
少し傾斜がある車庫へのバック駐車もモーター駆動なら「スルスル」という感じで実にスムーズに行うことができます。
自動車教習所でもプリウスが教習車として使われていることも多くなりましたが、初心者にもモーター駆動は扱いやすいですね。
ベルトが付いていない
THSⅡでは補機類ベルトがないので「ベルト交換」という作業もコストも一切かかかりません。
ベルトは騒音を発生しやすい
そのため、エンジン始動時や寒い日のベルトとプーリーの擦れる「シュルシュル」という音もまったくしません。
ベルトが付いていないハイブリッドカー全てに言えることですが、エンジンがかかっているときも静かなエンジン音です。
早朝に自宅を出る場合でも、自分の車から発生する音は気になりますね。
EVモードが選択できる
メインバッテリーの充電量が十分にされており、なおかつ特定の条件(暖気状態など)を満たしていれば、ボタン一つでEVモードでの走行ができます。
EVモードにすることで文字通りエンジンを停止させてモーターだけで静かに走行することができます。
たとえば深夜に自宅に帰ってきたときなどは、近所への配慮として「のこり100メートルだけEVモードで自宅に帰る」ということも可能です。
クーラーの効きが安定している
THSⅡ搭載ハイブリッドカーだけではありませんが、エアコンのコンプレッサーが電動化されたことでエアコンの冷えも安定しました。
それまでの冷房の仕組みは、エンジンとエアコンコンプレッサーがベルトでつながっていて、エンジンの回転力でコンプレッサーを回していました。
そのため、エンジンの回転数が低いとコンプレッサーの回転も低く、停車時や渋滞時ではエアコンの冷えが悪くなります。
対して、電動コンプレッサーで冷媒を圧縮しているハイブリッドカーではエンジンの回転とは関係なく単独でコンプレッサーが回転しています。
運転者がエアコンの操作パネルで低い温度設定をすればそれに応じたコンプレッサーの駆動が行わえるため、停車中でも渋滞のノロノロ運転でもエアコンはよく冷えます。
買い物や子供の送迎など、普段使いとしての使用でもエアコンの効きが安定していることは大事ですね。
ブレーキの消耗が非常に緩やか
ハイブリッドカーの燃費がいい理由のひとつとして「回生ブレーキ」が挙げられます。
走行中にブレーキペダルを踏み込むと回生ブレーキで発電を行い、その抵抗で車を減速させています。
回生ブレーキが少しでも長い時間機能し、停止直前までエネルギーを回収することで無駄な損失を防ぐことができます。
あたりまえのように感じるかもしれませんが、エンジンがメインのマイルドハイブリッドなどは回生ブレーキのエネルギー回収率は低く燃費もよくありませんでした。
結果的に回生ブレーキがよく機能しているとブレーキパッドで停止するのは停止する直前だけとなり、摩耗も緩やかで、10万キロ以上無交換だったこともよくあります。
エンジンオイルの交換時期も長めでOK
エンジンオイルの汚れや劣化の進行はエンジンにどれくらい負荷がかかっているかで違ってきます。
エンジンが始動されて回転しているだけでも発熱はしますし多少の負荷がかかっていますが、エンジンを完全に停止したままで走行できればエンジンオイルの劣化も止まっています。
THSⅡ搭載車の場合、ご普通の運転のしかたでも40%ほどはエンジンが停止したEVモードで走行しています。
そのため、5000kmごとのオイル交換を行う場合、実際は3000km走行ほどのオイルの劣化ということになります。
ですが、整備士としてプリウスやアクアのエンジンオイル交換を行っていると、抜けてきたオイルの汚れ具合はさらに「抜くのがもったいない」と感じるほど透き通っています。
年間走行距離の多い少ないや高速道路の利用率など、使用条件によってもオイルの劣化違ってきますが、ディーラーなどが推奨する「エンジンオイル交換は5000kmごと」は交換時期としてはだいぶ早いと感じています。
車種や走行条件にもよりますが、5000km以上8000km未満くらいの交換サイクルでいいと感じています。
それに対して、マイルドハイブリッド(パラレルハイブリッド)などと呼ばれる、エンジンがつねにかかっていて、モーターがそのアシストをするハイブリッドカーはエンジンオイルの汚れ方がガソリン車と変わりませんでした。
ハイブリッドカーとしての環境性能の高さは、エンジンオイルの汚れ方ではかることができますね。
発熱しない=故障が少ない
これまでの説明でハイブリッドカーは「ブレーキが減らない」「エンジンオイルが汚れにくい」とお話してきました。
他にもエアクリーナーが汚れにくかったりもしますが、これらはすべて『エンジンになるべく仕事をさせない』というハイブリッドシステムに関係しています。
電動ファンの故障も少ない
ハイブリッドカーといえども「水冷エンジン」であることに変わりはありませんが、トヨタのハイブリッドカーの場合、電動ファンが作動するのは冷房を使用している時がほとんどです。
エンジンを冷却するための冷却水の温度が上昇するとラジエーターの電動ファンが作動して強制的に冷却をします。
エンジン車の場合はつねにエンジンが回転しているため、渋滞にハマっただけで電動ファンが回りだすこともよくあります。
それに対して、エンジンが停止してモーターだけで走行できるTHSⅡでは、走行風がラジエーターを通過することで冷却水が自然に冷やされるため水温が上昇することも少ないです。
そのため電動ファンが壊れて作動しなくなるようなトラブルもハイブリッドカーでは少ない傾向にあります。
ハブベアリングも壊れにくい
ハブベアリングはタイヤの中心部分の奥にある車軸のベアリングです。
ハブベアリングが寿命を迎えると走行中にタイヤのロードノイズのような「ゴー」という異音がします。
走行距離が10万キロを超えるあたりからハブベアリングからの異音トラブルが増えますが、回生ブレーキで主にブレーキを効かせているハイブリッドカーではハブベアリングのトラブルは少ないです。
その理由としてブレーキ中に発生する摩擦熱が考えられ、すぐ近くにあるハブベアリング周辺も高温になり、ベアリングの寿命が早まっていきます。
つまり回生ブレーキで減速しているあいだは各車輪にある油圧ブレーキは機能しておらず、ブレーキの摩擦熱も発生しません。
結果的にハブベアリングも高温にさらされることがほとんどなく、ベアリングの寿命も長くなります。
補機バッテリーの持ちがわりといい
↑ 例えばシエンタハイブリッドのハイブリッドバッテリーはラゲージルムーの下に搭載されていてエンジンの熱とは無縁の場所です
プリウスやアクア、その他THSⅡ搭載車ではハイブリッドシステムを起動するためにメインバッテリーとは別に「補機バッテリー」が搭載されています。
ガソリン車のバッテリーと変わらないくらいのサイズ感ですが、トヨタのハイブリッドカーでは後席やトランクルームに配置されていることが多いです。
車種によってはあてはまらないこともありますが上述したように部品だけでなく、バッテリーも高温にさらされると寿命が短くなります。
そのためエンジンルームに補機バッテリーが搭載されているモデルに比べてエンジンの熱によるバッテリーの劣化はなく、寿命が長い傾向にあります。
ただし使用頻度が極端に低いような場合では1年も持たないこともあるので、毎日のように車を使う人に当てはまります。
災害時はEVより実用的
地震などで、家屋が倒壊してしまい停電してしまったときなどは車の中が避難場所になることもあります。
季節によっては暖房や冷房も必要になりますが、たとえばEVだと停電してしまったときは車を充電をすることができません。
メインバッテリーの電気を使い切ってしまった時点で移動することもできなくなってしまうので、災害時にはEVのデメリットが目立ってしまいます。
被災地に大型の発電機を設置することは難しく、ガソリンならタンクローリーを使って運び込むことができます。
もちろんガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車も同様にガソリンや軽油を給油することで冷暖房を使用できます。
その場合でもエンジンをつねにアイドリングしたままにする必要があり、騒音も発生ます。
ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーならエンジン停止状態でも冷暖房を効かせることができ、周囲への騒音も抑えることができます。
とはいえ、メインバッテリーの残量が少なくなるとエンジンが始動するのでエンジンの騒音がゼロというわけにはいきませんが。
トヨタハイブリッドカーのデメリット・ユーザーレビュー
回生ブレーキと油圧ブレーキの切り替わりに違和感
これはオーナーとしてもっとも気になった部分で、とにかくブレーキのタッチに違和感というか気持ち悪さを感じます。
ハイブリッドカーでは減速中の運動エネルギーを回収するために回生ブレーキが働き、従来の摩擦ブレーキではなく、発電機の抵抗でブレーキを効かせています。
中速域から完全に車が停止するまでのすべてを回生ブレーキで行うわけでなく、停止直前では油圧ブレーキだけで止まっています。
より多くのエネルギーを回収するには回生ブレーキで減速する時間が長いほどいいのですが、細かなタッチでは油圧ブレーキが適しています。
そのため微妙な操作性が求められる停止直前で回生ブレーキから油圧ブレーキに切り替わっています。これを「協調制御ブレーキ」と呼んでいます。
協調制御ブレーキは、多くのハイブリッドカーに採用されるブレーキの方式で、回生ブレーキと油圧ブレーキの切り替わりをコンピューター制御しています。
ところが実際にブレーキを効かせてみると、同じ力でブレーキペダルを踏み続けていてもブレーキの効き具合にムラがあり、滑らかとは言い難いタッチです。
とくにレンタカーなどで不慣れなドライバーがブレーキ操作を行うと「カックンブレーキ」と言われるようなガクンとブレーキを効かせてしまうことも多いです。
車庫入れなどの、極低速からのブレーキでもギュッという感じの強めのブレーキになってしまうことで同乗者からは「気持ち悪い」と言われてしまいます。
慣れれば改善できる?
このブレーキタッチに違和感と難しさを感じていましたが、止まる寸前にブレーキペダルの踏力を丁寧に抜いていくことでAT車くらいまでは緩和することができました。
意識しながら練習することで、かなりの確率でスムーズな「ピタ止め」を信号停止などでできるようになったものの、初めて乗る人には厳しいでしょう。
高速道路での燃費は平凡
ハイブリッドカー全般にいれることですが、高速道路ではさほど燃費がよくない傾向にあります。
ハイブリッドカーのアドバンテージである回生ブレーキもあまり使用されることがなく、
THSⅡなどエンジンとモーターを使い分けるタイプでは、時速100キロを超える速度域では空気抵抗が大きくモーター単体で駆動することができません。
ほとんどエンジン主体の走行モードとなり、非力なアトキンソンサイクルエンジンではアクセルを踏み込みながら周囲の車と速度を合わせる必要があります。
こうなると、ヘタをするとトルク型エンジンを搭載するマニュアルトランスミッション仕様のほうが燃費がよくなってしまうこともあります。
始動時の暖房の効きが悪い
これもハイブリッドカーに乗りはじめてすぐに感じた不満の一つで、とにかく冬場の暖房の効きの悪さには不便さを感じてしまいました。
ガソリンエンジン車と同じく、ハイブリッドカーのほとんどはエアコンの温風はエンジン冷却水の余熱を利用しています。
そのため、最低限のエンジン暖気しかおこなわないハイブリッドカーでは暖房がしっかり効くまで時間がかかる傾向にあります。
シートヒーターはハイブリッドカーに必須装備かも
筆者のシエンタハイブリッドには運転席と助手席の座面と背もたれ下部を暖めてくれるシートヒーターという装備がオプション装備されています。
なんとなく快適かもしれないと選択しましたが、選んで大正解でした。
豪雪地帯ではありませんしが、シートヒーターがないと厚着をして車に乗り込む必要があります。
暖房を入れると燃費が悪くなる
暖房の効きの悪さと関係していることですが、寒いときにハイブリッドシステム起動させるなり暖房をいれると普段よりもエンジン回転も高くなり走行中もエンジン主体で走行するようになります。
エンジンを積極的に使うことで冷却水の温度を上げて暖房が早く効くように制御が切り替わるわけです。
結果的に、エンジン車と比べるとハイブリッド車は暖房のためだけにエンジンを駆動させ、燃費も悪化してしまいます。
正確に測定していませんが、
冬場の燃費はクーラーを使用する夏場の燃費に近くなります。
補機バッテリーの寿命がわかりにくい?
トヨタのハイブリッドに関してはハイブリッドカー専用の補機バッテリーが使用されており、寿命に関しては3年から5年くらいです。
ただ、エンジン車のようにエンジンを始動するときのセルモーターの「キュルル」が「キュル・・・ル・・ル」に変化したみたいな、バッテリーの劣化を感じ取ることができません。
ある日突然、スタートボタンを押してもハイブリッドシステムが起動せず、走行できない状態になっていることも珍しくなく、初めて経験するユーザーは軽くパニックになるかもしれません。
とくに数日間とか1週間のあいだに走らさない状態がつづくと起動できなくなっていることが多いです。
とはいえ、車検ごとに補機バッテリーを交換するというのはバッテリーの価格からするとコスパが悪く、「ぜんぜん経済的じゃない」となってしまいます。
補機バッテリーがわりと高額
車の使用頻度が低い人には補機バッテリーの交換が定期的にあるとコスパが悪い
補機バッテリーはネットで購入することでかなり安く購入することができ、交換は車検などのさいに整備工場に持ち込んで作業してもらうこともできます。
BIY(Buy It Yourself)は自動車整備でもあることで、オーナーが部品を用意し、整備工場の交換作業を依頼することで整備費用を抑えることができます。
ちなみに・・・
BIYでバッテリーを購入するためのバッテリーの品番や適合を調べやすくまとめたサイトも運営しています。
DIYで交換するための交換方法を紹介している車種もありますので、よければご参照ください。
寒冷地ではメインバッテリーの容量が下がる
EVほどの致命的な欠点にはならないものの、寒冷地ではハイブリッドカーもメインバッテリーの充電効率は低下してしまいます。
リチウムイオンバッテリーもニッケル水素バッテリーも製造コストに大きな差はないとされながらも、ニッケル水素のほうが寒冷地では使い勝手がいいとのことです。
とはいえ、バッテリーの温度が低下すると充電受け入れ能力が低下してしまい、なおかつ放電時の電力も低下します。
つまり「充電がされにくく、電力消費も早い」のが寒冷地でのハイブリッドバッテリーのデメリットです。
そのためエンジンからの充電だけでなく回生ブレーキで回収できる電気も寒冷地では効率が悪くなってしまい、結果的には燃費も悪くなり、長い目でみればメインバッテリーの寿命も違う可能性が出てきます。
ちなみにですが、筆者が使用しているシエンタハイブリッドは、約7年間は北海道で使用されていて、のべ75,000km走行したものですが、メインバッテリーの健康状態はそれほど悪くなっていませんでした。
走る歓びは得られにくい・・
シリーズパラレル方式のハイブリッドカー全般に言えることは、「エンジンを操っている」という感覚が薄いことです。
とくに筆者のように自動二輪からスタートし、マニュアル車を乗り継いできたユーザーとしては、心が踊るような高揚感は得られにくいのではないでしょうか。
なにせ、気がついたらエンジンがかかっていて、アクセルを抜いて巡航していると気がつけばエンジンは止まり、モーターだけで静かに走っている。
非常になめらかなエンジンとモーターの切り替わりには「すごい」と感心するものの、車に乗せてもらっているようなつまらなさというか寂しさを感じてしまいます。
僕としては、いっそそれならばバッテリーとモーターをリアに搭載したミッドシップ2シーターのEVのほうが、意のままに操るハンドリングと暴力的なモーターのトルクにワクワクするかもしれません。
まとめ
今回はトヨタのハイブリッドカーの中でも多くのモデルに採用されているハイブリッドシステム「THSⅡ」のついてのメリットやデメリット、レビューなどを「オーナー目線」と「整備士目線」で述べてきました。
故障も少なく、ハイブリッドバッテリーの寿命もそれほど短くなく、交換作業も一般整備工場で行えるほどの難易度のため、徐々に交換費用も安くなっています。
そのため、中古車としても人気があり、結果的に買取価格も安定しているため、ハイブリッドカーを下取りに、新しいハイブリッドカーに乗り換えるユーザーも増えてきました。
日本車は海外では人気が高く、その中でもトヨタ製のハイブリッドカーの需要は安定しています。
プリウスはもはやブランド化されていて、「買って良し」「乗って良し」「売って良し」と中古車としてもおすすめできます。
とはいえ、すべてのユーザーが100点満点をつけられるわけでもなく、寒冷地や高速道路では燃費面でやや不利だったり、ブレーキのタッチに違和感や気持ち悪さを感じることもあります。
エンジンとの一体感を感じながら車を自在に操るという楽しさは感じにくく、「コスパがよく乗りやすいんだから、それでいいじゃん」という大多数の意見に車好きとして物足りなさを感じることも。
純然たるエンジン車をマニュアルで運転してきた筆者にとっては「乗れるうちにエンジン車も楽しむべき」という気持ちになります。
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