音の説明をするとき、人によってニュアンスがかなり違ってきます。
ある人は「ウォーン」と言うケースもありますし「ウィーン」と言うケースもあります。
エンジンの回転と一緒に変な音がし始めたら、そのままで走行してもいいのか気になりますね。
今回は、これらの異音に対して
・異音の原因として考えられる部分とは?
・運転席からできる簡単な異音の場所の見つけ方
・異音がしたままでも走行できるのか?
についてのお話をしていきます。
車のエンジンからの異音がモーター音に聞こえる場合
↑ エンジンルームにはいろんな回転するパーツがあり、モーターのような異音もここから発生することが多い
エンジンの回転と完全に同期していることがほとんど
異音の原因に関しては、ある程度の絞り込みをする必要があります。まずモーターのような音がする場合はエンジン本体からの異音ではないケースが多いです。
この場合、ほとんどの場合は補機類と言われる部品からの異音が多いです。補機類とは、パワーステアリングの油圧ポンプや、オルタネーターと言われる発電機、エアコンのコンプレッサーです。
エンジンと、これらの補機関係の部品たちはベルトで繋がっています。例えば発電機のベルトだとオルタネーターベルトといいます。
同じようにパワーステアリングのポンプの場合だとパワーステアリングベルトといった感じです。これらのベルトはエンジンがかかっている間は常に一緒に回転しています。
エンジンからモーターのような異音がする場合はエンジンの回転とほぼ同じように同期している補機類から発生していることが多いです。
車の異音でウォーンとかウィーンという音質の場合
エンジン本体からの異音は音質が違う
ウォーンとかウィーンという異音はモーターやポンプなどに組み込まれたベアリングなどの細かいパーツが劣化して、エンジンの回転とともに異音を発生させることがほとんどです。
それに対してエンジン本体からの異音は、カタカタとか、カンカンとか、ガラガラといったことが多いです。つまり、もっと重くて大きな音であることが多いので、モーターのような音には聞こえません。
異音を意図的に鳴らすこともできる
↑ エアコンのコンプレッサーの前面にはマグネットクラッチと呼ばれるベアリングがついたパーツがあり異音の原因になりやすい
エンジンから異音がするとき、その音がどこからしているのかを運転席から意図的に再現させることもできます。
例えば、エアコンのコンプレッサーからの異音だとするとエアコンをオンにしないと音がならないケースがかなり多いです。
そのため運転席からアイドリング中に試しにエアコンを入れてみることで音に変化がある場合はエアコンに関連するコンプレッサーやベルトを調整しているテンショナベアリングの異音だと推測することができます。
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車のエアコンの異音|ウィーンというモーター音の原因は主に2つ
同じようにパワーステアリングの油圧ポンプからの異音だとすると、アイドリング中にハンドルを据え切りしてみると音が大きく変化する場合があります。
この場合だとパワーステアリングのポンプが音の発生源かもしれないと推測することができます。
ちなみにですが、僕の経験だとモーターのようなうなり音はオルタネーター、つまり発電機からの異音が多かったです。その場合の音は今回のお話で表現されるウォーンとかウィーンと言う音に最も近いといえます。
もしもオルタネーターからの音で、このような音が鳴っている場合はオルタネーター内部のベアリングが痛んでいることが多いです。
↑ オルタネーター(発電機)も古くなると内部から異音が発生しやすくなる
その場合だとオルタネーターのベアリングだけを交換すると言うケースはほとんどなく、オルタネーターを丸ごと交換することがほとんどです。
まれに非常に古い車だとオルタネーター自体が部品として流通していないこともあり、現物をリビルトメーカーに送り、リビルトを依頼することもありました。

結論として、これらの異音がしたままでも整備工場まで走行するくらいなら問題はないと思います。
ただし、そのまま放置していると、異音が大きくなったりすることもあります。
異音は故障の予兆ですので、車を走行させるのはなるべく控えましょう。
ウォーンに近い音の原因
ウォーンという音質だと、比較的に大きめのベアリングなら「ウォーン」という感じに聞こえます。
また、パワステの油圧ポンプからの異音もウォーンという音が近く、とくに古い車で車を止めたままでハンドルを据え切りするときなどは、パワステポンプからウォーンという、少し低めの音がすることがあります。
ほかにも、エアクリーナーに空気を吸い込む「ダクト」と呼ばれるプラスチックなどでできた管がありますが、その部分を空気が通るときもウォーンという音に近いことがあります。
たとえば、空気が通過する音でも、高速で細い管で音が発生する場合は「ピー」といった甲高い尾とがします。
それに対して、エアクリーナーのダクトのように太い管を空気が通過するときに発生する音は、「ブォーン」とか「ウォーン」といった、少し低い音になります。

例えるなら、同じ管楽器でも小さな楽器なら高い音、大きめの楽器なら低い音が出せるのと同じ理屈ですね。
走行に大きな支障はないかもしれませんが、異音が大きくなったりした場合はすぐに整備工場で点検を受けましょう。
ウィーンに近い音の原因
ウィーンという音質の異音だと、比較的に小さめのベアリングから細かい音が連続して鳴ると、エンジンの回転が上がったときにウィーンという、少し甲高い音に聞こえることがあります。
このモーターの「キーン」という音に近いウィーンの場合は、発電機(オルタネーター)の内部のベアリングから異音がすることがわりとあります。
また、エンジンのすぐ隣にオートマチックがあるような前輪駆動車の場合は、オートマチックに内部からウィーンという音がすることが多いです。
とくにCVTタイプのオートマチックはエンジンを始動したすぐの、比較的に気温が低いときなどにウィーンというモーター音のような異音がすることが多いです。
CVTのウィーンという異音の詳細については別の記事を参照ください。
エンジンの異音としてのうなり音
うなり音とは?
↑ タイミングベルトの周辺にもテンショナー、アイドラーといった、ベアリングで構成されたパーツがあり異音の原因になりうる
うなり音とは、先程のベアリング等の甲高い音よりももう少し低いくぐもった音だと思ってください。
うなり音の場合は音の周波数が楽器で例えるなら管楽器のトランペットよりもトロンボーンのような感じだとイメージしてください。
つまり音がもっと低い、声で言うなら野太い感じですね。
この場合、うなり音の原因になりやすいのは発電機やエアコンなどの補器類のベルトの回転に伴うときよりも、タイミングベルトからするうなり音などが多いです。
もしもタイミングベルトからうなり音がする場合はタイミングベルトを少し張り過ぎていることが多いです。
よく、新米メカニックがタイミングベルトの交換をすると、エンジンをかけたとたん「ウォーン」とうなり音がすることがあります。
すると先輩から「お前、タイベル張りすぎただろ!」と怒られることがあるのです。(僕も怒られたことがありますw)
いきなり音が消えたり見分けがつかない異音もある
これまでのお話をまとめると、モーターのような音はベアリング等の金属製のパーツからの異音が多いです。
それに対して「うなり音」とは、ほら貝を吹くような音に近いのですが、この中間のような音の場合もあります。
また、音の質が変化する場合もありますので、お客様が整備工場に車を持ち込んだときに、たまたま異音がまったくならないということもあります。
そんな時はお客様の「ウィーン」なのか「ウォーン」なのか、どんな時にその音がしているのかを問診する必要があります。
結局は音が確認できない場合は車を預かってしまうかそのまま様子を見て乗っていただくかという二択になります。
最後に・・・
エンジンの周りからの異音は、基本的にはエンジン本体、またはその補器類から発生していることがほとんどです。
よくお客様から
「気になるけど、ちゃんと調べてもらったほうがいい?」
という質問をされますが、基本的には異音の原因は調べておくほうがいいいですが、調べるだけで部品を外したりするケースもあります。
そのため、代車をお出しして、何日も車を預かってしまわないと原因を突き止めることが難しいケースもあります。
車をお預かりする必要があることをお客様に提案すると、ほとんどのお客様は難色を示します。
お客様の本音としては、
(音は気になるけど費用も気になる・・・)
ということだと思います。
問題なければ、そのまま乗っていたいと考えるのもわかります。
そんなとき、僕がお客様に言うことは毎回同じようなことで、
「もしも、その音がどんどんひどくなってきたらまた来てくださいね」
という、異音が変化してきた場合は、すぐに診断しましょう、ということです。
つまり、異音に大きな変化が見られない場合は、「とりあえずは」乗っていてもいいですよ、という意味です。
もちろん、その車をお仕事で使ったり、遠距離を走行するような場合だと、あまり呑気なことは言っていられません。
また、
『エンジンから異音がする場合、買い取り査定はどれくらい下がってしまうのか?』
という、カーライフアドバイザーとしてのお話を記事にしていますのでこちらもチェックしてみてください。
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⇒エンジンから異音がする車の買取り査定額が意外と高いワケとは
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