自動車の未来を語るうえで登場する「CASE」という言葉。
CASEとはどんな意味で、今後の自動車業界にどんな影響があるのでしょうか。
また、CASEが100年に一度の変革期をもたらしていると言われる理由とは?
今、自動車整備士の間では、まことしやかにこんなことが言われています。
「パソコン使いこなせないヤツは整備士やってけないかも・・・。」
「いずれオレたちの仕事、なくなるんじゃね?」
僕自身、自動車整備士を20年以上やってきて、
新しい車に触れるたびに、いろんな技術革新や時代の変化を肌で感じてきました。
前回のMaaSに関する記事に続いて今回も近未来の自動車について考えていきます。
・CASEとは?わかりやすく説明
・CASEは自動車業界にどう影響するのか
・CASEが100年に一度の変革期をもたらすのか
こんな内容で進めていきます。
CASEとは?わかりやすく説明すると・・
まず、CASEはそのまま「けーす」と読みます。
Connected(コネクテッド)
Autonomous(自動運転)
Shared & Services(カーシェアリングとサービス)
Electric(電動化)
の頭文字をつなげたものです。
これらの意味をそのままつないで言葉にしてしまうと、
『ネット接続された自動運転で走行できる電気自動車をみんなで共用する』
ということになります。
それでは具体的にそれぞれの要素について詳しく説明していきます。
①Connected|車に相互通信機能をもたせる意味
CASEの「C」はコネクテッドのCですが、インターネットと常に繋がったままの通信機能を備えている車を表しています。
これまでの車に備わった通信機能といえば、カーナビがGPS信号を利用して自車の位置を把握したり、FM多重放送のVICSやビーコンが一般的です。
これらは情報を受け取るだけで、相互通信とは言えませんし、広義で言えばラジオ放送の受信と変わりません。
ICTを可能にする「走るスマホ」を目指す
それに対して、CASEで語られるコネクテッドカーとは、情報を受け取ったり送信したりする「相互通信」を常に行っていることを意味しています。
「IT」をより進化させたものが「ICT」とされていて、IT(インターネット・テクノロジー)なら情報を受け取るだけで、ICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)は個々が情報のやり取りをすることを表しています。

まるで車がスマホになったような感じで、SNSでリアルタイムでやり取りするようなことが車でもできるようなイメージでしょうか。
渋滞情報や交通事故、盗難に対する素早い対応が可能
たとえば、局所的に渋滞しているエリアを走行していた場合、自車の情報をその周辺を走行している車たちに知らせることができれば、リアルタイムでの渋滞を回避するルートを探すことができます。
また、車の運転状況を制御できる運転手(?)が急病などで意識を失ったり居眠りをしていることを車内に設置されたセンサーが感知したとします。
その場合、重大な事故の原因になると車にインストールされているAIが判断した場合、外部に通報したり、路肩に車を停止させるような処置を素早くすることができます。
さらに、車が盗難にあった場合、遠隔操作で車のエンジンやシステムを停止させてしまったり、自車の位置を送信することもできます。
これなら、レッカー車などで強引に車を運んでいかれてしまった場合でも、車を海外に転売されてしまうまえに見つけ出せる可能性も高くなります。
これらは、様々な情報を管理し、迅速かつ適切に必要とすしている別の車に配信することで、高いレベルで渋滞緩和や人命救助を可能にすることでしょう。
5Gが通信精度を高める
2022年現在でも、スマートフォンの通信システムは「4G」から「5G」へと移行が進んできて、5Gの通信速度は4Gの10倍、遅延は1/10と言われています。
通信技術の高速化はコネクテッドカーとしての相互通信の速度も大きく向上し、より高い次元でのサービスや危機管理を可能にします。
また、自動運転の精度を飛躍的に向上させるうえでも重要で、AIに「予測する運転」をさせるうえでも重要になってきます。
たとえば、ベテランのドライバーでも判断が難しいような複雑な交差点での往来でも、交差点そのものが行き交う車の動きを総合的に制御すれば自動運転でも交通事故をなくすことができるかもしれません。
そのためには、高速通信をつかって、それぞれの車に搭載されている自動運転機能のAI同士の総合的に調和させる仕組みが必要です。
コネクテッドカーとしての完成度の高さには通信速度や高速通信が可能なエリアの拡大も重要になってきそうです。
ビッグデータの活用でMaaSに組み込まれる?
別の記事でお話しましたが、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)という概念が、様々な乗り物を効率よく乗り換えていく時代になっていきます。
そのときに、自動車も「様々な乗り物」の中に含まれ、利用者の利便性や環境に配慮するための一つの交通手段に組み込まれ、部分的な利用をされていくでしょう。
その際に、ユーザーの移動手段を最適化するためには、さまざまな分野で収集されたデータをもとに、CASE化された車にもユーザーの情報のやり取りが行われるかもしれません。
クラウド・コンピューティング
ビッグデータを蓄積しても、それをスピーディに活用できなければ意味がありません。
そのためには、ネット上にアップロードされたビッグデータをすぐさまフィードバックさせ、その運用するための仕組みを構築するにはやはりクラウド上に蓄積させるほうが効率的です。
「ビッグデータ」「クラウドコンピューティング」「高速通信」などなど、まるでスマートフォンの話をしているようなワードがコネクテッドカーにも登場してきます。
②Autonomous|自動運転が大変革をもたらす
自動運転にもレベルがある
自動運転といいつつ、運転操作の殆どを人が主体でやっている場合は、消極的な操作のごく一部だけを担うくらいのレベルです。
運転支援システムとして一般的になりつつあるのが衝突回避のためのブレーキを自動で行ってくれるものです。
ただし、ブレーキ操作のみやオートクルーズのようなアクセル操作のみなどは運転支援にカテゴライズされ、自動運転とはなりません。
LEVEL 0 | 運転自動化なし | |
LEVEL 1 | 運転者支援 | |
LEVEL 2 | 部分的運転自動化 | ハンズオフ |
LEVEL 3 | 条件付き運転自動化 | アイズオフ |
LEVEL 4 | 高度運転自動化 | 短時間のブレインオフ |
LEVEL 5 | 完全運転自動化 | 完全ブレインオフ |
ここで自動運転とされるのは「LEVEL 3」以上の機能を備えたものを指し、運転の制御を「人」ではなく「システム」が主体になって車を走行させています。
すでに運転支援システムは一部の高級車では複数の機能が装備されていて、コンパクトカーや軽自動車にも部分的に採用され始めています。
最近、ダイハツのタントの駐車支援システムを実際に試したことがありましたが、白線のマスをうまく認識せず、ちょっと微妙な位置になりました。

とはいえ、軽自動車に実装させたことに意味があるなと思いました。
より多くのユーザーが使うことで多くのデータを取ることができますしね。
エーミング作業が板金や車検制度に組み込まれる
すでに起きている問題ですが、衝突回避支援システムが搭載された車のバンパーやフロントガラスを交換すると、エーミング作業という、システムとのセットアップが必要になっています。
たとえば、最近あったことですが、ミライースのフロントバンパーを交換した際に、バンパーに付いている衝突回避のためのカメラも交換することになり、板金修理のあとでダイハツディーラーに車を持ち込む必要がありました。
センサーやカメラを新しく交換したり脱着した際にはセンサーの補正ズレを修正しておく必要があります。
これをやっておかないと、ダイハツの衝突回避支援システムの「スマートアシスト」が正常に作動しなくなるからです。
また2024年からは、運転支援システムでのエーミング(機能調整)作業を実施しないと車検に合格できないことになっています。
製作年月日によって対象とする車両は違いますが、自動運転化がすすむにつれ、車検制度での検査項目も大きく変わっていくことでしょう。
③Shared & Services|カーシェアが普及する意味とは
土地の有効活用ができる
マイカーを所有していると、どうしても車の保管場所が必要になり、月極の駐車場を借りるケースも多いです。
これまで駐車場だった土地を別の用途で利用することができれば、より多くの人に役立つ設備や店舗に転換することができます。
また、カーシェアの起点となる場所も、多少地代は高くても交通の便のいい立地に車を置くことができればカーシェアの頻度もあがります。
マイカーが減ると渋滞も緩和される
カーシェアを利用するユーザーは、なにかしら明確な目的があって車を借ります。
計画的に車を使おうと考えることは、マイカーのような手軽さはなくなるものの、そのぶん車の使用頻度も下がり、結果的には渋滞も緩和されていきます。
また、使用用途に応じて借りる車のサイズもそのつど選ぶことができるため、コンパクトで取り回しのいい車がカーシェアで利用されることも増えます。
これも渋滞を和らげる遠因となるのではないでしょうか。
整備不良車をなくすことができる
複数で車を所有したり、一定時間だけ車を借りるような場合、タイヤのすり減り具合やブレーキなどの定期的なメンテナンスも一元管理されていきます。
専門の管理業者が計画的に車の状態を把握し、適切なタイミングで保守点検をする仕組みができれば整備不良による事故などもなくすことができます。

自動車整備士をしていて感じるのは、
車のメンテナンスに対する意識がユーザーさんによって大きく違うということ。
車検がなければなんのメンテナンスもしない方も中にはいます。
④Electric|車の電動化で解決できること
環境に優しい社会の実現
エンジンを搭載する自動車からは、二酸化炭素(CO2)や炭化水素(HC)が排出されています。これらのガスは光化学スモッグの原因や温室効果ガスであることが知られています。
電気だけで動く車(EV)なら、車の製造工程で発生する場合を除き、これらの有害なガスが排出されることはありませんし、エンジン車よりも静粛性に優れ、騒音問題にも大きく影響を与えます。
災害時などで非常用の電源にできる
すでにプラグインハイブリッド車などで実用化されていますが、車に搭載されているバッテリーを住居で使用する電源にすることができます。
そのため、停電や災害時での電源にすることができるため、ライフラインが復旧するまでの災害初期の段階でも暖房や照明、携帯電話やパソコンの充電にも使用できます。
また、ソーラー発電との相性もよく、ガソリンよりもランニングコストを下げることができます。
ガソリン車よりもランニングコストが低い
同じだけの距離を走行するための燃料費と電気料金を比較すると半額以下のコストで済み、電気自動車の車体本体価格を抑えることができれば経済的なメリットがあります。
とはいえ、今のところは車体本体の価格もかなり高く、補助金を利用しても手軽に購入するにはハードルが高いことも確かです。
また、バッテリーの寿命が短いと高額なバッテリー交換の費用が必要になり、大量生産によるコストカットが課題です。
CASEはこれからの車に求められる要素
車がMaaSに組み込まれる必要性
鉄道、バス、タクシー、シェアサイクルなど、様々な乗り物がインターネットに接続されることで、効率よく移動するための最適解をリアルタイムで見つけることができます。
その仕組のなかに自動車が組み込まれるためには、ネット接続され、自動運転技術により無人で走行できるような車が必要になってきます。
少子高齢化への解決策にもなりうる
ドライバーが高齢化することで自動車の運転に必要な「認知」「判断」「操作」に必要な身体能力にも支障をきたすこともあります。
これら、運転に欠かせない要素を車の自動化や通信機能でカバーすることができれば、事故そのものの抑制や軽減が可能になります。
『人生100年』などと言われている時代では、「動けるうちは働きたいし、働かないと食べていけない」という事情から、車の運転に関わる年齢にも変化があるかもしれません。
また、地方では「買い物難民」という言葉があるように、車がないと生活必需品を買いにいくことも難しい地域もあり、高度な自動運転が実現すればこれらの問題は解決できます。
CASEが自動車業界にもたらすこと
CASEがすすめば自動車部品も少なくなる
自動車業界では、自動車のEV化による車を構成する部品の点数が大幅に少なくなることが話題に上がることが多いです。
エンジンは自動車の主要部品
車の構成部品のなかでとくに点数が多いのがエンジンですが、エンジンそのものがなくなれば、エンジンを修理することもなくなれば、保守パーツを製造することもなくなります。
エンジンにはこれまで培ってきたさまざまな技術やノウハウが凝縮されていて、良いエンジンがいい車には必要だとされてきました。
莫大な開発費をかけて進化してきたエンジンには、それに携わってきた人たちへの人件費が先行投資されています。
製造業や小売業にも変化が求められる
エンジンの製造に関わってきた工場や、部品を流通販売する部品商なども大幅な減益になってしまいます。
エンジンオイル交換というピットメニューもなくなる
車の構成部品のなかでもエンジンはとくにメンテナンスも必要で、修理する機会が多い部分です。
エンジンそのものが無くなれば、エンジンオイル交換も必要ありませんが、車を整備工場に持ち込む回数もかなり減ると思います。
エンジンオイル交換が不要になれば、整備工場での収益にも少なからず影響がでますし、整備工場に足を運んでもらう来店動機も減ることになります。
車に使われてきた油脂類も不要になる
オートマチック車にはCVTフルードやATフルードが使われてきましたが、モーターのみで走行できる車には必要ありませんし、四輪駆動車のデフオイルも必要ありません。
また、エンジンを冷却するためのクーラントも不要で、モーターやコンバーターを冷やすための冷却水はエンジンクーラントほど汚れません。
自動車整備工場にとっては、これらの油脂類の定期的な交換も重要な収益源でしたが、電気自動車が普及していけば減収となります。
「普通のカーナビ」は要らなくなる
カーナビもCASE化された車には主要な構成部品として組み込まれ、後付けするようなカーナビは必要なくなるかもしれません。
さまざまな情報を表示させるためのディスプレイはこれからの車には必要不可欠で、むしろメーターやエアコンの操作パネルもすべて一つのディスプレイに集約されていくでしょう。
必要な機能はスマートフォンのようにアプリとしてダウンロードすればよく、地図情報のなかに広告的な要素を組み込めば地図の更新も無料になる可能性もあります。
これまでカーナビを進化させ、販売してきたメーカーにとってはあらたにカーナビを買ってくれるユーザーが減少していくことになります。
とはいえ、車検制度はなくならない
電気自動車にも車検は必要だけど・・・
少なくとも日本では自動車の車検制度そのものがなくなることはないと思います。
なぜなら、車検という制度は国にとっても都合がいい部分もあり、自動車税を徴収しやすかったり、自賠責保険のかけ忘れもありません。
タイヤやブレーキなど、摩擦をすることで摩耗するような部位はなくならず、消耗品があるということは保守や点検も必要になってきます。
エーミングの部分でもお話しましたが、運転支援システムや自動運転を実現するには車にさまざまなセンサーや通信機能が備わっています。
これらの機能が問題なく作動しているかどうかのチェックや補正も、今後は車検に組み込まれていきます。
交通事故は激減、板金修理工場は淘汰される
すでに軽微な追突事故などは減っている
事故が無くなることは非常に喜ばしいことですが、板金修理を主な収益源にしているような整備工場にとっては死活問題です。
すでに部分的な運転支援システムも普及してきていますが、とくにブレーキに関するサポート機能はかなり精度が上がっています。
これにより軽微な追突事故などもかなり減っていて、板金工場に勤務する知り合いも「軽板金の仕事がかなり減った」と話していました。
自動車保険のありかた変わる
自動車保険は事故が起きたときの損失をカバーするためにあるものなので、完全なる自動運転が実現すれば、事故が発生しても責任はドライバーなのかシステムなのか、という問題になります。
外部からの複数の偶発的なことが原因であれば事故を起こしたことになりませんし、自動車保険のカバーできることではない可能性もあります。
すでにブレーキアシスト機能が装着されている車両は自動車保険の料率も低くなっていますし、万一事故が発生したときの通報システムを付けていない車だと補償内容に制限が入るかもしれません。
車の買い替えサイクルも変わってくる
これまでの自動車は、単なる移動手段ではなくユーザーの趣味や嗜好にも応えるデザインや走行性能もパッケージングされた商品でした。
消費者でもあるユーザーは、自動車メーカーから便利さとは別にワクワク感や、所有欲も購入してきました。
「究極の道具」はつまらない?
安全性や環境性能を突き詰めていけば、完全自動運転に移行していくのは自然なことですが、車としての魅力も失われていくのではないでしょうか。
よく、車を擬人化するユーザーさんがいて、「この子、色もカタチもホントに可愛いんですよ」などと愛着をもって所有している人も多いです。
いっぽうで、エンジンの動力性能をマニュアル・トランスミッションで引き出し、ステアリングから伝わる路面情報を感じながら車との一体感を味わう喜びを求めるユーザーもいます。
『人馬一体』というコンセプトで開発してきたライトウェイトスポーツカーが、根強く支持されているのも、それだけ需要があることを意味します。
自己表現としての車
車を持つことはその人にとって自己表現をするための大事なアイテムであり、そこに喜びを感じる人達が高いお金を払って車を購入してきました。
個性もないし、そもそも自分のモノではない車に対し、人は興味を失っていき、新型車が出たということにも関心がなくなっていくのかもしれません。
若者の車離れはさらに加速する
1970年代生まれの僕はスーパーカー世代でもあり、「早く運転免許をとって絶対に車を買う!」みたいなモチベーションが常にありました。
その当時の時代背景は高度経済成長期でもありましたし、モータリゼーションの大きな波が日本にも流れ込んできたころでもあります。
車が環境にもたらす悪影響などについての議論よりも、みんなが熱っぽく車の魅力を話すことを国も企業も望んでいたのかもしれません。
それから50年ちかく経ち、車に対するさまざまなネガティブな要素が今の若い世代には目立ち、車を所有するデメリットばかりにフォーカスされています。
「車なんて持ってたらお金はかかるし、他に楽しいことがいっぱいある。だから車は要らない」
残念なことにも思うのですが、彼らの言う通りで、車以外で楽しいことが溢れている時代では、車を持つことは負担でしかありません。
自動化された車はバスやタクシーと同じ
運転する楽しさが得られない車なら、ただ乗せてもらっているという感覚しか感じませんし、むしろ自転車や電動キックボードのほうが風を感じて気持ちがいいかもしれません。
カーシェアで必要なときに使うことができればそれで十分と思う人達が増えていくのも自然な流れといえます。
CASEはホントに100年に一度の変革期なのか
自動運転の進化が大きな鍵
僕が個人的に思うのは、CASEの4つの要素のなかでも、もっとも重要かつ核となるのが自動運転技術です。
コネクテッドカーとしての通信技術も自動運転の精度を上げるためには必要になるのは間違いないですが、最後は安全に車を走行させる技術が最も難しく、かつ必要です。
『LEVEL3』以上が普及してこその大変革
今回は、車がCASE化していけば、自動車業界にどれほどの影響があるのかという、業界の内側の人間としてCASEについて考えてみました。
そのなかでも、やはり最も難易度が高く、かつ実現すると大変革を起こす要素は完全自動運転の実現ではないでしょうか。
十年以上前から、「AIが進化したら人の仕事が奪われる」などと言われて来ましたが、車に関して言えば自動運転が進めば「運転手」は必要なくなり、職業としての運転手も必要なくなります。
この自動運転とくらべれば、CASEの他の要素である「コネクテッド」「EV化」「カーシェア」などは、大変革というほどの影響はないのではないでしょうか。
十年前に、今の普及している技術やインフラを完全に予想することは難しかったように、これから十年後も同じく完全な予想は不可能かもしれません。
最後の課題は法整備のスピード感?
CASEの4つの要素のなかで、十年後もどうなっているのかが予測が難しいのは自動運転くらいだと個人的には思っています。
とくに日本では法整備などで他国よりも遅れを取るように感じ、そのことが後発組にすら追い越されてしまうのでは、と思えて仕方がありません。
最後に・・
今回は、自動車整備士としての視点でCASEについてお話をしつつ、車が大好きなスーパーカー世代として感じたことも織り交ぜてみました。
これまで、自動車は100年以上かけて進化しそれに伴い大きく経済成長を支えてきた一大産業を作り上げてきました。
その一方で、車は単なる移動のための道具ではなく、運転する楽しさや所有する喜びを感じられる魅力的なデザインもあって、
経済的に豊かになればより高価な車を所有するステータスにもなりました。
会社勤めで半生をすごす一般的な人たちにとって、車はマイホームの次に高額な買い物となります。
「カーボンニュートラル」を実現させるためには、エンジンを搭載している車をなくしていくことが合理的なのかもしれません。
整備が不要な車が世に出ることにより、整備士の仕事が無くなっていくことは自然なことですし、僕もそれでいいと考えています。
ただ、車好きな人間として、全く魅力のない車ばかりが必要とされる風潮にはなって欲しくないと思っています。
そのためには、トヨタやメルセデスなど自動車業界のリーディングカンパニーのリーダーには「オレも車が大好きだよ」というカーガイにやってほしい。
そんなことに想いを馳せながら、今回のお話はおしまいです。
コメント
人によってメンテナンスの頻度はホント変わりますよね…
同僚が「社用車のエンジンオイル1年くらい変えてない」とかこの前言っていたのを思い出しました…
記事読んでいると色々変わるなぁと改めて感じました
個人的にはやっぱり運転が好きなのでフルオートになるとつまらなくなると思います
トラックなどの物流がフルオートになれば人手不足だのブラック労働だのがなくなると思うと、それは良いことだと思いますがね
タカハシ様
>個人的にはやっぱり運転が好きなので
>フルオートになるとつまらなくなると思います
>トラックなどの物流がフルオートになれば
>人手不足だのブラック労働だのがなくなると思うと、
>それは良いことだと思いますがね
おっしゃる通りですね。
運転は仕事としてすると、
時間などのリソースを占有されてしまいます。
そういった意味では、
人生の貴重な時間を労働に割かれてしまうのも
もったいないと感じます。
いっぽうで、車を運転する楽しさは、どんなにVRなどが進歩しても
完全に再現するのは難しいですよね。