ドライブレコーダーにもたくさんの種類があり、始めてドラレコをつけようとお考えの方では「どの種類のドラレコがいいの?」と迷ってしまいます。
今回は、普段から整備士としてお客様の車にたくさんのドライブレコーダーを取り付けたり、選び方をアドバイスしている僕からドラレコの選び方を紹介していきます。
先にざっくりとドライブレコーダーの種類を言うと
・前後を撮影するタイプ
・360度を同時に撮影するタイプ
上記の3種類が主流です。
ただ、これら三種のドラレコに付いている機能もいろいろあり、
・24時間監視の防犯カメラモード
・360度プラス後方撮影
・夜間でも綺麗に撮影できるナイトビジョン
・Wi-Fiでスマホと連動できる
・通信機能付きでネット上に記録されるクラウド型
などなど、追加されている機能を挙げるとキリがありません。
そこで、実際にどんな目的でドラレコを取り付けたいのか、普段からお客様にご説明しているような感じでそれぞれのタイプを紹介していきます。
ドライブレコーダーの選び方
ドラレコを付ける理由もいろいろ
ドライブレコーダーの主な目的は、万一の事故などに巻き込まれたときのトラブルを回避するための証拠として常に運転中の画像を動画にして残すためのものです。
ところが、運転中の事故やトラブルには様々なケースがあり、どんなトラブルに対して備えるのかによって、ドライブレコーダーも選ぶ必要があります。
・事故の相手が「あなたが信号無視をしてきた」と主張してきた
・完全に止まっているときに後ろから追突されたことを証明したい
・自転車がスマホ運転をして前方からぶつかってきた
ほんの一例ですが、上記のようなケースであれば、前方だけを録画しているタイプのドライブレコーダーでも証拠の映像として警察に提出することができます。
それに対して、後方も撮影するタイプのドラレコでないと役に立たないようなトラブルもあります。
・後方からあおり運転をされ続けた
・バイクが不適切な車間距離で後方にぶつかってきた
・スマホなどを見ながら不注意な運転をして追突してきた
これらのような場合は前方だけを撮影するドライブレコーダーではなにも証拠を撮影することができません。
ほかにも、突然車内に入り込んできた暴漢に暴力を振るわれたというとんでもない事件も実際に起き、テレビでも報道されていました。
また、車上荒らしで盗難や窓ガラスの破損などの被害に会うケースも駐車環境や地域によっては頻発しています。
これらのトラブルや事故に対抗するためのドライブレコーダーとなれば、
前後カメラタイプ
360度カメラタイプ
360度プラス前後カメラタイプ
24時間監視カメラタイプ
などを用途に応じて選ぶ必要があります。
つまり、「どんな事故やトラブルに対処したいのか」という、あなたがそもそもドライブレコーダーを付けてみようという意図を考える必要があるのです。
いやいや、だったら全部撮影できるドラレコでいいじゃん
こんなふうに思った方もいるかもしれませんが、ドライブレコーダーはそのタイプや追加されている機能によって、価格や取り付け費用が大きく違ってきます。
「とにかくいろんなことを完璧にカバーできるドラレコがいい」とお考えなら、ドライブレコーダー本体と取付費用で合計6万円以上の出費になるでしょう。
しかも多機能なドライブレコーダーを使いこなすにはスマートフォンとのWi-Fi接続やパソコンとの連動など、使い方をしっかりと覚えることになります。
ドラレコに関心をもったきっかけが選ぶヒントになる?
整備工場にご来店いただいているお客様からよくいただく質問が、「ドライブレコーダーってどれがいいです?」というもの。
それに対して僕なら、「どうしてドラレコをつけようと思ったんですか?」と聞くことが多く、それに対するお客様の答えは人によって違っています。
お客様からのニーズを拾うことでオススメのドライブレコーダーも違うので、まずはご本人の動機を聞くことが大事なのです。
報道されるあおり運転がきっかけ
近年では、非常に悪質なあおり運転により事故に巻き込まれたり道路上で口論になった場面がドラレコに記録され報道されることもあります。
あおり運転をされたという経験は、運転免許を取得して5年以上ほどの運転経験がある方なら必ずと言っていいほどあるのではないでしょうか。
なかには車の窓から手を伸ばしてきて暴力を受けているシーンもありましたが、「やられ損」で終わらせないためにも証拠が必要になります。
また、ドライブレコーダーが付いている車に対しては、証拠が残ることを警戒し、なにも仕掛けてこないという効果もあり、あおり運転への抑止力にもなります。
テレビなどであおり運転の報道がされたあとは、整備工場やカーショップでドライブレコーダー取り付けの問い合わせの電話が増えます。
無謀運転や高齢ドライバーへの対策
周囲の車への迷惑行為を繰り返すような危険運転者、運転に対する注意力や記憶力が低下した高齢ドライバーなど、事故が起きたときの過失割合で揉めてしまうことがあります。
事故を起こした当事者に納得してもらうには、証拠となる映像を本人に提示しないかぎり、示談が長引いてしまうこともよくある話です。
高齢ドライバー本人も関心度が高い
高齢ドライバー自身もドライブレコーダーの取り付けに関心を持つかたが増えてきました。
よくあるのが、息子や娘から「運転大丈夫?ドラレコとか付けたら?」と催促されてなんとなく付けておかないといけないような気になってしまうケースです。
また、ドライブレコーダーの中には運転支援や安全運転ができているかどうかをスコアにして運転への意識を向上させてくれるものもあります。
自動車保険のなかにはドライブレコーダーに記録された安全運転の点数がいいと翌年の保険料が割引されるプランもあり、高齢ドライバーにはオススメです。
車上荒らしの被害にあった
車を止めている場所によっては盗難の被害に遭いやすい条件が揃っている場合があり、人目につきにくい場所で夜は外灯もない暗闇などではいたずらや車上荒らしの標的になります。
また、一部のスポーツカーや旧車のなかには車ごと盗難されてしまい、海外に売られてしまうケースもあります。
これらの被害に対抗するために防犯カメラとしての機能や衝撃を検知したときだけ録画をしてくれたり通信型のドラレコならリアルタイムでスマートフォンなどに知らせてくれるものもあります。
また、通信型のドライブレコーダーは事故や盗難の記録をクラウド上で記録してくれるものもあり、ドライブレコーダーを破壊されたりSDカードを抜き取られても映像を確認できます。
ドラレコは用途と価格で選ぼう
付いているのと「無い」では大違い
ドライブレコーダーを付けていない車と、前方しか撮影できないタイプだけどとりあえず装着されている車なら、トラブル回避のリスクは全く違います。
たった一方向だけを撮影している場合でも、動画には多くの情報が記録されていて、たとえ後方から追突された場合でも車体に衝撃が加わった瞬間はわかるものです。
とくに、事故が起きた際に警察や交通事故鑑定員に映像を提出すれば、撮影されていない部分に対しても立証することができることが多いです。
結果的に、事故の当事者の証言の食い違いまでも見破るための重要な証拠になります。
つまり、ドライブレコーダーは、前方だけを撮影するもっとも簡易的なものでも車に付いていれば非常に大きな意味があるということです。
整備士の僕としては、出費を嫌ってドラレコを付けたがらない方には「自動車保険はかけるのに?」と言いたいです。
もちろん自動車保険に加入してないなら論外ですけど。
とはいえ、オススメは前後カメラタイプ
ドライブレコーダーとして最も大事な機能は、万一の事故などにそなえて「より広い範囲を」「より正確に」記録することです。
そういった意味では、360度タイプは画像が荒く、死角もできやすい上に価格も高めで、前方のみのものは記録できる範囲が限られてしまいます。
僕自身もお客様からの依頼でたくさんのドライブレコーダーの取り付けをやってきましたが、やはり前後カメラタイプのものが多いです。
前後カメラのものは取り付けの作業料金が前方のみより高くなりますが、商品としての価格が安くなっているぶん、割安になってきています。
ドラレコの種類で用途も違う|どのメーカーがおすすめ?
スペックはあと。まずは「やりたいこと」を考える
これまでのお話で、
ようするに「どんなことに備えてドラレコをつけるのか考えてみて」ってことでしょ?
と理解いただけたのではないでしょうか。
他のブログやウェブサイトでドライブレコーダーについての記事を呼んでいて僕が思ったのは、機能やスペックへの説明がメインになっているということ。
その車を運転する人が、そもそもドラレコを取り付けてどんなことに備えたいのかお伺いすることで、どんなドライブレコーダーがオススメなのかも絞られてきます。
実際にお客様から質問やアドバイスを求められたとき、「そもそもドライブレコーダーとはなんぞや?」という説明からするケースもあります。
それでは、よくあるお客様からの要望を例にして、いくつかのドライブレコーダーのタイプを紹介してきます。
いろいろ心配だけど価格も気になる人へ
前方のみの高画角タイプがおすすめ
始めてドライブレコーダーを取り付けるなら、まずはエントリーモデルとして前方のみを撮影するものがオススメです。
理由としては
・本体価格が安い
・取り付けの工賃も安い
・取り付けは自分でもできる
とにかくコスパがいいということに尽きます。
とはいえ、前方しか撮影できないことに不安を感じる方も多いですが、交通事故に備えるだけなら、前方のみの画像でもプロの交通事故鑑定士なら多くの情報を拾い取ってくれます。
そのため、一つのカメラでより広い範囲を撮影するほうが情報量も多くなるため、より広画角タイプのドライブレコーダーを選ぶことが大事です。
広画角とは
画角とは、カメラがどれくらいの範囲を撮影することができるかを角度で表わすことをいいます。
たとえば「100度の画角」といえばカメラを中心として100度の範囲を撮影できるということになります。
さらに画角には「水平画角」「垂直画角」「対角画角」といった、横方向や縦方向、斜め方向のどの角度をより広く撮影できるのかもドラレコによって違います。
フロントカメラのみのドラレコなら1個のカメラの画角は非常に重要になってきますので、予算の許す限り広画角のものを選ぶことが大事です。
ドライブレコーダーに関していえば、画角の標準角度は
水平画角:100度以上
垂直画角:55度以上
上記以上の画角のものを選ぶことをお勧めしますが、予算の許す限り水平画角が広いものを選びましょう。
画素数は200万画素がおすすめ
画素数とは撮影する画像の「目の細かさ」を表すもので、この数字が大きいほど録画する映像の解像度も高くなります。
いまでは800万画素という、非常に高解像の画像が撮れるドライブレコーダーもありますが、画素数が細かいということは、それだけSDカードの容量を消費してしまいます。
ドライブレコーダーとしての基本的な機能をもとめるのであれば、相手の車のナンバープレートが確認できる程度の200万画素のものがおすすめです。
高画角で200万画素のオススメ機種は?
まとめると、前方のみのドライブレコーダーで画角が100度以上、画素数が200万画素のものがオススメです
ですが、フロントカメラのみなら水平画角は広いほうが情報量も増えるのでより高画角なものを選ぶほうがいいでしょう。
オススメは、水平画角が136度とかなりの広画角の
コムテック 車用 ドライブレコーダー 1カメラタイプ HDR203G 200万画素 Full HDです。
後ろカメラを追加できる機種もある
前方のみの機種を選んだあとで、「やっぱり後ろも撮影できるやつがよかったかな・・。」と後悔するかもしれません。
そんな方には後ろカメラだけをあとから購入して追加できるタイプの機種を選ぶのもいいでしょう。
ただし、二回に分けて購入する場合は、なにかと割高になってしまいますが。
ドラレコは防犯カメラにもなる
運転中にだけ作動する機種だけでなく、駐車中に車に衝撃を検知すると撮影をしてくれるものや、24時間つねに撮影するモデルもあります。
治安の悪い地域では抑止力になる
ドラレコの中には通信機能があるものもあり、常時録画をした画像をネット上のサーバーに送信してくれるものもあります。
つまり、車上荒らしなどでドライブレコーダーごと盗難にあっても、その一部始終を別の場所からスマートフォンなどで確認することができます。
プロの車上荒らしはこれらのドライブレコーダーの機能も知っているので、それらしいものが装着されている車をターゲットにしない可能性が高いです。
バッテリー上がりの心配もなし
エンジンを止めている状態でドライブレコーダーが作動したら車のバッテリーが弱ってしまうことを心配するかもしれません。
ドライブレコーダーにはバッテリーの電圧を検出し、バッテリーあがりの可能性があるときはセーブモードになるタイプもあります。
また、車のバッテリーとは別に専用のモバイルバッテリーなどに接続され電源にしているタイプでは、車のバッテリー上がりの心配はしなくてすみます。
ドラレコで日本製メーカーならどれがおすすめ?
ドラレコは日本製が人気
日本メーカーのメリット
整備士としての経験上、ドライブレコーダーは国産のものをオススメしています。
理由はいろいろありますが、
・ドラレコとしての信頼性
・取り扱い説明書もちゃんとしている
・購入後のサポートやウェブサイトの充実
などなど。
これらを考慮して日本製のドライブレコーダーのみでオススメのものをそれぞれ紹介していきます。
整備士がオススメ|ドラレコの日本製でおすすめは?
ドライブレコーダーのメーカーは日本製以外にもたくさんありますが、やはり日本製が無難といえます。
有名メーカーをいくつか挙げると、コムテック、ケンウッド、ユピテル、セルスター、パナソニック、パイオニア、カーメイトなどなど、他にもあります。
これらのメーカーの中でもドライブレコーダーのシェアナンバーワンのコムテックについて少し触れておきます。
豊富なラインナップのコムテック
ほぼ全方位的に網羅したラインナップ
コムテックはドライブレコーダーに関しては業界でトップシェアですが、様々な機能を備えたラインナップでユーザーのニーズにマッチしたモデルが選べます。
コムテックのラインナップだけでドライブレコーダーに求めるほとんどのニーズに対応しているのではと個人的には思います。
たとえば、旅行の思い出としての画像を残したいのであれば撮影する画素数は400万画素以上のものがオススメですが、逆にいえばフロントカメラだけのものでもいいということになります。
前後カメラタイプを選ばなければ高画素なモデルが選べないメーカーもありますが、コムテックなら数ある機種のなかにいくつも存在します。
とはいえ、コムテックだけがオススメというわけでもありませんので、おすすめランキングなどもいずれ書いていこうと思います。
最後に
僕の個人的で独断と偏見に満ちた考えでは、いずれはドライブレコーダーはすべての車に取り付けが義務付けになる時代が来ると思っています。
至るところにドラレコ付きの車が走っていることはプライバシーの侵害になるかもしれませんが、公の場での行いに対する認識が変われば普通になるかもしれません。
ひき逃げや当て逃げの抑止にもなるでしょうし、犯罪に巻き込まれた可能性がある歩行者を撮影していて事件の解決につながる可能性もあります。
たんなる事故の証拠映像を残すだけのものだけでなく、運転支援やドライバーの異常を検知するなど、ドライブレコーダーはこれからも進化していくでしょう。
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