ハイブリッド車にとって、乗り換えを意識する大きな修理と言えばメインバッテリーの交換です。
10万キロ以上走行しているハイブリッド車が、車検で入庫してくることが増えました。
ハイブリッド車はもう特殊な車ではなく、次世代のスタンダードカーとして定着しています。
実際に車検の点検整備をしていても、ハイブリッド車だから特別に高額なメンテナンスや修理が発生することは珍しいです。
というよりも、むしろエンジンのみで走行するような車両よりも傷みが少なく、「10万キロだから」という、走行距離だけでは車としての寿命をはかるのは違うようにも感じています。
もちろん自動車整備の業界でもそうですが、車を使った運送業やタクシー業界でもその認識は共通です。
車を扱う、その道のプロたちが「ハイブリッド車は実用に耐える」と認識したことで、
ハイブリッド車の中古車市場の価格も高め安定してきています。
さらに、海外でのハイブリッド車の評価もかなり高く、「環境への配慮」「メンテナンスの少なさ」「パワフルな走り」、そして「耐久性」も含めて需要は高いです。
今回は、中古車の販売や車の買い取りにも携わる整備士の僕が、10万キロ走行のハイブリッド車の買い取り価格についてお話していきます。
ハイブリッド車は10万キロ走行で下取り額の相場は?
トヨタのハイブリッド車の評価は高い
ハイブリッドカーの代表格といえば、やはりプリウスではないでしょうか。
世界初の量産型ハイブリッドカーとして一般ユーザーでも手がとどく価格でリリースされ、改良が重ねられてきた結果、日本のみならず、海外でも「THE・ハイブリッドカー」といった位置づけです。
プリウスが世にもたらしたもの
プリウスはハイブリッドカーのいいイメージを広めることに大きく貢献し、フルモデルチェンジを重ねるごとに収益もしっかりと取れる、トヨタの看板ともいえる車です。
結果的に、プリウスは10万キロ走行のものでも、「買取価格が付きません。廃車ですね」とはならない車です。
アクアやSAIなど、大衆車から高級車まで若者からシニアまで
トヨタの車作りで上手いと思わせられるのが、しっかりとしたハイブリッド車としてのシステムを作り上げ、同じ技術を横展開していくところです。
たとえば四代目プリウスのプラットフォームをベースにC-HRをリリースすると、SUVとして若い世代にしっかりと訴求し販売台数を伸ばしました。
同様に、アクアのプラットフォームを流用し、斬新なデザインのスライドドアのシエンタハイブリッドをリリース、こちらも堅調な売れ行きを見せています。
整備士をしていると、車体をしたから眺めることが多いのですが、その車のベース車がほかのどの車なのかがはっきりとわかることが多いです。
トヨタは下から見たら代わり映えしないような兄弟車を、ユーザーのニーズに合わせて差別化し、「手を変え品を変え」しながら販売台数を伸ばしています。
買取業界でトヨタ車の評価が高い理由
車業界では、トヨタ車は下取り価格が安定していることで有名です。
理由はいろいろありますが、品質にバラつきがないというか、どの車種を選んでも、設計に致命的な欠陥があるとか、古いプラットフォームをお色直ししただけの性能面で後れをとることもありません。
堅実で抜かりのないプラットフォームを作り上げ、あとはそれをあの手この手で上手くパッケージングしているので、乗り味には独自性が欠ける場合もあるものの、商品としての質も高いわけです。
「シエンタハイブリッド?ああ、アクアがベースだから大丈夫だよ」
買取業界では査定士にとって、ある意味査定しやすいのがトヨタ車なのです。
結果的にハイブリッド車の評価も安定している
個人的にはトヨタ車を所有したことは一度もありませんし、トヨタファンというわけでもありませんが、整備士としては「修理しやすい」「そもそも致命的な故障も起きにくい」という印象を持ってしまいます。
このイメージは整備士だけでなく、運送業界やタクシー業界、代行サービスなどなど、さまざまな職業として車に乗る人たちからも同じようなイメージを持たれることが多いです。
つまり、多少頑張って買取をしてしまっても、中古車として販売するときには「トヨタ車だから」という、ある種のブランドとして中古車市場でも堅調な売れ方をします。
これもトヨタの息の長い戦略がもたらした結果といえます。
結論。トヨタのハイブリッド車の下取りは堅調
ハイブリッドシステムのパイオニアであり、リーディングカンパニーでもあるトヨタのハイブリッド車なら査定の評価もかなり期待できると結論付けられます。
日産、ホンダ、マツダのハイブリッド車の評価は?
日産はハイブリッドよりもEVのイメージ?
どちらかといえば日産の場合はハイブリッド車に関してはトヨタの後塵を拝す感じでイメージが固まっています。
『e-POWER』と呼ばれるシリーズハイブリッドシステムを採用したノートやセレナの販売も好調ながら、ハイブリッド車というよりはEVにちかいイメージです。
実際に運転してみてもモーター依存度が高いので余計にEVというイメージが強くなります。
となると、中古車として販売するための買い取りとなると、どうしてもメインバッテリーの耐久性に目がいってしまい、トヨタのハイブリッド勢よりは、やや逃げ腰の査定額になります。
つまり自社で中古車として販売するときに、高額な補償修理が発生するかもしれないという、懸念が買い取り額を少し消極的にさせるという印象です。
そのため、走行距離が10万キロちかくになると、かなり下取りは悪くなるといえます。
なにせ高額な大型バッテリーがメインのモデルなので。
ホンダのハイブリッド車
ハイブリッド王国みたいなイメージのトヨタとは違った路線で進んでいる感じですが、トヨタのハイブリッドシステムの二番煎じのようなイメージを最後まで払拭することができませんでした。
とくにエアコンのコンプレッサーがモーター化されるまでは、信号待ちなどでアイドルストップをすると、エアコンコンプレッサーも止まってしまい、「止まると暑い」という酷評を受けました。
個人的にはホンダのハイブリッドには独自の魅力も感じていますが、「商品」としての完成度はトヨタに軍配が上がってしまいます。
結果的に10万キロ走行となるとリセールに苦戦することが予想され、買い取り額は厳しいといえます。
ただし、走行距離が少ない場合は、企業の社用車や営業車として購入されるケースも考えられます。
その後ヴェゼルハイブリッドが登場し、スタイリッシュなSUVにハイブリッドの先進性がプラスされ、ファミリーカーとしての使用用途でも満足できるため、下取り価格はそれなりに高いといえます。
マツダのハイブリッド車
マツダのアクセラハイブリッドは、ベースにトヨタのハイブリッドシステムを採用していて、マツダファンの中ではわりと「アンチ・トヨタ」なユーザーもいます。
結果的にマツダ独自のクリーンディーゼルに対してユーザーも「マツダならそっちだろ」という流れになっています。
アクセラハイブリッド、僕も直接運転したことがありますが、独自のデザインとハイブリッドの静粛性や燃費性能も魅力だと感じました。
ですが、結果的に万人が支持するというよりも、こだわりがある、少し尖がったユーザーにウケた感じです。
希少性という意味と、ベースはプリウスという安心感もあり、下取りに関してはほかのマツダ車よりはいいと感じました。
最後に
「ハイブリッド車は壊れやすい」
「ハイブリッド車は修理代が高そう」
こんなイメージを持っている方は今でも多いのではないでしょうか。
実際にハイブリッド車のメインバッテリーは交換すると高額な修理費用が発生します。
そのいっぽうで、シビアな使用条件のタクシーなどにもハイブリッド車が採用されることも増えています。
もしもハイブリッド車がコストパフォーマンスの悪い車ならここまで普及されることはありません。
とくに、フルモデルチェンジが行われたことで「型遅れ」という意味で中古車価格が下がるケースなどは、逆に言えばコスパのいい中古車ということになります。
すでに運送業やタクシー業界、とことん乗りつぶす代行運転業界でも型落ちのハイブリッド車を購入することも増えています。
海外でも需要は高く、10年以上経過しているようなプリウスなども現役で使用されることを前提に輸出されています。
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