整備士をしていると「ええ?! そんなことってあるの・・?」
思わずそうつぶやきたくなることも経験します。
今回はダイハツのエンジンで実際に起きたことをお話しします。
車はダイハツのミラで、エンジンはKF型です。
突然にオイル漏れが発生するケース
自宅の駐車場にオイルのシミができたと入電
当整備工場をご利用のお客様から電話があり、普段止めている駐車場の下側に突然オイルのシミができ始めたから見に来てほしいとの事でした。
すぐ近くにお住まいのお客様だったので、とりあえずエンジンルームを観させてくださいとだけ伝えてご自宅に伺いました。
まず車の下側を覗いてみると確かに白いコンクリートの駐車場に黒いエンジンオイルらしきシミができています。
どうやらそのシミの真上はエンジンなので間違いなくエンジンオイルが漏れていると考えられるのですが、前日までは全くシミがなかったので、突然オイル漏れが始まったとのことです。
エンジンをかけてみると問題なく始動することができ、運転して帰れそうなのでそのまま整備工場に乗って帰ることにしました。
ボンネットを開けてエンジンルームを点検しているとエンジンの上側にあるエアクリーナーエレメントが収納されているボックスの下側あたりからオイルが滴っていました。
オイル漏れの原因はすぐにわかりました。
オイル漏れの原因はブローバイガス
エンジンの内圧は意外と高い
オイル交換を適切な時期にしないことで、エンジンの内圧が高くなることがあります。
その原因は、ブローバイガスと呼ばれるエンジン内部のガスが吹き抜けてくるのですが、エアクリーナーの中にブローバイガスを一旦返して燃焼させるためのホースが外れていました。
正確には外れたと言うよりはエンジンの内圧でブローバイガスのホースが「スポン」と抜けてしまったようです。
つまりエンジンオイルの管理が悪いと燃焼室の密閉性が落ちてしまうことで燃焼ガスが吹き抜けてしまうのです。
このダイハツのEF型エンジンの場合は、ブローバイガスのホースの取り回しがあまりしっかりと刺さっていないような構造になっています。
別の車種ならば、ホースクランプと呼ばれる金属製のクリップのようなものでホースを抜けないように固定していることが多いです。ただし、すべてのEF型エンジンに当てはまるわけではありません。
よく見てみるとブローバイホースの先端部分が縦に裂けていて、指で押しただけでホースが抜けてしまう状態になっていました。
これでは少しエンジンの内圧が上がっただけで自然にホースが抜けてしまう事は間違いないでしょう。
「オイル交換はしなくていい!」の一点張りのお客様
お客様にオイル漏れの原因をお伝えし、そもそもがオイル交換の管理が良くないことをお伝えしました。
少しご高齢のお客様なのですが、僕が説明する内容にかなり納得がいかないようで、「オイル交換とオイル漏れは関係ないだろう」と少しご立腹でした。
しかし百聞は一見にしかずで、お客様にエアクリーナーを外したホース周りのブローバイガスとホイップ状のエンジンオイルをお見せすることで、少し時間はかかりましたがご理解いただけました。
確かにこのタイプのエンジン、ブローバイガスが溜まりやすい構造ではありますが、他のメーカーのエンジンでも似たようなことにはなるので、異常でもないし欠陥でもないと言う事はご説明させていただきました。
駐車場にできたオイルのシミを観察するメリット
今回の場合は、いつもご主人さまが車を駐車している場所を奥様がホウキで掃き掃除をしているので、オイル漏れに気づくのが早かったようです。
ふだん、自分の車を駐めている場所に、なにか液体のようなものが落ちていないかを観察することで、早い段階でトラブルを見つけることもあるのです。
簡単にできるホース抜け対策
EF型エンジンのなかでも、一部の車種にだけ簡易的なエアクリーナーボックスを採用しています。
少ない部品点数で構成されるメリットがあるかわりに、ホースなどの取り回しにちょっと無理があります。
そこで、結束バンドでホースとエアクリーナーボックスのつなぎ目の部分を縛ってしまいます。
これだけでもうブローバイのホースが抜けてしまうことはなくなります。
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