スマアシ付きの車両を購入いただいたお客様からよくこんな質問があります。
スマートアシストがなぜか停止してしまった
スマアシ停止11Eって故障してるってこと?
とにかくこの手の問い合わせは車検や定期点検の際に相談されることが多いのですが、常に停止するわけではないことです。
調べてみるとどうということは無いのですが、乗っているお客様は不安に思うかたもおられます。
今回は一部のトヨタ車やダイハツ車に装備されるようになってきた「スマートアシスト」、略して『スマアシ』のお話です。
この表示の仕方に問題があるのでは?
と思わなくもないのですが、
そこにはメーカーなりの配慮というか
「言い分」もあるみたいです。
『スマアシ停止11E』の意味は?
スマートアシスト機能が付いているダイハツ車に乗っていると運転席のメーターに「スマアシ停止」という表示が出ることがあります。
同時に「11E」というコードのようなものが表示されることがよくある事例です。
スマートアシストでは少し長ったらしいので「スマアシ」と縮めていますが、ようするにスマートアシストが機能しない状態だと運転手に知らせるための表示です。
「表示」であって「警告灯」ではないところがミソですけど、初めてこの表示を見たユーザーさんははやり驚かれますね。
フロントガラスのカメラの汚れや雨天時の認識不良
ほとんどのスマアシ停止の原因がこれ
そもそもスマートアシスト機能の主なものとして、誤発進を抑制したり、前方の歩行者や車への衝突を回避することを目的にしています。
そのための非常に重要な情報源となっているものがフロントガラスの上側に取り付けられたカメラです。
このカメラはスマートアシストのバージョンによってモノラルカメラとステレオカメラがあり、より精度が高いのがステレオタイプです。
どちらにせよ、このフロントガラスに取り付けられたカメラからの情報がスマートアシスト機能を作動させる上での重要な役割を担っています。
雪・激しい雨・鳥糞・朝霜が原因
ところが、フロントガラスの外側に水滴や霜、朝露、鳥の糞などが付着することでカメラの視界が一部でも遮断されてしまうことがあります。
するとスマートアシスト機能を制御するコンピューターがスマアシを正確に作動させる十分な情報を得られなくなります。
この状態になると、誤作動を防ぐために「スマアシ停止」の表示を出し、一時的に機能をストップさせてしまうのです。
フロントガラスのカメラ周辺をチェック
たとえば雨や雪でフロントガラスの視界が狭まった状態になると、スマートアシストのメインのカメラも一部または全部遮断されてしまいます。
ところがそのまましばらく走っているとフロントガラスの汚れなどが消えてしまい、エンジンを再始動するとスマアシ停止の表示が消えています。
そもそもスマアシ機能の重要なカメラがフロントガラスにあることや、そこが遮断されると機能を停止することなど一般ユーザーさんは知らないことも多いです。
フロントガラスがキレイになっているようでもカメラの前面だけがピンポイントで汚れていることもあるので、外からフロントガラスの状態をチェックしてみましょう。
じつは新車の契約時にも知らされている
スマートアシスト機能についての重要な情報を購入者に知らせ、確認を取るためにスマートアシスト機能に関する承諾書のようなものに署名をしています。
そのなかで、フロントガラスの汚れなどでも正確な制御ができなくなり、機能を停止することがありますよ、みたいなことも書かれています。
ダイハツ公式サイトより
■スマートアシストの認識性能・制御性能には限界があります。ドライバーの運転操作、急カーブ、急勾配、雨等の道路状況、および天候によっては、システムが作動しない、または作動が遅れる場合があります。■雪、濃霧、砂嵐の場合や、トンネル内、夜間、日射しの状況によってはステレオカメラ、ソナーセンサーが障害物などを正常に認識できず、適切に作動しない場合があります。■作動条件下であっても、システムが作動しない場合があります。
つまり、『いついかなるときもスマートアシスト機能が作動するとは限りませんよ』ということを購入者に告知し、理解した上で使用してもらうために署名をさせているのです。
そこに関しては僕もメーカー側の言い分ももっともだと思っています。
万一の事故などのときに、スマアシが機能しなかったから事故になったんだ
みたいなクレームが入ることも十分に考えられます。
スマートアシストが故障した場合の表示
「スマートアシスト故障」の表示が出る原因
上述した「スマアシ停止」の表示とは違い「スマートアシスト故障」という表示が出ることがあります。
この場合は、「スマアシ停止」と違って復帰できないことが多く、本当に故障してしまっていることが多いです。
その場合の原因としては何らかのセンサーなどが故障していることや、センサーへの接続が途切れていることが考えられます。
バンパーをぶつけたり交換した場合
交通事故などでフロントバンパーをぶつけた場合、バンパーに埋め込まれた「ソナー」が壊れることでスマートアシストの制御をしているコンピューターとソナーの接続が切れてしまうことで起きます。
新しいスマートアシストになるほどソナーの数は増え、後方用のソナーも付いている車種に関しては前後のどれか一つでもソナーが壊れていると故障したことになります。
一度故障表示が出たら再設定が必要
車をぶつけたりでバンパーを交換した場合、スマートアシスト機能付きのダイハツ車の場合はスマアシ機能の再設定をする必要があります。
たとえばバンパーに埋め込まれたソナーも交換した場合は、ソナーと車両側のスマアシ制御のコンピューターとのセットアップが必要になります。
専用の設定用のコンピューターを車に接続し、新しく交換したソナーと車体側のコンピューターとの統合をさせることで故障の表示を消すことができます。
この操作は専用のコンピューターが必要で、ダイハツディーラーやトヨタディーラーなら必ずありますが、一般整備工場ではまだまだ用意できていません。
今後、車検の点検内容のなかに「エーミング機能の調整」が含まれることが予定されていますが、まさに今回のスマアシ故障に関係するお話です。
スマアシの表示が敏感すぎる理由
ユーザーへの注意喚起と免責の目的もある?
これはダイハツ車だけに限ったことではありませんが、衝突回避支援システムなどの能動的な安全装備は、100%の確率で作動することはありません。
なにせ強制的に電子スロットルを止めてしまったり、緊急ブレーキをかけたりすることをコンピューターに任せるので、メーカーも作動させる条件には慎重です。
もしも誤作動をして緊急ブレーキをかけたりアクセルを踏んでも車が進まなかったりすれば、それは重大事故の原因に鳴ってしまうからです。
その瞬間の免責を知らせているのかも
そのため、それぞれのメーカーでは新車としてユーザーに納車する際に、必ずと言っていいほどこれらの機能の作動条件が絶対ではないことを伝え、署名も取るようにしています。
それと同じ理由で、走行中に起きる様々な条件によってスマアシ機能などが作動しなかったとしても、損害賠償の対象などにはならないことを念を押しているのです。
とはいえ、これらの機能のネガティブな面を紹介したように感じられたかもしれませんが、今後の自動運転のレベルが向上するにしたがって自動制御の一部や全部を一時的に停止させることはいたしかたないのでしょう。
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