車のエンジンがかからない原因として、「燃料がエンジンに送られていない」という症状が多いです。
とくに多いのが燃料ポンプそのものが故障して作動していない症例もいくつかあります。
ただし、燃料ポンプが作動しない原因は他にもあり、燃料ポンプリレー、イグニッションスイッチ、ヒュージブルリンクなども考えららます。
故障診断をするうえでのチェックは多岐にわたりますが、そこらへんのトラブルシュートのお話は割愛します。
・燃料ポンプ本体の故障にはどんな症状があるのか?
・燃料ポンプの寿命はどれくらい?
・燃料ポンプの交換の費用はいくらくらい?
今回はこんなテーマでお話していきます。
車のエンジンがかからない原因|燃料ポンプもわりと多い
いきなりエンジン始動不能になるケース
燃料ポンプは2000年代以降になると電動のものがほぼすべてのガソリンエンジン車に採用されています。
以前はカムシャフトと連動した機械式の燃料ポンプもありましたが、エンジンが電子化されてキャブレターからインジェクションに移行することで燃料ポンプも電動になりました。
電動式の燃料ポンプは、内部に組み込まれたモーターが駆動することでガソリンを一定の圧力で安定して送ることができます。
ただ、モーターであるかぎりはいずれ寿命を迎えることになり、それまで問題なく動いていたモーターが突然に動かなくなることも珍しくありません。
ポンプのモーターが故障するパターンとしては、作動音が大きくなったりすることはあまりなく、予兆はほとんどありません。
お客様から聞かされる症例のなかでも
燃料ポンプが原因だったケースでは、エンジンを止めたら
そのあとかからなくなったというケースがほとんどです。
ほんの数時間前まではまったく問題なく普通にエンジンがかかって走行できていたのに、駐車場などに止めて戻ってきたらエンジンが始動不能になるというパターンです。
セルモーターは勢いよく回る
燃料ポンプが原因でエンジンが始動できない場合、イグニッションキーを回せばセルモーターは勢いよく回ってくれるのに、エンジンがかかる気配がしません。
セルモーターがむなしく回り続けることで、運転手は焦ってしまって、何度も同じことをやってしまいがちです。
この場合、整備士なら少し時間を置いてから再始動できるかどうかなどをやってみるのですが、なかなか落ち着いて対処することは難しいでしょう。
走行中に燃料ポンプが故障することは珍しい
燃料ポンプの心臓部分といえばモーター本体ですが、モーターの特徴として「動いているときは安定している」という一面があります。
つまり一度電源が入って動き出すと、はずみがつくような感じで正常なサイクルがくずれることなく動き続けます。
これはモーターで動いている部品全般にいえることですが、はじめのきっかけさえ正常に作動すると、消耗品の限界がきていても「とりあえず動いてしまう」のがやっかいな部分です。
エンジンを止めて数時間後がヤバい?
燃料ポンプのモーターが動かなくなるきっかけとして、エンジンを止めて燃料ポンプへの電源が絶たれたあとの時間の経過で変わってくることがあります。
たとえば、エンジンを止めてすぐに再始動しようとすると、燃料ポンプのモーターも動いていた直後なので再度電源が供給されれば動く確率が高いです。
それに対し、数時間以上エンジンが止まった状態になると、ポンプのモーターやその周辺の温度も常温に戻っていて、コイルなどの導体の電気抵抗にも微妙な違いがでます。
ぎりぎりで成立していた回路内の電気抵抗の変化で、電源が入っても動かなくなっていることが多く、結果的に燃料ポンプとして作動しなくなっています。
壊れた燃料ポンプは叩けば動き出すことも
セルモーターやブロアモーターと同じく、燃料ポンプにもモーターが組み込まれているので、ショックを与えることで一時的に回路が復活することがあります。
JAFの隊員や整備士の経験があるレッカーサービスのスタッフなら、エンジン始動不能で救援要請があったら、現地につくなり故障車の該当箇所をミニハンマーで叩いたりすることがあります。
ただし乗用タイプの車の場合、後部座席の下側に燃料タンクがあるので、リアシートの座面を外さないとポンプの上部にアプローチできないのでこのやり方は難しいです。
この「ショック療法」が比較的にやりやすいのは軽トラックや軽バンで、車体を下側から覗くと黒い金属製の燃料タンクが丸見えなので、長いドライバの柄などで叩いたりすることができまます。
モーター系の部品はぶっ叩くと
一時的に動き出すっぽいから
確認しやすいなどと密かに考えてます。
燃料ポンプの位置はどこにある?
インタンクの燃料ポンプがほとんど
先述したようにトラックなどの貨物タイプの車の場合は燃料タンクが丸見えですが、以前と違ってタンクの外側に燃料ポンプがあるタイプは非常に少なくなりました。
普通乗用車などはリアシートを外せば小窓があり、そこを外すと燃料タンクの上側から燃料ポンプを取り外したり交換することができます。
それに対して、コンパクトカーや軽自動車は、室内から燃料タンクにアプローチすることができません。
しかも樹脂製の燃料タンクになっているので車体をリフトアップして燃料タンクをまるごと降ろしてしまってから燃料ポンプの交換ができます。
車の燃料ポンプは燃料タンクの中に入っていることもあって車の外側から燃料ポンプを直接見ることはできず電源が供給されているかどうかの確認にも手間がかかります。
症状は徐々にひどくなる
燃料ポンプの不具合でエンジンがかからなくなる場合、ポンプが作動しなくなる頻度が上がっていくので、しだいにショック療法も効かなくなります。
最終的にはポンプが全く動かなくなりますので、エンジン始動不能の症状を再現しづい初期の段階でも整備工場に相談するほうがいいでしょう。
予防整備で交換してしまうのもあり?
故障診断を長年やってきたような整備工場なら、車種別の故障の傾向なども知っていることが多く、かりに故障原因が特定できない場合でも
「あのタイプの車種は燃料ポンプがわりと弱いから交換しておいてもいい」
などと予防整備を提案してくれることもあります。
燃料ポンプの不良に関してはなかなか不具合を整備士が確認できないケースもあるので、レッカーサービスのお世話になりたくない場合は先に交換してしまうのもいいかもしれません。
燃料ポンプの寿命はどれくらい?
輸入車に関してはあまり経験がないのでなんとも言えませんが、日本車の燃料ポンプに関して言えば10年10万キロくらいは持つのかなというのが個人的な意見です。
10万キロ未満でも燃料ポンプの故障を経験したこともありますが、そのほとんどは車齢が15年以上も経過しているような古い車が多いです。
ただし、
粗悪なガソリンを使用していた場合などは論外ですよ。
車の燃料ポンプの交換費用はいくら?
2000ccクラスの乗用車の燃料ポンプ交換
室内から燃料ポンプを脱着できる場合
セダンタイプやステーションワゴンのような形状では、リアシートの座面を外すことで燃料タンクを降ろさなくても燃料ポンプの交換ができます。
そのため、燃料ポンプの交換作業も比較的にやりやすいので交換費用もそのぶん安くなりますが、燃料ポンプ本体の部品価格が高い場合があります。
とくにターボエンジンモデルや3000cc以上の排気量が大きなエンジンの場合、燃料ポンプの吐出性能も高いので部品も高いことが多いです。
非分解式燃料ポンプ | 35,000円-45,000円 |
分解式燃料ポンプ | 20,000円~40,000円 |
燃料ポンプ交換作業料金 | 8,000円~25,000円 |
交換費用合計(目安として) | 28,000円~70,000円 |
燃料タンクを降ろす場合
室内から燃料タンクにアプローチできない場合、燃料ポンプの交換をするには燃料タンクを車体の下側に降ろしてしまう必要があります。
そうなると、燃料タンクの周辺につながっている燃料デリバリのホースや給油用の太いホース、燃料計のセンダゲージなどの配線などを外していく必要があります。
非分解式燃料ポンプの場合 | 30,000円-45,000円 |
分解式燃料ポンプの場合 | 20,000円~40,000円 |
燃料ポンプ交換作業料金 | 15,000円~35,000円 |
交換費用合計(目安として) | 45,000円~80,000円 |
コンパクトカークラスの燃料ポンプ交換
室内からアプローチできる車種が多い
非分解式燃料ポンプの場合 | 15,000円-45,000円 |
分解式燃料ポンプの場合 | 20,000円~40,000円 |
燃料ポンプ交換作業料金 | 15,000円~30,000円 |
交換費用合計(目安として) | 30,000円~75,000円 |
軽自動車の燃料ポンプ交換
樹脂製の燃料タンクを下に降ろすことが多い
軽トラックや軽バンなどは今でも金属製の燃料タンクが多いですが、乗用タイプの軽自動車となると、たいていは樹脂製のものが多いです。
しかも室内からタンクに触れないことが多く、燃料タンクを降ろしてから燃料ポンプの交換をするケースが多いです。
非分解式燃料ポンプの場合 | 15,000円-35,000円 |
分解式燃料ポンプの場合 | 20,000円~30,000円 |
燃料ポンプ交換作業料金 | 15,000円~30,000円 |
交換費用合計(目安として) | 30,000円~75,000円 |
コメント
いや、前兆は確実にあります。
エンジンが小刻みに、微かな振動を伴い、敏感な人であれば、車内で振動を
感じることが出来ます。imageとしては、深部低周波地震のような印象です。
タコメータには回転むらは検知出来るほどではないしろ、このエンジンの揺れは、回転むら
→ガソの供給が安定しない、という図式なようです。
また、特に、最近では海上における鯨の群れ等、南洋性の魚類が多くかかる異変があります。
これも海洋の温度変化は、空中における磁気異常として現れます。
こうしたことと、それ以前に燃料タンクの残量計の指針が異常な値を示していた時期も
あって、そうした疑いを持つことは必ずしも不当ではないことと考えています。
またこの記事には書かれていませんが、ググってみれば、どの車種に多く発生しているのかも判ります。その車種の販売時期から、大体どの程度の経過年数を経てから故障が発生している
のかも判ります。
お後がよろしいようで。
コメントをありがとうございます。
燃料ポンプの不具合にも色々ありますので前兆がケースもありますね。
また燃料ポンプが弱い車種もありましたね。
各社でリコールが発表されているのですが実は対象だった場合もあったりするんでしょうか。
ももち様
>各社でリコールが発表されているのですが
>実は対象だった場合もあったりするんでしょうか。
↑
少なくとも僕が担当した車両に関しては、のちにリコールになったことはありませんでした。
燃料ポンプではないのですが、過去には有料で修理したあとでリコールが発表され、メーカーから修理費の返金を行った事例もありました。
最近ではホンダのN-BOXなどのNシリーズの燃料ポンプのリコールが発表されてましたね。
【外部リンク】ホンダリコール情報|N-BOXなど10車種のリコール