TRH211Kハイエース|運転後に焦げ臭い原因と修理費用・日数・作業工程など

ハイエース 走行後に焦げ臭い サムネイルオイル漏れ

今回は200系ハイエースの中でもガソリンエンジンの2TR型エンジンを搭載するモデルでの「運転後に焦げ臭い」という症状の修理記録です。

ハイエースと言えばディーゼルエンジンというイメージもありますが、日本国内では静かで高回転まで回るガソリンエンジンの人気もあります。

しかもこの2TR型のエンジンはランドクルーザープラドやハイラックスにも搭載されているエンジンなので、このエンジンを搭載している車種にはすべて該当する事例と言えます。

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THR211Kハイエース|2TR型エンジン|運転後に焦げ臭い症状

2TRエンジン

2TR型のエンジンを搭載するモデルの中でもエンジンルームが狭く熱がこもりやすいのがハイエースで、「キャブオーバー」と呼ばれるエンジンレイアウトです。

キャブオーバータイプは運転席の下側にエンジンが配置されていることで室内空間を広く取ることができるのですが、そのぶんエンジンが密閉されるデメリットがあります。

今回のハイエースワゴンのお客様の場合、運転をしたあとで車の近くにいると焦げ臭いニオイがして少しづつキツくなってきているとご相談をいただきました。

実際に点検をしてみると、車をリフトアップするまでもなく、エンジンルームを点検していてもオイルが焼けたようなニオイがして、オイルが漏れているのがわかります。

エンジンを切った後に焦げ臭い原因

焦げ臭いニオイの原因は、おもにエンジンオイルがどこからか漏れ出し、マフラーなどに付着するケースがほとんどです。

ハイエース 走行後に焦げ臭い原因

↑ 排気管にエンジンオイルが付着しているのが見えます。

走行中は焦げたニオイが後方に排出されている

ここでポイントとなるのが、「エンジンを切った後に焦げ臭い」という部分で、走行中でも漏れたオイルが焦げ続けていますが、ニオイが気にならないということ。

走行中は前方から走行風が車体の下側を通過するので、焦げたニオイも運転席付近には入ってきません。

運転席側の窓を開けた状態で渋滞に巻き込まれると臭うこともありますが、車を停車して数分したくらいがもっともニオイがきつくなります。

今回のハイエースワゴンも車をお預け頂いた直後に助手席を跳ね上げてエンジンルームを上から点検しているとかなり焦げたニオイがしました。

サボカジ
サボカジ

車を止めると走行風がまったく当たらなくなり

マフラーなどに付着したオイルが焦げて

車の周辺に漂うのでニオイがし始めるんですね。

2TR型エンジンのオイル漏れ

2TR タペットカバー取り外し

今回はガソリンエンジン車のハイエースのオイル漏れのお話ですが、この2TR型のエンジンでは漏れたオイルが二次災害のように焦げたニオイを出しやすい構造と言えます。

オイル漏れの原因はタペットカバーのパッキン

2TR タペットカバーパッキン

オイル漏れの中でもとくに多いのがエンジンオイルがエンジン周辺から漏れ出すケースです。

走行距離が多かったり、年式が古い車ならどの車種でも起こりうるトラブルです。

オイル漏れの定番がタペットカバーパッキン

2TRエンジン オイル漏れ箇所

↑ この2TRエンジンの場合、エンジンの後ろ側付近に熱がこもりやすく右後ろの角の部分からオイル漏れをおこしていました。

↓ 拡大するとこんな感じ。エンジンの後ろ側にエンジンオイルが漏れ出しています。

2TRエンジン オイル漏れ箇所1

↑ 黒いタペットカバーとシリンダーヘッドとの間からオイルが漏れているのが確認できます。

エンジンの上側にあるタペットカバー(シリンダヘッドカバー)とシリンダーヘッドとの間にあるのがタペットカバーパッキンと呼ばれるゴム製の部品です。

漏れたオイルがエキゾーストマニホールドに

↓ 下から見るとエキゾーストマニホールドにエンジンオイルが滴り落ちています。この真上にタペットカバーがあるのでかなりダイレクトにオイルが流れ込んでいます。

ハイエース エキゾーストマニホールドにエンジンオイル

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↑ エキゾーストマニホールドはエンジンからの排気ガスが直接出てくるため、非常に高温になるためエンジンオイルが付着すると煙を発生して焦げ臭いニオイを出します。

今回のハイエースの場合は、エンジンの上側から漏れたエンジンオイルが、シリンダーヘッドのエキゾーストマニホールドのほうに流れ込んでオイルが焦げていたようです。

ゴムパッキンの劣化はオイル管理でも違ってくる

エンジンオイルが漏れ出す原因のほとんどは、ゴム製のパッキンやシールの硬化によるものです。

樹脂やゴムの部品が硬化する原因として、劣化したエンジンオイルが原因になることも多く、オイル交換をサボリ気味にすると結果的にオイル漏れの原因を作ってしまうことになります。

エンジンオイルを交換しないとブロバーバイガスが増える

エンジンオイルの漏れとオイル交換の因果関係をもう少しお話しします。

エンジンオイルはエンジンの燃焼室の密閉性を保つために重要な役割をしていて、エンジンオイルが劣化してくるとその機能も低下します。

エンジンオイルの交換を推奨距離をオーバーしたままで走行していると、燃焼室のガスがエンジンの下側に抜け始めます。

これをブローバイガスといいますが、このガスがエンジンオイルが溜まっているオイルパン側に抜けると、そのままシリンダーヘッドにも繋がっているため、内圧が上昇します。

タペットカバーの内側にブローバイガスが上がってくることで、ゴムパッキンに高い内圧がかかり、オイル漏れが発生しやすくなります。

TRH211K|シリンダーヘッドカバーパッキン修理費用と日数

タペットカバーパッキン交換作業
ハイエースの中でもガソリンエンジン搭載車は意外とすくないですが、オイル漏れ修理に関しては今回は比較的にやりやすかったです。

とはいえ、キャブオーバータイプの車なので助手席側に体を押し込むようにして作業をするので、ボンネットタイプの車よりは作業性が悪くなります。

サボカジ@整備士
サボカジ@整備士

キャブオーバーの車は、

工具を取ろうとするたびに

「よっこらしょ」

という感じで車から降りるのが面倒でした。

パッキン交換の修理費用や工程と日数は?

日数 カレンダー

修理費用は1万円もかからない

あくまでも参考値していただきたいのですが、一般修理工場に今回の作業を依頼するとだいたいこれくらい ↓

作業工賃    6,000円
交換部品    1,800円
下回り簡易洗浄   0円

修理に必要だった部品はタペッタカバーパッキンのセットだけで、社外品を使用すれば2,000円以下でした。

作業性もそれほど悪くないのでエアツールや電動工具などを駆使すればタペットカバーを外すまで20分もかかりません。

作業日数は半日から1日

作業工程

・タペットカバーの上側にあるエアダクトを外す

・4本のイグニッションコイルをすべて外す

・タペッタカバー周辺にあるハーネスをずらす

・タペットカバーを止めている6ミリボルトをすべて外す

・タペットカバーを取り外し浄パッキンを剥がす

・液状パッキンを要所に塗布し新しいパッキンを付ける

・シリンダーヘッド側の汚れや油分を拭き取る

・タペットカバーを取り付け、中心部分からボルトを締め付けていく

・エンジンが組み上がったら周辺を洗浄し余分な水分などをエアガンで飛ばす

・暖気をしながら最終確認をする

交換作業全般に言えることですが、部品を外していく前半の工程よりも、部品を交換して組み付ける後半の作業のほうが時間がかかります。

作業自体はそれほど時間はかかりませんが、オイル漏れ修理の場合は、作業後にオイル漏れが止まっているのかを確認したり、漏れたオイルを洗浄する作業があります。

イメージで言えば分解に3割、組付けと確認で7割という感じで、確認作業の大半はエンジンをかけたままで様子を見る時間です。

エンジンをアイドリングさせたまま暖気をして、オイル漏れが解消されているのか、ニオイは出なくなっているのか、別の部分からのオイル漏れはないのか最終確認します。

オイルがかなり漏れていた場合は周辺がオイルまみれになっているので他の部分からもオイル漏れが発生しているかどうかを念のためにチェックしておきます。

最後に

ラジーエーターアッパーホースにエンジンオイルが付着

↑ じつはタペットカバーパッキンからのオイル漏れが、ラジーエターのホースにまで流れていました。放置すると今度は水漏れの原因になってしまうこともあります。

異臭はトラブルのシグナルかも

運転後に焦げ臭いニオイがする場合は、エンジンオイルやパワステのフルードやATF、冷却水などの油脂類が漏れて高温になる部分に付着することが原因です。

整備士を長くやっていると、焦げ臭いニオイにもいくつかの種類があることがわかってきます。

エンジンオイルの焦げるニオイとATFやパワステフルードの焦げるニオイは違いますし、冷却水が焦げるニオイは少しだけ甘いニオイが混ざっています。

どのようなニオイであれ、これらは修理が必要な状態ですので、早めに整備工場やディーラーに相談に行く必要があります。

ボンネットやエンジン周辺から煙のようなものが出ているようなら、車を止めてレッカーサービスを依頼するほうがいい場合もあります。

 

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