外車(輸入車)のエンジンオイルの交換をディーラーに依頼すると2万円くらい請求されることは珍しくありません。
そのうえ予約を取らないと作業を受けてくれなかったり、作業の待ち時間が日本車よりも長いこともあります。
オイル交換は車の維持費に関わってくることでもあるので、できれば安く済ませたいところですが、いいかげんな「安かろう悪かろう」なお店も避けたいところです。
先に結論を言うと、ディーラーよりも安く外車のオイル交換をしてくれるお店は、
・オートバックス
・ジェームス
・イエローハット
などのカー用品店でやってくれます。
ただし、すべての車種のオイル交換を引き受けてくれるわけでもありませんし、大幅に安くならないこともあります。
僕自身は国産車をメインに車検や整備を受けている整備工場に勤務していますが、外車・輸入車の車検やオイル交換もやっています。
・オイル交換を断られてしまう外車もある
・外車のオイル交換を安くするならどこで作業依頼するのがいいのか
今回はこんなお話をしていきます。
外車のオイル交換費用が高い理由
使用するオイルの質と量が違う
海外では日本以上に環境に対する配慮が求められていて、「オイル交換の回数は少ないほど環境にやさしい」という考え方が広がっています。
欧州車のエンジンオイルは高価で容量も多い?
メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディなど、ヨーロッパでよく売れている車種といえばドイツ車勢が浮かぶのではないでしょうか。
ほかにもプジョーやシトロエン、ボルボ、フィアットなども日本国内に輸入されています。
いわゆる欧州車と呼ばれるこれらの車種は、エンジンオイルの交換サイクルは日本車よりも長く、それに対応するように一回のオイル交換で使用する量も多いです。
長距離を走り切るお国柄も関係する
ヨーロッパでは自動車が国境を超えて移動することも珍しくなく、一度のドライブで数百キロも走ることもあります。
また、悪路を長時間走ることもあるので、エンジンオイルの容量も多い車種が多く、そのぶんオイル交換で抜きかえるエンジンオイルの量も多いです。
ロングライフオイルを指定する車種も多い
ロングライフオイルとはオイル交換の頻度を長くするためのもので、高純度に生成されたベースオイルに添加剤を加え、劣化しにくく通常の倍以上の交換サイクルでもエンジンを保護できるとされています。
BMWなどドイツ車で指定されることが多いロングライフオイルが採用されている背景には、環境保護の観点からオイル交換の回数を減らす狙いもあります。
オイルエレメントやドレンパッキンの価格も高い
外車用のオイルエレメントは車種によって違いはありますが、平均して日本車よりも部品としての価格が高く設定されています。
オイルドレンのパッキンも純正タイプを用意する場合はたかが直径3センチにも満たないドレンパッキンが意外と高くつくものもあります。
作業工程が多い車種が多い
↑ メルセデス・ベンツ SLのアンダーカバーは
取り外しでもエアツールが欲しいところです。
アンダーカバーがびっしりと止められている
国産車なら車をリフトアップすればエンジンは丸見えになり、エンジンオイルを抜き取るドレンボルトもむき出しになっている車種が多いので、エンジンオイルを抜き始めるまでスピーディにできます。
それに対して、外車の場合は樹脂製のアンダーカバーがエンジンの下側全体が見えないくらいに覆っていて、鉄板ビスや樹脂製のクリップでしっかりと取り付けられています。
エンジンオイルを抜こうとすると、まずアンダーカバーを外す必要があり、かなりのタイムロスになってしまします。
さらに、オイルエレメントの交換作業がかなり作業性が悪い車種もあり、オイルエレメントの交換には別途で交換作業料が追加されることも多く、交換にかかる時間によっても違っています。
とくにフィルターだけを抜き出してゴム製のパッキンを交換するタイプは、エンジン周辺にオイルがこぼれてしまうような位置に付いていると、交換作業のあとで漏れて付着したオイルを清掃する手間も増えます。
日本車でもプリウス中身のフィルターを交換するタイプのオイルエレメントも増えましたが、外車よりは作業性がいいと思っています。
フィアット500ツインエアのオイルエレメントとか
なかなかの場所にあるので苦戦します。
レベルゲージがない車種もある
メルセデス・ベンツやBNW、アウディなどの一部の車種ではエンジンオイルの量を確認するためのレベルゲージがありません。
オイルの量を確認するためには、エンジンをかけて室内のコントロールスイッチを操作してモニターで確認するしかないので、あらかじめサービスデータでオイルの量の基準値を把握します。
しかもこのモニタリングシステム、エンジンを一定時間暖気しないとエンジンオイルのレベルを表示してくれないので、オイルの量の確認だけでしばらくそのままで待たないといけません。
もしもエンジンオイル交換のサービスデータを知らないでエンジンオイルを抜いてしまうと、注入するオイルの量を調整するたびにエンジンを暖気することになります。
外車のエンジンオイル交換をあまりやらない整備工場なら、このオイル量の確認をする工程だけで「時間がかかりすぎる」「気持ち悪いし、めんどくさい」となるかもしれません。
専用工具が必要になることも
外車のオイルエレメントを交換するにはフィルターレンチのサイズや形状が特殊なこともあり、特定の車種のためにレンチを購入しないといけません。
それほど多くの台数の作業をすることもないので、購入した工具の償却もしなければならないので、そのぶんを交換作業料金などで吸収することになります。
外車のオイル交換はどこですると安い?
メンテナンスショップでもオイル交換はできる
冒頭でもすでに紹介していますが、大手のカー用品店やカーメンテナンスショップでも外車のオイル交換はやっています。
ジェームス、イエローハット、オートバックスなどですが、他にも一部のガソリンスタンドでもエンジンオイルの交換だけをやっているところもあります。
上記の大手のショップでは車種別で適合するエンジンオイルの種類や注入量に関するサービスデータなども用意しているため、ディーラーよりもリーズナブルなオイル交換をすることができます。
ただし、エンジンの下側にあるドレンボルトを外してオイルを抜く「下抜き」はリスクが高いからという理由で、「上抜き」ができる機械を使って上から抜き取るやり方をする店もあります。
作業を依頼するときには「オイルの抜き方や下抜きですか?」と確認しておきましょう。
機械を使っての上抜きも悪くないけど……
エンジンオイルの交換は意外とリスクがあり、オイルドレンの締め忘れや締めすぎ、最悪の場合はオイルパンを交換する事態にもなります。
そのため、オイルドレンには一切触れず、車をリフトアップもしない上抜きで済ませてしまうお店もありますが、エンジンオイルの汚れはオイルパンの底に溜まっています。
そのため、少しでも汚れたオイルを抜き取るためには下抜きでの作業をするべきで、オイル交換の費用が安いといっても、「安かろう悪かろう」となり、比較にはなりません。
オイル交換を断られてしまう外車もある
↑ オイルエレメントの交換でも専用のレンチがないと緩みにくいケースもあり「ウチは輸入車はやってません」と敬遠する整備工場もかなり多いです。
対応するエンジンオイルがなければ受けない
特殊な粘度のエンジンオイルや、専用のオイル以外の仕様を禁止している車種ではオイル交換はディーラーでしかできないかもしれません。
また、欧州車ではディーゼルエンジン車が多いですが、「ACEA規格」と呼ばれる欧州のクリーンディーゼル乗用車の規格に適合したエンジンオイルを使用します。
もしも適合しないエンジンオイルを使用してしまった場合、クリーンディーゼル車に使用されている高機能の触媒が詰まってしまうことがあり、数十万円もする触媒を弁償するはめになります。
超高級車は作業を受けてくれない?
外車の中でも超がつくような高級車やスポーツカーの場合はオイル交換を引き受けてくれないケースもあります。
あまりにもリスクが高すぎるため、いただいている料金では割に合わないというか、ハイリスクすぎるのです。
一般整備工場でも外車のオイル交換を受けている
外車に関しては一切の作業を受けていない整備工場もありますが、特殊な車種を除いてエンジンオイルの交換をしているところもあります。
とくに外車の車検を受けている整備工場なら、よく見かけるような車種のオイル交換はできるはずです。
ただし、予約制だったり車検証を確認しないと作業を受けないこともあります。
特殊なレンチや工具が必要な場合は作業を受けませんし、対応するエンジンオイルを保有していなければ先に調べて断ることもあります。
まとめ|外車(輸入車)のオイル交換はどこでする?
正規ディーラーとの付き合いを大事にする
正規ディーラーで新車として購入した外車の場合、ディーラーからの手厚いサポートを受けることができます。
もちろん中古車として購入してきた車でも車検やメンテナンスは受けてもらえますが、やはり自社で販売した車には重要な顧客としてリストされています。
ディーラーと付き合うメリット
ディーラーとの関係性がよければ、メーカーからのサービスキャンペーンやリコールの情報も早く入ってきます。
定期的なメンテナンスといえば法定点検やオイル交換で、これらの作業をディーラーへ依頼することにはメリットがあります。
ただし、オイル交換だけで軽く2万円は超えることも普通なので、ランニングコストを気にする方にはオススメではありませんが。
ジェームス
↑
ジェームスの輸入車オイル交換料金表は金額がわかりやすいです
Mobile系のエンジンオイルを使用し、排気量に応じて料金が設定されていますが、会員登録をすることでお得になります
例)2500cc未満 Mobile1合成油 5W-30
非会員 11,800円(税込み)
会員 10,700円(税込み)
となっていますが、オイルエレメント交換やオイル交換後のサービスインターバルリセットには別途費用がかかるようになっています。
ジェームスのおすすめポイント
ジェームスを運営している会社はトヨタの子会社であるトヨタ モビリティパーツ株式会社です。
じつはそれぞれの店舗を運営しているのはその地域のトヨタのディーラー権をもつ会社であることが多いです。
たとえば「トヨタカローラ〇〇」みたいな都道府県名を冠するディーラーを運営している会社がその地域のジェームスとしてのフランチャイズ契約をしています。
つまり、トヨタ系ディーラーを運営している会社が採用した整備士がジェームスに配属されるケースもあり、オートバックスやイエローハットとは違った成り立ちです。
オートバックス
公式ホームページでは、具体的なオイル交換料金に関しては明記しておらず、輸入車に関しては「それぞれの車種による」とだけ。
また持ち込みのオイル交換はできる店舗が限られているようで、事前に電話で問い合わせをしておく必要があります。
イエローハット
オートバックスと同様、公式ホームページでの具体的なオイル交換の料金は伏せています。
輸入車だけではありませんが、オイル交換にかかる時間やオイルの全容量はケースバイケースです。
そのためはっきりとした明記をするのが難しい部分はありますが、ジェームスの料金体系は明確にされているところが競合他社との違いであり、メリットと言えます。
最後に・・・
外車(輸入車)とはいっても、大衆車に近い車種や家が買えるくらいの高級車などさまざまです。
日本ではドイツ車が人気があり、大衆車に近いようなモデルも多いです。
排気量が3000cc前後でセダンやSUV、コンパクトカーならジェームスでのオイル交換がベターなのかもしれません。
とはいえ、オートバックスやイエロハットにもそれぞれのメリットもあり、住んでいる地域に近いお店を選ぶのもいいでしょう。
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