最近かなり増えてきた車の安全装備として
「車線逸脱防止機能」
というものがあります。
簡単に言えば、車線を外れて走行していると、警報アラートが鳴ってドライバーに知らせるというものです。
それだけを聞けば、安全に対して積極的に働きかけてくれる、素晴らしい機能です。
ただ、実際は必要がない状況でも警報音が鳴って、結構うっとうしく感じてしまいます。
今回は、この車線逸脱警報とそれをオフにするやりかたや、
そもそもどういった機能なのかという解説をしていきます。
車線逸脱警報はうるさいことが大事?
アラート音が敏感すぎるわけ
この車線逸脱防止機能は、おもにセンターラインをまたぐような居眠り運転などを防止するためのものです。
そのため、あまりにも控えめな警報音だと、ドライバーに気付いてもらえません。
居眠りをしたいたり、なんとなく漫然運転をしている状態でも、ハッとなって、すぐさまもとのレーンにもどる操作をさせるくらいの緊張感を与える音質が採用されています。
また、ユーザーの中には、新しい技術や機能に対して過度に期待する人たちもいるので、メーカーは取扱説明書などに「事故を100%防ぐことはできません」などとしっかり書き込んでいます。
その上で、1%でも事故が起きる確率を下げるために、少しうるさいくらいのアラート音にしているのです。
また、ウィンカーを付けたあとでハンドル操作を行うような通常のレーンチェンジをしているときは車線逸脱防止機能が作動しないようになっています。
そのため、うっかりとウィンカー操作をするのが遅れ気味で先にハンドルを切ると、車線を越えて走行していると判断されて、警報が鳴るときもあります。
高速道路などで、ゆるやかにハンドル操作をしながら車線変更をしていると確実に警報が鳴ってしまうのです。
もともと少し耳障り音になっていることもあって、鬱陶しく感じて、車線逸脱防止機能を「オフにしたい」と思う人もいます。
併せて装備されている機能も誤作動が多い?
車線逸脱防止機能だけでなく、「レーダーサポート」とか「スマートアシスト」などなど、いろんな衝突安全機能が増えてきました。
フロントガラスやフロントバンパーから射出されるレーダーで前方のクルマや物、歩行者を検知する機能もかなり多くの車種に採用されています。
これらの機能がそれぞれの作動条件を満たすことで、積極的にドライバーに注意喚起をするようになっています。
ただ、レーダーで先行車との距離を測定する機能も、車線をはみ出すような状況と併せて誤作動することがあります。
左カーブと対向車で誤作動しやすい
たとえば、緩やかな左カーブなどで、対向車とすれ違うとフロントガラスに取り付けられているカメラが、対向車を先行車と判断してしまうことがあります。
すると、先行車との距離が急激に近づいているということになり、追突を回避させるという意図で、警報アラートが鳴ることがかなりあります。
車線逸脱警報をオフにするには
ただし毎回リセットされる場合も
車線逸脱警報が鳴らないようにするにはこの機能をキャンセルするボタンを押すだけです。
どの車種でも、ドライバーが運転席から無理なく手を伸ばすことができる場所にキャンセルボタンがあります。
ただし、走行中などは運転操作に支障が出る可能性があるので、基本的には車が停車した状態で行うようにしましょう。
車線逸脱防止機能を表すアイコンのボタンを一回押すか、または少し長押しすると、メーターの中にこの機能を停止したことを表す表示が出ます。
ただし、車種やメーカーによっては、エンジンを再始動することで、もとの状態にリセットされるタイプのものもあります。
このタイプは、オンとオフをボタンを押し込んだ位置で決めるのではなくて、パソコンのキーのようになっていて、オフボタンを押したままにすることができない場合もあります。
つまり、デフォルトの状態で、安全機能として常に作動するようにしている車種もあります。
車の機能としてのLDAとは
レーン・ディパーチャー・アラートが正式名称
日本語に直訳すると『車線逸脱防止警報装置』ということになりますが、どこにもLDAといった表示はなく、この機能を示すアイコンがキャンセルボタンやメーターの中にあることもあります。
たしかにこの機能に関しては、車が車線から逸れているいようなイラストやアイコンのほうが感覚的に伝わりやすいかもしれません。
この車線逸脱防止警報装置はフロントガラスに取り付けられたカメラを使って、センターラインや側道、複数の車線のどのレーンを走っているのかを判断しています。
LDAの作動条件は?
まず、この機能が作動するようにオンにしておく必要があり、時速60㎞/hから時速100㎞/hで走行しているときにだけ作動します。
居眠り運転やよそ見をしていて、車が左右どちらかの白線をまたぐように走行すると、アラート音とともにメーター内に表示が表れます。
また、ドライバーが意図的に車線変更をしていると判断されるため、ウィンカーを出しているときはこの機能は作動しません。
作動しないことも多い?
車線をきちんとトレースして走行しているかどうかを監視しているこの機能ですが、カメラが白線を正確に認識できない場合などは機能しません。
たとえば、朝夕の逆光など、カメラに強い光が当たっている場合や、雪道や濡れた路面に太陽光が反射した場合も作動しないことがあります。
また、悪天候のなか、フロントガラスに雨が流れていたり、フロントガラスのカメラの真正面に鳥のフンなどの汚れがあっても同様に作動しないことがあります。
ガラスコートすると作動しにくくなる?
新車の販売担当をしていて、メーカー側の営業さんからこんなお話を聞いたことがあります。
「フロントガラスに撥水コートをかけるとカメラの感度が落ちることがあります」
つまり、フロントガラスに装着された車線や前方車などを検知しているカメラは、フロントガラスに雨水が流れるさい、撥水加工をしていると作動しにくくなるとのことです。
ただし、すでにこれらの車を購入している別のユーザーさんからの情報もあるので、「そういうケースもある」という程度ですが。
LDAはさらにLKAに進化している
LDA(レーン・ディパーチャー・アラート)の場合は、車が車線からはみ出した場合にアラート音やメーター内の表示でお知らせしてくる機能です。
より自動運転に近くなってきたLKA
さらにこの機能に追加して、積極的にハンドル操作にまで車両がアシストしてくれる機能が、LKA(レーン・キーピング・アシスト・システム)です。
この機能は、さらに高度な制御なので、カメラでの白線などの認識に加えて、先行車との車間距離を保つクルーズコントロール機能とも連動しています。
ハンドルへの振動や操作補助でアラート
このLKAの場合は、車線からはみ出しと車が認識すると、ハンドルがブルブルと振動してドライバーに注意喚起するものから、積極的に修正したい方向へハンドルと切りやすいように軽くハンドル操作をしてくるものもあります。
まとめ
車線逸脱警報は事故を防ぐための機能なので、どうしても警報のアラート音は耳障りといか、「ハッと」させられる音質です。
どの車でも、この機能を作動しないようにすることはできるので、ドライバーの自己責任でオフにしてしまうのもいいかもしれません。
ただ、疲れていたり、長距離運転をしているとき、それから、見知らぬ地域を走っているときなどは、この機能に救われることもあるかもしれません。
また、運転初心者や高齢ドライバーには大事なサポートになる可能性も秘めています。
車線逸脱防止機能は自動運転の開発とともに更に進化
最終的には、車に取り付けられた複数のカメラやセンサーによって、車は自動運転に近づいていこうとしています。
今でも世界中の自動車メーカーがしのぎを削りながら開発競争を勧めています。
結果的に、車線逸脱防止機能も、その精度がどんどん上がっていますので、新しいクルマに乗り換えたときなどは、
「警報がうるさいからオフにしてやる!」
といきなり否定的に思わず、しばらくは、この機能がどんなときに作動するのか、慣れてみるのも大事です。
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