N-BOXって壊れやすい車なの?
N-BOXの車検って
軽自動車のなかでは
お金がかかるって聞いたけど・・・?
N-BOXは
同じようなトラブルが多いらしいですね。
自動車整備士として接客していると、ホンダのN-BOXの車検費用に関する質問が多くなりました。
先に結論を言ってしまうと、N-BOXだから特別どこが壊れやすいというところはありませんが、車検などで整備をしていて見積もりによく盛り込まれる部分はあります。
また、走行距離の多さでもで車検の費用がかなり違ってくるので、車種というよりもどれくらい走っているのかが重要です。
それと同じくらい年式はどれくらい古くなっているのかという年数も車検費用には大きく影響してくるかもしれません。
とくに5年目の車検ではメーカーの特別保証も切れてしまいますので、乗り換えを検討する方もいます。
さらに7年目の車検では「軽自動車の7年ってもう限界じゃないの?」という質問をされるお客様もいます。
N-BOXはかなりの台数が売れている車ですし、軽自動車のほうが普通乗用車よりも乗り換えをするサイクルが早いです。
そこで今回は、今でも堅調なセールスを維持しているホンダのN-BOXの壊れやすい部分や車検でよくでる修理などについてお話をしていきます。
・すでにN-BOXにお乗りで、5年目・7年目の車検を受けようとしている
・これからN-BOXを中古車として購入しようと考えている
そんな方のために、N-BOXでよくある修理や車検の費用についてまとめてみました。
なお、記事中で使っている各部位の画像はN-BOXと同じ前輪駆動車の軽自動車のものです。
N-BOXは壊れやすい車?
先に結論から言えば、N-BOXはとくに問題が多い車でもなく、故障が頻発するというわけではありません。
ただし、車検などの際にN-BOXを整備していて、修理の見積もりに入りがちな部分もあるので予め知っておくと予防整備もしやすいです。
アイドルストップ車専用バッテリー
一部のモデルを除けば、N-BOXにはアイドルストップ機能が付いていて、アイドルストップ車専用バッテリーが搭載されています。
ところがこのタイプのバッテリー、軽自動車の中ではかなり値段がはるものの、寿命が短くなりがちなコスパの悪いバッテリーでもあります。
アイドルストップしなくなれば交換?
アイドルストップ機能には、バッテリー電圧が一定の水準よりも低下するとアイドルストップしなくなるようになっています。
ほとんどの場合は、バッテリーの寿命が近づいた場合に電圧が下がるので、2年から3年ほど使用したバッテリーで起きることが多いです。
ちょうど車検の周期と重なることもあり、N-BOXの場合は車検のときにアイドルストップ専用バッテリーがしっかりと見積書に入っています。
ネットで購入したものを持ち込みで交換してもらったり、DIYで自分で交換するとかなりの節約になります。
ロアボールジョイントブーツの裂け
N-BOXに限ったわけではありませんが、フロントの足回り周辺のダストブーツが裂けていて車検で必要整備になることは多いです。
ロアボールジョイントブーツはどこにある?
車検などでお客様にダストブーツが裂けていることを伝えるときに「ブーツってなんです?」とか、「どこにある部品なの?」という質問を受けます。
可能であればじかに車の前でご説明もするのですが、電話など口頭でしか伝えられないときにはなかなか説明に苦労します。
「えーとですね、車の前側のタイヤの内側あたりにある部品でして・・・・」
みたいな説明からはじまり、車の足回りには人の関節みたいな動きをするジョイントとそれを保護するためのブーツがあって、という感じで説明をすることが多いです。
ブーツ類は車検見積もりの定番
ロアボールジョイントブーツだけではなく、ステアリングギアボックスとハブを繋いでいる「タイロッドエンドブーツ」も車検で指摘されることがあります。
車検整備をしっかりと提案する整備工場ではエンドブーツとロアブーツは左右4個の交換をセットにして見積もりに入れてくることも多いです。
スタビライザーリンク交換
ブーツの裂けでまるごと交換になる
スタビライザーは車種によっては付いていないこともある部品で、背の高い車にはスタビライザーが付いていることが多いです。
これも足回りのひとつで、走行中に車体が左右に傾く(ロールする)とふらふらしないように踏ん張ってくれる部品です。
ボディ側とロアアーム側を繋いでいる棒状のリンクと呼ばれる部分の両端がジョイントになっていて、小さなブーツで保護しています。
このブーツの部分が裂けてしまうと、車検では「ダストブーツの裂け」という判定になり不合格になります。
ブーツが裂けているだけなので、ゴム製のブーツだけ交換できればいいのですが、ブーツ単体での部品の設定がないことが多く、スタビライザーリンクをまるごと交換することが多いです。
スタビライザーリンクのブーツが裂けたからといって、走行中に不具合が出ることはほとんどなく、ユーザーは車検の際に指摘をされてしぶしぶ交換するというパターンがほとんどです。
結果的には車検でしか指摘されないような部分がたくさんあるので、車検の見積もりにあれこれと上乗せされていきます。
軽自動車の車検とはいえ10万円オーバーの見積もりが出てくるんですよね。
セルモーターの故障
街乗りが多いユーザーの場合、アイドルストップをする頻度も高く、セルモーター(スターター)が故障することがあります。
とくに初代N-BOX(JF1・JF2)ではセルモーターの不具合で、たまにエンジンがかからなくなることがあり、セルモーターの交換になった事例もあります。
CVTからの異音
初期のCVTではリコールや保証延長も
N-BOXでかなり多い異音の相談がCVTに関するもので、加速や減速中のモーターのような音などがほとんどです。
変速機内部からの異音に関してメーカーからの保証延長が実施されていることもあり、初期のN-BOXでは異音に関する問い合わせやクレームも多かったようです。
とはいえ、異音と呼ばれるなかには、異常ではなくCVTならではの特性のような音に関するものもあるのでN-BOXだけのトラブルとはいいきれません。
減速中の「キーーン」という甲高い音とかは、
どのメーカーのCVTでも普通に出てますし
異音とはいえないケースも多いですね。
使用条件とCVTフルードの交換で違いが出る
CVTフルードの交換に関しては別の記事で説明していますが、40,000キロごとくらいの交換がおすすめです。
ただし、一度の走行距離が極端に短いような場合や、高負荷をかけたり急アクセルを繰り返すような場合はCVTの寿命もかなり違ってきます。
【関連記事】CVTフルードの交換時期や交換距離は?無交換で走るとどうなるの?
パワーウィンドウ
ウィンドウレギュレーターとモーターのセットで交換
パワーウィンドウの使用頻度でかなり変わってきますがN-BOXでもパワーウィンドウのトラブルが発生することがあります。
症状としては、窓ガラスが上がらなくなったりパワーウィンドウのスイッチを操作しても動かなくなったりすることがあり、3万円ちかい修理費用となります。
交換する部品はパワーウィンドウスイッチ、ガラス側のウィンドウレギュレーター、レギュレーターモーター、この3点のどれかを交換することが多いです。
とくにガラス側のトラブルではウィンドウレギュレータとモーターをセットで交換をすすめられることが多いですが、二度手間を防ぐためにもセット交換が望ましいです。
N-BOXの車検費用いくらほどになる?
車検に必要な費用の内訳
ディーラーで車検を受けた場合の中央値で出しています。
車検費用を分解すると
・基本料金(法定24ヶ月点検)
・技術料(検査ライン使用料など)
・法定費用(自賠責保険・重量税・印紙)
・交換部品代(必要整備・推奨整備)
・交換工賃(各作業料金)
後述しますが、5年目、7年目の車検で見積もりに入ってくる部品に関しては年間走行距離が多いユーザーであれば交換する頻度も上がります。
5年目の車検で必要になる場合もあれば7年目まで交換せずのすむこともあります。
以下は年間走行距離が1万キロ以下で、ディーラーで車検を受けた場合を想定して見積書
のモデルケースとして出しています。
5年目・2回目の車検
【新車から5年・2回目の車検】※走行距離 50,000km前後を想定
車検基本工賃 ・技術料 ・ライン使用料 ・ショートパーツ |
25,000円~35,000円 |
法定費用 ・自賠責保険 ・重量税 ・印紙 |
32,770円 |
整備費用 ・ワイパーゴム ・ブレーキフルード ・エンジンオイル ・オイルエレメント ・エアクリーナーエレメント ・バッテリー ・CVTフルード ・ロアボールジョイントブーツ ・非常信号用具(発煙筒など) |
25,000円~35,000円 |
総計 | 82,000円~102,700円ほど |
7年目・3回目の車検
【新車から7年・3回目の車検】※走行距離 70,000km前後を想定
車検基本工賃 ・技術料 ・ライン使用料 ・ショートパーツ |
25,000円~35,000円 |
法定費用 ・自賠責保険 ・重量税 ・印紙 |
32,770円 |
整備費用 ・ワイパーゴム ・ブレーキフルード ・エンジンオイル ・オイルエレメント ・エアクリーナーエレメント ・バッテリー ・タイヤ ・スタビライザーリンク ・ベルト2本 ・CVTフルード ・ロアボールジョイントブーツ ・タイロッドエンドブーツ ・非常信号用具(発煙筒など) |
25,000円~50,000円 |
総計 | 87,000円~112,700円ほど |
◆【新車から7年・3回目の車検】
車検基本工賃
法定費用 32,770円
N-BOXは軽乗用車なので新車から一回目の車検は三年目になり、年間走行距離が平均的な10,000キロ前後なら、初めての車検で30,000キロ前後ということになります。
この年式で走行距離であればバッテリーやブレーキフルード、ローテーションをしていない場合は前輪タイヤの交換が必要になるくらいではないでしょうか。
大きな個体差は出ることもなくディーラー系で車検を受ければ7万円~8万円くらいで収まるのではないかと思います。
多少の不具合はメーカーからの保証修理ということでお金もかかることもなく、平和な車検で終わるはずです。
よく出る交換部品
50,000キロ走行なら多少の整備が必要になってくる
あくまでも平均的な走行距離として年間走行距離を1万キロという前提でお話を進めていますが、5万キロを走行したN-BOXではどんな整備が出るのかをリストアップしてみます。
ただし法定12ヶ月点検などを車検との間に行ってきた場合は、車検に修理が集中することもなく、比較的に軽い車検で終わることも多いです。
ブレーキフルードは車検ごとに勧められる
油脂類の中でも車検ごとに確実に見積書に入ってくるのがブレーキフルードですが、ブレーキのメンテナンスとしては車検くらいしか交換することがないです。
もしも車検で交換しなければ次の車検まで交換することもなく、四年間無交換ということになり、交換費用も高額ではないので交換するユーザーさんが多いです。
CVTフルード交換
上述したようにホンダ車の場合はHMMFと呼ばれるCVTフルードを使用しているJF系のN-BOXなら4万キロごとでの交換を勧められています。
とくに街乗りが多いユーザーさんの場合はCVTフルードの汚れも早く、交換サイクルをしっかりと守ることで好調なままでながく乗ることができます。
バッテリーは無交換なら交換必須
アイドルストップをする頻度が低くなるような使用条件の場合、バッテリーが5年間で無交換というケースもあります。
アイドルストップ専用バッテリーは、エンジンを再始動するたびにバッテリーの寿命が縮んでいくので、長持ちすることもあります。
ただし、さすがに5年間使用したバッテリーは、いつ力尽きても不思議ではないので、車検では新車装着のバッテリーのままだと間違いなく交換を勧められます。
エアコンフィルター
エアコンフィルターのメーカーの交換推奨は1年とされていることが多いですが、1年間使用されたフィルターは「ちょっともったいないかな」という印象です。
タバコを吸う場合やエアコンを常時使用しているなど、使用条件でもかなり違ってくるとは思いますが。
タイヤ交換
タイヤの寿命は空気圧の管理とタイヤローテーションの適正な実施でかなり違ってきます。
なので、「タイヤは何年とか何万キロでダメになります」という基準のようなものは決めにくいことも確かです。
エアクリーナーエレメント
エアクリーナーは、エンジンに吸い込む空気を綺麗にしてくれるフィルターですが、4万キロごとの交換が推奨されています。
実際は走行距離だけでは判断できない要素もあり、比較的簡単に外すことができるので直接目視でチェックすることが多いです。
ベルト交換
8万キロオーバーなら交換?
JF1/JF2のN-BOXは2本のベルトが付いていますが、交換をする場合は2本のベルトを同時に交換するよう勧められます。
奥にあるオルタネーターベルト(発電機)は手前にあるエアコン・ウォーターポンプベルトを外さないと交換できないのでセットで交換することになります。
2本のベルトの痛み具合が必ずしも同じくらいの劣化とは限らず、少しもったいないと感じることがあるのですが、どちらかのベルトにヒビなどがあれば交換します。
タイミングベルトは無し
N-BOXのエンジンにはタイミングベルトはなく「タイミングチェーン」が組み込まれています。
タイミングチェーンのメンテナンスはとくにありませんが、エンジンオイルで潤滑しているのでオイル交換をしっかりとしておけば問題ありません。
イリジウムプラグ交換
長寿命タイプのプラグが標準装備されている
スパークプラグは車検のタイミングで交換を勧められることが多く、N-BOXのエンジンには長寿命タイプのスパークプラグが新車から装着されています。
走行距離が8万キロくらいなら、交換を勧めてくる整備工場もありますが、交換しないとトラブルに直結するわけではなく、予防整備として見積書に入ることがあります。
ディスクパッド交換
N-BOXは他のNシリーズよりも車体が重いこともあり、ディスクパッドの消耗はやや早いと感じています。
とくに普段の買い物などで使用することが多い場合、ストップゴーの頻度が高く走行距離が少なくてもかなり消耗しています。
5万キロも走行していれば半分以下くらいまで摩耗していることが多く、車検では合格ですが、予防整備として交換を勧められるでしょう。
ロアブーツとタイロッドエンドブーツ
2回目の車検ですでにロアボールジョイントブーツを交換している場合もありますが、タイロッドエンドブーツと併せてロアブーツの交換も見積書に入ることが増えます。
ブーツ類は裂けて中のグリスがはみ出てしまった場合は車検では不合格になってしまうので、少しでも裂けていると判定されると必要整備となってしまいます。
ブーツ交換でよくあるのが、どちらか片方が裂けていて、もう片方がギリ裂けていない状態。
整備工場によってはひっくるめて必要整備にしてしまうところもあるようです。
最後に・・・
予防整備のタイミング
N-BOXは実用的な軽自動車としても高い評価を受けているので、長く乗りたいと考えているユーザーさんも少なくありません。
「軽自動車の寿命はどれくらい」といった質問もよく受けますが、整備士としては『それまでのメンテナンスで違ってくる』というお答えをしています。
また、車検だからたくさん整備をしなくてはいけないということではありません。
『必要な整備を必要なタイミングで行う』という意識を持っていただければ車検だから高額な費用がかかってしまうということもないでしょう。
とはいえ、10万キロを超えたあたりから故障のリスクも増えてきます。
N-BOXは10万キロではどんな整備が必要になってくるのかを別の記事にしていますので参考にしていただければと思います。
【関連記事】N-BOXは10万キロ走行でどんな交換部品がある?車検は高くつく?
5年目・7年目は大きな節目?
実用的な軽自動車としての一面を持っているN-BOXですが、中古車としてもかなりの人気モデルです。
車検には法定費用なども含め10万円近いお金が動くタイミングでもあり、新車価格が150万円前後のN-BOXとしては比率として大きな出費となります。
新車の購入に15万円の頭金を入れてオートローンを利用するというケースも軽自動車ではよくあるパターンです。
車検をするべきか、人気車のN-BOXの買取価格に期待して車検をするまえに買取査定の金額を調べておくのもいいでしょう。
買い取り業界では当たり前すぎることなのですが、車検を受けたあとで買取査定をしても車検にかかった費用が上乗せされることはありません。
つまり、車を売るのなら車検の前に売るほうが断然オトクなのです。
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