【実録】HE22S型ラパンのエアコンが効かない原因と修理の振り返り

アルトラパン エアコン修理 タイトルエアコン

今回はアルトラパン[HE22S]のエアコン修理の振り返りを記事にしてみます。

反省するべきところや気付きもありましたが、あらためてエアコン修理の難しさを再認識させられました。

カーエアコンの修理は高額な修理になるケースが多く、場合によっては車の買い替えにまで発展することもあります。

整備士として依頼されたことだけをこなしていても、お客様からの「頼んでよかった!」にはなりません。

今回の若い女性のお客様は、オジサンの僕としてはなかなか汲み取るのが難しかったかもしれません。

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HE22S型のエアコンが効かない原因

マグネットクラッチリレーがよく壊れた

スズキ車のエアコンが効かない事例といえば、マグネットクラッチのリレーが原因でコンプレッサーが作動しないという事例が多発していました。

とくに初代ラパンで「いきなりエアコンが冷えなくなりました!」と相談を受けると、(たぶん、いつものアレね・・・。)

と内心は苦笑いするくらいの頻度でマグネットクラッチリレーのご機嫌が悪いのですが、HE22Sのラパンになって少し減ったような気がします。

とにかくガス漏れが多い

HE22Sのラパンに関しては、エアコンのガス漏れが原因でマグネットクラッチへの電源がカットされてしまうケースが多いです。

しかもガス漏れの原因がコンデンサーへの破損などがない限りは室内のエバポレーターからガス漏れしていることがほとんどです。

メーカーが保証延長をする事態

HE22Sのラパンではエバポレーターからのガス漏れに対して、本来は3年6万の一般保証を新車登録から9年に延長しました。

それくらい同じ事例が多発してしまったようですが、ラパンと同じようなプラットフォームを使っているワゴンRやパレットも同様に保証の延長がなされています。

ラパンのエアコン修理の定番

スズキ車 エバポレーター オイル漏れ

ガス漏れが発生する可能性が高いのはコンプレッサー本体や高圧ホースの付け根部分もありえなくはないです。

とはいえ、圧倒的に多いのがエバポレーターからのガス漏れで、ここからのガス漏れがなければエアコン関係が特別に弱いというわけでもない車種です。

【関連記事】アルトラパンHE22Sのエアコンガス漏れ修理と保証延長

エバポレーター&エキスパンションバルブ交換

エキスパンションバルブはエバポレーターの一部のような感じなので、基本的には同時に交換するべきものです。

エキスパンションバルブでクーラーの効きが左右されることも

高圧に圧縮されて液化したフロンガスがエキスパンションバルブを通過するときにいっきに噴射され気化熱でエバポレーターが冷たくなります。

エキスパンションバルブは霧吹きの先端部分にあたり、バルブのしぼりが開きすぎでも閉じすぎでもクーラーとして十分に冷えません。

たまにエキスパンションバルブに異物が詰まってしまって、突然クーラーがまったく効かなくなることもあります。

そのため、エバポレーターを交換するときにはセットで交換するほうが間違いありません。

部品の価格もエバポレーターが20,000円以上するのに対し、エキスパンションバルブは5,000円ほど。

価格を考慮にいれても交換が望ましいということになります。

予防整備でリレーも交換

スズキ車の定番トラブルも予防整備できる

マグネットクラッチリレーが不良でコンプレッサーが作動しなくなるトラブルはスズキ車では非常に多いのですが、リレーの価格が2,000円前後なので予め交換しておくのもいいでしょう。

たった2,000円のリレーの交換でエアコンが全く効かなくなるという状況を回避できるのは費用対効果としてはかなりコスパがいいといえます。

とくに小さなお子様を乗せるような場合、エアコンが効かないというのは安全上でも非常に大事です。

コンプレッサーから異音が出るケースも多い

先に述べましたが、ガス漏れ修理をしたあとでコンプレッサーから異音が出るようなパターンもあり、再度高額な修理に発展することもあります。

あとで書きますが、今回のラパンの修理に関してはかなりまずいタイミングでコンプレッサーが壊れていましたが、そもそもお客様からしっかりと問診しておけば回避できたかもしれません。

【関連記事】ラパンのエアコン異音|HE22S型でコンプレッサー交換が多い理由

実録|ラパンのエアコン修理でアレコレ悩んだ話

ラパン HE22S

少し前置きが長くなってしまいましたが、ここからは実際にお客様から依頼を受けてエアコン修理をしたHE22S型ラパンのリアルな修理の経緯をご紹介します。

クーラーガス補充、三日後には冷えなくなる・・。

若い女性のお客様がラパンでご来店

「いつもはエアコンかけないんですけど、姉を乗せるので冷えるようにしてください」

とのことで、

普段はクーラーが嫌いで使わないというお客様からのご依頼です。

「いつからクーラーが効かなくなりました?」

「使わないんでわからないですw」

クーラーをほとんどかけない使い方がメインのお客様の場合よくあることですが、エアコンの診断をする際にはかなり大事な情報です。

いきなり冷えなくなった場合なら電装系のトラブルが考えられますが、少しづつクーラーガスが抜けていった場合はどの程度の漏れなのかを判断する必要があります。

「エアコンが効かないのでガスを入れてください」というお客様もおられますが、本来は減ることがないガスが減っているということをます知ってもらう必要があります。

なぜなら、クーラーガスは定期的に補充すると思っているお客様も多いうえに、夏のシーズンに一回補充すればそれで問題ないと考えるお客様も多いです。

ですが、激しいガス漏れを起こしている場合、ガス補充から数日でガスが抜けてしまっているケースもあります。

ガスを入れて欲しいと依頼されても、そのままガス補充をしてしまうと、後日クレームになってしあうこともあるのです。

忙しさにかまけてガスだけ補充してしまった

全国的に猛暑日が続いた2022年の6月末。
異例の暑さで連日のように、「エアコンが効きませーん!」というお客様からの問い合わせや入庫が立て続けにありました。

予約の車検業務などがストップしてしまうほどのエアコントラブルでの来店でてんやわんやの忙しさ。

「とにかく冷えるようにして欲しい」というラパンのお客様からのご依頼でしたので、とりあえず冷えるようにしておけば今年の夏は乗り切れるだろうと高をくくっていました。

本来はガスは減らないことを説明したうえで臨時的になら「ガス補充で冷えます」とだけ伝えてガス補充を行いました。

ところがその3日後、「ぜんぜん冷えなくなりました」と、困惑気味でお客様が来店されました。

整備士サボカジ
整備士サボカジ

マジか・・。と内心は焦ってしまいました。

しかし数日しかエアコンが効かないというのは

どれほどのガス漏れなのでしょう・・・。

まさかの保証切れ

平成24年式のHE22S型ラパンなら、すでにエバポレーターの保証修理は完了していると思い込んでましたが、未実施のままで9年経過してしまっていました。

ダメ元でディーラーに電話で問い合わせても、「申し訳ないのですが、すでに保証は切れています」という返事でした。

今回のエアコン不調で初めてご来店されたお客様だったので、それまでの車検や整備の履歴がまったくわからず「まさか」という感じでした。

このラパン、中古車として数年前に購入したとのことで、ディーラーとの関係は切れてしまっている車両だったようです。

もしも、ディーラーや新車販売のスズキ協力店で車検や整備をしていた場合なら、メーカーからの案内があったはずですが、量販店などでは保証延長に関して認識しないままだったのかもしれません。

保証切れの説明にキョトン

車のメカニズムには興味がないであろう若いお客様でしたが、エバポレーターのガス漏れ多発や保証延長、さらに保証切れの説明をしました。

「私・・・どうしたらいいですか?」

結局のところ、そのお客様にとっては自分のラパンのエアコンが冷えてくれればそれでいいということなのです。

ですが、高額な修理の見積もりを出す僕としては、なるべくソフトにお伝えしたかったし、
納得した上で修理の依頼をしていただきたいと考えています。

なぜなら、高額なエアコンの修理が発生すると、ラパンのような実用的な軽自動車の場合、エアコン修理よりも車の買い替えになってしまうケースもあります。

・その車にあまり愛着がなくなっている

・車検が近い

・別の車に興味がある

若い女性の場合、ご結婚されて家族構成が変わったり、チャイルドシートを使用することになったりと、車に対する要求が変化することがあります。

僕の場合、整備士でありつつお客様に新車や中古車のご提案もするカーライフアドバイザーでもあるので「とにかく修理」とは考えないようにしています。

とくにエアコン修理の場合、高額修理をしてもそのあと別の部分が壊れてさらに修理費がかかるということもあります。

「そんなにお金がかかるのなら先に言ってほしかったです・・・。」

というお客様からお叱りをいただいてしまうこともあり、扱いが難しいのがエアコンの修理です。

これまでのお付き合いがまったくないお客様の場合、トータルでのアドバイスが必要になってきます。

少し説明に時間はかかりましたが、ラパンのお客様には

・エアコンは高額修理が連続することがある

・ラパンに対して思い入れがあるのなら修理がおすすめ

・トータルでのコストが気になるなら乗り換えを検討

こんなお話をしましたが、最終的にはお父様とも電話でお話することになり、修理をするということになりました。

連鎖的にコンプレッサーが壊れることも

コンプレッサー分解

エアコン修理を進めいく上でもっとも怖いのが、修理を完了し、納車してわずかで別の部分が壊れるというケースです。

お客様としては「このまえ修理に出したすぐなのに・・・」という不信感もあり、追加の修理の見積もりが高額ならクレームにもなりかねません。

このパターンがあるので、お客様やそのお父様にも「次はコンプレッサーという部分がダメになることもあります」とお伝えをして了承をいただいてからエバポレーターの交換にとりかかりました。

エバポレーター交換も慣れれば早くなる

スズキ アルトラパン エアコンユニット

別の記事で紹介しますが、これくらいの年式のスズキ車のエバポレーター交換は他の車種よりも交換しやすいです。

他の整備工場さんのブログなどではハンドル周りもダッシュボードもすべて取り外していましたが、ダッシュボードを上にズラせば交換できることもわかってきました。

とはいえ、取り外す部品の点数はそれなりに多いので、作業をするまえには覚悟を決めて挑みます。

皮肉なことにエアコンの修理は真夏など暑い盛りにすることが多く狭い車内に体を押し込んでの作業はかなり体力を消耗します。

ラパンのエバポレーター交換は初めてでしたが、ワゴンRでやってきた手順とまったく同じやり方で無事にエアコンユニットだけを車外に出すことができ一安心。

届いていた新品のエバポレーターは対策されたもので、エバポレーターを固定するための樹脂製の部品が同梱されています。

昼過ぎにスタートした作業は、他の業務に手を取られながらも夕方には元の状態に組み上がり、クーラーガスを入れる前の「真空引き」と漏れがないかのチェックもOK。

我ながらだいぶ慣れてきたなと自分をねぎらいながらクーラーガスを320グラム充填し、エンジンをかけてエアコンを作動させてみます。

ところが・・・。

マグネットクラッチが入っても圧縮がゼロ?

エアコンコンプレッサー 不良品

ラパンのエアコンサイクルと繋いだままのゲージマニホールドの針の動きを眺めていて「あれ?」と思いながらもそのまま様子を見ます。

「カチン」と音はしてもガスは動かず

エアコンを作動させるためのACのボタンを押すと、たしかに「カチン」とマグネットクラッチが入る音がしますが、ゲージマニホールドの針は高圧側も低圧側もまったく動きません。

「いやいやいや・・。そんなわけないよ・・。」

と独り言が漏れ出るなか、案の定エアコンはまったく冷えない状態。

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サボカジ
サボカジ

エアコンは冷えず

僕の肝が冷えるという緊急事態でしたw

何度もACボタンをオン・オフさせましたが、マグネットクラッチの作動音は確実に聞こえてきますがフロンガスの圧力を測定するゲージマニホールドは低圧も高圧もまったく同じ圧力を指したままです。

高圧と低圧の圧力差がゼロだと・・?

気温が30℃以上あるピット内なら、コンプレッサーも正常でガスサイクルも問題なければ、アイドリングでも高圧が15キロ以上、低圧は2キロ前後になっているはずです。

圧縮されたフロンガスがエキスパンションバルブで噴射され低圧になるときに気化熱でエバポレーターが冷えるという理屈なので、高圧側と低圧側に高低差が出るのが通常です。

よくよく観察していると、マグネットクラッチが入る「カチン」という音がしてもエンジンの回転はまったく落ちることなく軽やかに回っています。

本来なら、マグネットクラッチが入ったら、コンプレッサーの負荷がエンジンにかかるのでエンジン回転がガクンと落ちます。

とくに排気量の小さな軽自動車ではその傾向が強く、走行中にエアコンを入れると馬力を取られているのがわかるほどです。

コンプレッサーが仕事してない

アイドリングの回転が落ちないくらいエンジンに負荷がかからないということはコンプレッサー内部で圧縮が行われていないということ。

「そういうことね・・・。」

 

整備士サボカジ
整備士サボカジ

ようやく事態を把握した僕が一番にしたことは

自販機でアイスコーヒーを買ってくるという現実逃避でしたw

コンプレッサー内部のベーンが固着

スズキ ラパン エアコンコンプレッサー 分解

コンプレッサーを分解するまでもなく、クーラーガスが圧縮されていないことはゲージマニホールドを見てわかりました。

あとで確認のためにコンプレッサーを分解してみましたが、案の定ベーンタイプのコンプレッサーに付いている5枚のベーンがすべて引っ込んだままで固着していました。

原因はオイル不足?

中心にあるローターからベーンを外そうとしましたが、マイナスドライバーでこねるようにしないと出てこないレベルでした。

本来は、この5枚のベーンが滑らかに動くことでフロンガスを連続して圧縮してくれるのですが、すべてのベーンが引っ込んだままでは、クーラーガスは素通りするだけ。

サボカジ
サボカジ

すべてのベーンが固着していたのは初めてですが、何枚かあるベーンがいくつか動いていないケースは結構ありました。
その場合、エンジンの回転を上げないと圧縮能力が上がらないので、停車中はクーラーの効きが悪くなります。

急きょ中古のコンプレッサーを手配することに

「ガス漏れ修理をしていたらコンプレッサーも壊れてました」
というのはかなり言いにくいことですが、前回はガスを補充すればクーラーとして冷えていたので、わずか3週間たらずでコンプレッサーが焼き付いたことになります。

ご本人様にも報告しましたが、保証修理で2回目のガス補充をしたときは冷えていなかったとのことでした。

今回のエバポレーター交換で預かる際に直接にお話しをしていればコンプレッサーの点検も先にしたのですが、僕がお休みをいただいている日に預かっていたのでお話もできていませんでした。

お金の相談は緊張する・・

自分の車ならすかさずコンプレッサーの手配をするところですが、プロの整備士としてお客様からお金を頂戴する仕事としてはまずお伺いを立てなければなりません。

お客様への報告でもかなり緊張するのが、修理費用が上がるというお金に関係する話です。

予定よりも安くなるならなにも問題はありませんが、今回のようにコンプレッサーというかなり高額な部品を追加で交換する場合はクレームにもなりかねません。

ただ、修理に入る前にエアコン修理でよくある高額な修理が連続する可能性や車の乗り換えの話などもしていたので「聞いてないよ!」とはなりません。

修理費を出してくれるというお父様に電話で報告をすることになりました。

お仕事では職人さんを束ねる立場の方なので状況を理解していただけましたが、「どうにか安く済ませることはできないか」と修理費の圧縮を打診されました。

結局はリスクも承知の上で中古のコンプレッサーを当方で探すことになり、ラッキーなことに走行距離がすくない車体のコンプレッサーが見つかりました。

価格は25,000円ほどで、交換作業料金はかなり安く設定し、余分に必要になったクーラーガスに関しても請求はなしということで落ち着きました。
自分の車ならすかさずコンプレッサーの手配をするところですが、プロの整備士としてお客様からお金を頂戴する仕事としてはまずお伺いを立てなければなりません。

サボカジ@整備士
サボカジ@整備士

お客様への報告でもかなり緊張するのが

修理費用が上がるという、お金に関係する話です。

予定よりも安くなるならなにも問題はありませんが、今回のようにコンプレッサーというかなり高額な部品を追加で交換する場合はクレームにもなりかねません。

ただ、修理に入る前にエアコン修理でよくある高額な修理が連続する可能性や車の乗り換えの話などもしていたので「聞いてないよ!」とはなりません。

修理費を出してくれるというお父様に電話で報告をすることになりました。

お仕事では職人さんを束ねる立場の方なので状況を理解していただけましたが、「どうにか安く済ませることはできないか」と修理費の圧縮を打診されました。

結局はリスクも承知の上で中古のコンプレッサーを当方で探すことになり、ラッキーなことに走行距離がすくない車体のコンプレッサーが見つかりました。

中古のコンプレッサーは25,000円ほどで、交換作業料金はかなり安く設定し、余分に必要になったクーラーガスに関しては請求はなしということで落ち着きました。

コンプレッサー交換で無事に冷えるように

中古のコンプレッサーを探すときに気をつけないといけないのは、リビルト品のようにはっきりとした保証がないということです。

そのため、よほどひどい場合をのぞいてコンプレッサーを交換してくれることはありませんし、コンプレッサー不良が原因で生じた被害も自己責任となります。

今回は複数の解体業者さんのネットワークでなるべく多くの見積もりを取ったので、価格はともかく、状態のいいものが見つかりました。走行距離が45,000キロとのことなので問題なさそうです。

コンプレッサーを交換するために再度ガスを回収し、フロントバンパーをはずすとコンプレッサーが丸見えの状態になりました。

エアコンベルトを外し、コンプレッサーを単体で取り出すまでの時間は20分ほどで1時間足らずで交換作業も完了です。

今度こそ、という思いで真空引きをしフロンガスを定量だけ充填し、エンジンスタート。はたしてエアコンは効いてくれるのでしょうか。

少し天気の良くない日でしたが、フロントガラスやサイドガラスが外側に水滴で曇るほどの冷え具合で、ようやく今回の修理は完了したと安心できた瞬間でした。

ところが・・・。

バックに入れるとエアコンが効かなくなる怪現象

エアコンがガンガンに効くのを横目に、別の車の作業などをしてあとは確認だ取れれば納車するだけと思っていたところでした。

場所を移動しようとラパンを動かしていたら、

「カチン・・・カチン・・・カチン・・・」

マグネットクラッチが何度か入ったり切れたりする音がし始め、そのあとクーラーがまったく効かなくなってしまいました。

正確に数えていませんが、おそらくマグネットクラッチの切れる音が4回くらいしたあと、クラッチが入らなくなるようです。

さらに観察していると、前進しているときはならないのに、バックに入れてゆっくりと進もうとするとこの現象がおきることがわかりました。

いったんエンジンを切るとエアコンが効き始める

スタートボタンを押してエンジンを止めて、再度エンジンをかけてみると、なんの問題もなくマグネットクラッチが入り、クーラーも快調に冷え始めます。

ところが、シフトをバックに入れてラパンを後退させようとするとまたマグネットクラッチが何度か切れてそのあとエアコンが全く効かなくなります。

クーラーガスの入れ過ぎによりクラッチへの電源カットは考えられないし、コンデンサーのファンもしっかりと回転しています。

接続したゲージマニホールドの示す数値も高圧が15キロから18キロ、低圧がアイドリングで3キロで回転を上げると2キロ近く、現在の基本からすればほぼ理想的な数値です。

他の作業をすすめながら頭の中で、フローチャートがいくとおりもなぞられていきながら、ふと思い当たったのが、エンジン回転数とマグネットクラッチへの電源カットの関係。

アイドリングの回転が低すぎることが原因

アイドリング中のエンジンの回転数が850rpm/分ほどなら問題ないのですが、一時的にでも600rpmとか500rpmを下回るくらい落ち込むとコンプレッサーの回転を止めてしまう制御が働くことがあります。

車種によってはマグネットクラッチが入りエンジンの回転が落ち、クラッチへの電源が切れるとエンジンの回転が回復し、またクラッチへの電源が入る、を繰り返すことがあります。

今回のラパンの場合、数回のクラッチへの電源カットがつづくと、そのあとは回転が回復しても電源はカットされたままになるようでした。

ただし、いったんエンジンを止めて再始動させると、この制御はリセットされるようで、なにごともなかったようにエアコンが効き始めるという理屈です。

しかもバックに入れたときだけこの症状が起きるのは、前進よりもバックのほうがエンジンの回転の落ち込みが大きく、クラッチへの電源カットが入ってしまうのです。

サボカジ
サボカジ

そもそも回転が落ち過ぎるとマグネットクラッチへの電源がカットされる理由は、おそらくコンプレッサー内部の破壊によりロックを感知し、エンジンストールを回避するための一種のフェイルセーフなのでしょう。

電子制御のスロットル清掃で問題解決

オートマチックシフトをバックに入れたときにだけ、エンジンの回転が落ちすぎてしまう原因は、スロットルバルブ周辺の汚れが原因でした。

以前はアイドリング中のエンジンの回転を制御するためのISCV(アイドル・スピード・コントロール・バルブ)と呼ばれる独立した部分がありました。

ところが、電子制御のスロットルに変わっていくにつれて、メインとなる大きなスロットルバルブの開閉だけでアイドリングの制御も行うような仕様が多くなりました。

すると、スロットル周辺に付着したカーボンなどが原因で本来のアイドル回転数を保持できないようになり、これがエンストや信号待ちでの振動を大きくしてしまう原因になることが増えています。

エンジンコンディショナーがいい仕事をした

キャブレターが全盛だったころはキャブレターの内部を清掃するためのケミカル剤もありましたが、いまは電子制御エンジンのケミカル剤がほとんどです。

サボカジ
サボカジ

個人的にはキャブ用のケミカル剤を電子スロットルにも使うことが多く、

成分がきついぶん汚れがよく落ちる印象でした。

エアクリーナーへのダクトを外しスロットル内部を覗き込むと、黒いカーボンがびっしりとこびりついているのが見えます。

「これか・・・。」

独り言をブツブツいいながら、キレイな紙ウエスでケミカル剤の残りを拭き取っていきながらエンジンを始動させてスロットルやエンジン内部を整えます。

ほどなくしてエンジンの回転も安定し、バックに入れても回転が落ち込むこともなく、マグネットクラッチへの電源カットもおきなくなりました。

クーラーも快調に冷えて、無事に今回のエアコン修理が完了となりました。

 

まとめ

今回のHE22S型ラパンのエアコン修理では、クーラーが効かない原因をガス漏れだけだと考えていたことで、修理に時間がかかってしまうことになってしまいました。

・エバポレーターからのガス漏れでガスが不足、クラッチへの電源がカットされていた

・ガスの補充を繰り返しコンプレッサーがオイル不足で稼働したため内部でベーンが焼き付いた

・スロットル内部が汚れていたことでマグネットクラッチへの電源カットもされていた

この3点の原因を作業前に把握できていれば、お客様への修理の見積もりも一度で終わっていたでしょうし、車をお預かりした時間も短くて済んだはずです。

とはいえ、結果的にこれらの処置が必要になったとはいえ、すべて予見することができるかといえばかなり難しいとは思います。

もしもご本人から全ての状況を聞き出すことができればいいのですが、限られた時間でそもまで問診することは難しかった・・・。

 

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