「トヨタの最小ミニバン」という位置づけでヒットした2代目シエンタ。
なかでもハイブリッドモデルは燃費がいいだけでなく重量税なども優遇されています。
今回は2代目シエンタのハイブリッドモデル、NHP170Gの車検に必要な費用や修理箇所についてのお話です。
僕自身もこのモデルに乗っているので整備士としてだけでなくユーザーとしての目線でも考えていきます。
170系シエンタハイブリッドの車検費用は?
2回目以降の車検法定費用の内訳
※2023年12月調べ
シエンタハイブリッド(NHP170G)の車検法定費用 | |
自賠責保険 | 17,650円 |
重量税 | 15,000円(初回のみ免税) |
印紙 | 1,600円(電子申請) |
合計 | 34,250円 |
車検を受けるには上記の法定費用が必要になり、それぞれの費用の内訳を説明していきます。
2年分の自賠責保険
24ヶ月で17,650円
自賠責保険は車検を更新するときにむこう2年分の保険料を収めることになり、ディーラーや整備工場で車検を依頼すると「諸費用」とか「法定費用」と呼ばれる中に含まれています。
ただし、車検切れのギリギリに車検を受けようとすると新しい車検証を発行してもらうまでに古い自賠責保険の期日が切れてしまうことがあります。
そのため、ディーラーや整備工場から「自賠責保険の期間が足りないので25ヶ月で保険をかけておきます」みたいなことを言われるかもしれません。
25ヶ月なら18,160円
車検を二年分更新するために本来は24ヶ月だけ自賠責保険を更新しておけばいいのですが、車検の期日直前に車検を受けると一ヶ月分を余分に保険を更新する必要があります。
くわしくは割愛しますが、車検は夜の12時に、自賠責保険はお昼の12時に切れるというのがミソなんです。
重量税は優遇されている
ハイブリッドモデルのみ初回は免税
重量税は初回車検だけは優遇措置により重量税は0円、つまり免税となります。
2年間で15,000円
小型車の場合、エコカーとして認証されていないモデルでは重量税は2年分、24,600円の重量税を車検のときに収めることになります。
シエンタハイブリッドの場合、小型車でエコカーという分類になるので重量税は15,000円となります。
印紙代金はどの車でも同額必要
新しい車検証をもらいにいく場合に印紙と証紙を申請書類に貼り付けて提出します。
印紙、証紙、どちらも国にお金を収めるためのものですが、車検の更新では陸運支局に払う事務手数料となります。
ディーラーなどの指定整備工場に車検を依頼する場合、見積書の中に印紙代金も含まれていますので、車検が終わって会計をするときに払っていることになっています。
車検代はディーラーと整備工場でも違ってくる
ディーラーや整備工場に車検を依頼すると、見積書のなかに「車検基本工賃」とか「車検整備一式」という料金が必ず入っています。
一般的に「車検代」とも呼ばれるこの費用は、車検を実際に施工する整備工場やディーラーがユーザーからいただく収益です。
整備士やフロントスタッフ、車検証の更新で動く人などの人件費が含まれていますが、車検代はそれぞれの整備工場で設定しているので金額にはばらつきがあります。
ディーラーでは30,000円前後
シエンタハイブリッドをトヨタ系ディーラーで車検をする場合、車検の基本工賃は30,000円ほどになります。
それぞれのディーラーが独自に設定しているので27,000円のこともあれば33,000円というところもあるでしょう。
洗車機を使った機械洗車と簡単な室内清掃をやってくれたり、外回りの洗車だけということもあります。
車検に付随する作業以外のちょっとしたサービスの違いもディーラーで違っています。
整備工場では15,000円~20,000円ほど
ガソリンスタンドを母体とする整備工場や、中古車販売と車検整備を主な業務にしている整備工場でも車検の基本工賃が違ってきます。
「安かろう悪かろう」とまではいかないですが、とにかく車検を安く終わらせるなら車検に合格できて最低限の整備だけを依頼するならガソリンスタンド系が安いです。
シエンタハイブリッドの車検で交換する部品は?
ここからは実際に僕が車検・整備をしてきた170系シエンタハイブリッドの交換部品などを紹介していきます。
よく交換する部品たちをピックアップしていきますが、車検以外のタイミングで交換していることもあるので車検では交換しなくていいこともあります。
基本的な消耗品
どの車でも車検を受けるときに交換を進められる部品が消耗品などの定期的に交換するべき部分です。
ゴム部品や一定期間で交換するようなものは車検のときに見積書の基本的なところに含まれています。
ワイパーゴム|1年
一年ごとの交換を推奨しているところが多いですが、車の保管状況によっては傷みが早いこともあります。
また、フロントガラス側のワイパーゴムは前方の視界を確保するためにも大事ですが、リアガラスのワイパーゴムは車検の合否にも関係がありません。
少しでも車検費用を節約したならリアワイパーは交換しなくてもいいでしょう。
ブレーキフルード|2年
シエンタハイブリッドの場合は、トヨタのハイブリッドカー全般で行うやりかたでブレーキフルードの交換をします。
通常のエンジン車とちがって外部診断機を車に接続してブレーキの制御を「整備モード」にする必要があります。
ハイブリッドモデルに関してはブレーキフルードの交換はDIYでの交換作業は難しいでしょう。
エンジンオイル|5,000km
トヨタディーラーならハイブリッド車のエンジンオイルは「0W-16」という粘度のものを使用することが多いです。
ハイブリッドカーやアイドルストップ車などの低燃費車に使われ、燃費性能が発揮するために推奨されています。
交換のサイクルはディーラーでは5000km毎の交換をすすめていますが、整備士として日々たくさんの車のエンジンオイル交換をしていますが、トヨタのハイブリッドカーに関してはもう少し長い交換サイクルでもいいかもしれません。
オイルエレメント|10,000km
エンジンオイル交換の2回に1回の頻度で交換を推奨しているのがエンジンオイルの中の不純物を除去するフィルター、オイルエレメントです。
交換は10,000kmごとで薦められることが多いですが、車検のタイミングでは交換しなくていいこともあります。
エアクリーナー
エアクリーナーはエンジンに吸い込む空気をきれいにしてくれるフィルターです。
ハイブリッドカーではエンジンに依存しない走り方をするのでエアクリーナーはあまり汚れず、メーカー指定よりも長持ちする傾向にあります。
また、エアクリーナーの交換は簡単にできるので、ネットで購入して自分で交換することもできます。
リアディスクパッド|7万km~9万km
シエンタのリアディスクパッドはわりと小さなものが付いていて、容量の大きなフロントディスクパッドよりも先に交換時期になるかもしれません。
サイドブレーキはディスクの中にサイドブレーキ専用のブレーキシューがある「ドラムインディスク」タイプなのでディスクパッドの交換は比較的にやりやすいです。
直接ディスクパッドを使ってサイドブレーキを効かせるタイプはディスクパッドの交換がちょっと手間がかかるので、交換の作業料金もやや割高になります。30プリウスとか。
エアコンフィルター|1年~2年
エアコンフィルターはエアコンの風をきれいにするためのフィルターで、冷房・暖房のどちらをつかっても汚れていきます。
エアコン全般を多様するとフィルターは詰まりやすくなり、フィルターを販売するメーカーでは1年毎の交換を推奨しています。
ただし、それほどエアコンを使わない方なら2年毎でもいいのかもしれません。
助手席にあるグローブボックスを取り外すとエアコンユニットの中央付近にフタがあり、ここを取り外すと簡単に交換することができます。
エアコンフィルターも自分で交換することができるのでネットでフィルターを安く購入してDIYというやり方もおすすめです。
スタビライザーリンク|7年また7万kmほど
走行条件などで違ってきますが、どの車種でも車検で交換をするめられる部品のなかにスタビライザーのリンクがあります。
スタビライザーとストラットをつなぐリンクロッドですが、両端にあるゴムのブーツ部分にひび割れが見つかると交換をすすめられます。
ゴム部分が裂けてしまっている場合は車検に不合格となり、必要整備として必ず交換されます。
交換をするにはジャッキアップしてタイヤと外す必要がありDIYで交換するにはやや難易度が高く、タイヤの脱着やジャッキアップなどの危険をともなうので初心者はやらないほうがいいです。
DIYの中級者以上で、小型でパワーのあるインパクレンチがあれば素早く交換できます。
タイヤ|4万km~6万km
ハイブリッドカーは燃費がよくエコな車というイメージですが、モーター駆動のため、発進ではスムーズでパワフルな走りができますが、そのぶんタイヤへの負担も増えます。
つまり、ラフなアクセルワークをしているとフロントタイヤが思いのほか早く摩耗してしまいます。
標準サイズは185/60R15
170系シエンタハイブリッドのタイヤサイズは標準では「185/60R15」となっています。
ただしオプションでアルミホイールを選択している場合は「195/50R16」なのでネットでタイヤを購入する際は実際にタイヤを見てサイズを確認しておきましょう。
バッテリー|3年~5年
ハイブリッドモデルは補機バッテリーがリアのラゲージルームにあり、交換のサイクルは5年くらいが多いようです。
走行距離が極端に少ないような使用条件では2年ももたないことがありますが、年間走行距離が1万キロ近いなら問題ありません。
駆動用バッテリークーリングフィルター|5年
トヨタのハイブリッドカーでは、室内にある駆動用メインバッテリーを冷却するための小さな電動ファンがあります。
このファンの吸入口付近にセットされている小さなフィルターが「HVバッテリークーリングフィルター」です。
このフィルターが詰まって十分な空気がバッテリーに送れなくなると『駆動用電池の冷却部品のメンテナンスを販売店で受けてください』という表示がメーターに表示されます。
シエンタハイブリッドの場合は助手席の下側にこのフィルターがあり、5年ほど乗っているとかなりフィルターが詰まっています。
このフィルターも簡単に交換できるので自分で交換してみてもいいでしょう。
そもそもこのフィルターの交換をすすめてくれない整備工場もあり、ディーラーなら交換作業料も請求されることが多いのでDIYで交換をして交換日時を自分で管理してもいいでしょう。
発煙筒
車検の見積書のなかに「しれっと」入っているのが非常信号用具の発煙筒です。
そもそもこの信号用具を使ったことのある人がどれくらいいるのかも疑問ですが、花火のように火薬で燃える従来型の発煙筒は4年で期限切れとなるので交換をすすめられます。
いまではLEDで長時間光るタイプのものが増えつつあり、車検でもこちらに交換をすすめられることも多いです。
5年落ち・2回目の車検の費用はどれくらい?
シエンタハイブリッド(NHP170G)の2回目の車検費用の目安 | |
車検基本工賃 | 15,000円~33,000円 |
定期交換部品など | 10,000円~ |
補機バッテリー | 25,000円~35,000円 |
タイヤ | 60,000円~80,000円 |
自賠責保険 | 17,650円 |
重量税 | 15,000円(初回のみ免税) |
印紙 | 1,600円(電子申請) |
あえて強調してありますが、補機バッテリーとタイヤの交換があるかどうかで車検にかかる費用に大きな違いが出てきます。
これはトヨタのハイブリッドカーではよくある話で、逆を言えば他には大きな交換部品は出てこないとも言えます。
シエンタハイブリッドの売り時は?
マイカーとして、何年間乗るとお得になるのでしょうか?
長く乗り続けると買取額は下がっていき、車検以外に修理なども発生するため、中古車としての市場価値が高いうちに手放してしまうというのも1つの選択肢です。
そのためには比較的に大きなお金がかかるタイミングが車を手放すタイミングともなります。
そのなかでも避けて通ることができないのが車検となります。
車検と乗り換えのタイミングは同じ?
シエンタハイブリッドは、ランニングコストが安く済むハイブリッドカーとはいえ、手放すタイミングは通常のガソリンエンジン車と同じです。
とくに車検を受ける直前では10万円ちかい費用がかかるため、車を売るタイミングとしてはおすすめです。
逆に車検を受けた直後に車を売るのはもったいないので、車検にかかった費用を買取価格で吸収することは難しいです。
1回目の車検ではハイブリッドモデルは重量税が優遇されるため、車検にかかる費用も安く抑えることができます。
車を売るときに新車価格のどれくらいの金額で買い取ってもらえるかを「残価率」とよびますが、初回車検、つまり3年経過している場合の残価率は50%前後。
そこからすこしづつ値べりしていくのですが、3年落ちで売るよりも2回目の車検、つまり5年落ちで手放すほうが残価率とのバランスを考えるとお得かもしれません。
とくに人気のあるミニバンハイブリッドならかなり高めの買取額が期待できます。
2回目の車検が手放すタイミングかも
乗用車の場合は1回目の車検は新車登録から3年で、2回目以降は2年ごとの車検となります。
年間走行距離が1万キロくらいのユーザーさんを想定して2回目の車検をシミューレーションしてみます。
車検費用+タイヤ+補機バッテリーで15万円超え・・?
シエンタハイブリッドに搭載されている補機バッテリーは「LN0」と呼ばれる欧州規格の形をしたハイブリッドカー専用バッテリーとなっています。
この補機バッテリーは平均的な寿命でいえば5年ほどで、2回目の車検で交換するケースが多いです。
車検で補機バッテリーを交換すると補機バッテリーの価格が3万円を超えるので、車検費用にそのまま上乗せされることになります。
さらに、5年間で約5万キロを走行している場合、途中でタイヤ交換をしていない場合、車検でタイヤ交換をすすめられることになるでしょう。
標準サイズのタイヤが「185/60R15」ですが、このサイズでは新車装着と同等のエコタイヤと交換するとなると、4本交換で6万円から7万円ほどはかかります。
2回目の車検に補機バッテリーの交換とタイヤ交換が合わさった場合はプラスで10万円は上乗せすることとなります。
ハイブリッドモデルは重量税が15,000円で済むものの、車検代と法定費用、定期交換部品で7万円、そこにバッテリーとタイヤ交換が追加されて総額が17万円となり、15万円をかるく超える車検費用となります。
ミニバンのハイブリッドモデルは人気がある
シエンタハイブリッドは中古車としても人気があり、買取査定での評価も高いです。
そのため、中古車としての商品価値が高い年式や走行距離だと安定した買取額が期待できるので、次の車の購入費用としての頭金にすることができます。
車検を受けるまえに車を手放すのはかなり合理的で、2回目の車検なら5年落ちで、3回目の車検なら7年落ちとなり、中古車としての商品価値を考えるとこのどちらかがいいタイミングといえます。
車検費用と買取額を比較しておく
車検を受けてそのまま乗るのがオトクなのか、それとも手放して新しい車の資金にしてしまうのがいいのか、難しいところです。
普段はカーライフアドバイザーもすることがある僕として、その結論を言うと、「その時の車の状態による」と思います。
さきほど述べたように車検にプラスしてタイヤやバッテリーなどの高額な消耗品が乗っかる場合なら車検をせずに売ってしまうにはいいタイミングです。
その逆に、わりと最近にタイヤやバッテリーを交換したすぐだと、下取りに出してもそれらにかかった費用を回収することはできません。
つまり車検がちかく、お金がかかりそうな追加作業が考えられるなら先に車の買取価格を調べておいて比較するのが上手な車の手放し方なのです。
下取りに出すのはもったいない
車を購入するときに多いのが購入する自動車販売店やディーラーに古い車を下取りに出すというパターン。
ですが、とくにディーラーに下取りに出す場合は、かなり安い金額で買い取られてしまうことが多く、おすすめはできません。
とはいえ、買取専門店を何店舗も回って高い買取金額を提示してくれるお店を探すのもかなり手間がかかってしまいます。
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余計な営業電話を回避しつつ高い査定額を引き出す方法
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しかもMOTAに登録している業者(最大20社)が買取希望額を入札方式し、上位の3社だけと交渉することができるので安い査定額を出した業者とは連絡すら取る必要がありません。
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