今回はホンダの軽自動車、N-BOXのプラグ交換についてのお話です。
整備士としてお客様からよく受ける質問として
「プラグ交換っていくらかかるの?」
「プラグ交換の時期はいつ?」
なかには
「プラグ交換って、自分でできないかな?」
というDIYの相談をされることもあります。
そこで今回は、
N-BOXのプラグ交換についての記事を書いてみることにしました。
N-BOXのプラグ交換の時期はどのタイミング?
まず、N-BOXには長寿命タイプのスパークプラグが全車とも新車装着されています。
ホンダの公式サイトやN-BOXの整備手帳などには、スパークプラグの交換時期に関しては「長寿命」とだけ明記していて、具体的な交換距離などは明記していません。
一般的には長寿命タイプのスパークプラグに関しては10万キロはもつと言われています。
7万キロで点検・状態を見て交換がオススメ
整備士としての見解としては、N-BOXのスパークプラグの交換は50,000km~70,000kmぐらいで点検し、その状態で判断して交換するのがおすすめです。
つまり、交換するかどうかは点検したときに決めるというやり方ですが、万全を期するなら50,000kmでいきなり交換もアリです。
JF1・JF2のS07A型エンジンのプラグについて
N-BOXの型式でJF1・JF2には「S07A型」と呼ばれるエンジンが搭載されていますが、このエンジンには新車から長寿命タイプのスパークプラグが装着されています。
ILZKR7B8Sは長寿命タイプのイリジウムプラグ
イリジウムプラグには高性能でも長寿命ではないタイプのものもありますが、N-BOXに新車装着されているいイリジウムプラグ(ILZKR7B8S)は中心電極がイリジウムで外側電極には白金が溶着されています。
長寿命タイプのスパークプラグは車検の分解点検でも取り外してチェックしなくてもいいことになっています。
整備工場によっては燃焼室の状態を知るためにスパークプラグを外す場合もあります。
スパークプラグの焼け具合をチェックすることでエンジンの健康状態を確認することができます。
JF3・JF4のS07B型エンジンのプラグについて
N-BOXの場合、初期から搭載されていた「S07A型」エンジンが一部仕様変更され「S07B型」エンジンになりました。
ただし、かなり大掛かりな仕様変更で、それにともなってスパークプラグも新しいタイプのより細いものになりました。
この記事を書いている現在では、より高性能タイプの社外品プラグはリリースされていませんので、ホンダ純正部品として購入するか、NGKの品番で探すしかありません。
また、スパークプラグのネジ径が10㎜と更に細くなり、それに合ったプラグレンチを用意しないと交換することができません。
ノンターボ | DILMAR7A11S ネジ径 直径10㎜ |
ターボ車 | ILMAR8D8S ネジ径 直径10㎜ |
メーカーではプラグ交換距離を明記しない?
スパークプラグのトップシェアメーカー、NGK(日本特殊陶業)のホームページでも、長寿命タイプのスパークプラグの交換目安については明確にしていません。
N-BOXのスパークプラグの交換距離に関しても同様で、両貴金属プラグ(長寿命タイプ)についての交換距離は明確にしていません。
NGKは様々な自動車メーカーに新車装着用のスパークプラグを納品していて、長寿命タイプのプラグもありますが、
ホンダの公式サイトでも、イリジウムプラグの寿命に関しては「長寿命」とだけうたっています。
プラグメーカーは自動車メーカーに忖度している?
プラグメーカーのNGKにとっては自動車メーカーは大事なお客さまですから、自動車メーカーが長寿命プラグの交換距離を曖昧にしていることに合わせているのかもしれません。
自動車メーカーの考えでは、車は新車から10万キロも走行すれば問題なく走れる期間は過ぎていて、あとはゆるやかにユーザーに乗り換えを検討してもらいたいと考えています。
言い換えれば、10万キロ以降もトラブルなく走れるような整備はしなくてもいいというか、想定していないように感じてます。
だからこそ、なんとか10万キロ走れるならプラグ交換に関しては交換の目安も表示しないのではないでしょうか。
これは僕の個人的な感想なのですが、プラグメーカーと自動車メーカーでは長寿命タイプのプラグの交換距離に対して見解の違いがあるように感じます。プラグメーカーはもっと早めの交換を推奨したいのかもしれませんね。
・N-BOXのスパークプラグはすべてのモデルに長寿命のスパークプラグが新車装着されている
・プラグの交換に関しては50,000km~70,000kmで点検してみるのがおすすめで、状態がいいならそのまま使用しても可
・新車で購入して10万キロも乗らないまま乗り換えをするならスパークプラグの交換はしなくても問題なく走れてしまう
N-BOXのプラグ交換にかかる費用は?
ターボモデルとNAモデルで交換工賃が違う
N-BOXだけではありませんが、ターボ付きのモデルの場合、エンジンの上側にアクセスしてプラグ交換するので、インタークーラーやパイピングなどを取り外す必要があります。
そのためターボ付き車のほうが、余分な部品を脱着する作業をすることで作業工賃も割高になります。
N-BOXの場合、ディーラーでも一般整備工場でも作業料金はターボ付きモデルはNAモデルの1.5倍から2倍ほど工賃が上がる傾向にあります。
【ディーラー】
・作業工賃 ¥4,000 ~ ¥6,000
・プラグ価格 ¥2,000/本 × 3本
合計10,000円~12,000円ほど
【一般整備工場】
・作業工賃 ¥3,000 ~ ¥4,000
・プラグ価格 ¥2,000/本 × 3本
合計9,000円~10,000円ほど
【ディーラー】
・作業工賃 ¥6,000 ~ ¥8,000
・プラグ価格 ¥2,000/本 × 3本
合計12,000円~14,000円ほど
【一般整備工場】
・作業工賃 ¥2,000 ~ ¥3,000
・プラグ価格 ¥2,000/本 × 3本
合計8,000円~9,000円ほど
N-BOXのプラグ交換をDIYでする方法は?
プラグ交換に必要な工具
プラグ交換にはあまり特殊な工具は必要ありませんし、さまざまな工具の組み合わせで交換作業をすることができますが、
ここでは、普段から整備士として使っている工具を紹介します。
【プラグレンチ】
N-BOXに使われているプラグの太さに合ったサイズのプラグレンチを選ぶ必要があり、JF1・JF2に搭載されているS07A型のエンジンには16mmのプラグレンチを使用します。
T字型のプラグレンチは安価でいいのですが、プラグを緩めるときに力を入れづらくかなり苦戦すると思います。
本来のプラグの締め付けトルクはそれほど高くないのですが、数万キロ走行してあとにはかなり固く締まっていることが多いです。
しかも安価なプラグレンチはマグネットが付いていないので、緩んだプラグをプラグホールから取り出すのに少し苦労するはずです。
できれば、マグネット付きのプラグレンチ単体のタイプのものを用意するのがおすすめです。
【ラチェットハンドル9.5sq】
しっかりと力を加えることができれば値段の安いものでもかまいませんが、DIYを定期的にする方であればコスパを重視しながらも長く使えるものを選ぶのがおすすめです。
【エクステンションバー9.5sq】
150mm(15センチ)ほどのものと、75mm(7.5センチ)のものが一本ずつあればN-BOXのプラグ交換の場合は快適に作業できるでしょう。最小限で抑えたい場合は150mmの差込口が9.5sqのものを用意しましょう。
【10mmソケット9.5sq】
N-BOXの場合は、エアクリーナーダクトやイグニッションコイルを外すときに頭が10mmのボルトを緩める必要があります。
【ミニドライバー】
ミニドライバーは、なくてもなんとかなりますがイグニッションコイルのカプラーを取り外すときにあれば便利です。
【トルクレンチ】
トルクレンチはスパークプラグを締め付けるときに、メーカーから指定されている規定の力(トルク)で締め付けられているかを確認することができます。
なくてもかまいませんが、あればより安心して作業をすることができます。
JF1型のN-BOXのプラグ交換方法
まずはエンジンを上側から見てみます。
↑ ノンターボ車(NA)の場合はエンジン上部はスッキリしていて、大きなダクトを取り外せばシリンダーヘッドカバー(タペットカバー)が丸見えになります。
↑ ダクトはエンジン側に差し込んであるだけなので、丁寧に引っ張り上げるように取り外します。
↑ エアクリーナーダクトは無理に外さなくてもプラグ交換はできそうです。
↑ 丸見えになったイグニッションコイルを固定しているボルトを10㎜ボックスレンチで外していきます。
↑ イグニッションコイルに接続されているカプラーを引き抜いていきますが、少しイグニッションコイルを浮かせた状態にするとやりやすいです。
↑ イグニッションコイルは衝撃に弱いので地面に落とさないように慎重に扱いましょう。
↑ プラグホールが丸見えになるのでプラグレンチをセットしたラチェットハンドルでスパークプラグを緩めていきます。
↑ 取り外したプラグの先端をよく観察することで燃焼室の状態を把握することもできます。
↑ 新しいプラグを組み込んでいく工程はこれまでの逆をしていくだけです。
ただし、新品のスパークプラグはガスケットが潰れながら締まっていくので、トルク管理は気をつける必要があります。
↑ ちなみにターボ仕様のN-BOXのエンジンはこんな感じのレイアウトですが、基本的には作業工程に大きな違いはありません。
最後に
お客さまからのよくある質問として、
「10万キロ走行のN-BOXってどんな整備が必要なの?」
「このN-BOXって寿命はどれくらい?いつまで走れるの?」
「N-BOXって、タイミングベルトの交換はしなくていいの?」
「今までCVTフルードの交換をしないままで走ってきたけど大丈夫?」
こんな質問をいただくことがよくあります。
そこで、別の記事でN-BOXが10万キロ走行したときのメンテナンスや、実際に必要な交換部品などについてお話しています。
トータルでのメンテナンスや費用について知っておきたい方はこちらの記事もチェックしてみてください。
【おすすめ記事】N-BOXは10万キロ走行でどんな交換部品がある?車検は高くつく?
コメント
Hello !
I am from Russia and I have a Honda N-Box JF-3 2018 without a turbine.
Unfortunately, we have very big problems with spare parts, including spark plugs.
Can you tell me how to understand if a spark plug is good or not?
And another question – how often to change the fluid in the transmission? Is it possible to use analogue instead of HCF-2.
I would be very grateful for an answer.
Best regards, Artem.
こんにちは !
私はロシア出身で、タービンなしのHonda N-BoxJF-3 2018 を持っています。
残念ながら、スパークプラグなどのスペアパーツには非常に大きな問題があります。
スパークプラグが良いかどうかを理解する方法を教えてください。
そして別の質問-トランスミッション内の液体を交換する頻度はどれくらいですか? HCF-2の代わりにアナログを使用することは可能ですか?
答えていただければ幸いです。
よろしく、アルテム。
アルテム様
ブログをお読みいただきありがとうございます。
>N-BoxJF-3 2018 を持っています。
>スパークプラグが良いかどうかを
>理解する方法を教えてください。
↑ まず、この型式のN-BOXなら長寿命タイプのスパークプラグなので基本的に外してチェックする必要はありません。
走行距離の目安としてはよほど高負荷な運転条件でないかぎり7万キロくらいは点検不要、無交換でいいと思います。
もしも目視でスパークプラグの状態を確認するなら、プラグ先端部分の外側電極と中心電極の「焼け具合」を見てみてください。
もしも黒くくすぶっていたり、三本のスパークプラグの焼け具合にバラつきがあるようなら交換してもいいでしょうね。
答えてくれてありがとう! 私の車は104000キロの日本から来たので、前の所有者が何をしたのかわかりません。
アルテム様
N-BOXも海外に輸出されるんですね。
日本の車検制度はかなり厳しいので状態はいいかもしれませんね。
ちなみにCVTフルードを交換するならホンダ純正のものを使ったほうがいいのですが、
CVTから異音が出ていたり不具合が分かる場合はフルードの交換はしないほうがいいです。