見慣れない田舎道を走っていると、いきなり行き止まりに入ってしまい、
なんとなくバックしていたらいきなり「ドスン」という音とともに
車体が傾いてしまった・・・・
車の脱輪は経験してみないとわからない非常にショックな事故です。
しかし、脱輪した後がもっと大変かもしれません。
無事にレッカーサービスで引き上げてもらったあと、
ほっとしながら運転していると、車から違和感が・・・?
今回は、車を脱輪してしまったあと、どうなるのかをご説明します。
▼ 関連記事▼
【まとめ】車の事故やトラブルなどの応急処置・修理・予防知識など
車が脱輪すると足回りはどうなる?
前輪を脱輪した場合
車の前輪には舵取り装置であるステアリングギアボックスなどがあります。脱輪してしまった場合、最もダメージを受けやすい部位が「ロアアーム」と言われる、前輪の付け根の部分にあるわりと大きめの部品です。
脱輪をすると大抵このロアアームに地面などが直撃します。すると、ロアアームが下からの突き上げで曲がってしまい、タイヤの取り付け位置そのものがずれてしまうのです。
この状態になるとタイヤの右側と左側の位置関係が変わってしまうため、ハンドルポジションが狂ってしまいます。
この場合、サイドスリップという、前輪左右のホイールアライメントが、正常値からずれてしまっていますので、整備工場で下回りの点検とサイドスリップでの数値の確認が必要になってきます。
もしもロアアームを交換することになると金額にして片側30,000円くらいはいくでしょか。
アルミ製のロアアームを使用しているスポーツタイプやミドルクラスの車ならロアアームだけで50,000円とか・・・・
後輪を脱輪した場合
後輪は車種によってダメージが変わってきます。おもに後輪駆動車と前輪駆動車で構造が全く違うからです。
この場合、脱輪したときのダメージが大きいのが後輪駆動車となります。
FF(前輪駆動車)の場合は後ろの足回りはかなりシンプルで、車の走行性能にはそれほど大きな影響を与えないことが多いです。
ちなみに、ほとんどの軽自動車はこのFF(前輪駆動車)です。※貨物車は除く
それに対して、後輪駆動車はトラクション(駆動力)を伝える重要な部品が後ろの足回りに集約されています。
ただし、脱輪した場合などを想定して設計されているので、特に需要な部分は車体の奥のほうに配置されていることが多いです。
後輪駆動車で重要な足回りは「デフ」とか「プロペラシャフト」ですが、実際に脱輪して損傷を受けることが多いのは前輪と同じく「ロアアーム」でしょうね。
車の駆動方式によって脱輪のダメージも違ってきます。
たとえば、前輪駆動車の前側を脱輪すると大事な部分が集まっているので、かなりの損傷を受けていることもあります。
車が脱輪したダメージはどうすればわかる?
基本的には脱輪したダメージは整備工場で車体の下回りを点検しないことには把握できかねます。
ですが、脱輪した直後に判断することができるケースもあります。
たとえば、車体の下側からなにか液体が漏れ出していないかどうかをチェックしてみてください。
車体の下回りに液体が漏れていないかをチェック
車が脱輪した場合、エンジンオイルやオートマチックのフルード、冷却水などの油脂類が漏れ出すことがあります。
これは、オイルパンというオイルを溜ておく部分ですが、たいていは車体の下側付近にあるため、脱輪した際に損傷を受けることが多いです。
赤い液体がこぼれている場合
トヨタ車やダイハツ車は冷却水に赤色やピンク色の着色をしています。スバルの軽自動車も最近はダイハツ車のOEMなので冷却水はピンク色が多いです。
この場合は冷却水が入っていないのでエンジンをかけて走行することはできません。
また、赤い液体はほかにもあり、オートマチックフルードも濃い赤色に見えることが多いです。
この場合も走行することはできません。無理に走らせるとオートマチックが壊れるので高額な修理になってしまいます。
そもそもオートマチックフルードが大量に漏れ出した場合は、自走をすることができないかもしれません。
緑色や青色の液体がこぼれている場合
緑色とか青色の液体だと、かなりの確率で冷却水だと思われます。
上記のトヨタ車やダイハツ車など以外の、スズキ、日産、ホンダ、スバルの普通車、ミツビシなどは冷却水が青いことが多いです。
当然、冷却水が漏れていますので自走はできません。
まとめると・・・
基本的にはなにかしらの液体が漏れているのであれば自走はしてはいけません。
レッカーサービスを要請し、到着したサービスマンに漏れた液体のことについて尋ねてみるといいでしょう。
サービスマンが整備士であることも多いので、損傷に対する今後の修理のプランや時間について答えてくれる場合もあります。
走行中の違和感はかなり大事な判断基準
脱輪した後で無事に脱出することができても、走行しながら、
「あれ?なんか変な感じがする」
となった場合は、明らかに足回りになんらかのダメージを負っていると考えていただいて間違いありません。
違和感を感じた時点で、脱輪のダメージや後遺症はかならず残っていると考えてください。
ハンドルポジションがおかしい場合
片方の車輪だけを脱輪した場合、もっともダメージを受けやすいのがロアアームです。
ロアアームが曲がってしまうとタイヤの取り付け位置がずれてしまうのでハンドルをまっすぐしようとしてもどちらかに曲がろうとしてしまう症状がでます。
こういった、ハンドルポジションが脱輪する前とあきらかに変わってしまった場合は、整備工場で点検を依頼しましょう。
最も軽い損傷だと、サイドスリップの調整だけで終わるケースもあります。
車が脱輪したときの修理費はいくら?修理期間はどれくらい?
脱輪のレベルによりますので、ここではかなりざっくりな金額しか例に出せませんが、一輪だけの脱輪は比較的に軽めの修理でいけることもあります。
それに対して、両輪を脱輪してしまった場合、とくに前側を両輪とも脱輪した場合はかなり高額な修理になってしまうケースが増えてしまいます。
前側を片側だけ脱輪した場合
この場合はおもに前側のロアアームという部品が曲がってしまっているケースが多いです。
前側を左右とも脱輪した場合
この場合はエンジンやオートマチックなどを直撃している可能性もあります。
特にアルミ製のオイルパン(エンジンオイルが入っている場所)を強打した場合はオイルパンの交換となり、10万円以上になることもあり得ます。
また、冷却水が漏れている場合は車体の前側(コアサポート)付近がダメージを受けています。
この場合はラジエーターを交換するだけでなく、車体のゆがみを板金修理することになりますので20万円くらい簡単にいってしまいます。
後ろ側を左右とも脱輪した場合
この場合はマフラーが折れ曲がってしまっていることがよくあります。
その場合だとマフラーのセンターパイプをごっそりと交換しますので、4万円くらいはゆうにいきます。
また、燃料タンクが後ろ付近にあるので、燃料タンクがべっこりと凹んでしまっていることもあります。5万円くらい?
上記のマフラーと燃料タンクがセットで交換となることもありますので片輪だけの脱輪よりはかなり高額な修理となる可能性があります。
片側を前後とも脱輪した場合
右側の車輪を前後とも脱輪したとかよりも左側の車輪を前後とも脱輪することが多いです。
どちらにせよ、この場合は前後のロアアームが曲がってしまっているので前後で六万円くらいは必要かもしれません。
また、タイヤがバーストしてしまっていたり、ホイールが曲がってしまっていることもあります。
最後に・・・
どれくらいのダメージを受けているかどうかは事故の大きさで全く違ってきます。
今回の脱輪のお話は、比較的に低速からの脱輪を例に挙げています。
また、田んぼのあぜ道とか柔らかい場所での脱輪だと、レッカーサービスで救出され、
そのまま点検をせずに走っている方もわりといます。
車検の時にお話をしていて「そういや脱輪したことあった」なんて聞かされることもありますが、
どんなに軽い脱輪でも必ず整備工場で下回りの点検を依頼することをおすすめします。
コメント