ウォッシャー液出ないんです。ウィーンってモーター音はしてますけど。
こう言った内容のご依頼を受けて車の点検をすることはよくあります。
モーターの作動音がしているのにウォッシャー液が出ない原因で最も多いのは液が無くなってしまっただけの場合です。
その場合はとりあえず水道水でも入れていただければいいのですが、液量が正常なら意外と修理費がかかることもあります。
今回は『ウォッシャー液が出ないがモーターの音はしている』という症状の原因や修理費用についてのお話です。
ウォッシャー液が出ないがモーター音はする|原因の探し方
音がするならモーターは異常なし?
モーターそのものが壊れてしまった場合はモーターが作動するときの「ウィーン」という音はしません。
とりあえずモーターは動いているということになるので、次に疑うべきはウォッシャーの液がタンクに残っているかどうかです。
ウォッシャータンクはエンジンルームにはない?
エンジンが車体の前側にあるようなオーソドックスな形状の場合、ウォッシャー液はエンジンルームの「近く」にあります。
よくあるのがバッテリーの近くに配置されていたり、エンジンルームにウォッシャー液の注ぎ口だけが見えているパターンです。
ウォッシャーのタンクはわりと大きく場所を取るので狭いエンジンルームには配置できませんが、たいていはフロントガラスの近くにあります。
まずは注水口の蓋をはずしてみたり、横から液量が見えるタイプならウォッシャー液の量を確認してみます。
ウォッシャーの液量の見方
ウォッシャー液がタンクに入っているかどうかを確認するには、
・半透明のタンクを横から見る
・注水口のフタがレベルゲージになっている
・注水口を外すとフロートが見える
上記のどれかの確認方法が一般的です。
タンクが丸見えのタイプならウォッシャー液の量はすぐにわかりますが、レベルゲージやフロートの場合はフタを外して確認します。
もしもわかりにくい場合はとりあえず水道水を注水口から入れてみて口までいっぱいにしておきます。
このとき、水を入れすぎて溢れさせてしまわないように注意して液面が確認できるくらいで水を入れるのはとめておきます。
水を入れてみると答えが出ることもある
ウォッシャータンクにしっかりと水を入れてみて、ウォッシャー液を出してみて無事に液が出るようになったら、単なる液不足ということになります。
ただし、タンクから水漏れをしていることもあるので、水を入れたらそのまましばらく車の下に水が漏れてこないか観察します。
ウォッシャータンクは注ぎ口の真下や少しオフセットした場所、フロントバンパー裏側にあります。
ウォッシャーのホースが抜けていることも
フロントガラスの近くにあるウォッシャーノズルから液が出てこない場合で、液が入っていることもあります。
ボンネットを開けてみるとウォッシャーのホースが途中で抜けていてエンジンルーム内にウォッシャー液が噴射されていたこともあります。
原因は途中の樹脂製の継ぎ手が割れてしまっていたり、ノズルが詰まっていたことでホースの内圧があがり、ホースが抜けてしまうこともあります。
ほかにもウォッシャー液が出ない原因はいろいろあるので、次の章でお話していきます。
ウォッシャー液が出ない原因
ウォッシャーノズルが詰まっている
意外にも多いのがウォッシャーの出るノズル先端が詰まってしまっていることで液が出てこないことがあります。
ボンネットからノズルが突き出すように付いている車種の場合、固形のワックスをボンネットにふんだんに塗り込んだときにノズルにもワックスが入り込んで固着していることもあります。
その場合は安全ピンや文具用のクリップを加工したものでノズルの先端を掃除してあげると問題なく液が出るようになります。
ウォッシャーのホースが抜けている
先程述べましたが、ノズルの先端が詰まっている状態でウォッシャー液を出そうとしつづけると、ホースの内圧が上がりすぎてホースが抜けてしまうことがあります。
ほかにもホースとホースの継ぎ目の部分にある部分が詰まってしまうことでホースが抜けてしまうことがあります。
ワンウェイバルブが固着している
ワンウェイバルブはウォッシャー液が逆流しないようにするためのもので、ウォッシャータンクとノズルの中間点やノズルの近くにあります。
細いパイプの中にチェックボールと呼ばれる小さなボールとスプリングでウォッシャー液が逆流しないように一方通行にしてあります。
このチェックボールが動かなくなるとワンウェイバルブの役割りをしなくなり、完全に通路を遮断してしまうことがあります。
この状態でウォッシャー液がモーターの力で送られるとホースが抜けてしまうことがあります。
ウォッシャータンクから水漏れ
意外と多いのがウォッシャータンクが劣化して割れてしまいタンクの底が抜けてしまっている状態です。
ウォッシャー液が残っていないのでウォッシャーモーターが空回りするため、いつもよりも甲高い音で「ウィーン」という音がします。
この状態でモーターを動かし続けているとモーターに負荷がかかりすぎて壊れてしまうことがあります。
ウォッシャーモーターから水漏れ
ウォッシャーモーターはタンクの底の付近にあり、タンクに開けられた穴に差し込むように取り付けられていて、モーターの電源はタンクの外側に、ポンプはタンクの中に浸かるようになっています。
モーターのパッキンが経年劣化
モーターとタンクのすき間からウォッシャー液が漏れてこないようにゴム製のパッキンがあり、パッキンの弾力だけでシールされています。
ゴム製のパッキンなので10年以上経過している場合は経年劣化でゴムが硬化して割れ、すき間からウォッシャー液が漏れてくることがあります。
モーターの内部からの漏れ
パッキンに問題がなくてもモーター内部のポンプにガタができて密閉性が落ちて水が漏れることがあります。
レアなケースとしてはモーター内部に水分が入ることでプラス電源とマイナス電源がショートしてしまいヒューズが飛んでいたことも過去にはありましたが、今はほぼ起きない症状です。
パッキンからの漏れにせよ、モーターからの漏れでも修理としてはその両方を交換してしまうことになります。
ウォッシャー液が出ない場合の修理費用
ウォッシャーノズルの詰まり
ノズルは100円、交換料は・・?
ウォッシャーノズルは小指の先くらいの樹脂製の物が多く、ノズル単体の部品設定がある場合は100円ほどで購入することができます。
ボンネットにくっついている場合は「パチン」と差し込むだけで交換できる場合もありますが、ボンネットの裏側にグラスウールなどの断熱材が貼り付けている場合は少し手間がかかります。
断熱材を外すのは難しくないですが、大抵はエンジンの熱でボロボロになって朽ちているので、外してしまったが最後、再使用できないこともあります。
この場合のノズルの交換作業料金をトータルで出すと
ノズル 200円
断熱材 8,000円
交換作業料金一式 5,000円
というところでしょうか。
とくに輸入車で断熱材が貼ってあるケースが多いです。
上記の場合は少し特殊なケースと言えますが、ノズルの交換料金は1,000円にも満たないことがほとんど。
ワンウェイバルブの詰まり
古い車で起きる症状ですが、ワンウェイバルブが単体で取り寄せすることができる場合は500円もしないようなものですが、えてして古い車の場合は部品が製造廃止になっています。
その場合、ウォッシャー液が出ないと車検に合格できないのでそこらへんの廃車からそれらしい樹脂製のパイプを頂いてきて対応することもあります。
ワンウェイバルブの交換
部品代 500円ほど
交換作業料金 0円から1,000円ほど
ウォッシャータンクの交換
ウォッシャータンクが劣化して割れてしまっている場合はタンクを交換することになりますが、タンクがどこに配置されているかで交換費用はかなり違ってきます。
「ポン付け」されているタンクの場合
まるで後付けしたように丸見え状態のウォッシャータンクの交換なら交換はユーザーさんが自分でできてしまうレベルです。
タンクの部品代が2,000円から3,000円ほどで、交換作業料金は1,000円ほど。
6mmボルト1本で取り付けられているものやステーに差し込んだだけのものもあります。
フロントバンパーの奥にある場合
乗用車タイプの場合はエンジンルームにタンクを配置する場所がないのでフロントバンパーの奥、フロントタイヤ周辺のインナーライナーを外さないと交換できないことがあります。
エンジンルームの上からも手を入れ、フロントタイヤを外して下からもアプローチする必要があります。
タンクの部品代が3,000円ほど、交換作業料金が8,000円くらいかかる場合も多いです。
ウォッシャーモーターの交換
↑ ウォッシャータンクは見えていてもモーターはタンクの下側付近にあるので意外と交換には手間がかかることがあります。
タンクを外さずに交換できることがほとんど
ウォッシャー液の雨を降らせたくないのでタンクの交換とおなじく中身の液をすべて抜いてしまってからの交換となります。
ただ、タンクは車にくっついたままでウォッシャーモーターの交換をすることはできます。
手順としては、ウォッシャー液を抜いてモーターにつながっているホースと電源のカプラーを外してから、タンクから引き抜くだけで外すことができます。
ウォッシャーモーターの交換手順
フロントバンパーの裏側にウォッシャータンクが配置されている場合、フロントタイヤを外してタイヤハウスからアプローチしてモーターを交換します。
今回はマツダのデミオを例に交換手順を紹介します。
フロントタイヤを外す
タイヤを左いっぱいに切った状態でも作業はできますが、リフトアップできる環境ならタイヤを外してしまうほうがさらに作業性はよくなります。
インナーライナーを一部外す
↑ ウォッシャータンクからモーターを外した状態。タイヤを外してしまえばインナーライナーも外しやすく作業性も良くなります。
右フロントバンパー周辺のアンダーカバーとインナーライナーを留めている樹脂製のクリップを外してウォッシャータンクに手が届くようにしておきます。
ウォッシャーモーターの接続を切る
予めウォッシャー液を抜いておくことが前提ですが、モーターに接続されているカプラーを外し、ウォッシャーノズルにつながるホースも抜きます。
モーターとパッキンを交換する
↑ 新しいモーターをタンクに差し込むようにセットしてホースや電源を接続していきます。
ウォッシャーモーターはタンクに差し込むように付いているだけなので、グリグリと引き出しながらマイナスドライバーなどでこねて外します。
タンク側に残った黒いパッキンを外し、新しいモーターとパッキンを組み付けます。
このとき、パッキンにシリコングリスなどのゴムを傷めない潤滑剤を塗っておくとパッキンがよじれにくくできます。
接続できたら作動チェック
ホースやカプラーと新しいモーターを接続できたらウォッシャータンクに少し水道水を入れて水が漏れてこないかをチェックします。
漏れがなければ今度はウォッシャー液が出るかどうかを確認し前後のノズルから勢いよく出ればOK。
外したパーツを元通りに組み付けて作業完了となります。
ちなみに、マツダ車のホイールナットの締め付けトルクは108N・mです。
国産乗用タイプのウォッシャーモーター交換費用
上述したようなフロントバンパーの奥にウォッシャータンクがある場合は同じような作業手順となります。
タイヤ脱着を含めて作業料金は4,000円~6,000円くらい
ウォッシャーモーターが2,000円~3,000円くらい
作業時間は40分少々
トータルの修理費用は6,000円~1万円くらいでしょうか。
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