30系プリウスになって、トヨタのハイブリッドカーとしての完成度はものすごく上がったと感じています。
それは車検などで入庫したお客様のプリウスのブレーキを点検していてヒシヒシと感じます。
30系プリウスや40系のプリウスαは、いったいどれくらいブレーキパッドの交換をしなくてもいいのでしょうか。
ところが、ここしばらく、新車から七年目とか、それ以上経過しているプリウスのブレーキパッドでも
かなり消耗しているケースがありました。
今回は、主に30系プリウスのブレーキパッドの交換時期や異音についてのお話です。
▼ 関連記事▼
【ハイブリッドカーまとめ】バッテリーの寿命・車検・メンテナンスなど
30プリウスのブレーキパッドは交換時期が読みづらくなった?
30系プリウスはファミリーカーにもなりますが、会社で使用する営業車などの社用車としてもつかわれることがおおいです。
そのため、年間走行距離がものすごく伸びる、「過走行車」も当整備工場に入庫してきます。
僕が担当した30系プリウスでは、年間走行が3万キロくらい、じつに三年間で9万キロを走破する車両もありました。
ところが、ブレーキパッドを点検してみると7㎜くらいもあるではありませんか!フロントパッドもリアパッドもほぼ同じくらい。
新品のディスクパッドは大体11㎜くらいはあったと思いますので、63%くらい残っている計算になります。
これ、ほんとに20万キロは軽く走れてしまうんだなって思いました。
他にも30系プリウスのブレーキの点検をする機会は多かったのでかなりの台数の30系プリウスの状態を確認できました。
ざっくり言うとディスクパッドが1㎜消耗するのに15,000㎞から20,000㎞以上走行できるみたいです。
経年劣化がブレーキの消耗に影響をあたえた?
ところが、最近入庫した30系プリウスで、かなりブレーキパッドが消耗している車両がありました。
走行が約7万キロ、フロントのディスクパッドが5㎜ほど。
これは、通常のエンジンのみで走行する乗用車とほぼ変わらないレベルです。
しかも、ブレーキパッドの内側と外側で消耗の仕方にバラつきがありました。
ある程度古くなってくると、ディスクパッドの動きが悪くなると、「軽いひきずり」を起こすことがあります。
運転手はブレーキペダルを離していても、ディスクパッドが少しだけディスクローターに触ったままで走っています。
そのため、常に少しだけブレーキを効かせながら走っているわけで、ブレーキパッドの消耗が早まってしまうこともあるのです。
ユーザーは若い男性でヤンチャな走りもする?
この30系プリウスの場合、サラリーマン風の二十代の男性なのですが、
タイヤの消耗の仕方などを観察していても、けっこうヤンチャな走りをするのがわかりました。
いわゆる「急のつく運転」というやつで、急アクセル、急ハンドル、急ブレーキのことです。
ここでユーザーさんの中にはかなりハイブリッドカーに対して誤解しているところがあります。
まず、発電機で車にブレーキをかける「回生ブレーキ」はつねにブレーキを踏んだら同じだけ作動するわけではありません。
緊急でブレーキペダルを踏み込んだ時は、おもにディスクブレーキが作動します。
あくまでも回生ブレーキは余った動的エネルギーを回収するためのものですから、緊急時にはそれどころではありません。安全第一でこれまでの車たちと同じようにディスクブレーキが車を止めてくれます。
つまり、プリウスといえど、スポーツカーみたいな走り方をすると、ほとんど回生ブレーキが作動するまえにディスクブレーキが仕事をします。
その結果、ブレーキパッドの消耗がかなり早まってしまうのです。
走らせ方でブレーキパッドの消耗が大きく違ってくる
別の記事でも紹介しましたが、燃費をよくする運転をすることでハイブリッドカーは回生ブレーキがしっかりと電気を回収してくれます。
その結果、ブレーキパッドの消耗が非常に緩やかになるのです。
■関連記事 ハイブリッドカーはエコじゃない?!燃費のいい走り方と運転方法教えます
プリウスのブレーキからのキーキー音の原因
30系プリウスで多くなってきているのが後ろのディスクパッドの異音でしょうか。20系プリウスは後ろのブレーキはドラムブレーキだったのでこのトラブルはありませんでした。
一般的なブレーキの鳴きと同じパターン
プリウスだけではありませんが、ディスクブレーキがキーキーと鳴くことはよくあることです。
「ブレーキ鳴き」とは、ディスクパッドが冷えているときに発生するパターンと、ブレーキがかなり熱を帯びたときにだけ発生するパターンの二通りがあります。
原因はディスクとパッドとの間で発生する擦れ音で、ディスクの表面の温度が変化することでパッドとの摩擦係数も変化し、鳴きが発生する温度が違ってきます。
この手のブレーキ鳴きを完璧になくすことは非常に難しいと思います。
ディーラーの整備士さんも新車から発生するようなブレーキパッドの鳴きには苦労させられているはずです。
プリウスでも30系特有のブレーキの異音
「リアのディスクパッドのガタや引きずり」これもディスクの表面の温度でブレーキ鳴きが発生するパターンには違いないのですが、
ブレーキパッドが常にひきずった状態のために鳴きが発生するパターンもあります。
原因としては30系プリウスで多いとされる後ろのディスクパッドのキャリパー部分のガタの発生です。
このガタのせいでブレーキパッドが均等に摩耗しなかったりすることがあります。
また、ブレーキパッドがセットされている、「マウンティングブラケット」と呼ばれるパーツとディスクパッドの接点部分の動きが悪くなると
ディスクパッドの戻りが悪くなり、つねに引きずりを起こしながら走行するため、ディスクパッドの消耗が早くなったりする原因になっています。
このとき、ディスクローターの表面温度も高いままで維持されるのでブレーキ鳴きが発生しやすい状態になっているのです。
コメント