新車のカタログに記載されている燃費の数値。ところが、あのとおりの燃費で走れた方はいないんじゃないでしょうか。
とくにハイブリッド車はカタログでは34㎞/Lとか記載されてますけど、ぜんぜん遠く及ばないこともあるでしょうね。
ではあのカタログ値は嘘なのか?
もちろんそんなことはありませんが、燃費の測定に関するカラクリもあって、あんな数値になっています。
今回は、ハイブリッド車にお乗りのお客様から実際にお問い合わせいただいた内容に基づいて
ハイブリッド車の燃費が良くなる運転方法などをご紹介します。
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ハイブリッド車がエコじゃないといわれるワケ
新車のカタログでの燃費の数値。あの測定方法の「10・15モード燃費」って聞いたことはあるでしょうか?
2011年まではこの測定方法で新車の燃費を測定していたのですが、この10・15モードがちょっと曲者でしてね。
詳しくは割愛しますけど、この古い測定基準だとアイドルストップ車とかハイブリッド車はやたらと測定値がいいようになってしまうのです。
まぁ、あまりメーカーのことを悪く言いたくはありませんが、少しでもカタログでの数値をよく見せたいから10・15モードに照準を合わせた設計をしてる、と見れなくもない部分もあります。
ですので二代目のプリウスや三代目のプリウスなどは10・15モードで測定した数値でカタログに乗せると、驚異的な燃費を叩き出しているわけですね。
こういう抜け穴のような燃費測定基準が今の時代やテクノロジーに沿ってないだろうということで
2011年以降は「JC08モード」という、新しい燃費測定の基準が採用されるようになりました。
10・15モードでは、実際の走行での燃費とは40%は違うと批判されていて、JC08モードでは20%ほど違うといわれています。
まぁ、燃費の測定をするときなんかは運転に慣熟したテストドライバーが、少しでも燃費をよくするための運転をしているわけですから、
僕ら一般ドライバーの運転とは違ってきますね。
ちなみにですが、夏場にエアコンをクーラーにすることで燃費はさらに悪化しますので、
僕自身の経験ではJC08モードよりも35%くらいは違うかなと考えています。
ハイブリッド車の燃費のいい走り方とは
ハイブリッド車といえど、燃費が悪くなる走り方はあります。
ざっくり言えば「急」のつく運転。
「急アクセル」「急ハンドル」「急ブレーキ」
エネルギーを無駄に使うわけで、危険な運転にもなりますから、いいことは一つもありません。
余談ですが、こんな運転をしていると車の故障原因や消耗品の寿命にも大きく影響します。
で、ここまでは車の運転の基本中の基本なわけですが、ハイブリッド車ならではの燃費のいい走り方も重要になってきます。
先に答えを言ってしまうと「回生ブレーキをいかに使うか」ということがハイブリッド車の走らせ方のキモになってきます。
先日、当工場のプリウスにお乗りのお客様がこんなことを言っていました。
客「ブレーキ踏んだら発電してくれるんでしょ?」
僕「はい、回生ブレーキといって・・・・」
客「だからぁ、ギュって踏むのよ、ブレーキを!」
僕「はい・・?いえ、そうじゃないんですよ・・」
少し絶句してしまいながら、お客様にはなるべくかみ砕いてお話はしていきました。
回生ブレーキをもっとも活用するブレーキングとは
回生ブレーキはあくまでもブレーキとしては補助的なものだと考えてください。
万一の緊急ブレーキでは、ハイブリッド車といえども、「確実に車を止める」ということを優先しますので、
タイヤの奥にあるブレーキパッドが物理的にディスクローターを挟んで制動力を確保します。
つまり、急ブレーキを踏んだ時はほとんど回生ブレーキは仕事をしていないわけで、エネルギーの回収をするだけの余裕がありません。
そのため、比較的に急ブレーキに近いブレーキングをする運転ではエネルギーを回収できていない、つまり燃費に悪い運転をしていることになるのです。
軽いブレーキを長くが回生ブレーキを活用するコツ
それでは回生ブレーキがたくさん仕事してくれるブレーキの効かせかたとはどんな踏み方なのでしょうか。
まず一番に言えるのは、ブレーキをチョコンとだけ踏んで、長い距離で車体を止めていくブレーキングです。
これは、ハイブリッド車のメーターの中にある電気の回収状態をモニターできる表示にするとよくわかります。
ハイブリッド車のブレーキシステムはコンピューターで緻密に制御されていますのでブレーキの踏み始めは安全のために回生ブレーキはそれほど作動しません。
緊急なブレーキんでないと判断できれば次第に回生ブレーキの制動配分が増えてきます。
エンジンブレーキがそのまま回生ブレーキに
ブレーキを踏むことは動力エネルギーをある程度ロスしてしまいます。
回生ブレーキのエネルギー回収率はまだまだ完全ではありませんので、
ブレーキを踏むこと自体がエネルギーの損失となりますので、理想的にはブレーキを踏まないことがいいわけです。
実際の交通状況に合わせながらノーブレーキで走ることは難しいですが、踏む頻度を少なくすることはできます。
周りの車の状況を判断し、特に自分の前の車、さらにはその前に車、、前方の状況を先読みすることで、
アクセルペダルを離して惰力だけで走りながらゆるやかに減速すしている状況。
いわゆるエンジンブレーキを効かせている状態は、もっとも回生ブレーキがエネルギーを回収している状態といえます。
ハイブリッド車の運転方法のキモ
ハイブリッド車の燃費を少しでも良くするには回生ブレーキを活用することが大事だと説明しました。
上記のように、緊急ブレーキを避け、フットブレーキを踏む回数を抑え、さらにはエンジンブレーキを活用する運転を心がける。
これらを一言でいえば、車検距離を多くとり、安全運転をする、ということでもあります。
また、発進するときの燃費の悪化を抑えるには、EVモードなどの、モーターの動力だけで発進させることで燃費の改善をすることができます。
ですが、メインバッテリーに回収された電力があまりない状態だと、ハイブリッド車は自ら判断してEVモードをストップしてしまいます。
つまりエンジンが主に仕事をして走ってしまうのです。当然燃費は悪くなっていきます。
なので、
・回生ブレーキを活用してメインバッテリーの残量を増やす
・メインバッテリーの残量があれば発進時にモーター駆動できる
という、燃費をよくするためのサイクルができあがるのです。
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