エンジンのマークをした警告灯が点灯すると、本来はなんらかのエンジンの不具合が発生します。
ところが、なんの問題もなく車を走らせることができるケースが意外におおいです。
さらに、エンジンマークの警告灯がたしかに点灯したはずなのに、気がついたら消えていた、なんてこともあります。
今回は、エンジンマークが点灯したり消えたりする場合はどういう意味なのか、そのまま車を走らせてもいいのか、についてのお話です。
エンジンの警告灯が点灯する原因とは
警告灯としては範囲が広すぎる?
エンジンの形をした警告灯はエンジンそのものが壊れているのではなく、エンジンを制御するためのなんらかの電子部品の不具合によることがほとんどです。
ただ、ひとことでエンジン制御に関する部品といっても、かなりたくさんの部品が該当します。
エンジン周辺のセンサーとは
まず、思いつくだけのエンジンの制御に関係するセンサー類を挙げると・・・
・カム角センサー
・クランク角センサー
・水温センサー
・O2センサー
・吸気温度センサー
・イグニッションコイルの失火履歴
・ISCV(アイドル・スピード・コントロール・バルブ)の不良
・エアフローセンサー
・スロットルポジションセンサー
・電子スロットルボディ
・バキュームセンサー
・ノックセンサー
・車速センサー(AT警告灯に含まれる場合もあります)
他にもいろんなセンサーがありますが、ざっくりといえばこれくらいのセンサーがあります。
ただし、トヨタ系のエンジンにはバキュームセンサーがあるのでエアフローセンサーがない場合や、
ABSからの車速信号を拾うタイプの車種には車速センサーがなかったりなどなど、メーカーやエンジンによってはそもそも存在しないセンサーもあります。
で、ここからが問題なのですが、これら上述したセンサーのどれかひとつでも壊れてしまうとエンジンのマークの警告灯が点灯してしまうということなのです。
エンジンマークだけでは不具合の内容がわからない
つまり、このエンジンの形をした警告灯が点灯しても、具体的にどんな故障なのかはドライバーにはわかりません。
プロの整備士でもこれは同じで、専用のコンピューター(外部診断機)を車側のコンピューターに接続して初めて故障の内容がわかります。
しかも、車を運転していて、普段とまったくかわらないようにエンジンの調子がいいときもありますので、なおさら
「エンジンのなにがおかしいの・・・?」
となってしまうわけです。
エンジン警告灯が点灯しても症状が出ないケースとは
エンジンの回転を制御しているのはECUと呼ばれるメインコンピューターですが、ECUにいろんな情報を送っているのが各センサーです。
じつは、これらのセンサーの中には、壊れても問題なく走行できるセンサーもあります。
O2センサーのトラブルは定番?
たとえば、僕の経験でも、他の整備士さんでも圧倒的に多いのが、「O2センサーヒーターの断線」というトラブルです。
つまり、O2センサーの不具合が原因でエンジン警告灯が点灯するのですが、O2センサーそのものの機能が失われたのではなく、たんなるO2センサーのレスポンスを良くするための暖気用のヒーターが断線しているだけなのです。
本来のO2センサーとして、酸素濃度を測定してメインコンピューターに情報を送ることはできるので、排気ガスのHC(炭化水素)が異常に濃くなるようなこともありません。
よくお客様から、
「エンジンのマークが点いたからディーラーで見てもらったけど、
そのまま乗ってても問題ないって言われたんです」
↑これなんかはO2センサーのヒーターが断線しているだけというケースが非常に多いです。
O2センサーのヒーター断線が多い車種
このトラブルが多い車種を紹介すると
もちろん他のメーカーでもちょくちょくあるのですが、とにかくダイハツ車が定番といった感じです。
同じ不具合は故障履歴として点灯したままになる
エンジン警告灯が点灯していても、その瞬間になんらかのエンジン周辺のセンサーが故障しているとは限りません。
車種によっては該当しないケースもありますが、ほとんどの場合、エンジン制御に関するセンサーが異常な数値をECU(メインコンピューター)に送ったとき、ECUはその情報を記憶しています。
仮にエンジンを停止してイグニッションスイッチをオフにしてしまってもその履歴は消えません。
もしも、故障したセンサーが一時的に正常に戻った場合、エンジン警告灯は消えて表示されません。
ところが、ECUが同じセンサーからの異常な数値を2回検出した場合、エンジン警告灯は点灯したままになることがあります。
その後、センサーが一回目と同じように一時的に正常になった場合でも警告灯は消えなくなるのです。
ということは、エンジン警告灯は点灯したままでも、不具合もなく一時的に正常になっていることもあるのです。
当然ですが、この状態ではエンジンも正常でなんの問題もなく車を走らせることができます。
エンジン警告灯が消えたらもう問題はない?
ドライバーの意識が低下することが問題
本来は、このエンジン警告灯は、ドライバーに注意をうながすために点灯します。
ただし、エンジンオイルの警告灯のように赤い色で表示されるマークではないので、あくまで注意喚起のレベルです。
エンジンが焼き付いてしまうとか、ブレーキが全く効かないといった、命に関わるような赤い警告灯ではないうえに、エンジンのマークが点灯しただけではほとんど不具合の内容は把握することができません。
エンジンマークが消えても問題解決ではない
そのため、チェックランプが点灯しても、エンジンを再始動したら警告灯が消えているようなケースだと、運転手は気にしないことがおおいです。
まるでパソコンの不具合のように再起動したら問題なく使えるようになったというイメージでいる運転手もわりといます。
ですが、このエンジン警告灯が一度でも点灯したということは、なんらかの不具合がエンジン周辺で起きているということです。
誰しも面倒なことは先送りにしたくなるものですから、
「あれ?ヘンなマークが消えた・・?じゃあ、ま、いっか」
という考えになるとは思いますが、まずはディーラーや整備工場に相談することが望ましいです。
なぜなら、一時的とはいえ、警告灯が点灯したということは、なんらかの大きなトラブルの前触れの可能性があります。
「チェックエンジン」は消えているのが正常
結局のところ、エンジンの警告灯が点灯していても普通に走れるという経験をした車のオーナーさんは、「あのマークはたいしたことじゃない」と考えてしまうのが一番の問題といえます。
「点いてて当たり前」に慣れてしまう怖さ
たった一つのエンジンのマークをした警告灯ですが、上述したように、かなり多くのセンサー類の異常を知らせる役割をしています。
つまり、エンジン警告灯が点いたままだと、あらたに重要なセンサー類の不具合が発生しても、メーター内の表示は変わらないままです。
とうぜん、ドライバーはあらたに不具合箇所が増えたことにはまったく気づかないため、そのまま運転をしてしまうことになります。
そのためにも、非常時に備えて、安全やトラブルに支障がないようなセンサー類の故障でも、修理をして警告灯は消しておくべきなのです。
まとめ
エンジンマークの警告灯は、エンジンの制御に関連したセンサーと呼ばれる電子部品からの異常な数値をコンピューターが検知することで点灯します。
しかし、たった一つのエンジンマークが点灯してもその内容は専用の外部診断機を車に接続しないと確認することができません。
やっかいなことに、センサーの中には壊れてもエンジンの制御にほとんど影響を及ぼさないものもあることです。
エンジンチェックランプが点いたり消えたりしたら・・
まず警告灯が点灯したままの場合は
・エンジンが通常と同じように回転しているかどうかを確認
・問題ないようなら、そのまま走行してもOK
・高速道路などの走行はひかえる
・警告灯が消えても必ず整備工場に診断を依頼する
・エンジン制御に大きな影響を与えないセンサーでも必ず交換する
以上のことを念頭に早めの点検を受けるようにしましょう。
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