CVT故障の前兆について整備士が解説|CVTが故障しやすい原因や運転方法とは

CVTオーバーホールCVT

CVTが故障する時って、予兆というか前兆みたいなのはあるの?
できれば完全に壊れる前に手放すとか車検をやめるとかを考えたいんだけど。

CVTを搭載する車が市販されて20年以上経ちますが、発売当初のものと比べると今では耐久性も乗りやすさも格段に向上しています。

とはいえ、故障に関してはAT車よりCVT車のほうが多く、僕自身も整備士としてお客様から相談や修理の依頼を受けることが多いです。

そこで今回は

・CVTが故障する前兆について実例を紹介しつつ解説

・CVTが壊れやすい原因や運転方法を知って故障リスクを下げる

こんなお話をしてきます。

サボカジ
サボカジ

すでにCVTに故障の前兆が見られる車でも、運転方法を改善するだけでCVTの故障リスクを下げられるんです。

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CVTが故障する前兆について

CVTイラスト6

整備士を長くやってきた僕の経験としては、CVTがいきなり壊れるというパターンは意外に少なく、なんらかの前兆が確認できることが多いです。

ですが、一般的なユーザーさんはそれを故障の前ぶれと認識することは少なく、不具合がはっきりと分かるようになってから整備工場に相談します。

これは致し方ないことなのですが、走行中に車が動かなくなるような最悪のトラブルを避けるためにも、故障の前兆について知っておきましょう。

CVTから異音がする

CVT異音 ウィーン ウォーン

エンジン始動時にモーターのような音がする

エンジンが冷えているときにCVTからモーターのような「ウィーン」といった異音がするケースが多発しています。

僕の経験ではダイハツの初期のCVTで確認することが多かったのですが、毎日エンジンをかけるような場合はあまり起きず、年間走行距離が少ないと発生しやすくなります。

車を動かさない期間が長い

原因として考えられるのは、CVT内部のフルードがほぼ完全に下がり切ることで油膜切れを起こすことです。

エンジンを止めた直後ではCVT内部を循環していたCVTフルードも内部に分散して各パーツの周辺に付着しています。

この状態でエンジンを再始動してもCVT内部ではフルードによる潤滑がスムーズにできるため、モーターのような異音は発生しません。

それに対して、長期間エンジンを始動させなかった場合は、エンジンをかけたときにかなり大きなモーターのようなうなり音がします。

このうなり音、だんだんと音が大きくなったり、音が鳴る頻度が増えたりすることもあり、CVT内部のスチールベルトが偏摩耗している可能性があります。

あまりにも長いあいだ車を走らせなかったり、一度の走行距離が極端に短いと症状は起きやすく、最終的にはモーター音のような異音が止まらなくなることもあります。

シフトをDレンジに入れると異音

CVTシフトレバー

この症状もエンジンを始動させたすぐに起こりやすい事例で、CVT内部のフルードが十分に温まって循環できていないときに起こりえることです。

故障の前兆として考えられますが、CVT内部の暖気ができている状態でも、PレンジからDレンジにセレクターを動かしたときに「ゴツン」とショックとともに異音がすることもあります。

この場合、CVT内部でCVTフルードが流れる通路を「ソレノイド」と呼ばれる電磁バルブで切り替えていて、そのソレノイドの動きが悪いのかもしれません。

原因としては、走行距離が10万キロを超えている場合や、CVTフルードを無交換のままで過酷な走行をさせてきたことが考えられます。

また、ソレノイドの動きが悪いとDレンジにシフトを入れても車が進み始めるまでにタイムラグが発生することもあり、アクセルを踏み足しているといきなり「ガンッ」と動力がつながります。

対策としてはシフトを入れてもワンテンポ長く待ってからアクセルを踏んでいくことで、過剰な動力をいっきに入力しないことでCVTへの負担を減らすことができます。

加速中に異音

軽自動車やコンパクトカーではエンジンは車体の右側、CVTは左側に搭載されている「エンジン横置きタイプ」が多いです。

走行中にアクセルを踏み込んで加速していくと「グワングワン」といったうなり音が連続して発生し、速度を落とすと静かになるケースもあります。

原因がCVTの場合、異音はエンジンルームの左側付近から発生していますが、車種によっては前側全体から聞こえる場合や、助手席の奥あたりから聞こえることもあります。

原因としては、CVT内部の軸部分を支えているベアリングが摩耗していて、金属製の球状のパーツが傷んでゴロゴロと引っ掛かりながら回転していることが考えられます。

他にもCVTの心臓部分といえるスチールベルトとプーリーとの接触部分から異音がすることもあります。

これも初期のダイハツ製CVTでは起こりやすいトラブルで、CVTをまるごと交換する費用を聞かされたユーザーは「廃車!」と即決するパターンもあります。

走行中に振動がする

ハンドル操作

発進時のジャダー

大ヒットしたGD系の初代フィットは、発進時の「ガタガタガタ」という振動(ジャダー)がよく出ることで整備士の間では有名でした。

ほとんど同じプラットフォームで作られた同年式のモビリオなどでも同様の症状が出ていますが、走行不能になることはあまりないですが、「とにかく振動で気分が悪い」と不評なCVTでした。

ジャダーが発生し始めるまえに前兆として、「コツン」という小さな変速ショックのような振動がアクセルを踏んだときに出るようになります。

この振動が大きく、連続することで「コツン」から「ゴトゴト」へと変化していきます。

この車種の場合の対策としては、純正のCVTフルードを下抜きで抜いてしばらく走行、冷えたら再度下抜きして新油を注入を何度か繰り返すと改善されていました。

これは当時のホンダディーラーからアドバイスされていたやり方ですが、今では添加剤を入れることでかなり改善されやすくなっています。

とはいえ、経済的なコンパクトカーなのである程度の走行距離になると乗り換えになるパターンがほとんどです。

アクセルを踏んでも進まない感じがする

アクセル踏む

CVTの不具合としては典型的なものですが、エンジンの力がCVTの中で逃げてしまうとアクセルを踏み込んでもスピードが付いてこない違和感があります。

加速中に違和感がある

CVTでも過走行車でよくある典型的な故障の前兆がこの「滑るような感覚」です。

初期の症状ではあまり体感できませんが、しだいにアクセルを踏み込んでもスピードがついてこないような違和感があり、エンジンからの動力がCVT内部で逃げてしまうことが原因です。

この症状に関してお客様からは「エンジンが空回りするような」といった相談を受けることが多いのですが、それと気づかずに乗り続けているユーザーさんも多いです。

この症状が出始めた場合は走行不能になってしまう前兆でもあるので、CVTの載せ替えをすることになります。

お客様からCVTの違和感で相談を受けたとき、まずは症状を確認するために試運転をしますが、わかりづらいときは、より過酷な上り坂で試してみることもありました。

上り坂でエンジンが空回りする

平坦な道路ではCVTの滑りが確認できない場合でも、長い上り坂で加速させると症状が出ることもあります。

CVT内部でスチールベルトがうまくプーリーに力を伝えられずにパワーロスしている状態が運転手には滑るような違和感になります。

上り坂でさらにアクセルを踏み込んで加速するときにだけ症状が出る場合、ふんわりとしたアクセルワークで急加速をひかえることでCVTを延命させることもできます。

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故障の前兆はどれくらいの時期で確認できる?

過走行の車のメーター

CVTの故障にはいくつかのパターンがあり、特定の車種によく出る異音や振動ではある程度の予測を立てることができます。

それに対して、ユーザーさんの車の扱いかたというか、使用環境でもCVTが故障する確率は変わってきます。

8万キロを超えたら予兆があるかも

初期のCVTを搭載したダイハツ車でよくあったのが、走行中にうなり音のような異音が発生する場合ですが、8万キロを超えたあたりで相談を受けることが多いです。

理由としてはCVTフルードを無交換のまま8万キロを走行していたり、近場をちょい乗りしかしないシビアコンディションなど、悪い条件が重なると起きやすいです。

ダイハツのCVTはダイハツが自社開発したもので、市販されたすぐは異音などのクレームが多かったです。

ただ、ダイハツでは5万キロ毎のCVTフルード交換を推奨しているので、フルードを交換しなかった場合はCVTだけに問題があるとはいえません。

新車から5年以上経ったら要注意

どのメーカーでも言えることですが、初度登録から5年経過した車はメーカーの特別保証が切れる時期で、CVTの保証も切れます。

もともとメーカーでも設計の段階で『5年10万キロの特別保証では故障しない設計』を意識しています。

もちろん丁寧な運転や定期的なメンテナンスで故障するリスクは違いますので、20万キロ近くトラブルなく走れることもあります。

CVTが故障しやすい原因や運転方法とは

シフト操作
CVTだけに限ったことではありませんが、運転手がそれと知らずにやってしまっていることが車の故障リスクを高くしているケースがあります。

逆を言えば、これから紹介する「良くない車の使い方」を知り、意識するだけでCVTの寿命を伸ばすことができます。

暖機運転をせずに高負荷な走行をする

油温が十分に上昇しないと、フルードの本来の機能が発揮できず、十分な潤滑ができない状態で摩擦部分に負荷をかけます。

CVTだけに限りませんが、内部に入っているフルードには適正な温度域があり、エンジン始動からいきなりアクセルを踏み込んで走行させると、内部のスチールベルトやベアリングなどの摩耗が早まる可能性があります。

急加速や急減速を多用する運転

アクセルペダルを踏み込む

CVTはスチールベルトが2つのプーリーの幅を変化させることでギア比を変化させているため、急加速をさせるとスチールベルトに負担をかけてしまいます。

また、急加速ほどではありませんが急減速をすることで、CVTの内部ではプーリーの幅を減速していく過程に合わせて変化させ、再加速に備える動きをしています。

つまり、プーリーとスチールベルトの接触するポイントが頻繁に変化するたびに負担がかかることになり、CVTの寿命に影響します。

サボカジ
サボカジ

一定のアクセルのままで巡行するような走り方のほうが

CVTにはやさしい運転といえますね。

重い荷物や乗車定員がつねに多い

いくらアクセルワークに気をつけて運転していても走行距離が増えることでCVT内部では各パーツの消耗がすすんでいきます。

なおかつ、どれだけの負担をかけてきたのかもCVTの寿命と関係してきますが、重い荷物や乗車定員が上限いっぱいの走行では、それだけ消耗も早まることになります。

CVTフルードを交換しない

CVTフルードチェンジャー

メーカーによってCVTフルードの交換推奨距離はかなりバラつきがあります。

例えば、トヨタの場合はCVTフルードの交換を「無交換」またはシビアコンディションで「10万キロ毎の交換」と整備書などで指定されています。(※ダイハツからのOEM車は5万キロ毎の交換)

それに対して、ホンダの場合は初代フィットやモビリオ、軽自動車ではN-BOXを始めとするNシリーズでは、純正CVTフルードのHMMFを「4万キロ毎の交換」としています。

上記の2社の場合はとくに指定する距離に開きがありますが、CVTそのものの基本的な構造はよく似ています。

【関連記事】CVTフルードの交換時期や交換距離は?無交換で走るとどうなるの?

CVTフルードは「交換するリスク」と「交換しないリスク」がある

「CVTフルードなんてずっと交換しなくていい」

「CVTフルードは交換するべき」

この両方の意見を聞かされて混乱しているユーザーさんの多いはずです。

整備士として、また新車や中古車を販売する立場として、お客様からの相談にお答えするためにディーラーに問い合わせをしたり同業者の意見をもらったりしてきました。

サボカジ@整備士
サボカジ
@整備士

CVTフルードを交換してしまったことで不具合が出てしまい、

大変なクレームに発展した事例も知っているだけに

「絶対に交換するのがいい」とは言い切れません。

なぜなら、CVTフルードの交換方法や使用するフルードのメーカーなどでも整備工場やディーラーでも違いがあり、なかにはかなりリスクの高いやり方をしているところもあります。

そのため、CVTフルード交換の知識があまりないようなところで交換作業をすることは故障を誘発することになり、無交換のままがベターな場合もあるのです。

なお、「CVTは交換するべきか?」というテーマに関しては別の記事をご覧いただければと思います。

【関連記事】「CVTオイルが無交換な理由を知りたい」というお客様にお答えしたときの話

【まとめ】燃費が悪い運転はCVTに負担をかけている

CVTが故障しやすい条件についてここまでお話をしてきました。

CVT内部に負担をかけない運転をするかどうかで、故障を遅らせることができますが、急加速や急減速、重い荷物や乗車定員が多いなど、これらは全部『燃費が悪くなる原因』と言い換えることもできます。

その点では、エンジン始動直後の高負荷な運転も燃費が悪くなりますし、CVTフルードが汚れたままでも燃費の悪化になることがあります。

これらすべてをトータルで考えると『燃費が良くなる運転はCVTにも優しい運転』であり、車全体にも負担をかけない運転ともいえます。

サボカジ
サボカジ

・急アクセル

・急ブレーキ

・急ハンドル

などの運転はどれも車に負担をかけます。

『急』がつく運転を控えるだけで車の故障を抑えることができます。

最後に・・

運転中のハンドル操作

今回はCVTの故障の前兆についてのお話で、後半ではCVTの故障を少しでも遅らせるために悪い例を挙げてみました。

僕が整備士をしていて感じるのは、同じ車種で年式も走行距離も違いはないのにずいぶんと調子が悪い車があるということです。

CVTの故障は高額な修理になることが多く、コンパクトカーや軽自動車なら乗り換えになってしまうほどの大事件と言えます。

皮肉なことにもっとも車両価格が安い軽自動車がもっともよく働いている「大事な生活の足」という家庭もわりとあります。

子供の送り迎えや買い物、燃費がいいので通勤で使われることもあり、CVTにとっては加速と減速を繰り返す過酷な使用条件になっていることもあります。

今回の記事を参考にしていただき、安全でエコで経済的な車との付き合いを意識してみてください。

それだけで車をいたわる運転が自然にできようになっていますので。

【関連記事】CVTから異音が出ていても下取りや買取りはできる?高く売るコツとは

【関連記事】【CVTまとめ】フルード交換・異音・運転方法などを解説

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コメント

  1. りん より:

    初めてコメントさせてもらいます。2019年のデイズルークス Gターボに乗ってますが走行距離は4万キロ入ったとこで、回転数2000〜3000回転の時にハンチングみたいな症状が出始めディーラーに見てもらったところプラグ交換と言われ交換して車戻ってきてまた2000〜3000回転でガックンガックンなりカチッと音も鳴り、信号待ちで停止して動き出しや坂道アクセル踏んでもスピードが出なくなり、ディーラーに直ってませんと持って行ったところCVTが壊れてるとのこと、保証期間が過ぎてるので実費で交換になるのですが、4万キロでCVTが壊れるとかあまり聞かないのですが、当たり外れですかね、、、

    • サボカジサボカジ より:

      りん様

      コメントと情報共有をありがとうございます。

      >2019年のデイズルークス 
      >Gターボに乗ってますが
      >走行距離は4万キロ入ったとこ


      これは初度登録が2019年式ということでしょうか?

      であれば、CVT本体はメーカーの特別保証の対象のはずです。
      5年、または10万キロのどちらか早いほうですのでメーカー保証になりませんか?

      車に備え付けてあるオーナーマニュアル(整備手帳)などを確認してみてください。

      もしもそのディーラーの対応が要領を得ないようでしたら、
      別のディーラーに相談してみるのもいいでしょうね。

      それにしても、4万キロでCVT本体の不具合というのは
      ここ10年くらいを振り返っても、僕自身は聞いたことがないです。

      ターボモデルなのでトルクもあり、
      NAモデルよりはトラブルになる可能性は多少高いのですが、これはあまりにも早すぎますね。

      それから、ディーラーでプラグ交換をしたあとで症状が改善されていないということで、
      プラグの交換にかかった費用は返金してもらっていいと思います。

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