車検でブレーキオイルの交換をする必要性を整備士が答えます!

ブレーキフルードブレーキ

車検と言えば、必ずといっていいほど見積もりに入ってくる作業がブレーキの定番メンテナンス。

正確には油圧を伝える液体なので「オイル」ではなく「フルード」なのですが、

このブレーキフルードは一体どんな役割をするのでしょうか。

はたして、ブレーキフルードは車検でかならず交換する必要があるのでしょうか。

 

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ブレーキフルードとは何をするオイル?

油圧を均等に伝える

ブレーキフルードとは、油圧のブレーキの力を伝えるための液体です。ブレーキオイルと呼ばないのは、潤滑させることが目的ではないからです。

非常に古い車から最新のハイブリッドカーまで、油圧ブレーキを作動させるためにブレーキフルードは使われ続けています。

それだけ優れているということですね。

ブレーキフルードは運転手がブレーキペダルを踏んでブレーキを作動させるときに、均等に足の力をそれぞれのブレーキに伝えることができます。

「パスカルの原理」といって、液体はそれぞれ均等に圧力を伝える性質があるため、ブレーキのききが均等にできることに優れています。

もしもこのブレーキフルードが足りなかったり、配管の途中に空気が混入していたりすると、ブレーキがしっかりと作動しません。

 

沸騰しにくいことが求められる

また、ブレーキフルードはドラムブレーキの内部やディスクブレーキのすぐ近くにまでの配管に入っています。

そのため高温にさらされるので、万一沸騰したりすると、油圧が伝わらなくなり非常に危険です。

つまり液体ならなんでもいいわけではなく、「沸騰しにくい液体」である必要があります。

ちなみに、新品のブレーキフルードなら200℃の温度になっても沸騰することはありません。

あまり知られていないかもしれませんが、ブレーキフルードにも性能にランクがあります。

現在の国産車に使われているブレーキフルードのランクが

DOT3(ドットスリー)、

またはDOT4(ドットフォー)くらいでしょうか。

具体的な性能の差は

DOT3はドライ沸点205℃、

DOT4は230℃でも沸騰しません。

つまりDOT4のほうが性能がいいことになります。

 

車検でブレーキフルードの交換をする必要があるの?

自動車に使用されるブレーキフルードはおもに「グリコール系」のものが多いです。

ブレーキフルードの特徴として吸湿性が高い、つまり水気をすぐに吸ってしまいます。

そのため、車に使用されたときから、少しづつ湿気を吸っていきます。

すると水分が増えたことで「沸点」が下がってしまいます。

ブレーキフルードは二年で沸点が下がってしまう

以前、僕の勤める整備工場に「ブレーキフルードテスター」という、ブレーキフルードの沸点を測定する機械がありました。

このテスターを使って、車検で入庫した車のブレーキフルードの沸点を測定していたのですが、ほとんどの場合は沸点が200℃を切っていました。

「180℃以上なら合格」としていましたが、ほとんどの場合はこれにパスすることはなく、

結果的にはメーカーの推奨する「二年ごとの交換」は正しいのだと実感しました。

沸点が下がるとどうなるのか

「べーパーロック現象」というのを聞いたことがあるでしょうか。これは、ブレーキフルードが通っている配管の中に気泡ができる現象をいいます。

もしも気泡ができると、運転手がブレーキペダルと踏んでも、気泡がつぶれるだけなので、普段のようなブレーキの踏み心地はなく、「グニャリ」と奥までペダルが入ってしまいます。

当然ブレーキはほとんどききませんので、非常に危険な状態なのです。

日本国内でも、観光バスが長い下り坂でフットブレーキだけを使い過ぎてべーパーロック現象を起こしてしまい、重大な事故を起こした事例もあります。

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■外部リンク⇒2013年2月 大分県観光バスの事例

 

車検でブレーキフルードを交換しないとどうなる?

べーパーロックが起きやすくなるリスク

上記で述べたように、ブレーキフルードの性能は時間が経過すると次第に沸点が下がってしまいます。

その劣化の進み具合から、「2年ごとの交換」が推奨されていますが、貨物車やバスのような過酷な使用条件なら1年ごとの交換が望ましいとされています。

これは、距離ではなく期間で劣化していきますので、あまり車を走らさないという、サンデードライバーの車でも交換はするべきです。

もしもブレーキフルードを交換せずに使用し続けていくと、

ブレーキフルードの沸点がどんどん下がっていき、簡単にべーパーロックが起きやすい状態になります。

ブレーキ周りの固着もバカにならない

整備士の僕がお伝えしたいのは、べーパーロックとは別のことでして、ブレーキフルードを長期間交換しないと、ブレーキ周りの動きが悪くなるということなのです。

現在の国産車で多く採用されているのがディスクブレーキとドラムブレーキです。

今でも軽自動車や小型車クラスの車なら、前側のブレーキはディスクブレーキ、後ろのブレーキはドラムブレーキという、組み合わせがほとんどです。

コストとブレーキの性能のバランスが取れているのでこうなるのです。

 



キャリパーの内部の固着

ディスクブレーキの場合は「キャリパー」という部品の中に油圧を受けるピストンが入っています。

このピストンは年間に数ミリも動かないくらいのわずかな距離しか動かないので、定期的にブレーキフルードの抜き替えをしないと、ピストンの動きが悪くなることがあります。

そうなるとブレーキを踏んでも、本来の力が伝わらず、固着しているほうがブレーキがきかないという「片ぎき」とか「左右差が出る」という状態になってしまいます。

また、ブレーキペダルを離してもピストンがもとの位置に戻らなくなり、ブレーキがきいたままになってしまう「ひきずり」という状態にもなります。

ひきずりを起こしたままで走っていると、ブレーキフルードが沸騰してべーパーロックを起こした事例を経験したことがありますが、非常に恐ろしかったです。

ホイールシリンダーからの液漏れや固着

後ろのブレーキにはドラムブレーキを採用しているケースが少なくありませんが、ブレーキフルードを交換せずに走りし続けていると、

ドラムブレーキの内部にある油圧のピストン、「ホイールシリンダ」の内部のピストンの動きが悪くなることがあります。

このピストンには「カップ」という、油圧を受けるゴムの部品があるのですが、

このカップが劣化するのも劣化したブレーキフルードが原因だと考えられます。

 

まとめ

ブレーキフルードの交換は、最新鋭のハイブリッドカーでも車検毎の交換がいまだに推奨されています。

油圧のブレーキを採用している限りはどんな車でもブレーキフルードの交換は定期的に交換する必要があり、

車検制度が2年おきにあるため、もっとも交換するタイミングとして適切だということなのです。

交換をするには、タイヤホイールを外すことが多いため、簡単にはできませんし、

キャリーパーやホイールシリンダーのブリーダーというエア抜きの小さな部品を緩めることになるので、

正しい締め付けトルクも必要となり、作業に慣熟した整備士が作業をする必要があります。

こういった意味でも車検とセットでの作業が望ましいのです。

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この記事を書いた人
サボカジ

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カーライフアドバイザーとして5年以上です。

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