走行中に車内に入ってくる騒音の原因はおもに物の振動が原因です。
「ブルブル」と大きな振動や「ザーーー」といったロードノイズまで、
さまざまな振動は運転手を疲れさせ、不快にさせることもあります。
今回は車に発生する振動と、それにともなう異音や騒音、ロードノイズのお話です。
エンジンの振動を軽減するには
点火系のリフレッシュ
点火系とは、エンジンの燃焼室の中に噴射されたガソリンに着火するための一連の装置などを指します。
この点火をするための装置が不具合を起こすと、エンジンがなめらかに回転しなくなり、
ブルブルと振動したりガクガクと加速しなかったりすることがあります。
場合によってはエンジンが全くかからなくなることもあります。
エンジンを中心とした振動の中でこの点火系統のトラブルは非常に多いです。
また、トラブルとまではいかなくても部品の劣化のために、わずかな振動などを発生することもあります。
点火系統の部品を消耗品と考え、交換していくことでエンジン周りの振動を大きく抑えることもできます。
マウントなどのゴム部品の交換
エンジンマウントと呼ばれる部品があります。
これはエンジンと、車体をつなぐゴムの部品をことを言います。エンジンマウントがヘタってくると、エンジンの振動が車体にグラグラとか、ブルブルと伝わってくることがあります。
エンジンマウントを全て新品に交換してリフレッシュするだけでエンジンからの振動をかなり抑えることができます。
走行距離としては80,000キロ近く走ったら交換してみることをお勧めします。
エンジン内部の清掃・フラッシング
エンジンオイルを長期間または長距離も交換しないと、エンジンの内部が汚れていきます。
するとフリクションロスと言いますが、エンジンが本来の性能を発揮できなかったり、アイドリング中などの低い回転の時にブルブルとかカタカタといった微妙な振動を起こすこともあります。
エンジンオイルの管理はもちろんのこと、オイルの質を良いものを使ってみたり、少し粘度の高いエンジンオイルを使って少しくたびれたエンジンのリフレッシュをすると改善が見られることもあります。
燃料ポンプの不調
燃料ポンプはエンジンにガソリンを送るための重要な部品です。
燃料ポンプは人間に例えるならまるで心臓のように常に血液を送り続けなければなりません。
そのため燃料ポンプはかなり過酷な状況にあり、たまに不整脈を起こすように燃料ポンプが一瞬だけ不具合を起こすことも考えられます。
この場合ガス欠を起こしたような状態になるのですがほんの一瞬だけ燃料の圧力が下がった位ではエンジンは止まる事はなく一瞬ブルブルといった振動を起こす位で何も問題なく走れてしまいます。
燃料ポンプはかなり丈夫に作られていて100,000キロ以上はへっちゃらで走れます。
ただし新車から20年経っているとかかなり過酷な状況であったりする場合は走行距離が少なくても燃料ポンプが老朽化することが考えられます。
そのためポンプが完全に停止してエンジンがかからなくなると言うトラブルになる前に、予防整備として燃料ポンプを交換してしまってもいいかもしれません。
走行中の振動とロードノイズを軽減するには
ロードノイズとは
ロードノイズとは走行中にタイヤと路面が触れることで発生する音のことをいいます。
ただし、発生したロードノイズを車体の中にどれぐらい伝えてくるのかは、車体に施された防音処理や、静音処置がかなり関係してきます。
静かなタイヤのすごさ
ロードノイズを軽減するための対策といえば、まず何よりもタイヤそのものの交換が効果的です。
あまりにも当たり前すぎて見落とされがちですが、タイヤは種類やブランドによってロードノイズの大きさが非常に変わってきます。
例えば、耐摩耗性を重視したタイヤや、ハイグリップタイヤなどは、ゴム質が固いので新品の頃からロードノイズはかなり大きめです。
それに対して静かさをウリにするタイヤの場合は、ゴム質が柔らかく路面に対してしっかりと音を吸収してくれるようになっています。
僕が勤める整備工場でも、ロードノイズの相談を受けた際には、静かさで定評のあるタイヤをお勧めしたところ、お客様に喜んでいただいたこともよくあります。
それくらいタイヤを交換してみると効果はテキメンに感じることができます。
タイヤは主にゴムでできていて、直射日光や時間の経過とともにタイヤのゴムの部分は非常に硬くなってきます。
硬くなったゴムと言うのは路面に対して大きなロードノイズを発生させます。
少しずつタイヤは硬化していきますので、毎日乗っている運転手さんこそ、劣化したタイヤのロードノイズにはあまり気が付きません。
タイヤを販売するときに、「タイヤを交換した後と音を比べてみてみてください」とお客様に話すことがあります。
すると、ほとんどのお客様は新しいタイヤに交換したあとで
「ぜんぜん違う!」
とロードノイズの違いに驚いていました。
それくらい、車内に入ってくるロードノイズと新しくて静粛性の高いタイヤの効果は大きいのです。
もちろんお客様に言葉の暗示をかけたわけではありませんよ(笑)
車内への騒音が入ってこないようにするための処置は車によって様々違いますが、タイヤそのものでロードノイズを抑制してしまうのがもっとも手っ取り早いことは確かです。
静かさをウリにするタイヤでも不動の評価を得ているのがブリジストンの「レグノ」シリーズでしょうね。
一度このタイヤを履かせたらリピートするお客様も多いです。
扁平率の低いタイヤ
新車から装着されているタイヤでも扁平率の低いタイヤを採用している車種が増えてきました。
扁平率とは、ざっくり説明すると、タイヤを横から見たときの「薄さ」をいいます。
例えば、車を横から眺めてみて、スポーツカーのように、タイヤのほとんどがホイールに見えるような場合は「扁平率が低い」といいます。
それとは逆に、クロカン四駆のようにホイールよりもタイヤがやたらと分厚く見えるようなタイヤは「扁平率が高い」といいます。
低扁平のタイヤはうるさい
タイヤは、衝撃やノイズを吸収する、非常に重要なパーツで、扁平率の低いタイヤはロードノイズを抑えるスペースがあまりないため、ロードノイズは大きめです。
さらに扁平率の低いタイヤが古くなって硬化してくると、非常に大きなロードノイズを発生することがあります。
扁平率の低いタイヤこそ、まめにタイヤを交換して上げる必要があるのですが、皮肉なことに、低扁平のタイヤは価格が高く、ユーザーさんはなかなか交換したがらないようです。
ドラミングノイズとは
ワンボックスカーや、天井が低い車のなかでもルーフ(車の上の部分)の面積が大きい車種では、走行中の路面から発生する振動に共鳴するように低い音が発生することがあり、これを「ドラミング」といいます。
ドラミングとは、ルーフが膜のように振動・共振することで、車内がまるで太鼓の中のような状態になることを言います。
この現象で発生する場合の騒音を「ドラミングノイズ」と言いますが、太鼓の膜のような役割をしてしまう剛性の低いボンネットやトランクリッドには「スティフナー」と呼ばれる補強をすることで抑えることができます。
ショックアブソーバー
ショックアブソーバーとは車の揺れを速やかに収めてくれるための部品です。
正常なショックアブソーバーなら路面の凹凸を超えた際の振動なども速やかに収めてくれますし、段差を越えるときの音も小さくコンパクトです。
それに対して、くたびれてしまったショックアブソーバーだと、揺れがなかなか収まりません。そのため、車体の揺れに伴う、スプリングやロアアームなどからの音なども吸収できなくなります。
スプリングの役割
スプリングは路面からの衝撃や大きな振動を車体に伝えないようにカットしてくれる重要なパーツの一つです。
乗用タイプの車によく採用されるスプリングは「コイルスプリングと呼ばれるタイプのスプリングです。
コイルスプリングにはその車の乗り心地に大きく影響するため、新車装着のスプリングは万人向けのセッティングが施されています。
ただ、場合によってはその味付けがあまり合わないというケースもあり、社外品のスプリングに交換することで路面からの振動を抑えることができることもあります。
足回りのブッシュの重要性
ブッシュとは硬い5分でできた筒状の部品のことで、タイヤから足回り回、さらにそこから車タイヤと伝わる細かい振動や衝撃を吸収してくれる役割を果たしています。
ところがこの物質が下手ってくると衝撃を吸収するゴムの部分が、薄くなってしまいます。
すると凹凸を超えたときの突き上げが大きくなってしまったり、タイヤからのロードノイズを抑えきれなくなってしまうことがあります。
ホイールバランスを見直す
ホイールバランスは時速80キロ以上で走行する際には大きく影響する可能性がある要素です。
ホイールバランスが何らかの原因で狂ってしまった場合、ハンドルやボディー全体に振動を発生させてしまうことがあります。
この場合整備工場などでホイルバランスを再度とってもらうことで解消することができます。
特にタイヤそのものが古くなったり、摩耗している場合はオイルバランスをしっかりとってあげたり、タイヤの状態によってはタイヤそのものを交換してあげる方が望ましいです。
タイヤのフラットスポットや偏摩耗
走行中の振動の原因でかなり多いのがこのタイヤの不具合です。
特にタイヤの偏摩耗は、タイヤの空気圧の管理ができていなく、空気圧が低い状態で長期間走行していると力を偏摩耗が起きます。
この場合、摩耗の薄くなった部分の路面と触れるときに振動や衝撃が車体に伝わってくることがあります。
またフラットスポットと呼ばれるタイヤの1部分だけがすり減ってしまう状態のタイヤでは、走行中に激しい振動やイオンを発生することもあります。
このような状態のタイヤで高速道路を走る事は非常に危険で、タイヤのバーストにつながることにもなります。
車の振動軽減対策とは
ロードノイズを抑える方法
ロードノイズ軽減マット
高級車なら普通に施されているのが車体の様々な部分に音を吸収する素材を貼り付けることです。
例えばフロアマットの下側には内装がありますがその内装の下側にはさらにグラスウールのような素材を貼り付けていることもあります。
これらはロードノイズが車体を通じて車の室内に入ってくるのを抑えるためのものです。
これと同じ考え方でロードノイズ軽減マットと言われる商品があります。
要するに内装をさらに1枚増やすような考え方で、それだけでも室内に入ってくるロードノイズは抑えることができます。
使い方はいたって簡単で、シート状の静音マットをハサミなどで切っていき、フロアマットの下に敷き込むだけ。
吸音材と遮音材の二層構造で車内へのロードノイズの侵入を軽減してくれます。
静音スプレー
タイヤハウスはタイヤのすぐ近くにあるためロードノイズが伝わってきやすい部位です。
そのため、タイヤハウスには新車の状態から硬いゴム質のスプレーを吹きつけてあり、ある程度のロードノイズを軽減するための処理がされています。
ところが、コストカットのためにあまりしっかりとした処理がされていないことも多く、タイヤハウス周辺の防音対策をすることも効果的です。
そこで手軽にできる静音グッズとして、スプレーで吹き付けるタイプのものがあります。
使い方は簡単で、タイヤハウスの内側にスプレーを吹き付けるだけで、ワックス状の塗膜が出来上がり、ロードノイズの元となる衝撃を吸収してくれます。
ボディに発生する振動軽減対策
デッドニング
デッドニングとは、振動を抑制する制振材をスピーカーが取り付けられているドアの内側などに貼り付けることでカーオーディオの音質を向上させる処理のことをいいます。
ですが、デッドニングは振動を起きにくくするための処理なので、ロードノイズが増幅される原因ともなる、車の鉄板部分などの共振を抑えることにもなります。
とくにドアパネルが大きなミニバンやワンボックスカーなどでは効果的です。
デッドニングはDIYでもすることができますし、オートバックスなどのカー用品店に依頼することもできます。
また、デッドニングの制振材を室内の振動しやすい部分に貼り付けることでビビり音を抑えることもできます。
最後に
車の振動を軽減する方法は、まず振動する原因を知ることから始まります。
部品のへたりや劣化が原因である場合は、消耗品として交換していくことで振動や騒音は解消されていきます。
また、タイヤの経年劣化によるゴムの硬化もロードノイズの大きな原因となり、静粛性に特化したタイヤへ交換することでロードノイズは確実に低減させることができます。
それに対し、車体への振動や共鳴が原因となる場合は、その車に本来施されていないような制振処理やデッドニングなどをする必要があります。
これらを地道にやっていくことでロードノイズや車外からの騒音は確実に抑えることができるでしょう。
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