電動ラチェットがどんどん進化しています。
これまで整備士の僕としては「エアラチェが最強」みたいに思っていましたが、実際に電動ラチェットを使ってみるとエアラチェットを使う頻度が激減してしまいました。
価格もかなり安くなっているのでDIYでの使用にも電動ラチェットはかなりおすすめできます。
今回は実際に僕が使っていて「この2台はけっこう対照的だなぁ。」と感じた2種類の電動ラチェットのレビューをしていきます。
1年以上使ってきた私物のACデルコ(ARW1209P)と、数ヶ月前に共同工具として配置されたKTC(JTRE310)の2台を業務で使ってきました。
先に結論から言うと、どちらもよかったのですが、使用用途によってどちらをおすすめするのか違ってきます。
それくらいこの2台は対象的なのですが、この記事を最後までお読みいただければ、電動ラチェットに対する理解も深まり、そして欲しくなるとおもいます(笑)
電動ラチェットはエアラチェットより実用的?
電動ラチェットのメリットはエアラチェットのデメリットでもあり、その逆もしかりです。
「コードレス」という最大のメリットのほかにどんな強みが電動ラチェットにはあるのでしょうか。
あらためて、エアラチェットの◯な部分と✕な部分を考えてみます。
エアラチェットのメリットとデメリット
・回転スピードが速い
・エア圧があれば使い続けられる
・ヘッド部分が小さく狭い場所にも入る
・エア圧を上げればパワフル
・安価に購入できるものも多い
・エアホースがとにかくわずらわしい
・エアホースが汚れていると作業服も汚れやすい
・エアホースをリフトやドアに挟み込んでしまうリスクがある
・エアがないと使えないので出張修理には使えない
・室内や高所ではホースが邪魔になり作業性が落ちる
・音が甲高くてうるさい
エアラチェットのメリットやデメリットはこんな感じですが、それに対して電動ラチェットはどうでしょうか。
電動ラチェットのメリットとデメリット
・コードレスなので場所を選ばない
・エアーコンプレッサーが不要なので外でも使える
・比較的に静か
・車内や高所、室内にも持ち込んで使える
・LEDライトが便利
・エアラチェットより大きく重い
・バッテリーが上がると使えなくなる
・充電中は使えない
・非力なモデルが多い
・回転スピードが遅いものが多い
・回転速度を調整できないモデルもある
・エアラチェットより価格が高い
電動とエアの違いをざっと述べるとこうなり、Amazonなどのレビューを参考にしてもおおむねこんな感じの書き込みが多いです。
電ラチェがエアラチェを上回るべきポイントを考える
エアラチェットのデメリットは電動ラチェットのメリットであるべきで、さらにプラスアルファの付加価値があれば電動ラチェットの魅力が増えることになります。
電動ラチェットはモデルによって機能も違うのですが、微妙なものもあり、デメリットばかりが目立つモデルもあります。
そうなると、「エアラチェットでいいんじゃね?」となってしまうケースもあるのです。
本来はエアラチェットに軍配が上がる部分に対しても引けをとらないほどのスペックの強化が欲しいところです。
さらに電動ラチェットならではの便利さも加われば「もうエアラチェットにはもどれない」となるわけです。
①回転速度
エアラチェットを多用する整備士にその理由を聞けば、「速いから」と答えるはずです。
とくに車体の下側にあるアンダーカバーにはビスや6ミリボルトでびっしりと留められていることが多く、これらを素早く取り外していくことが作業のスピードアップになります。
エンジン下側の整備をするためにアンダーカバーを外すという作業は一日に何度も行うので、電動ラチェットにも回転スピードは求められます。
そのため、短気な整備士(僕じゃないですよ)なら、回転速度が遅い時点で「電動は使えねー」となってしまうのです。
②回転トルク
回転速度も大事ですが、回転するパワーが不足すると緩める作業ではかなり効率が悪くなります。
手動でボルトを緩めてから駆動させることもできますが、それだと手を動かしていくので余分な動作が増えることになります。
とくに長くてサビが発生しているボルトを緩めるときに、回転トルクが弱いと使い物にならないこともあります。
③軽さ
使うシーンによっては軽さが非常に重要になってきます。とくに片手で操作をする場合は作業者の疲れに関係してきますので軽さはとくに大事です。
ただしバッテリーを小さくしてしまうとバッテリーのスタミナも落ちてしまうので、樹脂製の部品を多用したりヘッド部分を小型化することで軽量にすることができます。
④コンパクトさ
エアラチェットの良さはヘッド部分が小さいのでエンジンルームの狭いところに差し込んで使うことができることです。
ラチェットレンチでは振り幅が確保できない場所でも、そこにあてがうことができれば高速にボルトやナットを回すことができます。
ヘッド部分が大きかったりボディ全体が長いと作業性がかなり悪くなってしまいます。
同じような使われ方をする電動ラチェットなら、いかにコンパクトに仕上がっているかで使用頻度も違ってきます。
⑤強靭さ
本来は望ましくないのですが、エアラチェットでボルトを力づくで緩めてから回転させるという動作は、ヘッド部分に負担をかけるため注意が必要です。
ですがプロの整備士は作業時間の短縮のためにエアツールや電動ツールを使用するので、ついつい「バキッ」とやってしまいます。
アンダーカバーなどのビスや6ミリボルトなら問題ありませんが、8ミリボルトとなるとちょっと厳しいこともあります。
それでも「手動で緩めてから回転させる」という使い方は作業時間の短縮には有効なのでヘッド部分の強靭さ、丈夫さは大事です。
⑥耐久性
自前で工具を購入する人たちにとっては、「安くて長持ち」というコスパを重視します。いくら便利でもすぐに壊れるようなものは欲しいと思いません。
電動工具の場合はリチウム電池の耐久性も気になるところで、数年は使えてほしいし、リペア用としてバッテリー単体も追加で購入できることが望ましいです。
そのためには、聞いたこともないメーカーの商品を買ってしまうと「使い捨て」みたいになってしまいます。
⑦バッテリーの持ち
一日の業務のなかで、バッテリーを何度も充電することは時間のロスになってしまいますが、数日に一度の充電すら面倒に感じます。
エアラチェットならすぐに使えるというメリットに対抗するためには電動ラチェットには充電回数が少ないことが求められます。
⑧価格
工具選びは、コスパ重視なのか所有欲を満足するためのステイタス重視なのか、意見が分かれる部分でもあります。
電動ラチェットの中でも「絶対王者」なのがスナップオンのものですが、価格も王様レベルです。価格が安いということは、作業時間の短縮と同じくらい譲れない部分でもあります。
スナップオンの電動ラチェットを1台購入するくらいなら半額以下のものを選んで、浮いたお金を別の工具などに当てたいと思うのは薄給な整備士の習性です。
今回紹介する2台の電動ラチェットは、どちらもネットで購入すれば1万円台で購入することができるので1万円前半のACデルコと1万円後半のKTCなら現実的な価格といえます。
それではここまで述べてきた評価基準をもとにACデルコ(ARW1209P)とKTC(JTRE310)を比較していきます。
KTC電動ラチェット(JTRE310)のレビュー
無負荷回転数 | 190rpm |
重量 本体+バッテリーパック | 750グラム |
最大回転トルク | 34N·m |
総合評価
回転速度 | ★★★☆☆ |
回転トルク | ★★☆☆☆ |
軽さ | ★★★☆☆ |
コンパクトさ | ★★★★☆ |
耐久性 | ★★★★☆ |
バッテリーの持ち | ★★★★☆ |
価格 | ★★★☆☆ |
◎おすすめポイント
ヘッド部分が比較的にコンパクト
↑ 下側のACデルコがやたら大きいのもありますが・・。ヘッド部分の大きさは使い勝手にかなり影響が出ます。
工具の使いやすさに直結するのがコンパクトさですが、とくにラチェットに関してはヘッド部分が大きいとそもそも差し込めない場所も多くなってしまいます。
そのため、強度的な部分もありますが、ヘッド部分が小さなモデルを選ぶことで使えるシーンも増えることになります。
「ちょこっと充電」がやりやすい
↑ 充電が完了したらアダプターのLEDが緑色に変わって知らせてくれる
スペアのバッテリーパックを使わないという前提なら、ラチェット本体からバッテリーパックを外さないといけないACデルコ(ARW1209P)に比べるとKTC(JTRE310)は気軽に継ぎ足し充電ができます。
スマホを充電するような感じで専用アダプターとつなぐだけ。
回転スピードが調整できるので締め付け作業にも向いている
↑ レバーは比較的に軽く引けて、回転速度も細やかに調整できるところはさすが。
オーバートルクになりにくいので締め付けにも使える部分はプロの整備士がけっこう重視しているはずで、最後の締め付けトルクは気にするものの仮締めまではスピーディーにテンポよく進めたいところです。
とくに締め付けの後半では回転スピードを落とすことで締まり具合を均一にできるので、オイルパン脱着などの6ミリボルトを30個以上締め込んでいく作業にはかなり重宝します。
電ラチェとしてのバランスが取れている
エアラチェットも持っている整備士やDIYメカニックなら、電動ラチェットに多くを求める必要はありません。
ようはエアラチェットでは使いづらいところで役に立てばいいので、とんがった特性のモデルよりもバランス重視のものを選べばいいだけです。
その点でもこのモデルはエアラチェと使い分ける人や、ライトユースな人にはおすすめできます。
▲残念なポイント
回転スピードもパワーも、もうちょい欲しかった
とはいえ、エアラチェットを使ってきた人にとっては回転スピードは物足りないと感じるでしょうし、やや錆びついたアンダーカバーのボルトを緩めるのに苦戦すると「エアラチェに切り替えようか」と迷ってしまいます。
欲を言えば回転スピードだけでなく、回転するトルクもボタンやツマミなどで調整できれば、バッテリーの消耗とパワーとのバランスを取ることもできたのではと思ってしまいました。
少しお高い価格設定
KTCのこのモデル、発売されたすぐのころは2万円を超えていましたが、今ではネットで購入すればおそらく1万円後半くらいで購入できるはずです。
それでも7千円くらいで購入できるエアラチェットもあるので、もう少し安くなれば電動に移行する人も増えるのではないでしょうか。
ACデルコ電動ラチェット(ARW1209P) のレビュー
無負荷回転数 | 170rpm |
重量 本体+バッテリーパック | 1250グラム |
最大回転トルク | 60N·m |
総合評価
回転速度 | ★★★☆☆ |
回転トルク | ★★★★★ |
軽さ | ★☆☆☆☆ |
コンパクトさ | ★☆☆☆☆ |
耐久性 | ★★★★★ |
バッテリーの持ち | ★★★☆☆ |
価格 | ★★★★☆ |
◎おすすめポイント
ACデルコ(ARW1209P)の最大の魅力というか特徴は『とにかくパワフル』という部分に尽きます。
回転トルク60N・mはすごい
1年以上このARW1209Pを使ってきましたが、とにかく緩める作業にはかなりの威力を発揮します。
アンダーカバーなどによく使われる6ミリボルトはもちろん、8ミリボルトですらモーターの力だけで緩められることがほとんど。
例えば軽トラックの荷台部分のパネルを外すときでも、手動で緩める動作は必要なく電動でガンガン緩めていくことができます。
手動で120N・mで締め付けも緩めもできる
ACデルコのなかでもこのモデルの特筆すべきポイントが工具として「バキッ」と緩め作業に使えること。
120N・mまでのボルトやナットを緩められるということは、ホイールナットですら力づくで緩めたり締めたりできるということです。
実際に僕が作業でよくやるのが、ハブ周辺やアームなどの足回りの分解に、この電動ラチェットだけで終わらせてしまうことです。
音で表現するなら「バキッ・・ガガガガガガ」みたいな感じです。
もちろん締め付けにも使えますが、最後の確認を含めた締め付けにはメガネレンチやラチェットレンチなどの手工具を使います。
バッテリーが別の電動ツールにも使える
↑ バッテリーパックを共用できるメリットは大きい。しかも充電しながら作業することもできる。
ACデルコでは「G12シリーズ」と呼ばれる、同じ形状のリチウムバッテリーを共用できる電動ツールのラインナップがあります。
僕の場合はG12シリーズの電動ラチェットとACデルコ ミニポリッシャー(ARS1214P)を使っていて、ポリッシャーにはバッテリーを3個使います。
このポリッシャーにはバッテリーが2個ついているので、電動ラチェットのバッテリーも含めると3個が使えることになります。
回転し続けるような電動ツールでは1個のバッテリーでは間に合わず、バッテリーの充電時間の短縮のために充電と作業を同時にします。
▲残念なポイント
回転スピードの調節ができない
1年数ヶ月使ってきたなかで、最大の不満点が回転速度がオンとオフしかないことです。
レバーを引くと最高回転速度で回り続けるので、緩める作業には問題ないですが、締め付け作業では気を使います。
6ミリボルトなら下手をするとねじ切ってしまうほどのパワーなので、回転速度の微調整はどうしても欲しかった。
ホントにここさえ改善してもらえれば組み付け作業でも他のモデルに引けをとらなかったのに・・・と残念です。
デカい・重い
初めてこの電動ラチェットを見た同僚の整備士たちは、口を揃えて「でかーい(笑)」と呆れたように言います。
なおかつ、手に持つなり「結構、重いっすね」と、デカさと重さが気になるようです。
ヘッド部分もゴツい
↑ 上がKTC、下がACデルコ。ヘッドの大きさの違いは一目瞭然
狭いところに電動ラチェットを差し込んでいってボルト・ナットの早回しをしたいシーンはわりとあります。
たとえば、ベルト交換をしたときには、ベルトの張りを調整するためにアジャストボルトをひたすら回すときにはコンパクトさが大事です。
残念ながらこの部分に関しては、軽く舌打ちをしながらエアホースとエアラチェットを引っ張り出してきて使うようにしています。
まとめ|どちらの電動ラチェットがおすすめ?
ARW1209PとJTRE310の比較表
ACデルコ(ARW1209P) | KTC(JTRE310) | |
回転速度 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
回転トルク | ★★★★★ | ★★☆☆☆ |
軽さ | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ |
コンパクトさ | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ |
耐久性 | ★★★★★ | ★★★★☆ |
バッテリーの持ち | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
価格(コスパ) | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
2台の電動ラチェットの両方を使ってきた結果、それぞれの特長や強み、少し残念なところが分かってきました。
また、この2台はかなり対象的なモデルだったこともあり、電動ラチェットに求めることもわかってきました。
【結論】KTC[JTRE310]はこんな人におすすめ
・小型車の整備がメイン
・アンダーカバーの脱着などに多様する
・対象とするボルトナットは8mm以下が多い
・締め付け作業にも活用したい
【回転スピード】慣れれば丁度いい
エアラチェットをメインに使ってきた人にとってKTC(JTRE310)の回転スピードはかなり物足りないと感じるはずです。
とくにアンダーカバーなどにびっしりと付いているボルトやビスを連続して緩めていくときは不満に感じるかもしれません。
とくにネジ山の数が多い、長いボルトを大量に緩めていくなら、1本のボルトにかける時間の差が回転スピードで大きく変わってきます。
ですがアンダーカバーに使われているボルトならネジ山がかなり長いものはあまりないので、トータルでは作業時間に大きな影響はありません。
むしろこれくらいのスピードのほうが、無理やり回し続けて錆びついたボルトをねじ切ってしまうこともないというメリットになり得ます。
【回転トルク】実用的なレベル
回転トルクは「非力」と言わざるをえませんが、不足するほどではなく主な使用目的がアンダーカバーの脱着なら問題なく、手動で緩める必要はありません。
締め付け作業でも6mmボルトやビスならモーターの駆動力だけで十分締め付けができています。
KTCの公式動画を見てみると手動で緩めることは構わないことになっているので、8ミリボルトくらいなら別の工具と持ち換える必要はないです。
【軽さ】電動ラチェとしては合格
本体部分も樹脂製なので適度に軽く、ヘッド部分も小さいのでいろんな場所で使うことができます。
たとえばタイヤハウスの中を覗き込むようにして作業をする足回りの整備では少し無理な体制になることも多いので、使用する工具は軽いほど負担が減ります。
KTC(JTRE310)を足回り周辺の作業に使ってみましたが、LEDライトがほんのり点灯してくれるのもあって、けっこう使いやすかったです。
【バッテリー】毎日の充電は不要
充電が手軽にできるうえに、よほどヘビーに使わない限りプロの整備士でも3日に一度くらいの充電で問題ありません。
心配なら休憩時間なで1時間ほど継ぎ足し充電をしておけば1個のバッテリーだけでもプロユースとして使用できます。
トータルでおすすめできるバランスのよさ
↑安定して立てられるので手に取りやすい
KTC(JTRE310)は初心者からプロの整備士にもおすすめすることができる電動ラチェットです。
とくにライトユーザーには使いやすく、回転スピードをレバーで調整できることや、ヘッド部分がコンパクトになっていることで使えるシーンが広がります。
【結論】ACデルコ[ARW1209P]はこんな人におすすめ
・分解作業を素早くしたい
・足回りなどパワーが必要な作業に使いたい
・小型トラックの整備にも使いたい
・小型の電動インパクトレンチに使いづらさを感じている
【回転スピード】速くはないが許せるレベル
アンダーカバーの脱着に使っていると「ちょっと遅いかな」と感じてしまいますが、手工具でカリカリやるよりは遥かに速いし楽ちんなので許せるレベルです。
ただし回転スピードの調整ができないことで使い勝手が悪く、とくに締め作業では回転トルクが高いこともあり気を使います。
【回転トルク】ガシガシと分解できるすごさ
60N・mの回転トルクは電動ラチェットの上位モデルに引けをとらないレベル。
強すぎて手を持っていかれるので締め付け作業ではレバーを引いたままでは怪我をしそうになります。
とはいえ分解作業ではそのパワフルさが発揮されるので、8ミリボルトでもレバーを引いてモーターの力だけで緩められることがほとんどです。
ヘッド部分が強力で、手動で125N・mまで締め付けや緩めができるので、電動で緩まなければそのまま手の力で「バキッ」と緩めてあとは電動で早回しという使い方ができます。
こういった荒々しいくらいの分解作業では非常に頼もしく、他の電動ラチェットにはないこのモデルだけの強みといえます。
【軽さ】ライトユーザーにはツラいかも
1250グラムの重量はさすがに重いと感じ、片手で操作し続けるのはしんどいです。
手軽に使うというよりも、やや身構えてヘビーデューティーな整備をするようなイメージで、締め付け作業で細いボルトをねじ切ってしまう事故もありえます。
早回しだけに特化しているモデルもあるので、無理に重いものを選ぶ必要はありません。
小魚を捌くのに出刃包丁は使いませんよね(笑)
【コンパクトさ】ヘッド部分も全体もデカい
エンジンルームや室内の狭い場所に差し込んで使用しようとするとかなり窮屈に感じるため、エクステンションバーを使って奥まったところにアプローチするなどの工夫が必要になります。
ヘッド部分も肉厚で大ぶりなため、ベルトの張り調整でアジャストボルトを回すのはやりづらいです。
ウォブルタイプのエクステンションバーやセミディープのソケットなど、組み合わせる工具でヘッド部分の大きさを打ち消す必要があります。
【バッテリー】パワー重視で使うならスペアが欲しい
パワー重視なこともありバッテリーの減りは早いですが、個人での使用なら充電は毎日する必要はありません。
バッテリーの残量表示がないことと、バッテリーが弱ってくると回転スピードも落ちてくるのが不満点でした。
ただ、回転スピードが低下してきたことで充電のタイミングとしているので慣れれば問題ありません。
ヘビーな使用用途ならスペアのバッテリーを用意しておきたいところですが、バッテリーの単体販売が限定的で割高です。
締め付け作業には慣れと工夫が必要
ACデルコ(ARW1209P)は僕が私物として購入し、1年数ヶ月使ってきました。
使っていて最大のデメリットだと感じたのが回転速度を調整できない点で、締め付け作業にはかなり気を使います。
レバーを引くと最大トルクでフル回転してしまうというのでオーバートルクで締め付けてしまい、細いボルトならねじ切ってしまいかねません。
そのため締め付け作業ではネジ山いっぱいまで締め続けず、後半はレバーをチョンチョンと引きながら最後は惰力で締めるほうが無難です。
分解に特化した使い方に向いている
インパクトレンチが入らないような部分でもラチェットの形状ならあてがうことができます。
ACデルコ(ARW1209P)の強力な回転力と、インパクトレンチよりスリムな形のおかげで奥まった場所の錆びたボルトもゴリゴリと回してくれます。
そのうえヘッド部分が頑丈なので、緩めるだけでなく増し締めにも「本気締め」ができるのもこのモデルならではです。
ハマれば最強レベルのACデルコ[ARW1209P]
『電動ラチェットの荒事師』とでも命名したくなるヘビーな仕様なので分解作業には特化しています。
締め付けもレバーの引き方を工夫することで慣れてくると締め付けトルクを加減することもできるようになりますが、かなり使い込む必要があるかも。
僕のかわりにバッテリーが疲れてくれているわけで、ネジを回すために筋肉を使うことは減り、僕の場合は肩こりが少しマシになったように感じます。
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