N-BOXでよくあるトラブルとして、走行中に発生する異音あります。
そのなかでも、アクセルを踏んだときに異音がする場合、いくつかの原因が考えられます。
アクセル操作をすることで影響がある部分としては、エンジンとオートマチックミッションです。
じつはN-BOXの場合、このどちらからも異音が発生している事例がありますのでご紹介していきます。
なお、今回のお話はN-BOXの中でも初代と呼ばれていたJF1とJF2についてがメインです。
2011年から2014年まで販売されていたモデルなのでトラブルも多くなってきています。
N-BOXでアクセルを踏むと異音が出る原因
発電機のベルトから異音
N-BOXの場合、走行距離が増えてくるとベルトの張りが不足して異音が発生することがあります。
また、ベルトが経年劣化することでゴム質が硬化していくことでプーリーとの擦れ音が大きくなり、アクセルを踏むとさらに音が大きくなります。
キュルキュル音
エンジンをかけてすぐにアクセルを踏むと運転席の前付近のエンジンルームからキュルキュルという異音がすることがあります。
とくに朝にエンジンをかけたすぐにはキュルキュル音はよく発生しますが、アクセルを踏んでエンジンの回転を上げるとさらに音が大きくなることもあります。
この場合の原因は、発電機やエアコンのベルトが硬化することでプーリーと接触している部分と擦れることで発生します。
ベルトそのものの寿命ではありませんが、古くなったベルトの場合、ヒビ割れは入っていませんが表面が硬くなっています。
とくに冬場の寒い日の朝などは「キュルキュル」が「ギュルギュル」に変化していることもあります。
保管場所などにもよりますが、3年以上経過しているベルトならエンジンが冷えていると異音が発生しやすいです。
キュー音
アクセルを踏んだとたん、「キュー」という甲高い異音がする場合は、ベルトの張りが不足してベルトとプーリーが滑っています。
N-BOXにはエアコンのコンプレッサーを回すための「エアコンベルト」と発電機(オルタネーター)を回す「オルタネーターベルト」の二本のベルトがついています。
とくにオルタネーターベルトの張りが緩くなっているとエンジンの回転を上げるとベルトが滑りやすくなり、異音が出ることが多いです。
クーラー作動中だけ異音が出ることも
車の電装品の中でも特に電力を消費するのがクーラーで、コンプレッサーを作動させている状態ではオルタネーターベルトにも負荷がかかっています。
オルタネーターベルトの張りがゆるい状態では、高い電気負荷がかかった時だけベルトが滑り異音がすることがあります。
もちろん、エアコンベルトが滑っていることもありますが、この場合はベルトの張り不足だけではないケースもあります。
のちほど説明しますが、この場合は別の原因が関係しているかもしれません。
異音を止めるにはベルトの張り調整または交換
発電機のベルトから異音が出る場合、ベルトそのものの劣化やベルトの張りが不足している場合の2つが考えられます。
オルタネーターベルトは少しずつ伸びていくので張りの調整を定期的にしておく必要がありますが、ベルトが滑り始めた場合は張りの調整よりもベルト交換が望ましいです。
ベルトとプーリーの接点で滑りが発生すると、ゴム製のベルトのほうが削れて痩せていき、リブベルトとしてプーリー側の接点と密着できなくなります。
この状態では、あらためてベルトの張り調整をしても本来のベルトの強度がない可能性もあるため、リスクを避けるためにも交換しておきましょう。
エアコンベルトから異音
エアコンベルトが滑って異音がする
エアコンベルトの張りが不足していると、エアコンのスイッチを入れたときにアクセルを踏むと異音がすることがあります。
ベルトが滑り始めたすぐの段階では、エアコンベルトの張り調整をすることでベルトの滑りがなくなり「キューーー」といった異音は解消します。
ただし、N-BOXに採用されているエアコンベルトは「リブベルト」と呼ばれる、比較的に滑りにくいタイプのもので、多少の張り不足ぐらいでは異音は出ません。
どちらかといえば、ベルト側ではなくコンプレッサー側に問題があってベルトが滑り、大きな異音が出るケースのほうが多いかもしれません。
エアコンコンプレッサー内部から異音
※コンプレッサーは別の車種のものです
ベルトが滑るほどの大きな負荷
N-BOXに限ったことではありませんが、エアコンのコンプレッサーの内部が壊れてしまうことがあります。
故障の初期症状では、アクセルを踏むと「キュー」とか「ギャー」というベルトが滑る大きな音がします。
ベルトの張りが正常に調整されている状態でも異音がする場合は、コンプレッサーの内部が壊れかけている可能性があります。
この場合、コンプレッサーを作動させるための「AC」のボタンをオフにすれば異音はしなくなるはずで、整備士が簡易的に異音の原因を探るさいによくやるやり方です。
コンプレッサー内部で焼付きの可能性
N-BOXのエアコンコンプレッサーはスクロール式が採用されていますが、エアコンを多用したり、高回転域で駆動させることでコンプレッサー内部にガタができることがあります。
コンプレッサー内部の回転のガタが大きくなるとなめらかに回転することができなくなり、大きな抵抗ができてしまい、最終的にはエアコンベルトが滑るほどになります。
この場合は、エアコンのスイッチをオフにすることでコンプレッサーの前側にあるマグネットクラッチの接続が切れ、異音はしなくなります。
CVT内部から異音
N-BOXのCVTトラブルについて
アクセルを踏んだときに異音がする場合、エンジンとつながっているオートマチック・トランスミッションからも異音がすることがあります。
JF1、JF2のN-BOXはホンダの軽自動車用CVTが搭載されはじめたころで、改善の余地が多くリコールもいくつかありました。
【関連記事】ホンダ:N-BOX|CVTからの異音の原因とは?修理費用や保証期間はどれくらい?
N-BOXだけでなくNシリーズは同じプラットフォームなので、
エンジンもミッションも同じような不具合が出てしまいます。
N-BOXの販売台数が多いぶん異音などに対して
「N-BOXは・・・」という言われ方をされてしまいます。
実は別のNシリーズでも同じことが起きています。
アクセルを踏んで異音がする場合の対処法
異音の出どころを特定するやり方
異音がしている状態では高速道路の走行などは控えて、整備工場で点検をしてもらうことが重要です。
ただ、常に異音の確認ができないこともあるので、簡易的に異音がしているときの状況を覚えておくことで、整備士が異音の原因の特定するときの参考になります。
エンジンルームの右側からの異音かどうかを確認する
アクセルを踏んだときにだけ異音がする場合は、実際にその異音を再現する必要があり、まずはアクセル操作と直結しているエンジンからの異音かどうかを確認しましょう。
N-BOXの場合は運転席の真正面にエンジンがあるので、異音がする場所が運転席に近いかどうかを確認しておきます。
ベルトからの異音であれば右前タイヤのすぐ近くから異音がしているはずで、エアコンのスイッチを入れたりヘッドライトやリアガラスの熱線のスイッチを操作して異音が変化するかどうかを確認してみましょう。
とくにエアコンの「AC」のスイッチがオンになってコンプレッサーが作動しているときにアクセルを踏むと「キーー」とか「キュルキュル」という音がする場合はベルトの滑りが原因です。
「キュルキュル」は滑りかけの状態で、大きな音での「キーー」はすでに滑っている状態なので、エアコンを使うのを控えたほうがいいでしょう。
走行中に左前側からモーターのような異音
CVTから異音がしている場合は、エンジンルームの左側にCVTが載っているので、助手席側から異音がすることが多く、アクセルを踏んで加速するときに異音が大きくなります。
この場合、「キーーーン」とか「ウィーーン」といったモーターのような甲高い異音がすることが多く、アクセルを抜いてエンジンブレーキをかけているときもすることがあります。
CVTそのものは、内部のスチールベルトからモーターのような音がすることが多く、異音ではないこともありますが、音がどんどん大きくなって来た場合は故障の前兆かもしれません。
とくの上り坂でアクセルを踏み込んで加速するときなどに音が大きくなったり、アクセルを踏んだだけ加速をしてくれず滑るような感覚がある場合は注意が必要です。
走行距離が10万キロを超えているような場合は、CVT内部の寿命の可能性もあるので、ディーラーや整備工場で不具合の内容を伝え、点検してもらいましょう。
とくにCVTフルードの交換をしていない場合は汚れたCVTフルードが原因で異音が大きくなっている可能性も考えられます。
【関連記事】CVTフルードの交換時期や交換距離は?無交換で走るとどうなるの?
まとめ
異音は発電機のベルトが滑っているケースが多い
N-BOXの場合、アクセルを踏んだときに異音がする原因としてもっとも多いのはベルトの滑りで、エアコンベルトとオルタネーターベルトがそれぞれ一本ずつあります。
オルタネーターベルトが滑っている場合の原因はベルトの張りが不足しているだけで、張りを調整することで異音がしなくなることがほとんどです。
オルタネーターベルトの張りが原因で異音がする場合は、ヘッドライトやリアガラスの熱線などの電気負荷をかけることで音が大きくなります。
エアコンベルトの滑りには2つの原因がある
それに対して、エアコンベルトの滑りが原因で異音がしている場合は、ベルトの張りが不足している以外にも、エアコンのコンプレッサーが原因であることもあります。
よほどエアコンベルトが緩くなっていないかぎり、エアコンを入れていないときにベルトが滑ることは少ないです。
確認のやり方としては、エアコンのコンプレッサーを作動させるために「AC」のボタンを押した状態でアクセルを踏んでエンジンの回転を上げてみます。
そのときに「キーー」とか「キュー」という大きな音がエンジンルームの右側付近からする場合、エアコンベルトが滑っていることが原因と言えます。
異音がなり始めている初期段階ではベルトの張りを調整することでベルトの滑りは解消されます。
コンプレッサーのトラブルは高額修理に
それに対してエアコンのコンプレッサーが故障して回らなくなった場合、エアコンベルトの張りは正常でもエアコンのスイッチを入れると大きな異音がし、アクセルを踏むとさらに大きくなります。
この場合はエアコンコンプレッサーをまるごと交換する必要がありますが、ほとんどの場合はコンプレッサー内部から出た金属粉がエアコンサイクル内に流れ混んでしまい、高額修理になることがあります。
CVT内部からの異音がするケース
走行中にアクセルを踏み込んでいくと、エンジンルームの左側付近から「キーーン」とか「ウィーーン」といったモーターのような異音がすることがあります。
これはオートマチックミッションであるCVT内部のスチールベルトから発生している異音である可能性があります。
この場合、CVTに大きな負荷をかけるような上り坂での加速中に異音の確認がしやすいこともありますが、整備工場に預けるなどプロに試乗してもらうほうがいいでしょう。
CVT内部からの異音には、CVTフルードの交換をしなかった場合や、CVTに大きな負荷をかけた使用条件で10万キロ以上走行している場合におきやすいです。
【関連記事】CVTまとめ|フルード交換・異音・運転方法などを解説
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