いきなり車のエンジンがエンストしてしまったら、軽くパニックになってしまうかもしれません。
ただ、絶対にエンストしないエンジンはありませんが、なんらかのはっきりした原因があってエンストする場合もあります。
また、エンストしたらすぐにレッカーをよぶべきなのか、少し様子をみるべきなのかも迷うところです。
今回はオイルランプが点灯したのちにエンストしてしまった場合の原因と
その後の対処方法についてのお話です。
車のメーター内にオイルランプが点いてエンストする原因
エンジンに深刻なダメージを受けているかも
本来、このオイルランプはエンジンがかかっている状態では点灯することはありません。
このランプは何種類かある警告灯のひとつで、ただしくは「オイルプレッシャーランプ」や「油圧警告灯」などと言われています。
つまり、エンジン内部のオイルの圧力が足りない場合や、油圧がまったくないときに点灯する警告灯なのです。
その場合、油圧が少し足りないときは、オイルランプが点いたり消えたりすることもあります。
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ほとんどはエンジンオイル不足が原因
オイルランプが点灯する条件は油圧不足とお話しましたが、ほとんどの場合はエンジンオイルの量が足りていないことが原因です。
エンジンオイルはごく微量ですがエンジン内部の燃焼室に流れ込み、燃料と一緒に燃えることで、少しづつ量が減っていきます。
健康なエンジンの場合、エンジンオイルがなくなるような減り方はしないのですが、走行距離が多くなったり、エンジンオイルの交換を適切な時期にしないと、エンジンオイルの減り方が早まっていきます。
これを「オイル消費」といいますが、オイル消費が進んでいくと知らないうちにエンジンオイルの量が規定値よりもはるかに足りないレベルまでなくなっていきます。
オイル不足はエンジンに致命傷をあたえる
エンジンオイルが不足したままで車を走らせていると、エンジン内部では本来の潤滑作用が失われているため、エンジン内部の回転部分が潤滑不足で焼き付くことになります。
つまり、エンジンが自力で回転できないくらいの、非常に大きな抵抗ができたために堪え切れずにエンジンが止まってしまうのです。
もともとエンジンは、人の力では止められないくらいの、ものすごい馬力を発揮していますが、それを上回るくらいの、非常に大きな抵抗が発生することでエンストするのです。
ちなみに「エンスト」とは、エンジンストップ(engine-stop)という意味ではなく、エンジンストール(engine-stall)を略してエンストと呼びます。
エンジンにとっては、心臓を無理やり止められてしまうような大ダメージです。
この状態は、「断末魔」というか、「力尽きる」といった感じの状態だと思ってください。
エンストしたら再始動できないことも
絶対にエンストしないエンジンはないのですが、エンジンがいきなり止まってしまうということは正常な状態ではありません。
今回のお話のような場合、エンジンオイルの量が不足していたり、エンジン内部のオイル通路が詰まってしまった場合は、エンジンが限界まで痛めつけられています。
そのため、エンジンが止まってしまった段階でエンジン内部が焼き付いていることも珍しくありません。
その場合、クランクシャフト周りでは、がっちりと部品と部品がかみ合ったようになっていて、セルモーターでも回すことができない状態になっています。
イグニッションスイッチを回しても「カチ」としか音がしない場合はエンジンが一切回らない状態なので、応急処置はもちろん、エンジン本体を修理することもかなり大変な状態になっています。
ほとんどの場合エンジンの修理はせず、別のエンジンを車体に載せ替えすることが多いです。
他のランプも点灯してエンスト?
お客さまご本人から、
「オイルランプが点いてエンジンが止まった」
と聞かされていても、実際はそうではない場合もあります。
エンストして慌てた状態でメーター周りをやるとオイルランプが目に飛び込んできたから
「オイルランプが点いて止まった!」
と思い込んでいるだけで、
実際は
「エンストしてメーターを見たら、いろんなランプが点いていたけどオイルのランプだけが印象に残っていた」
と言う状態が正しいのです。
つまりオイルランプが点灯してエンストしたわけではないケースということになります。
エンジンにダメージを受けてないケース
エンジンが止まる一因として、なんらかの理由で点火系や燃料系にトラブルが生じて、エンジンが回転できなくなって自然に止まってしまうケースもあります。
その場合は、ただ単にエンジンの回転が維持できない別の要因が起きただけなので、エンジン内部にはなんのダメージも受けていません。
どちらかといえば、エンジンが突然停まってしまう原因のほとんどは、このエンジン内部の焼付きとか関係ないことが圧倒的に多いのです。
今回はあくまでもオイルランプが点灯してエンストしたケースのお話ですので、これらの補機類や制御系が原因の場合のお話は割愛します。
エンストしたあとの対処方法
オイルランプが点灯してのちエンストしたら、まずはイグニションキーを押して(またはスタートボタンを押して)とりあえずエンジンがかかるかどうかの確認をしてください。
【ケース1】エンジンの始動ができた場合
エンジン始動ができたら、まずは車をなるべく安全な場所に移動させましょう。
その場合、アクセルと踏み込んで加速させたりせず、なるべくゆっくりと車を走らせる必要があり、エンジンはかかったものの、エンジンオイルの量が極端に少ない状態です。
もしもアクセルを踏んでエンジンの回転を上げてしまうと、エンジン内部の焼付きがさらに進行してしまう可能性があり、今度こそエンジンがかからなくなることがあります。
車を安全な場所に移動できたら、エンジンがアイドリングの状態で、再度おちついてメーターの中のオイルランプが点灯しているか確認しましょう。
オイルランプが付いたり消えたり
もしもオイルランプが付いたり消えたりしている場合は、エンジン内部の油圧がかろうじて確保できるかできないかの状態で、エンジンオイルを補充すればなんとかエンジン焼付きは回避できる可能性があります。
オイルランプが点灯したまま
この場合、エンジンオイルがほぼ足りていない状態で、オイルパンの内部にはおそらくドロドロのエンジンオイルが少し残っている状態と言えます。
エンジンをそのままかけていてもエンジン内部がダメージを受け続けているだけなので、ハザードランプをつけてエンジンを停止させましょう。
ちかくにガソリンスタンドがある場合はエンジンオイルを補充してもらえばなんとか自走できるケースもありますが、できればエンジンの状態をサービスマンに一緒に確認してもらうほうがいいでしょう。
【ケース2】エンジンが始動できなかった場合
残念ながらこの状態では車を自走させることはできませんのでレッカーサービスを手配して移動してもらうしかできることはありません。
まずはエンストしたその場でハザードランプを点灯させ、後続車に追突されないような配慮をしておきます。
交通状況によっては車内にいると追突される恐れもあるため、可能であれば後方をよく確認して車から離れて安全な場所に退避しましょう。
オイルランプが点灯してエンストしたその後・・
まずは整備工場でオイルランプが点灯した原因を調べてもらう必要があります。
僕なら、まずはエンジンオイルの量をまず確認し、オイルの量が非常に少ないとわかった時点でエンジンが焼付き寸前だったと判断します。
基本的にはエンジン載せ替えを提案しますが、わずかな可能性にかけてエンジン内部の洗浄をする場合もあります。
エンジンフラッシングをしてみたり、エンジンオイルパンを外してストレーナーまわりを直接手で掃除してみたりという処置をしますが、あくまでも「ダメ元」の延命処置になるでしょう。
車のトータルの状態も加味して提案する
エンジンオイルの量が不足している時点で、車のコンディションは全体的によくないケースが多く、走行距離もかなり走っていて、いろんな不具合や不調が出ている可能性があります。
エンジンの不具合も確認
無事にエンジンが始動できても、エンジンにダメージを受けていることがほとんどで、修理のプランを考えていくうえでもエンジンの今の状態を総合的に把握する必要があります。
まず確認してほしいのが、
・エンジンの内部から異音がする
・以前から燃費がかなり悪くなっていた
・エンジン周辺でオイル漏れしている
・エンジンが大きく振動している
とくに、エンジン内部から異音が出ている場合は「メタル」という、重要な部分が致命的なダメージを受けている可能性が高いので、オーバーホールよりもエンジン載せ替えという方向になることが多いでしょう。
エンジン以外の不具合
本来のエンジンのダメージと離れてきますが、エンジン載せ替えという高額な修理を検討する場合、その作業が本当にお客様にとってベストな選択なのか、一緒に考える必要があります。
車はエンジンだけが元気なだけでは快調に走ることはできません。
オートマチックやパワーステアリング、エアコンの効き具合、車体回りの傷や凹みなどもユーザーさんの、その車に対する愛着度や利便性と関係があります。
そもそものお話ですが、エンジンオイルの管理を怠っているという時点で愛着が薄くなっているのかもしれませんが・・。
気に入っている車に乗り換えるのもメンテナンスに関心をもつきっかけなのかもしれませんね。
車検や税金の時期も確認
ここらへんの話になると、あきらかに維持費や修理費とのコストと車そのものの価値を天秤にかけることになるのかもしれません。
ユーザーさんのその車への「思い入れ」を抜きに考えていくと、車の市場価値と、エンジン修理費や車検や税金などをリストアップしていくことで、その後にかかる費用を目の当たりに
「エンジンだけを修理しても意味がない」
という結論になることも整備工場でよく交わされる話です。
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