車を運転していて、突然バッテリーのマークが点灯してハンドルも重たくなってしまった。
でもどうしてバッテリーの警告灯が点いてしまったのでしょうか?
このトラブルはキュルキュルと車の前側から音がするケースもあります。
この状態は危険なのでしょうか?
その原因と、すぐに取るべき安全処置を整備士がお答えします。
車のメーターの中にバッテリーの警告灯が点いたらハンドルが重くなる原因
まず、発電機のベルトが切れるとバッテリーのマークが点灯します。「発電できていません」ということをドライバーに知らせるためです。
意外と知られていないことですが、一本のベルトで複数の補器類(発電機やエアコン・パワステなど)を回している車種もかなり多いです。
今回の場合は、「発電機とパワステのポンプを兼用して回しているベルト」が切れたことでこうなります。
そのため、パワーステアリングだけを一本のベルトで回している車種だとバッテリーのマークは点灯しませんが、ハンドルは重くなってしまいます。
車のハンドルが重いのが急になった原因
これは、パワーステアリングベルトが切れてしまったことが原因です。
ただし、今回は油圧でパワーステアリングを作動させている車種に限定したケースですから、
モーターでパワステを効かせている車種の場合は全く当てはまりません。
その場合はメーターの中に電動パワステの警告灯が点灯しますので、別の記事をご覧ください。
【関連記事】ハンドルマークの警告灯はEPSの故障?ステアリングも重いなら即修理!
さて、今回のバッテリーのマークとパワステが重くなるというトラブルになってしまった方の場合は、
「発電機とパワステを兼用で回しているベルト」がいきなり切れたり、外れてしまったケースですから、
もしかすると、車検や定期点検で「ベルトにヒビが入っていますよ。」と指摘を受けていたかもしれません。
残念ながらこの状態は、現場ですぐに修理できることができません。
ベルトと言っても専用のサイズがありますから、ホームセンターなどで購入できません。
この発電機やパワステを回しているベルトは、簡単には切れないくらいの強度がありますので、
ざっくりと4万キロ以上は交換をせずに走行していたのではないでしょうか。
車を走らせていていきなりハンドルが重い状態になりキュルキュル音もしている
パワステベルトが縦に裂けるケース
これは、パワーステアリングの油圧ポンプを回しているベルトが滑っていることで起きるトラブルです。
ベルトが滑る理由はいくつかありますが、ベルトが切れかけている状態が主に考えられます。
パワステベルトはリブベルトというタイプのものが使われることが多く、「リブ」というレールのような状態の断面でポンプ側のプーリーとの接触面積を稼いでいます。
このベルトが古くなってくると、リブが縦に裂けるようになり、パワステのポンプを回すだけの摩擦を確保できなくなりベルトがキュルキュルと滑り出すのです。
パワステベルトの張りがゆるいケース
ベルトは主にゴムでできていますので、少しずつ伸びていきます。ある程度の伸びが発生すると、
本来の張り(テンション)が足りていないために、ベルトがキュルキュルと滑ることがあります。
たとえば、エアコンを入れた瞬間にベルトがキュルキュルと滑る場合は、発電機やエアコンのコンプレッサーを回しているベルトが補器類の負荷に耐えられなくなり滑ってしまいます。
もしもハンドルを据え切りするなどしたときにキュルキュルと音がした場合はパワステベルトが滑っている可能性が高いです。
まれにですが、整備のミスでも起きる場合があります。
ベルトの交換をする際に、適切なベルトの張りの調整ができていないかもしれません。
またはベルトのかけかたが間違っていると、走行していてベルトがズレたりすることでも起こりえます。
補器類に大きな負荷がかかりベルトが滑るケース
たとえば、パワステのポンプとエアコンのコンプレッサーを同じベルトが兼用して回している場合もあります。
もしもエアコンのコンプレッサーにトラブルがあり、「ロック」という、コンプレッサーの内部が破壊して完全に回らなくなった状態になることがあります。
こうなると、同じベルトでパワステのポンプも回しているので、ベルトに大きな負荷がかかるので、パワステのポンプも十分に力をもらえず、ハンドルも重くなってしまうケースがあります。
走行中にハンドルが重くなったらするべきこと
まず、バッテリーのマークがついている時点で車を走らせるのはやめて、安全な路肩などに停車しましょう。
そのまま走行していると、発電不足のためにバッテリーが完全に上がってしまいます。
ハンドルが重いという状態も整備工場でベルトを交換しないと直りません。
ハンドルが重いと緊急的にステアリング操作をするときに大きな支障がでます。回避などが十分できない可能性がありますので、危険な状態と言えます。
普段よりも余裕を持ったハンドル操作をしながら、必要最低限の走行をしてください。
最も深刻なのは、「全ての補器類を一本のベルトで回している車種」です。
その場合は、発電機、パワーステアリング、エアコン、ウォーターポンプが全部止まってしまっています。
とくに発電機が機能しないことと、ウォーターポンプが回っていないことで、エンジンが止まってしまったり、オーバーヒートになりますので、すぐに走行を止めるべきです。
該当する車種
トヨタ車
排気量が2400ccのエンジン「1AZなど」通称AZ系エンジン搭載車
エスティマ、アルファード、クルーガー、ハリアー、
排気量が2500ccの「1JZ」通称JZ系エンジン搭載車
マークII、クレスタ、チェイサー、など
同じく、クラウン、プログレなど
最後に・・・
エンジンの警告灯やパワステの警告灯が点灯したままの状態が続くようなら、整備工場で詳しく調べてもらう必要があります。
また、警告灯が点灯したままでは車検に合格しませんので、車検を受けるときには必ず修理もすることになります。
通常だと車検に合格しない状態ではクルを売るときも、かなり査定額が落ちてしまい、買取店やディーラーでの下取りは期待できません。
ですが、買い取り業者によっては車検に合格できない状態でも高値をつけてくることがあります。
整備士の経験上で実際にあったお話を交えて記事にしていますので、こちらの記事もチェックしていただければと思います。
【関連記事】車検に合格できない車を高く売るコツ|オークション代行の仕組みとは
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