スタッドレスタイヤはどれくらいの周期で交換したらいいのでしょうか。
また、どれくらい走ると使えなくなるのでしょうか。
車検に合格するためにはスタッドレスタイヤでも合格できるのか、
今回はスタッドレスタイヤの限界値や耐用年数について、具体的にどれくらい使えるのかをご説明していきます。
スタッドレスタイヤの限界は二段階ある?
冬タイヤとしての限界値のプラットフォームとは
夏用タイヤには使用限界を知らせる「スリップサイン」という部分があります。
これとは別にスタッドレスタイヤには「プラットフォーム」という冬用タイヤの使用限界を知らせる部分があります。
スタッドレスタイヤは雪道でのグリップを発揮するために柔らかいゴム質でできています。さらにしっかりと雪になじむために溝が深いように設計されています。
この深い溝が雪とタイヤの間にある水分の膜を取り除き、しっかりとタイヤが密着することでグリップすることができるのです。
そのため、ある程度、溝が薄くなっていくと十分にゴムがつぶれて雪に密着することができなくなるのでグリップしなくなるのです。
プラットフォームという溝の深さが確認できるようにしている部分の役割は、
「これ以上摩耗するとスタッドレスタイヤとしてのグリップ性能は確保できませんよ」というサインなのです。
法令で決められた限界値がスリップサイン
スタッドレスタイヤにもスリップサインはあります。雪道を走れる性能があることはプラットフォームで確認できますが、さらにその奥にスリップサインが見えます。
これは、タイヤの残り溝が1.6mmになったことを知らせるもので、この時点で、「最低限度のグリップ力がないよ」とういサインなのです。
つまり、
「プラットフォームの限界値が露出しても、通常のタイヤとしての性能はあるよ」
「スリップサインが出たら、車検にも合格しないし、道路を走ったらだめですよ」
という二段階のお知らせがスタッドレスタイヤにはあるのです。
スタッドレスタイヤは走行距離だけで摩耗は決まらない?
スタッドレスタイヤはすごく擦り減りやすい
雪道やアイスバーンではグリップ性能を発揮するスタッドレスタイヤですが、その性能を発揮するために、非常に柔らかいゴム質となっています。
そのため、乾いた舗装路ではその柔らかさが仇となって非常にすり減るのが早いのです。
もしも、スタッドレスタイヤで雪道を走ることなく舗装路だけを走り続けた場合、夏用タイヤの何倍ものスピードですり減っていきます。
スタッドレスタイヤの摩耗は「どんな使用条件で走らせるのか」という部分で寿命が変わってくるのです。
タイヤメーカーで摩耗の早さが違う?
たとえば、スタッドレスタイヤのブランドで高い評価を得ているのがブリジストンの「ブリザック」シリーズ。
雪道やアイスバーンでのグリップ力には定評があるのですが、その一方で、舗装路での耐摩耗性に難がある。とう評価もあります。
実際にこのブリザックの新品タイヤを触ってみると、とにかくゴムが柔らかいことに驚かされます。
「発泡ゴム」といわれる、合成ゴムを泡立てて固めた製造方法の中空のゴムを採用することで、
雪道での路面への密着度を格段に向上させることができたブリザックシリーズですが、その柔らかさゆえに乾いた路面での耐摩耗性との両立が難しいのです。
その一方で、ブリジストンのブリザックのコンセプトである「最強の雪道性能」に対して、
「雪道ではそこそこ、だけど耐摩耗性は高い」とういコンセプトで、
「念のためにスタッドレスタイヤをはいておこう」というユーザーにアプローチしているタイヤメーカーもあります。
スタッドレスタイヤの耐用年数は?
ゴム質の硬化がスタッドレスタイヤの寿命?
スタッドレスタイヤの雪道でのグリップ力は、いかに踏みしめられた雪の路面に吸い付くように密着できるかが重要です。
そのため、ゴム質が硬くなると、十分に路面に吸い付くことができなくなりますので、一定の硬さになってしまうとスタッドレスタイヤとしての性能は失われてしまいます。
ゴムの硬化の原因は「経年劣化」と「ゴムの変質」です。
つまり、完璧な保存方法で保管していても、時間が経てばどうしてもゴムとして硬くなってしまいます。
その一方で、直射日光にさらされたり、高温、多湿、油分などのタイヤの保管に望ましくない環境で長期間保管することでスタッドレスタイヤの硬化が進んでしまうことがあるのです。
平均的なゴムが硬化する年月は?
スタッドレスタイヤの性能を維持できる期間は四年と言われています。
ただし、これは最良の保管方法で保管した場合なので、直射日光や、風雨にさらされたりする場合はもっと短い期間となってしまいます。
結局は、走行しなくても保管したままでも、スタッドレスタイヤの劣化は進んでいくものだと考えていただくのが正解なのです。
表面のゴムの柔らかさで判断する
スタッドレスタイヤとしての性能はそのままゴム質がどれだけ柔らかいままで維持されているかによります。
硬度を測定する器具もありますが、爪を立ててみて十分なしなやかさがあるかどうかを簡易的に確認してみるのもいいでしょう。
夏用タイヤとして履きつぶすのが正解?
雪道を走ることができないくらい摩耗したスタッドレスタイヤは、交換して捨ててしまうことになります。
夏用タイヤとして残り溝を見ると随分溝が深いように見えるので、「もったいないから夏用タイヤとして履きつぶしてしまおう」と考えてしまいます。
ただし、スタッドレスタイヤは夏用タイヤよりもはるかに濡れた路面ではグリップしないので、
マンホールや橋脚の継ぎ目などの鉄板がむき出しになっている部分が濡れていると、想像以上にスリップすることを認識しておいてください。
つまり「経済的にはアリ」かもしれませんが「安全第一」という意味ではおススメではありません。
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