「充電制御」という名称だと充電を制御してしまうからあんまり充電しないの?
という、素朴な疑問が浮かんでくるかもしれません。
そのうえ、「充電制御車の専用バッテリー」もあるわけですから、
もうこれは車が走っていないときは充電なんか絶対にしないだろう。
こういった間違った解釈はどこからやってくるのでしょうか。
充電制御車の基本的な制御
加速中は充電しない理由
充電制御車は燃費を少しでも良くするための仕組みです。燃費が悪くなる瞬間をいかに減らすかということを、今あるテクノロジーで実現しようとしています。
具体的には、加速中はバッテリーへの充電をカットすることで、発電機(オルタネーター)が発電をしないようにしています。
なぜなら、発電機が仕事をすることは、エンジンの力を借りて発電機を駆動させることになり、それはそのままエンジンに負担をかけることになります。
結果的には燃費が悪くなるわけです。
当然、加速中に発電機に駆動力を奪われるとエンジンパワーも落ちるのでさらにアクセルを踏み足してしまうという悪循環にもなります。
そこで、充電制御車は加速中は発電機は仕事をしないようになっていて、アクセルをオフにしたり、ブレーキペダルを踏んで減速しているときにだけ発電機が仕事をするようになっています。
合理的なエネルギー回収システム
減速中にだけ発電機が機能するというのは、自転車に例えるなら、ライトの発電機を坂道を下っていくときや、惰力で走っているときだけ発電していることと同じなのです。
つまり充電制御車とは加速すると発電機が仕事をせず、減速中や下り坂などのときに主に発電機がバッテリーを充電しているというわけです。
ただし、このシステムの場合、エンジンにはなるべく負担をかけないようにするのですが、バッテリーにとってはかなり過酷というか、いつも「腹ペコ状態」を強いるシステムなのです。
だからこそ、充電制御車には専用のバッテリーが組み込まれているのです。
ただ、残念ながらというか、高性能な充電制御車用バッテリーでも寿命が短いケースもあります。
アイドリングでは本当に充電しないのか
賢い仕組みで制御されている
充電制御車はつねにギリギリまでバッテリーを充電しない車と言えますが、充電をしないままだとバッテリーが上がってしまいます。
つまり、エンジンを止めたらそのままエンジンを再始動することができなくなるわけで、非常に重大な状況になってしまうこともあります。
そこで、エンジンを制御しているECU(Engine Control Unit)、つまりメインコンピューターがその時にバッテリーの健康状態や、
車がどれくらい電気を使っているのかを総合的に判断しながら充電制御をするべきかを細やかに判断しています。
アイドリング中でも充電するケースとは
アイドリングの状態で停車していても電気がどんどん出て行ってしまう状況があります。とくに電気を多く消費するのは冷房で、エアコンのボタンを押すことで非常に多くの電気を消費します。
もしもこの状態でも充電をしないままでいると、バッテリーに残されている電気はみるみる消費されていきます。そのため、クーラーを効かせているときは充電制御車でも充電はしていることが多いです。
また、経年劣化でかなり弱った状態のバッテリーだと、バッテリーの電圧などをECUが判断して充電をするような命令を下しています。
そのほかにもバッテリーをうっかり上がらせてしまった状態から救援車にバッテリーをつないでもらってエンジンを始動させた直後などは、アイドリングでも充電器はバリバリと充電をしています。
これもバッテリーの状態を車が判断してくれているからなのです。
まとめ
今回は充電制御車のアイドリングの状態での制御に関するお話でしたが、バッテリーにかなり負担をかけるシステムだということはお判りいただけたでしょうか。
今でも充電制御車に通常のバッテリーを組み込んだ車をよく見かけます。
走行状況によってはそこそこ充電ができるのでなんとなくそのままでも問題が発生することなく二年くらいは走れてしまうこともあります。
ですが、燃費基準がどんどん厳しくなるにつれ、充電をカットする頻度も上がってきているように感じます。
くれぐれも間違ったバッテリーを組み込まないようにしましょう。
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