タント、ムーヴ、ミラ、ミライース、ミラココア、タントエグゼ、アドレー、ハイゼット、ソニカ、キャスト、ウェイク、ムーブキャンバスなど
2005年以降に製作されたおおよそのダイハツの軽自動車が対象のお話です
ダイハツの軽自動車によくあるトラブルとして、
エンジンがブルブル揺れたり、振動が大きくなるというものがあります。
ダイハツ系のディーラーに勤務している整備士さんなら
「ああ、アレのことだろうな」とすぐに浮かぶでしょう。
ダイハツのエンジンが揺れる大きな原因は二つ
2つのトラブルの見分け方
エンジンが揺れるというトラブルや不具合はダイハツ車に限ったことではありません。ただ、ダイハツの軽自動車の場合はよくあるトラブルとしては「点火系」と「マウント系」が挙げられます。
どちらのトラブルもエンジンがブルブル振動したり、グラグラ揺れる症状なのですが、少し症状に違いがあります。
信号待ちで揺れたり振動する
この場合はオートマチック車によくあるのですが、信号待ちなどで、オートマチックを「Dレンジ」に入れたままでブレーキペダルを踏んで停車しているときに起きやすい症状です。
症状としては、ハンドルにも伝わってくる振動が「ブルブル」「ガタガタ」という感じで室内に振動が伝わってきます。
走り出すときにアクセルペダルを踏み込んでエンジンの回転が上がっていくと、振動や揺れも気にならなくなります。
つまり、エンジンの回転が低い時に起きやすく、回転が上がるとほとんど揺れは気にならないという不具合の発生のしかたです。
走行中でも揺れが止まらない
つまり、走っていても停車していても常にエンジンあたりから揺れや振動を感じるケースです。
この場合はエンジンの点火系のトラブルの可能性が高いです。
点火系のトラブルの特徴としては、いきなり症状が出たと思いきや、エンジンを止めてしばらくするとなにごともなかったように普通の状態に戻っていることです。
詳しくはこの記事の点火系のトラブルの項目をご覧ください。
エンジンマウントの劣化
KF型エンジンの定番のトラブル?
ダイハツには「KF」と呼ばれる型式のエンジンがあります。軽自動車がメインであるダイハツの中でもメインで搭載されているエンジンで、2005年以降のダイハツの軽自動車はほぼこのエンジンが搭載されています。
このKF型エンジン、エンジンマウントが原因でエンジンの回転が低い時に「ブルブル」とか「ゴトゴト」といった、小刻みな揺れを発生させることがあります。
その原因はエンジンマウントと呼ばれる、エンジンと車体をつなぐゴムでできた振動を軽減するための部品の劣化です。
とくにエンジンの右側にあるエンジンマウントは車体とエンジンの間の距離が多めにとってあります。そのためエンジンマウントへの負担が、他のマウントよりも大きく、劣化したりゴムの部分がちぎれたりするトラブルがよくあります。
さらに、KF型エンジンの場合はエンジンマウントの設計に問題があり、耐久性が低く、メーカーが想定するよりも劣化が早いことがあります。
その場合、メーカーが「サービスキャンペーン」といって、無償で交換してくれたり、保証期間を延長するという対策をとっています。
エンジンマウントの交換費用は?
サービスキャンペーンの対象外の車種の場合は自費でエンジンマウントを交換することになります。
その場合のだいたいの費用は
エンジンマウントの部品代 6,000円~8,000円ほど
作業料金 5,000円~9,000円ほど
ディーラー系と町の整備工場では料金に違いがありますので、ざっくりとした金額です。
作業は、まずその車種に適合した部品を取り寄せする必要があるので、部品の発注を依頼しなければなりません。
点火系のトラブル
ダイハツ車以外にも起きるトラブル
どのエンジンでも、走行距離が増えていくことで起きやすくなるのが点火系のトラブルです。
ダイハツの軽自動車でも点火系のトラブルはよくあります。
ただ、「よくある」という言い方ですが、「問題がある」という意味ではありません。
なぜなら、点火系のトラブルは走行距離が伸びてくれば消耗品として劣化していく部品が原因だからです。
イグニッションコイルのトラブル
イグニッションコイルとは、スパークプラグに高電圧の電流を供給するためのものです。
この部品は熱に弱く、エンジン回りが高温になることで少しづつ故障のリスクが上がってきます。
ところが、イグニッションコイルはエンジンの上部から燃焼室に差し込むようにセットされているので、「熱に弱いのに高温になる部分にセットされている」という問題を抱えています。
以前はイグニッションコイルという部品は、一部の高級車やスポーツカーに採用されていました。
その当時は軽自動車やコンパクトカーは、プラグコードと呼ばれるコードがエンジンから離れた場所にあるコイルから伸びてスパークプラグに刺さっていました。
つまり、コイルそのものは熱源であるエンジンから離れた場所にあったため、それほど熱で壊れるとういトラブルはありませんでした。
次第に軽自動車も高性能になり、エンジンの出力や燃費性能などを向上するために「ダイレクトイグニッションシステム」という、各気筒にそれぞれコイルを配置する仕組みをとるようになりました。
今ではほぼすべての車種にダイレクトイグニッションが採用されています。
それにともない、イグニッションコイルのトラブルが増えてきています。
ダイハツの軽自動車だから多いのではなく、たくさん走っているから増えただけと言えなくもないです。
ただ、イグニッションコイルの製品としての耐久性が他のメーカーよりもやや劣るという製品もあるかもしれません。
なぜなら、特定の車種やモデルにイグニッションコイルの不具合が多いことも確かだからです。
スパークプラグが原因になることも
長寿命なスパークプラグは点検されない
イグニッションコイルの耐久性に対して、かなりロングライフになったのがスパークプラグです。
点火系を高性能にすることでエンジンの出力や燃費性能が向上するため、スパークプラグも高性能化されました。
それが長寿命で高性能なスパークプラグで、新車装着されるようになってから、車検などでも点検する機会も減りました。
というのも、長寿命タイプのスパークプラグは車検でもエンジンから外して点検しなくてもいいことになっているからです。
寿命としては10万キロくらいは問題なく走れるといわれていますが、僕自身の整備士としての経験では、「軽自動車はちょっと早めの交換がいいかな?」と考えています。
なぜなら、軽自動車は普通車よりもエンジンの回転を上げて出力を出すので、エンジンの回転はつねに高めです。
そのため、トータルでのスパークプラグの負担は普通車よりも消耗が早いと感じているからです。
メンテナンス不足でプラグも劣化が早い?
エンジンオイルを交換しないと、スパークプラグに負担をかけることがあることをご存知でしょうか?
というのも、エンジンオイルを長期間交換しないと、エンジンオイルの燃えカスが燃料室に付着し、デトネーションという、異常燃焼の原因を作ってしまうことがあります。
また、エンジンオイルの燃えカスがスパークプラグの先端にも付着することがあり、それが原因で長寿命なスパークプラグでも電極部分がダメになってしまうこともあるのです。
マウント交換もコイル交換も予約が必要
今回はダイハツの軽自動車たちの振動や揺れに関するお話でした。
ただ、エンジンマウントの交換にしてもイグニッションコイルの交換も
まずは車検証を用意して整備工場やディーラーに依頼をすることから始めます。
イグニッションコイルの不具合の場合は車をそのまま預かってもらったほうがいいケースもありますが、代車がないと断れることもあります。
できれば事前に連絡しておくほうが作業もスムーズにいくでしょう。
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