走行中にブレーキペダルを踏むと、
なぜかハンドルが左右にガタガタと振動するという現象。
少し走行距離が多い車にはわりとあることなのですが、
これがさらにひどくなるとちょっと怖い思いをするかもしれません。
ブレーキを踏んで起きる現象なのだからブレーキの何かがおかしい。
たしかに正解なのですが、他にもいろんな要素も関係してくることもあります。
車のブレーキとハンドルの振動の関係
振動の原因はディスクローター
今回はブレーキを踏んだ時のハンドルが振動する原因についてですが、
その原因はディスクブレーキの円盤みたいな部品、「ディスクローター」がその主な原因です。
ディスクブレーキが作動するメカニズム
ブレーキペダルを踏み込むと、その奥にあるブレーキマスターと呼ばれる油圧のピストンが足の力で奥に押し込まれます。
すると、このピストンは注射器のような構造をしているので、なかに入っているブレーキフルードと呼ばれる油圧を伝える液も動きます。
すると、ブレーキマスターからさらにそれぞれのタイヤの奥にあるブレーキ側に油圧の力が伝わっていきます。
ここではじめてブレーキの力がタイヤにも伝わって、ブレーキがきき始めます。
ブレーキペダルを踏む
↓
ブレーキマスターの中のブレーキフルードが動く
↓
ブレーキフルードが配管(ブレーキホース)を経由してブレーキ側に力を伝える
↓
ブレーキ側のピストンが押し出されてブレーキパッドがディスクローターを挟む
↓
ブレーキがきき始める
この流れでディスクローターと直接つながっているタイヤが「ギュッ」と地面に摩擦力を伝えるわけです。
ディスクローターは過酷な部位
信号に引っかかってブレーキを効かせると、その都度コーヒーが一杯が沸かせるほどの発熱があると言われています。
ですが、そのままディスクローターの温度がどんどん上昇すると、ディスクパッドとディスクローターの間の摩擦係数が低くなってブレーキの効きが悪くなってしまいます。
それを防ぐために、ディスクローターは放熱しやすいようにむき出しの状態になっています。
そのため、熱くなったディスクローターは、再び車が走行し始めるとすぐに走行風によって冷却されます。
鋳鉄という金属でできたディスクローターは発熱と放熱を繰り返しています。これは、熱収縮と熱膨張を繰り返していることでもあります。
すると、ディスクローターは少しずつ歪んでいき、その表面は平らではなく、凹凸ができてきます。
ディスクローターが歪むと・・・
本来はディスクローターの表面は製造されるときに表面を綺麗に切削されて仕上げられ、まるで鏡の表面のようになっています。
この状態だと、ブレーキペダルを踏みこんでブレーキが効き始めると、非常に滑らかに一定の効き具合で車を止めることができます。
そして、ここからが今回のお話でもある、ブレーキを踏んだらハンドルが振動するという原因についてですが、
ディスクローターの表面がデコボコになっていると、
ブレーキペダルを踏む
↓
ブレーキパッドがディスクローターを挟む
↓
ディスクローターが歪んでいると・・
↓
ディスクパッドが一定の力でディスクローターに力を伝えられない
↓
ディスクローターの表面の「山の部分」と「谷の部分」でブレーキの効きが変化してしまう
ということが起きてしまいます。
ただ、それだけではハンドルが振動するとうい症状はそれほど顕著に出ないことがほとんどです。
実際にはブレーキング中に車がぎこちなくムラのある止まり方をするだけなのです。
ハンドルが振動するには別の要因も関係する?
ディスクローターの表面にできた凹凸が原因でブレーキの効きが一定でなくなることはご理解いただけたと思います。
じつは、この状態にプラスして「ハブ」と呼ばれる車軸の部分にガタができるとハンドルが振動する原因になることがあるのです。
ハブとは、タイヤの取り付け部分の中心部分にあたる部分です。このハブにガタができると、ハンドルをしっかりと持っていても、前輪タイヤが左右や上下にカタカタと振れるようになります。
ガタは少しずつ大きくなっていき、「カタカタ」だったガタが「ガタガタ」に変化し、最終的には「ゴキゴキ」とか「ガクガク」といった大きなガタになっていきます。
ディスクローターの表面の凹凸によるブレーキの効きにムラができ、さらにハブにガタができていることで、ブレーキの力がそのガタに影響することで、ハンドルが振動するというメカニズムができてしまうのです。
他にも原因はあります。
ハンドル操作をするとステアリングギアボックスという舵取り操作をしている部分の、「タイロッドエンド」と呼ばれる部品が直接ハブに連結しています。
ところが、このタイロッドエンドにガタができることで、タイヤが左右に「カタカタ」と振れるようになります。
するとさきほどのハブのガタと同じく、タイロッドエンドのガタに対して、歪んだディスクローターから発生したブレーキの振れがこのタイロッドエンドのガタを助長してしまうことがあるのです。
ハンドルが振動する症状を解消するには?
歪んだディスクローターへの処置
↑ よく見ると外周に段差があるディスクローター
ディスクローターの表面が歪んできたら、もっとも確実な処置としてはディスクローターそのものを交換してしまうことです。
ですが、表面の凹凸が初期段階でそれほど荒れていない場合は、ディスクローターをはずしてその表面を軽く削ってしまうという方法もあります。
これは「ローター研磨」などと呼ばれる作業で、北海道や東北地方などの雪深い地域では路面凍結防止剤の影響でディスクローターが荒れやすい地域の整備工場では定番の作業です。
ディスクローター以外の要因もつぶしていく
ブレーキング中にハンドルが振動する一番の原因となるディスクローターの表面の凹凸を解消したら、次はほかの要因にもなんらかの処置をする必要があります。
ただし、ここから先は整備工場で診断をしてもらう必要があり、車を預けるつもりで診断を依頼することになります。
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