ダイハツ車のトラブル|ムーヴ・タントなどで水温警告灯が点滅する原因

ダイハツ車 赤い水温警告灯 サムネイル オーバーヒート

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今回は整備士をしていてダイハツ車によくあると感じる水温警告灯のお話です。

赤い水温警告灯が点滅するのは冷却水の温度が上がりすぎてオーバーヒートを起こしている状態です。

水温計マーク 赤

対象車種は2008(平成20)年以降あたりから販売されているKF型エンジン搭載車

ムーヴ、タント、ミラココア、タントエグゼ、ウェイク、ミライース、ミラなど

上記の車種で同じような症状が起きています。

ラジエーター周辺がこんな感じのレイアウトになっていればその対象です。

主な原因としては、

・ラジーエーターからの水漏れ

・電動ファンモーターの寿命や作動不良

この2つが挙げられますが、なかにはリコールやサービスキャンペーンの対象になった事例もあります。

また、オーバーヒートが起きるとエアコンも効かなくなりますが、その原因についても触れていきます。

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事例1)ダイハツ・ムーヴ|水温警告灯が点滅

ダイハツ車 ラジエーターアッパータンク 水漏れ

ラジーエーターからの水漏れ

水温警告灯とは、赤い水温計のマークのことを指しますが、これはエンジンを冷却している冷却水(クーラント)の温度が一定の温度を超えたときに点灯します。

冷却水が高温になる原因はいくつかありますが、その中でもダイハツ車で多いのがラジエーターからの冷却水漏れです。

漏れ出す原因は、ラジエーターの上部のアッパータンクと呼ばれる樹脂製の部分と、冷却水が通過するラジエーターコアとのつなぎ目のパッキンの劣化が多いです。

ダイハツ車のラジエーターの場合、樹脂製のアッパータンクをアルミ製のラジエーターコアの爪状の部分でかしめています。

その間にはゴム製のパッキンが挟み込まれていて、パッキンが潰れることで密閉されて冷却水が漏れないようになっています。

つまり、ゴム製のパッキンの弾力が重要で、時間の経過や高温にさらされたり冷やされたりの繰り返しでゴムとしての弾力が失われていきます。

そのため、同じ加工をされているはずのロアータンク側から漏れることは少なく、高温の冷却水が流れ込むアッパータンク側からの漏れが多いです。

 

サボカジ
サボカジ

渋滞にはまってラジエーターの周辺が高温になることが多い車のほうが、高速道路などの一定の速度で走行している車よりもラジエーターのトラブルは多いです。

やはり走行風で冷やされているほうがラジーエーターもまんべんなく冷えるんでしょうね。

ムーヴのラジエーターはどれくらい持つ?

走行距離と年式で予測できる?

あくまで僕の経験上のお話になりますが、たとえばL175のムーヴだと、走行距離が10万キロを超えたあたりからラジエーターの水漏れがちょくちょくありました。

10万キロを超えたら予防整備を検討してみよう

10万キロから15万キロくらいの間で一度はラジエーターの交換が必要になると考えていて、お客様にも中古車としてムーヴを検討しているかたにはお伝えしています。

ムーヴのラジエーターは取り外して修理することができず、新品や中古品と交換することになります。

今なら海外製の価格が安くてそれなりに信頼性もあるラジエーターもあるので、10万キロを超えた時点でリスク回避をするならラジーエーターを交換してしまってもいいでしょう。

水漏れをおこしてオーバーヒートをさせてしまうとあとで高くついてしまいます。

10年ちかく経過しているラジーエーターは要注意

走行距離は10万キロに満たない場合でも、新車から10年以上経っているなら、ラジーエーターのアッパータンクが割れて水漏れすることがあります。

樹脂製の部品は経年劣化をして少しの衝撃でも簡単に亀裂が入ったりすることもあります。

ムーヴがベースの他の車種でもよくある水漏れトラブル

ムーヴは、ダイハツ軽自動車のラインナップでは、エンジンが横置きのFFベースで作られる車たちのベースとなるモデルです。

タント、ウェイク、ムーヴキャンバスなどのトールワゴンも、ムーヴのプラットフォームと共用されていて、ラジーターの取り付け位置などもそっくりです。

それゆえに、ムーヴで起こりうるトラブルは兄弟車にもおきやすいく、ムーヴ以外のモデルに載っている方の参考にもなります。

整備士サボカジ
整備士サボカジ

ちょっと口の悪い整備士に言わせると

『水漏れのダイハツ』などと揶揄するほどです。

(僕じゃないですよw)

事例2)ダイハツ・タント|水温警告灯がたまに点く

ダイハツ車 電動ファン

電動ファンの作動不良

ダイハツ車で多いのが、電動ファンモーターがとつぜん動かなくなり、ラジエーター内を循環している冷却水が冷やされなくなり水温警告灯が点灯するパターンです。

この電動ファンモーターのトラブルのやっかいなところは、電装品でよくある「たまに動かない」という症状が確認できない点です。

故障診断をする整備士としては、つねに症状が出たままのほうがトラブルシュートがし易いのですが、「今は普通です」という状態で診断を依頼されると原因の特定に時間がかかります。

僕が診断したダイハツ・ムーブのお客様の場合がまさにそれで、「見慣れない赤いランプが点いた」とだけお聞きした状態からの診断スタートでした。

ただ、エンジンルームの冷却水のリザーブタンクに吹きこぼれたあとが見られたのでお客様に赤い水温計の画像を見せて「それそれ!」ということになりました。

この場合は外部診断機を接続するまでもなく絞り込めましたが、ユーザーさんとの問診ができないときは推測で調べることになります。

電動ファンが止まったままなら診断がしやすい

ファンモーターの調子が悪くなると、動かなくなる頻度が高くなりますが、最終的にはモーターが止まったままになる時間が長くなります。

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その瞬間、すかさずドライバーなどでモーターに軽く衝撃を加えると、いきなりモーターが動き出すことがあり、「ああ・・モーターね。」という判断をすることができます。

 

サボカジ
サボカジ

以前、エアコンの風が出ない症状についての記事を書きましたが、それもまたモーターが突然に寿命を迎えたパターンです。
軽く叩いてやるとブロアモーターが動き出すのでそれが決め手になるのです。

夏場の渋滞では電動ファンが生命線

話をムーブの水温警告灯に戻しますが、電動ファンが動かなくなった場合、ラジエーターの中を流れる冷却水は十分に冷やされません。

正常な状態だと、ラジエーターアッパーホースで90℃ほどの冷却水が、ラジエーターの上から下に流れていきながら70℃後半くらいまで冷やされてエンジンに戻ります。

車が走っているときは走行風がラジエーターを通過することで、電動ファンの助けも必要ないくらい冷却水は冷やされます。

問題なのは渋滞などのノロノロ運転にはまってしまった場合で、電動ファンが作動しないとすぐにオーバーヒートになり、赤い水温警告灯が点滅してしまいます。

意図的に電動ファンを作動させて診断する方法

診断したムーブの場合、整備工場で点検したときは問題なく電動ファンも作動していました。

ちなみに、手っ取り早くムーブの電動ファンを作動させるにはエアコンの「ACボタン」を押して送風にするとクーラーが作動し電動ファンも回転し始めます。

電動ファンが作動させる条件には、冷却水の水温が一定以上に上昇しただけでなく、コンデンサーの冷却も兼ねているのでクーラーを使えば電動ファンも作動するはずです。

もしもこの段階で、エアコンのコンプレッサーから「カチン」とマグネットクラッチが入る音がするのに電動ファンが作動しなかった場合は、明らかに異常です。

つまり、マグネットクラッチが作動するときは、必ず電動ファンが作動するので、マグネットクラッチだけ作動するなら、その時点で電動ファンの作動不良と断定できます。

電動ファンはいつ壊れる?

「軽自動車の中で電動ファンモーターがよく壊れるメーカーはどこ?」

もしも自動車整備士にこんな質問をしたら、かなりの確率で「そりゃあダイハツでしょ」という回答が返ってくるのではないでしょうか。

ダイハツ車のなかには、電動ファンの作動不良に対してサービスキャンペーンが実施されているケースもあり、整備士にとっては「ダイハツ車あるある」となってしまいました。

【外部リンク】タント・ムーヴキャンバス・ムーヴのサービスキャンペーンについて

ここで、ダイハツの軽自動車の場合、ラジエーターファンのモーターはいつ壊れるのか気になると思います。

早くて7年8万キロ?!

かなり適当に言っているようで、本当にこれくらいの時期に電動ファンが壊れることがあります。

とはいえ、「私の運転のしかたが悪いんでしょうか・・?」などと聞いてくるユーザーさんもいますが、電動ファンの故障するタイミングに関しては予測するのは難しいです。

あえて言えば、エアコン(冷房)を使用する頻度が高いとか、渋滞につかまり電動ファンがつねに作動するような地域での使用が多い場合は電動ファンが作動する時間が長いぶん、壊れやすいといえます。

 

事例3)ダイハツ・ミラココア|エアコンが効かない

ファンシュラウド奥 電動ファンモーター

水温警告灯とエアコンの関係

冒頭でもお話しましたが、オーバーヒートをするとエアコンが効かなくなります。

理由は、水温センサーからの信号を受けたメインコンピューターが、エンジンの保護やエンジンストールを回避するためにエアコンへの電源をカットしてしまうからです。

他にも、エンジンの回転が低すぎるとエンストを回避するために同じような制御が働きますが、これから紹介する事例は別の原因でエアコンが全く効かなくなりました。

コンデンサーが冷えず電源カットが入る

水温警告灯が点滅し、ユーザー本人からの要請でレッカーサービスで運ばれてきたミラココアですが、走行距離が17万キロということもあり、電動ファンモーターが完全に壊れていました。

お客様本人のお話では、エアコンが効かなくなり、前側から「カチン・・・カチン」と変な音がするとのことで、その後メーターを見ると水温警告灯が赤く点滅していたとのことです。

ひとつのモーターが兼用しているリスク

今回紹介する事例の車は、すべてエンジン横置きFFベースですが、ラジエーター冷却用の電動ファンはエアコンのコンデンサー冷却も兼用になっています。

つまり、一つしかないファンモーターが壊れるとラジーエーターだけでなくクーラーのコンデンサーも冷えなくなります。

このミラココアのお客様の場合、電動ファンモーターが作動しないことで、まずクーラーが効かなくなりました。

実際に検証してみると、エンジンを始動させてクーラーを作動させると一分もしないうちにマグネットクラッチへの電源がカットされ始めました。

そのときの音が「カチン・・・カチン・・」という、マグネットクラッチが入ったり切れたりする音で、エアコンのガス圧が異常に高くなっていることを示しています。

クーラーにもフェイルセーフ機能がある

クーラーガスの高圧側が高くなりすぎるとクーラーのサイクル内部の破壊、最悪の場合は配管が破裂する危険性があるため保護機能が働くためマグネットクラッチへの回路が遮断されるのです。

ちなみにプレッシャーセンサー(圧力スイッチ)はコンデンサーのちかくの配管についていることが多く、今回のダイハツ車の場合はエンジンルームの左側、バッテリーの近くにあります。

まとめ

今回はダイハツのムーヴやタント、その他同じようなプラットフォームを使っているモデルに共通して起きる水温警告灯が点灯する原因について紹介しました。

・ラジエーターからの水漏れは10年または10万キロを超えたあたりから故障リスクがあがる

・水漏れを少しでも遅らせるにはクーラントの交換もおすすめ

・電動ファンモーターの不具合は突然発生し、症状が確認しづらいこともある

・渋滞でノロノロ運転をすることがある場合はファンモーターの寿命も短くなる

・電動ファンが回らなくなるとクーラーのコンデンサーも冷えなくなりエアコンが効かなくなる

・予防整備で部品交換をすることでオーバーヒートのリスクと下げることができる

とはいえ、数万円もかかる予防整備にお金をかけるのも効率的とは言えません。

軽自動車は生活の足として使用されることが多く、高額な修理が発生するとコスパが悪くなってしまい、車の買い替えをするタイミングを逃してしまいがちです。

オーバーヒートは高額な修理になることも多く、10年10万キロを超えていて車検も近いなら車の買い替えを考えてみるのもおすすめです。

 

 

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