ラジエーターキャップの圧力を上げるメリットと下げるメリットとは

ラジエーターとキャップオーバーヒート

古びたラジエーターキャップ

ラジエーターキャップにはそれぞれメーカーが指定するキャップの圧力があります。

チューニングカーに乗るユーザーのなかにはラジエーターキャップを社外品のものに交換して圧力を変更する人もいます。

今回のお話は、ラジエーターキャップによってラジエーター内にかかる内圧が違うということや、

圧力を変更するとどんなメリットやデメリットがあるのかについてです。

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ラジエーターキャップの圧力とは

大気圧のままでは冷却水が沸騰しやすい

ここではわかりやすく、ただの水で例えてみますが、大気圧が1気圧の地上で、水をグツグツと煮立てていくと、100℃で沸騰して泡立ってくるのがわかります。
つまり、1気圧の状態では水はこれ以上の温度にはならないわけですが、空気の薄い高度の高い場所で同じように水を煮立ててみると、もっと低い温度で沸騰してしまい、たとえば85℃以上にならなくなるみたいな感じです。

車のエンジンの場合、冷却水がエンジンの周辺を巡っていて、エンジンが一定の温度以上に上昇しないようになっています。

ところが、エンジンの出力をどんどん上げて負荷を上げていくと、冷却水もそれに合わせて温度が上昇していきますが、もしも100℃で沸騰してしまうと、気泡がでてしまい、冷却効率が下がってしまいます。

場合によってはエンジン内部が焼き付いてしまうくらいの温度になってしまうことがあるので、冷却水は100℃以上でも沸騰せず、泡立たないようにする必要があります。

ここで先程の、気圧によって水の沸騰する温度、「沸点」が変わるというお話を思い出していただきたいのですが、もしも気圧をあげることができれば、沸点もあげることができます。

ラジエーターなどの冷却経路の内部が密閉されているのは、冷却水が漏れ出さないためのものですが、内圧を適正な圧力に保つことができれば、冷却水の沸点をあげることができ冷却効率を安定させることができるのです。

ここで大事なのが、内圧を「安定」させることで、いくらでも内圧を上げてしまうと、ラジエーターや冷却水の通路の強度が耐えられず、破損してしまうことになってしまいます。

ラジエーターキャップの役割とは

ラジエーターキャップ 高温時
【出典】NTKホームページより

エンジンの温度が上昇し、それに合わせて冷却水の温度も上がるとラジエーター内部の内圧も上がってきます。

ただし、冷却装置の破損を防ぐためにある程度の内圧が上がると、今度は内圧を逃してあげる必要が出てきます。

そこで機能するのがラジエーターキャップで、一種の「圧力逃し弁」の役割を果たしてくれているのです。

日本車の場合だと、
ラジエーターの内圧が0.9kg/cm2から1.2kg/cm2くらいで、内圧を逃がすように設定されています。

サボカジ  @整備士
サボカジ  @整備士

今回のお話としては少し余談ですが、
ラジエーターキャップは内圧を逃がすだけではなくいったんリザーブタンクに逃した冷却水をエンジンが冷えたときに戻すための役割もあります。

ラジエーターの内圧は高いほどいい?

ラジエーターの内圧を逃がすことでラジエーターや冷却経路のパイプやゴムホースの劣化や破損を防いでいるのですが、内圧を高めに設定するほど冷却効率をあげることができます。

そのいっぽうで、メーカー側にとっては、車全体の軽量化は、燃費の向上や生産コストの効率化など、メーカー側にもメリットがあります。

そこで、エンジン周辺や車体を少しでも軽量化するならラジエーターも極力小さくしたいし、冷却水の容量も少なめにしたい。

それなら、ラジエーターキャップの逃し弁としての圧力もなるべく高く設定したいし、電動ファンの回転速度を高速化すればラジエーターの容量そのものを小さくできる。

これらは特に小型車や軽自動車といった、実用車に求められることで、ラジエーターキャップの内圧などは生産のコストカットにも関係してくるのです。

軽量化の弊害も

ラジエーターキャップの内圧を高めに設定することや、ラジエーターの小型をすることにはデメリットもあります。

電動ファンが壊れたり、ラジエーターキャップに不具合が出た場合、オーバーヒートになってしまう確率が上がってしまううえにオーバーヒートまでの時間もかなり短くなってしまいます。

つまり、不具合が出たときの余裕がないというか、オーバーヒートが深刻化しやすいといえます。

ラジエーターキャップの圧力を上げるメリット

高負荷な使用条件で効果を発揮する

本来はノーマルの状態のラジエーターキャップの設定圧力を守ることが基本ですが、キャップの圧力をたとえば1.1/cm2から1.3/cm2に変更することで、より冷却水の沸点をあげることができます。

とくにモータースポーツの世界ではこれらのチューニングパーツを使うことが多く、ジムカーナなどのようにスピードが出ないのにエンジンに過酷な走行するような場合では、その冷却効果が期待できます。

サボカジ  @整備士
サボカジ  @整備士

ようするにラジエーターキャップの内圧をあげるというのは、エンジンに無理をさせることが多い場面で約に立つわけで、普段乗りなら内圧を上げる必要はありません。

社外品の高性能ラジエーターキャップとは

シリコン素材を採用するメリット

シリコン製ラジエーターキャップ

ラジエーターとの接触部分にあたるラジエーターキャップの弁の部分を通常タイプならゴムを使用していますが、シリコンを使っていることもあります。

シリコンにするメリットは、よりラジエーターの注ぎ口の部分との密着が均一になり、圧力逃し弁としての制御も正確になることなどでしょうか。

安全ボタン付きのもの

ピア ラジエーターキャップ

なかには、ラジエーターキャップを外す際に、安全にすばやくキャップを外すことができるように内圧をリザーブタンクに安全に逃がすことができる安全ボタンがあるものもあります。

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ラジエーターキャップの圧力を下げるとどうなる?

冷却装置の内圧を下げるメリット

ラジエーターキャップに本来設定されているよりも低い内圧のものを組み込むと、冷却水がリザーブタンクに逃されるのが少し早くなります。

つまり、圧力逃し弁の役割をしているラジエーターキャップの逃し圧を低くすることになるので、ノーマルの状態よりも内圧が上がらなくなります。

こうすることで冷却装置全体の内圧をノーマルよりも下げるため、ラジエーターなどに負担をかけないようにすることができます。

古い車などで、水漏れがいろんなところからジワジワと始まっているような車の場合、冷却経路の内圧が上がることは水漏れをさらに発生させるきっかけになってしまうことがあります。

旧車に乗っているような場合は、普段乗りの車が別にあって、とにかく車をいたわりたいような古い車の場合ならラジエーターキャップの内圧を低いものに変更するのもありかもしれません。

ただし、負荷の高い運転や高速道路のでの走行はおすすめできません。

内圧を下げるデメリットが多い

冷却水の沸点が下がることで、内部に気泡ができやすくなったり、ウォーターポンプが高速に回転するとキャビテーションという現象が発生し、オーバーヒートのリスクが高くなります。

どちらかといえば、キャップの内圧を下げてしまうのはデメリットが多いと考えられますので、やらないほうがいいと思います。

 

オススメな冷却系チューンとは

電動ファンコントロールのほうがおすすめ

僕自身もモータースポーツをしていたことがあるのですが、その時の経験を振り返ってみても、キャップの内圧を上げたり下げたりするのはあまりオススメではありません。

ミニサーキットなどでスポーツ走行していると、車速があまり出ないために走行風でラジエーターを冷やすことが追いつかないことがあり、ラジエーターキャップの内圧を上げることも考えていました。

そこでジムカーナなどをやっている人に聞いてみると、ラジエーターキャップの内圧を上げるのは、お金のかからない簡単チューンだけど、車を痛めることになるのであまりよくないと言っていました。

自分なりにいろいろ調べていくと、『電動ファンコントローラー』とよばれる、文字通りラジエーターの電動ファンをノーマルの状態よりも早めに作動させるような制御ができるものを見つけました。

この電動ファンコントローラー、ジムカーナなどをする人たちも愛用しているようで、僕自身も当時の愛車に使っていました。

その効果は、後付の水温メーターや油温メーターをつけたことではっきりと確認することができました。

ラジエーターの後ろ側にある電動ファンが回りだすと、水温がぐんぐんと下がりはじめ、そのあと少し遅れて油温も下がりだします。

やはり、電動ファンの冷却効果は非常に大きいと実感しましたが、ノーマルの状態では電動ファンをとにかく早く作動させるのかといえばそうでもありません。

ノーマルの状態の車は、さまざまな使用条件のユーザーさんがいるので、あまり極端な設定をすることができません。

とくに、冷却用のファンが早めに作動してしまうと燃費の悪化につながることがあるため、エンジンの保護とのバランスを取らなければなりません。

一方で、つねに人や物をたくさん積載して走行するような使用条件の場合では冷却の制御が追いつかないケースもあり、そこはユーザーさんが自分の乗り方に合ったチューニングをしてもいいでしょう。

その当時、僕が使っていた電動ファンコントローラーは、スピードリミッターをカットする機能も付いていたので、サーキット走行では重宝しました。

電動ファンコントローラーを選ぶときは、電動ファンの作動するタイミングを制御してくれるだけのものや、ターボタイマー機能があるもの、水温計になるものなど様々です。

オススメなのは、やはり水温計がついているタイプのもので、オーバーヒート対策として取り付けるのなら、水温をリアルタイムで細かく把握できるほうが、電動ファンを作動させるタイミングを確認できていいでしょう。

ただ、簡易的に水温を把握して置きたいのであればオフボードテスターの接続端子からECUの水温信号を取り出すタイプのものもあり、手軽でいいでしょう。

 

 

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オーバーヒート
この記事を書いた人
サボカジ

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キャリアは、自動車整備士として20年以上

カーライフアドバイザーとして5年以上です。

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