今回はエンジン警告灯が点灯して車がガタガタと揺れる不具合について考えていきます。
原因として考えられるのは「点火系」と「制御系」の2つが多いですが走行不能になる可能性もあります。
また、エンジン警告灯がついてからガタガタと振動し始めるパターンと、振動のあとで警告灯が点灯するパターンがあります。
しばらくすると一時的に正常になることもありますが、そのまま走行したことで別の部品が壊れてしまう場合もあります。
どちらにしても車に警告灯や振動が発生した場合は走行するのをやめてレッカーサービスで整備工場に入庫することがのぞましいです。
エンジン警告灯が点灯してガタガタ振動する原因
点火系のトラブル
エンジンがガタガタと振動し、エンジンの警告灯も点灯するケースとしてかなり多いのが、イグニッションコイルが原因で失火する症例です。
失火するとエンジンが振動する
たとえば軽自動車で多い3気筒エンジンでは、3つのコイルから安定して電流がプラグに流れることでエンジンはスムーズに回転しています。
もしも3つあるイグニッションコイルのどれか1つでも壊れてしまうと、エンジンの内部では3回に1回の割合で失火がおきることになります。
この状態ではアクセルを踏んでもエンジンが吹け上がらず、アイドリングではエンジンが「ブルブル」というよりも「ガタガタ」と振動します。
3気筒のエンジンの症状がわかりやすい
4気筒エンジンと比べても、3気筒エンジンで失火がおきたときの症状はかなり顕著で、アクセルを踏んでも車が進まないと感じ、エンジンから大きな揺れを感じます。
普通車なら4気筒エンジンが多いので、失火がおきても「ブルブル」という感じですが、軽自動車だと「ガクガク」とか「ガタガタ」という大きな揺れを感じます。
軽自動車のほうが振動が大きくなるので運転手さんも気づきやすいです。
暑い季節におこりやすい
イグニッションコイルとは、スパークプラグに直接接続されて高電圧を発生させてプラグから火花が出るようするための部品です。
イグニッションコイルの中にはトランジスタが組み込まれていて電圧を発生させるための制御に使われています。
イグニッションコイルは熱に弱い部分があり、夏場のエンジンが高温になる時期に壊れやすい傾向にあります。
イグニッションコイルはガソリン車にだけ使われる部品で、2000年以降に販売されている多くの車に採用されています。
コンパクトカーや中型車なら4気筒のエンジンが多く、イグニッションコイルも4個つかわれていることが多いです。
どちらにせよ、エンジン内部で等間隔で燃焼が行われるためにはスパークプラグから安定して火花が飛ぶ必要があり、イグニッションコイルがひとつでも壊れるとエンジンガタガタと振動します。
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スパークプラグの不具合
スパークプラグが内部で断線していることで失火がおきてアイドリングが不安定になり、「アイドル不安定」などの故障コードを拾っていることがあります。
スパークプラグの不具合を直接コンピューターが検出することはできませんが、プラグ不調がきっかけて警告灯が点灯する車種があります。
この場合は、エンジンがガタガタと振動して、そのまま走行しているとエンジンの警告灯が点灯するパターンなので、イグニッションコイルの故障とは違ってきます。
車種によってはイグニッションコイル内部の回路に異常が見られるとエンジンの警告灯が点灯するようになっているものもあります。
制御系センサーのトラブル
エンジン周辺にはいろんなセンサーが付いていて、メインコンピューターにさまざまな情報を送っています。
これらのセンサーのなかには故障するとエンジンの調子が悪くなり、エンジン警告灯が点灯することが多いです。
エアフロメーターの故障
エアフロメーターはエンジンに吸い込む空気の流量を測定するセンサーで、故障した場合はエンジンの回転が高くなったり、逆にエンジンが止まりそうになることがあります。
エンジン警告灯も点灯しますが、完全に壊れてしまった場合は「フェイルセーフモード」と呼ばれる、車を動かすことができる最低限の状態にデータを固定することがあります。
むしろフェイルセーフモードのほうがエンジンの調子はよく、アイドリングも安定しています。
エアフロメーターのトラブルでやっかいなのは、完全に壊れていないまま間違った情報をコンピューターに誤送信してしまう「壊れかけ」の状態なのです。
バキュームセンサーの故障
バキュームセンサーはエアフロメーターが装着されていない車に付いていることが多く、エンジンの負圧を測定することでエンジン回転を制御するセンサーです。
バキュームセンサーが壊れると、警告灯と同時にエンジンが止まりそうになったりエンジンが吹け上がらなくなることがあります。
エアクリーナーダクトの裂けなど
エンジンに吸い込む空気をエアクリーナーでろ過していますが、その途中にあるゴムや樹脂でできている吸気ダクトが裂けてしまっていることがあります。
するとダクトの裂け目から空気を吸ってしまい、エアフロメーターで測定している流量とはちがった量の空気をエンジンに吸い込むことになり、エンジン不調になることがあります。
EGRの不具合
EGRとは、(Exhaust Gas Recirculation)(エキゾースト・ガス・リサーキュレーション)の略で、排気ガスの一部を吸気側に返すことで燃焼室の温度を下げて排気ガスをきれいにする働きをしています。
とはいえ、排気ガスをたくさん吸気側に戻しすぎるとエンジンの調子が悪くなることもあり、必要に応じてEGRの作動を電子的に制御しています。
もしもEGRに不具合が出てしまい、大量に排気ガスを吸入してしまうと、走行中にエンジンがふけ上がらなくなったり、アイドリング不調になることがあります。
なおかつEGRの制御部分に使用されるステップモーターが故障した場合はエンジンの警告灯が点灯することもあり、警告灯と振動がほぼ同時に発生することがあります。
僕が経験したEGRの不具合は、ホンダのモビリオでEGRの制御弁にカーボンが詰まってしまい、開いたままになり排気ガスがつねに吸入側に入り込んでいたことがあります。
かなり走行距離が多い車だったので、EGRの交換をオーナーさんが「お金をかけたくない」というご依頼だったので、EGRの弁のカーボンを手動で除去しました。
燃料ポンプが一時的にストップする
燃料ポンプは燃料タンクの中にあることが多く、エンジンがかかっている間はつねに動いています。
走行距離が多い車や年式が古い車では、燃料ポンプがいきなり止まってしまうこともあり、止まったり動いたりを繰り返すような場合ではエンジンに安定して燃料が送られなくなります。
すると、一時的に燃料の圧力が下がるとエンジンがブルブルとかガタガタと振動することがります。
多くの車では燃料ポンプの不具合ではエンジン警告灯が点灯することはありませんが、なかにはエラーコードとして検出され警告灯も点灯することがあります。
どちらかというと、燃料ポンプが原因で警告灯が点灯することは珍しいです。
エンジン内部のトラブル
ホンダの軽自動車としてかなりの台数を販売した「Nシリーズ」には同じエンジンが搭載されていて、そのため同じトラブルがNシリーズに発生しています。
ちなみにNシリーズとは、N-BOX、N-WGN、N-ONE、N-VANといった『N』と頭につくホンダの軽自動車のことを指します。
このNシリーズに搭載されるエンジン「S07A」のターボモデルに置き始めているトラブルが排気バルブを対策品に交換するというものです。
とくに登り坂など、エンジンに負荷がかかる運転をしているときにエンジン警告灯が点灯してエンジンがしゃくるような感じがあったり、いきなりエンジンが止まることもあります。
とくにJF3やJF4のターボモデルに起きやすいようですが、僕の経験ではJF1などの初代Nシリーズでもターボモデルで発生していました。
特別にエンジンオイルの管理が悪いわけでも高負荷運転が多いわけでもないうえに、早いケースだと走行距離が7万キロで発生していました。
ただしそのN-BOXターボのお客様の場合はメーカーの保証が受けられたようなので、ディーラーで修理をすることになりました。
最後に|エンジン警告灯の原因は早めに調べておくべき
エンジン警告灯が点灯したままでも走行できることはありますが、ほとんどの場合はそのままにしておくメリットはありません。
なおかつ、警告灯が点いたままでは車検に合格できないので、「車検と一緒に修理しよう」と考える方もいますが、かなりの高額修理になることもあります。
「こんなに修理費が高いなら乗り換えしたほうがよかったのかな・・・。」
となる前に警告灯の原因を調べておくことで車の乗り換えを計画的にすることができます。
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