当整備工場にも外車が入庫することがあります。
オイル交換など、軽い整備でお受けすることがほとんどです。
外車をリフトアップしてすぐに気になるのが
「けっこうオイル漏れしてるな・・・」ってことです。
外車のオイル漏れなんて普通。
気にしてたら外車の整備なんてできないよ。
外車に詳しい先輩に聞いてみてもこんな感じでした。
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外車のオイル漏れは想定内?
ベンツやBMWもオイル漏れは当たり前?
まず驚いたのが、ベンツやBMWなどの、高級車と言われる部類のメーカーでも結構オイル漏れをしていることです。
しかも、年式も5年落ちくらいのモデルでも、オイル交換をしようとリフトアップしてみると、オイルパンのあたりがべったりと濡れてたりします。
「こんなんでいいのか?」
と僕自身が感じてしまうのは、日本車の整備ばかりしていたからのようで、メルセデスベンツを扱う、某ディーラーにいた先輩に聞くと
「んなもん気にしてたら整備できんよ」とサラリと言っています。
ドイツ車のアンダーカバーが大きな理由
ドイツ車のメルセデスベンツやBMW、アウディ、フォルクスワーゲンなどは、アンダーカバーが大きくて分厚くて、えらくしっかりと取り付けられてるなと感じました。
そもそもオイル漏れが起きるのなんて当たり前。だけどまわりの環境に悪影響や迷惑をかけないようにはしておかなければならない。
あくまでも僕の意見ですが、ドイツ車のオイル漏れへの対処法は、アンダーカバーがしっかりしていることなのかもしれません。
「オイルなんて漏れるよ。でも地面に落とさないようにしてればいいじゃん。」
ということなのでしょうか。
アメ車のオイル漏れも当たり前?
最近、フォードのエクスプローラーの整備をすることがありましたが、これまたオイル漏れは普通にしてました(苦笑)
なんとなくですが、オーナーさんにオイル漏れについて触れるのは、不愉快にさせてしまうのかもしれませんし、車検もディーラーさんに出すようなのでそっとしておきました。
かつてアメリカのビッグスリーと言われた、フォード、GM、クライスラーも、やはりオイル漏れはまぁまぁあります。
・タペットカバーパッキン(バルブカバーガスケット)
・エンジンオイルパン、ATオイルパン
・クランクシャフトオイルシールの前後
・オイルプレッシャースイッチ
・パワステの高圧ホースや低圧ホース
これらはもちろん日本車でも起こりうるオイル漏れの箇所ですが、オイル交換をしっかりとしていれば100,000㎞以内でこれらの部分から激しいオイル漏れをすることはまずありません。
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アメ車のパワステからのオイル漏れが多い理由
これも先輩からの「耳学問」ですが、そもそもアメリカ製の車って、日本ほど頻繁にハンドルを据え切りするような運転はしないという設計なのでは、とのことです。
たしかに、広大なアメリカの道をひたすらまっすぐ走るような運転だと、パワステがそれほど酷使されることはありません。
そのため、アメ車にとって、日本の道路事情は、想定外といか、異常なまでにパワステに負担をかけるのでしょう。
そこからすると、日本車のパワステはすごく耐久性に優れているんだと改めて感じました。
というか、最近の日本車は電動パワステになっていっているので、そもそもパワステフルードが漏れる可能性すらなくなっていってます。※マツダ車には電動モーターで油圧ポンプを駆動する『電動&油圧パワステ』もあります。
アメリカはオイル漏れ添加剤の先進国?
ウチの整備工場でもちょくちょく使うことがあるオイル漏れの添加剤「リスローン」はアメリカ発祥の添加剤としては有名メーカーです。
そういや、添加剤の類ってアメリカのものが多いなと感じましたが、頻繁に起きるアメ車のオイル漏れと密接な関係があるのでしょうか。
「オイル漏れは当たり前、だから添加剤もよく売れる」ってことのような気がしてきました。
そう考えると、ウチではおそるおそる使っているリスローンのオイル漏れ添加剤も100年の歴史を誇る実績があるんだと感心しました。
日本車の優秀さは日本人の気質による?
外車のオイル漏れは新車からすでに滲んでることもあるのだとか。指で触るとわかる程度の滲みは「正常」だし、メーカーでも「想定内」のようです。
もしも日本車で新車からの一か月点検でこれくらいの滲みがあったら、僕なら仕入れ先のディーラーに報告して対応してもらいますし、ディーラーもすぐに保証修理の準備をしてくれます。
そもそもオイル漏れに対する考え方というか、思想そのものが外車と日本車では違うのかもしれません。
日本では家の軒先をいつもきれいに掃き掃除をしている前を車が走ることもあるし、すぐそばに駐車することもあります。
地面にオイルのシミができるなんてのは、つねに道を綺麗にしておきたい地域の住民にとっては許せないことです。
外国人観光客も「日本の道路はキレイ」と評しているそうで、そこらへんも日本車のオイル漏れ対策への考えと関係しているのかもしれないと思った次第です。
「オイル漏れをすぐに起こす車なんてとんでもないし、売れない」とメーカーも考えているのでしょうか。
オイル漏れに関して日本人のクレームは厳しい?
新車の1ヶ月点検などをしていても、ピットの中に入ってきて一緒にオイル漏れなどの問題がないかをチェックされるお客様もおられます。
「これ、オイルが滲んでるんじゃないの? 保証で修理できるよね?」
とかなり厳しく指摘されるお客様のおられます。
日本のユーザーさんは、こういうオイル漏れに関してはかなり細かくチェックする方が多いのかもしれません。
それに対してメーカーもオイル漏れに対策を講じて改善を重ねてきたのかもしれません。
外車のオイル漏れはいつごろから始まる?
オイル滲みからオイル漏れに変化する距離とは
ドイツ車やアメ車でもオイル漏れはかなり始まるのが早いとご説明してきました。
ただしあまりにもひどいオイル漏れはメーカーの保証として修理しなければなりません。
それでは実際にどれぐらいのオイル漏れがどの程度の走行距離から始まるのでしょうか。
僕自身の外車に関する経験はあまりありませんが、いろんな整備工場を経験してきた先輩メカニックの意見では、新車から走行距離にして40,000キロ位走行するとすでにそこそこのオイル漏れが始まるのだそうです。
ただしオイル漏れはパッキン等の劣化も関係してきますので、新車から何年経過しているかと言う経年劣化も無視できません。
その部分も加味すると新車から5年経てばオイル漏れはかなり進んでいる可能性があります。
主なオイル漏れの箇所としてはエンジンオイルパンや、クランクシャフトのオイルシール周辺などがお決まりのパターンといえます。
駐車場の管理者から苦情が出たら修理
マンションなどの月極駐車場によっては2階建ての駐車場などもありますよね。
もしも激しいオイル漏れが始まった場合は下に置いてある車にオイルが滴り落ちることになりますので、さすがにこれはまずいですよね。
また月極の駐車場等で決まった場所に車を止めている場合、オイルのシミが常にある場合は月極駐車場の管理者から苦情を言われることもあります。
特に雨が降った時などは、滴ったオイルが水たまりになって虹色の光にもオイルが漏れていると言う状態になってしまいます。
こんな場合だと隣の駐車場の人からも苦情を言われてしまう可能性があります。
やはり駐車場や地面にオイルのシミができ始めるとオイル漏れは修理しなければなりませんね。
場合によっては駐車場のシミに関して清掃してほしいと要請されてしまうこともありますし、駐車場を解約する際に清掃にかかった実費を請求されてしまうこともあるかもしれません。
「外車は5年乗ったら買い替え」は常識?
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外車に乗るユーザーさんにはいくつかのタイプがあるように感じます。
まず、純粋にその車が好きな方。次に好奇心で外車に乗ってみたいと思って、お試しで外車に乗る方。
なによりも個性を大事にすることを大事にするあまり国産車に乗るのが嫌だという方。
マニアックにその車や外車が大好きな方は、オイル漏れが多いとか、ランニングコストが高いのが嫌ということは、あまり気にしていません。
それに対して、興味本位や好奇心で外車に乗った方の中には、思った以上に故障が多かったり、修理費用が日本車の数倍もかかることに驚いたりします。
そのため、個性は大事にしたいから外車に乗ってみたいけど、修理のために整備工場に頻繁に預けてやたらと修理費がかかるのも困るという方がかなり多いです。
そういった方なら、かなり複雑そうなオイル漏れが起きた外車にはあまり手を出さないほうがいいですし、すっぱりと手放してしまうほうがいいと思います。
外車に関しても新車で購入した場合、ディーラーで受けられるメーカー保証は基本的に5年ですので、5年経過したらすべて自費で修理をすることになります。
高額な修理を車検で請求されれば、外車を所有し続けることの大変さにげんなりしてしまうのです。
最後に・・
僕自身は外車を所有して乗ったことはないのですが、外車を持ちたいという思いはあります。
ただし、経済的に維持費を気にせずに乗れるようになれば、という条件付きです。
今回は、外車のオイル漏れはどんなものか、というテーマで思いつくまま自分の経験などをお話してみました。
これから外車に乗ってみようかなという方や、すでに外車に乗っていて、
「なんかオイル漏れがひどくなってきたな」
という方のなにかしらの参考になれば幸いです。
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