ターボ付きの軽自動車は、「軽自動車ってあんなに速いの?」と
周りの車が驚くこともあるくらいの性能を発揮します。
ですが、ターボ車にはそれなりのメンテナンスも必要になってきます。
とくにターボ(タービン)の高速回転を潤滑し、
冷却作用を担っているエンジンオイルの管理は
ターボエンジンの寿命と密接に関係しています。
軽自動車のターボ車はオイル交換の頻度が早め?
一般的にエンジンオイルの交換の頻度はどれくらいなのがご存知でしょうか。
ディーラー系の整備工場なら5,000㎞ごとが推奨されています。
それ以外の整備工場やガソリンスタンドでは3,000㎞ごとの交換を奨めることもあります。
では、なぜ交換推奨距離が整備工場によって違うのでしょうか。
さらに、ターボ車はエンジンオイルの交換をさらに早めに指定するケースもあります。
ディーラーがオイル交換を5,000㎞毎で指定する理由
カーディーラーの使命としては、
メーカーの保証する範囲内での年数と走行距離でユーザーに快適に乗ってもらうことが大事です。
カーディーラーの役割は、車を長持ちさせることよりも車を販売することなのです。
ちょっと言葉が悪いですけど、販売した車が長持ちし過ぎても困るという本音もあります。
つまり、メーカーの保証範囲内で壊れないくらいの整備が望まれる整備をと考えている部分が見受けられます。
車に記載されているオイル交換基準値
自分の車のエンジンルームの周りに貼ってあるメンテナンスの基準値みたいなステッカーをご覧になったことがあるでしょうか?
↑これはスズキ車のステッカーですが、
NA(ターボ無し)で六か月または10,000㎞毎
TC(ターボチャージャー付き)で六か月または5,000㎞毎
での交換となっています。
ですが、僕の整備士としての経験では、この交換基準でエンジンオイル交換をしていると、
スズキのこのエンジン(K6A)なんかは十万キロ上走るころにはオイル消費(注1)がかなり進んでいます。
■関連記事 車のエンジンオイルを交換しないとどうなるの?それ整備士が答えます!
シビアコンディションの場合はそれぞれ半分の走行距離をしてしていますのでターボだと2,500㎞毎となっています。
今の軽自動車はかなり重量もあるので、660㏄の排気量に過給機をつけているターボ車は、
それだけで「シビアコンディション」と言えなくもありません。
(注1)オイル消費とは:エンジンオイルが燃焼室に入り込み、ガソリンと一緒に燃えていく現象をいいます。
シビアコンディションの意外な一面
車の使用条件の中での「シビアなコンディション」と言われれば
「過酷なんでしょ」と思ってしまいますが、この過酷さにもいろいろあります。
シビアコンディションの条件のなかに
↓
自家用乗用車 年間走行が20,000㎞以上の場合
とありますが、それとは別の項目に短距離走行の繰り返し
走行距離の30%が次の条件に該当する場合
一回の走行距離が8㎞以下の場合
とあります。
つまり一回の走行が8㎞未満という乗り方が3割だという方は、それだけでシビアコンディションになってしまうのです。
確かに車検やオイル交換でご来店いただくお客様の車を点検させていただくと、走行距離が少ないわりにあちこちガタが来ている車が多いです。
また、エンジンオイルを抜いているとオイルのニオイが正常なものと違う車があります。
とくに軽自動車のターボ車だと、試運転をするときのターボの音が少し濁っているというか、澄んだ音じゃないこともあります。
正常なターボの音だと
「ヒュイーーーーーーーーーーー」
て感じなのですが、ちょっとコンディションの悪いターボだと
「ヒュルルルルルルルルィーーーーーィィーー」
みたいな音で、
音にムラがあるというか、澄んでないというか・・・・
言葉じゃわかりませんよね(笑)
機械としての車は
「使いすぎ」も故障の原因になりますが「使わなさすぎ」も車の性能の維持にはよくないのです。
軽自動車のターボエンジンには添加剤も必要?
ターボエンジンを搭載する軽自動車に乗られるお客様のなかには、
かなりこだわりを持ってその車を選んでいるかたもいらっしゃいます。
そんなお客様から今でもちょくちょく質問されるのが
「ターボだから添加剤とか入れたほうがいいよね?」
という質問で、
最後の「よね?」はもう相談というよりも「入れるつもりだから」という感じです(笑)
僕自身、今までいろんな車に乗ってきましたが、添加剤の類のものはほとんど使ったことはありませんでした。
まぁ、否定するわけじゃありませんけど、「使いたいならいいんじゃないですか?」みたいなスタンスです。
整備士の僕としては、添加剤を使うよりも、エンジンオイルを少しいいヤツに変更したり、
なによりもオイルの交換サイクルをきちんと守るほうがエンジンの寿命を左右する大きな要素だと思ってます。
そのうえで、愛車のために何かしたいと思うのであれば、添加剤を使うのも「あり」だと思いますね。
エンジンオイルによっては初めから添加剤が入っているものもありますし、
化学合成系のエンジンオイルだと、粘度も広く、5W-40とかのワイドレンジのものもあります。
添加剤を入れるけど交換サイクルはディーラー指定の5,000㎞で交換するケースよりも、
添加剤使わないけど3,000㎞で換えてる車のエンジンのほうがコンディションがいいと感じてます。
添加剤の値段にもよるけど、そのほうがコストも安く上がるんじゃないですかね。
ただし、今回のお話は、あくまで「軽自動車のターボ車の場合」というテーマで説明させていただいてます。
【まとめ】軽自動車のターボ車のオイル交換は
軽自動車は重量が比較的あるので、
それだけで軽ターボ車にはシビアコンディションだと思います。
そのうえで
エンジンオイル交換は3,000㎞~4,000㎞の間で交換をする
高速道路や近距離での使用頻度が増えたら少し早めの3,000㎞で交換
使用するエンジンオイルの粘度はなるべくワイドレンジがお薦め
(10W-40とか5W-40とか)
エコカーやハイブリッドカーに使うような粘度の低いオイルは使わない
(0W-20とか0W-16とか)
添加剤の使用よりも交換サイクルを重要視し、そのうえで使用するならOK
ただし、これらの情報は整備士として一個人の意見と考えていただいて、
「ほんまでっか?!」な感じて参考にしていただければと思います。
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コメント
エブリィda64wpzターボですが、油温が100℃を超えます。エレメントも一緒に交換してみても、高いです。10w-30を使用しています。原因は何でしょうか? よろしくお願いします。
遠藤様
コメントをありがとうございます。
エンジンオイルの油温に関しては、ターボ車なら100℃を超えることは異常ではありません。
また、エンジンオイルの粘度を変更したりオイルエレメントを交換しても油温の上昇とは関係ありません。
もしも油温の上昇が気になるのであれば、目的地につくまえにクーリング走行をするのもおすすめです。
また、速やかに油温を下げたい場合は、エアコンを作動させるとラジエーターファンを強制的に作動させることができます。
DA64Wのエブリィの場合、水冷のオイルクーラーが付いていますので、ラジエーターファンが作動すれば油温も下がりやすくなりますよ。
余談ですが、モータースポーツをしていたころは愛車に電動ファンコントローラーをつけていました。