「KR7AI」という品番のプラグは、整備士の僕としては全然おすすめじゃないスパークプラグです。
わざわざこのプラグをお金を出して購入するのは、かなりもったいない選択肢だといえます。
しかもこのKR7AIが原因で高額な部品が壊れてしまう要因になることもあるのです。
KR7AIのイリジウムプラグを購入する前にぜひこの記事を読んでおいてください。
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KR7AIはイリジウムプラグだけど誤解を招くプラグ
この品番のスパークプラグは、プラグメーカーのNGK(日本特殊陶業株式会社)が製造しています。
このプラグは、スズキの軽自動車のエンジン『K6A型エンジン』に新車から組み込まれているイリジウムタイプのスパークプラグです。
イリジウムプラグには二種類ある
イリジウムプラグとは、中心電極の部分にイリジウム合金を使った高性能スパークプラグです。
ですが、外側電極の部分には通常のプラグとまったく同じ状態になっているタイプのものがありあす。これを「片イリジウムタイプ」とプラグメーカーは呼んでいます。
これに対して外側電極に白金(プラチナ)を溶着してあるタイプのものを「両貴金属タイプ」と呼んでいます。
アンバランスなイリジウムプラグ
今回のお話で出てくるKR7AIという品番のイリジウムプラグは外側電極は一般的なプラグと同じものを使っているので、「片イリジウムタイプ」のプラグです。
このプラグの場合、新品の状態だと「両貴金属タイプ」に近い点火性能を発揮します。ところが、外側電極は通常のものなので、耐久性があまりありません。
軽自動車のエンジンだと、メーカーでは10,000㎞での交換を推奨しています。
つまりこのKR7AIは中心電極はイリジウムタイプなので高性能で長寿命なのに、外側電極は10,000㎞で交換が推奨されている程度の耐久性ということになります。
軽自動車に組み込んだ場合、「中心電極は50,000㎞耐久」「外側電極は10,000㎞しか持たない」という、なんともアンバランスなスパークプラグなのです。
つまり、このまま交換せずに使い続けると、外側電極だけがボロボロになってしまい、エンジン不調の原因になってしまうのです。
ユーザーの勘違いがさらなる二次被害へ
車のボンネットなどに貼られているメンテナンスへの基準値がラベルで表示されていますね。
このラベルにはタイミングベルトの交換距離だとかエンジンオイルだとかが明記されています。
そのなかに「白金プラグ交換100,000㎞ごと」などの表示がけっこうあります。
そのため、ユーザーのなかには「白金プラグとかイリジウムプラグって100,000㎞の交換でいいんでしょ?」ということが常識のように浸透していっていますが、
今回のKR7AIのような片イリジウムタイプが新車装着で組まれているということを知らないことが非常に多いです。
結果的にプラグの交換がなされることがないまま使用され続け、スパークプラグへ高圧電流を供給する「イグニッションコイル」の寿命が短くなってしまうのです。
じつはこれが一番の問題点だと僕は考えています。
KR7AIには互換性のあるイリジウムプラグが存在する
KR7AIはスズキのエンジンに新車装着されているイリジウムプラグです。
コストと性能のバランスを取るために「高性能だけど寿命は普通」という選択肢なわけです。
ですが、そこは天下のNGKさん、しっかりと(ちゃっかり?)KR7AIの代わりになる高性能なイリジウムプラグがNGKの商品ラインナップの中にあります。
その品番が
DCPR7EIX-Pです。
もともとはスズキのエンジンK6Aに装着されているノーマルのプラグが
DCPR7Eというプラグで、そのワンランク上のプラグが「KR7AI」で、さらにその上のイリジウムプラグが
DCPR7EIX-Pなのです。
同じK6A型のエンジンですが、
通常タイプ「DCPR7E」500円ほど
片イリジウムタイプ「KR7AI」1700円
両貴金属タイプ「DCPR7EIX-P」1900円
同じNGKのプラグでも上記の三種類のプラグが互換性があります。
価格にも要注目で、通常タイプのはともかく
軽自動車だと
10,000㎞で交換推奨の「KR7AI」が1700円
50,000㎞で交換推奨の「DCPR7EIX-P」が1900円
耐久性が五倍も違うのに一本あたりの価格差が200円とは驚き。
ネットで購入すればもっと安いので、ほぼ価格の差はないでしょうね。
「DCPR7EIX-P」はこちらから購入できます ↓
(※スズキのK6A型エンジンは3気筒なのでプラグ交換するなら3本必要です)
KR7AIに適合するプラグはほかにないの?
スパークプラグを製造しているのは大手のNGKだけではありません。
トヨタ系のメーカーですが「株式会社デンソー」にも
長寿命の両貴金属タイプのイリジウムプラグ「イリジウムTOUGH」シリーズにもKR7AIに適合する製品があります。
「VXU22」
こちらがその品番になります ↓
(※スズキのK6A型エンジンは3気筒なのでプラグ交換するなら3本必要です)
このDENSOの「イリジウムTOUGH」は、NGKの「イリジウムMAX」と同等の性能、価格となり、いわばライバル同士ということになります。
どちらの製品が勝っているとかは正直わからないですが、性能に関しては折り紙付きと考えていただければと思います。
スパークプラグのメーカーと言えば上記の「NGK」と「DENSO」の二社が双璧というか、ナンバーワンのシェアを争うトップメーカーといえます。
海外メーカーでももちろんあるのですが、今回のKR7AIに適合するプラグといえばこの二社のどちらかで選ぶのでいいと思います。
コメント
VXU22でしょうか?IXU22Cでは、ありませんか?
匿名様
コメントをありがとうございます。
デンソー製のイリジウムプラグに関しては
一般寿命タイプと長寿命タイプがあり、
2万キロで交換する一般寿命タイプは
IXU22Cなどの「I」で始まる型式です。
それに対して10万キロタイプは
“S” “Z” “F” “D” “V” ではじまる型式で
VXU22もこれに該当します。
詳細はデンソーの公式ページをご参照ください。
https://www.denso.com/jp/ja/products-and-services/automotive-service-parts-and-accessories/plug/basic/life/