30プリウスはエアコンの故障が少ない車種ですが、さすがに10年以上経過すると不具合も出てきます。
ハイブリッドカーならではの故障ということはありませんが、エアコンの修理には少し注意点が必要になり、知識の少ない整備工場に依頼するのはおすすめできません。
今回のお話は、
・30プリウスのエアコンが効かないおもな原因
・30プリウスのエアコン修理にかかる費用
以上の2点についてお話していきます。
30プリウスのエアコンが効かない原因
プリウスのエアコンは他のエンジン車と同じようにフロンガス(冷媒)をコンプレッサーで圧縮、エキスパンションバルブで霧状に噴射して気化熱で冷やしています。
冷えない原因の大半はガス不足
エアコンがしっかりと冷えるためにはクーラーガス(フロンガス)が規定量ちかく入っていることが前提となり、半分以下に減ってしまうと急激に冷えなくなります。
接続部分からのロス
クーラーガスはクーラーの仕組みの中を循環しているだけなので基本的に減ることはありませんが、途中の配管の継ぎ目などから少しづつ抜けていきます。
走行中に路面から受ける衝撃などを受け続けることで、パイプなどの継ぎ目にあるパッキンから微量ながら抜けていけば5年以上で10%以上はロスしています。
外部からの損傷でガス漏れがおきる
また、圧縮されて高温になったクーラーガスを冷やすコンデンサーは、車体の前側に配置されているため、はね石などで損傷をうけることがあり、そこからガス漏れすることもあります。
コンデンサーはフロントバンパーの奥にあるため、交通事故などでバンパー付近をぶつけてしまったことが原因でガスが漏れ始めるケースもあります。
いくらプリウスのエアコンが壊れにくいとは言え、自動車として道路を走行させているかぎり、外部からダメージを受けることは避けて通れません。
とくにプリウスの場合は企業の社用車として過酷な使われ方をする場合もあり、僕の経験でもガス不足が発生したプリウスは走行距離も多かったです。
交通事故などの後遺症の可能性
フロントバンパー付近に衝撃を受けるような交通事故を経験した車の場合、板金修理をしていてもエアコンのガス漏れが起きていることがあります。
直接的に損傷を受けている部分の部品交換はしていても、その周辺のパイプなどは交換しておらず、外観上では問題ないようでもガスが漏れることがあります。
とくに多いのが配管の継ぎ目に挟み込むようにして使用されている小さなゴム製のパッキンからのガス漏れで、配管への衝撃がきっかけになります。
10年以上経過している車のパッキンはゴムとしての柔軟性が失われているので、硬化したパッキンの位置が少しでも動いてしまうとガス漏の原因になります。
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ガス漏れ以外のエアコン不調の原因は?
30系プリウスの場合はエアコンガスの漏れが原因で冷えなくなることが非常に多く、逆に他の不具合がかなり少ない車種です。
とはいえ、機械であるかぎりいずれは故障します。僕自身は経験していませんが、プリウスの場合は電動コンプレッサーが原因でエアコン不調が起きるようです。
電動コンプレッサーの寿命
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コンプレッサー交換になる場合オフボードテスターで診断すると
「ACインバーター負荷系」というエラーコードを拾っていることが多いです。
この場合でも、ほとんどの場合は走行距離がかなり多い過走行車に発生する事例で、他の国産車などと比べても故障する確率はそれほど高くありません。
コンプレッサー内部の機械的な部分の摩耗などが原因で大きな負荷がかかり駆動を止めてしまうエラーがよく発生します。
この状態は運転席のメーターなどでは判別できず、オフボードテスターを接続して故障の履歴を呼び出す必要があり、整備工場によっては診断料金を別途請求されることもあります。
プリウスのエアコンがぬるいときに確認すること
エアコンを作動させる操作をする
基本的にすぎることではありますが、オートエアコンのプリウスの場合「AUTO」のボタンを押せばおまかせでエアコンが作動します。
ですが、あらためて『クーラーが作動するための操作』を確認しておく必要があります。
モニターの「AC」のボタンがオンになっていなければエアコンのコンプレッサーは作動しないので必ず確認します。
コンデンサーファンの作動も確認する
次にエンジンルームの前側、フロントバンパーの真後ろにある電動ファンが回転しているかどうかも確認し、勢いよくブーンと回転しているならOK。
この状態でもエアコンの風が全く冷えていないなら、ガスが不足しているかコンプレッサー本体の寿命の可能性が高くなります。
もしもコンデンサー側の電動ファンが作動していないならファンモーターが壊れている可能性もあります。
プリウスのエアコン修理費用はいくらかかる?
プリウスのエアコンも基本的には普通の車となんら変わらないですが、大半の車はエアコンコンプレッサーをエンジンの力を使って動かしているのに対し、プリウスはモーターで回しています。
単なるガスの不足ならガスを補充することで、その場しのぎになりますがクーラーが効く状態にすることができます。
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プリウスのエアコンガス補充の料金
例)プリウスのエアコンガス補充作業の料金
フロンガス(R134a)×200グラム | 2,000円~3,000円 +税 |
ガス補充技術料 | 3,000円~5,000円 +税 |
合計金額 | 5,000円~8,000円ほど |
ハイブリッドカーといえど、エアコンの冷媒には汎用のフロンガスが使用されていて、ガスを補充する方法も基本的には同じです。
ただし、注意点としてコンプレッサーオイルはハイブリッドカー用以外のものを入れると故障の原因になるためPEOオイルを使用する必要があります。
POEオイルとは
プリウスのエアコンには電動コンプレッサーが採用されていますが、従来のPAGタイプのコンプレッサーオイルを入れてしまうと、コンプレッサー内部でショートする可能性があります。
そのためPOE(ポリオールエステル)オイルと呼ばれる絶縁性の高いオイルを使用する必要があり、エアコンガスの注入をする際にもいったん機器内部のオイルの入れ替えが必要です。
今では互換性のあるコンプレッサーオイルも販売されるようになりましたが、少しまえまでは、ハイブリッドカーのガス補充をした場合はシステム内のリセットが必要でした。
エアコンサイクルに
少しでも通常のオイルが
混ざらないようにするので気を使います。
つまり、ハイブリッドカーのガス補充をする場合は、前回の補充作業が通常のオイルを使用していた場合はひと手間かかることになり、その手間を作業料金に含めることもあります。
お客様に作業料金の説明をするときも「ハイブリッドカーは特殊なので」という言い回しをすれば、少し割高な料金でも納得してもらいやすいはずです。
とはいいつつ、実際は割増料金をいただくほどの手間ではありませんので、そこは整備工場やサービスステーションの考え方で違ってきます。
プリウスにエアコンガスクリーニングは必要ない?
クーラーのガス補充を依頼したときに「一緒にエアコンガスクリーニングもしておきませんか?」と勧められることがあります。
エアコンガスクリーニングとは、いったん車からすべてのガスを抜き取り、ガスに含まれていた不純物を取り除き、車にガスを入れ直すという作業です。
【関連記事】エアコンガスクリーニングの必要性や頻度は?不具合は出ないの?
ただ、プリウスに関してはコンプレッサー内部の摩耗よりも
電子部品の異常が原因でコンプレッサーを
まるごと交換するケースが多いようです。
電動コンプレッサーの交換費用は?
コンプレッサー本体の価格しだい
30系プリウスのコンプレッサー交換に関しては、どんなコンプレッサーを使って交換するかで大きく修理費用が違ってきます。
新品コンプレッサー | 120,000円以上 |
リビルトコンプレッサー | 50,000円~80,000円 |
中古コンプレッサー | 10,000円~30,000円 |
ざっくりと調べましたが上記の価格で流通しています。
おすすめなのはリビルト品の仕様で、新品は品質が間違いないとはいえ、とにかく高額になってしまい、中古品は当たり外れがあるのでおすすめしません。
コンプレッサーの交換工賃
コンプレッサーの交換作業にはクーラーガスの抜き取りと、交換作業後に真空引きをすることなどを加味しても、ハイブリッドカー以外の作業と大きな違いはありません。
ただしディーラーと整備工場、電装屋さんではコンプレッサーの交換工賃には開きがあり、やはりディーラーが最も高めの価格になっています。
ディーラー | 40,000円~50,000円以上 |
整備工場 | 30,000円~50,000円以下 |
電装屋 | 30,000円~50,000円以下 |
整備工場と電装屋さんでの交換作業料金は同じくらいですが、作業の正確さや確実さではやや電装屋さんに軍配があがりそうです。
エアコンに関する修理なら、電装関係に強い整備工場や専門業者がおすすめです。
コンデンサーの脱着を行う業者
プリウスのコンプレッサー不良の場合はコンプレッサーだけを交換してしまうことも多いのですが、より確実で作業後も長くトラブルなくエアコンを使うならフィルターの交換も望ましいです。
フィルターとは、コンデンサーの横側にある筒状の部分に入っているもので、ここでコンプレッサー内部から出た鉄粉などを除去しています。
コンプレッサーのトラブルの再発を防止するためにもエアコンサイクル内の不純物などは取り除いておく必要があり、コンプレッサーの損傷具合によって交換するかどうかを判断します。
おそらく電装屋さんのほうがフィルターの交換をセットで交換することを前提とした見積もりを作ってくるのではないでしょうか。
以前はエアコン修理を電装屋さんに外注していましたが、
エアコンの修理に関する知見や経験は電装屋さんのほうが豊富なので
過去の苦い経験などを踏まえて確実なやり方を選んでいます。
最後に
僕の経験では30プリウスはエアコンのトラブルの少ない車で、この記事でお話したガス漏れやコンプレッサー不良も販売台数と比べれば少ないと感じています。
とはいえ、コンプレッサーの交換となると他の車種よりも修理代は高くなってしまうので一般的な車と同様、エアコンなどの高額修理が発生したら「そろそろ乗り換えかな・・。」と感じるユーザーさんもいます。
30プリウスの市場評価はいまだに高い
30プリウスはハイブリッドカーとしての完成度も高く、結果的にセールス面でも成功することができました。
30プリウスがリリースされた当時、販売ランキングではつねに1位を維持しており、「プリウスと軽自動車だけ売れていた」という記憶があります。
もしもプリウスがハイブリッドカーでなくバッテリーのみで走行するEVだったら、ここまで多くのユーザーに支持されることはなかったでしょう。
その後は中古車としても堅調に売れながら、海外からの需要もあり十数年経った今でも30プリウスは海外に輸出されていきます。
トヨタのハイブリッドカーは海外の評価が非常に高い
充電ステーションなどのインフラが不十分な国では「EVなんて乗ってられない」という意見が多く、その点でもプリウスを始めとするトヨタのハイブリッドカーの需要は高いです。
販売台数が多いということは、中古パーツやリビルト品も豊富ということになり、修理費コストを抑えることもできます。
それらを加味すると、日本では30プリウスは「型遅れのハイブリッドカー」となっていますが、自国で自動車を作っていない国ではいまだに現役バリバリの車として重宝されています。
そういった意味では、
海外への輸出に強い買取業者に30プリウスの買い取り査定を依頼するとディーラーの下取りとは比べ物にならないくらいの査定額を提示されることも珍しくありません。
プリウスに高い査定額を出す業者を探す方法
もしもプリウスを乗り換えするときにディーラーに下取りに出すのであれば、それはかなりもったいないことをしています。
買取専門店や一括査定サイト、ネットオークション代行などでその流通価格を調べてみることをおすすめします。
ポイントは「オークション」と「交渉」の使い分け
海外からの需要が高いプリウスなら安定して高い入札が期待できるので、プリウスを手放そうかと迷っているなら、より多くの買取業者にアプローチして買取額を調べてみることをおすすめします。
オークションなら多くの業者が入札してくれる
たとえば当ブログでよくおすすめしているユーカーパックは、オークション代行サービスの最大手で、最大8,000社が参加するオークションとなります。
オークション代行サービスのメリットは、電話などのやり取りは運営する会社とだけでいいので煩わしい電話営業が一切ないことです。
高い査定額を提示してきた業者と交渉する
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MOTAの強みはオンライン査定によるスピーディさと、一括査定サイトのような多数の業者との煩わしい交渉がいらない手軽さにあります。
ディーラーに下取りは本当にもったいないので、数社だけを限定した一括査定サービスを利用してみてもいいでしょう。
プリウスを高く売るならオークションを利用するのもいいですし、高い査定額を提示してきた業者とだけ交渉するのがおすすめです。
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