エアバックの警告灯なんだから
エアバックが開かなくなるだけだよね?
べつに、そのまま放置しててもいいじゃない?
エアバッグなんて事故が起きたときのものでしょ。
じゃぁ車検の時にでも直せばいいよね?
などとおっしゃるお客様もおられます。
たしかにそれも一理ありますが、エアバッグが誤作動する可能性もありますし、自動車保険の契約内容に違反してしまう可能性もあります。
今回はエアバッグの警告灯が点いたときの対処法や、法令上ではどんな問題があるのかというお話です。
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エアバッグの警告灯が点灯するとどうなる?
エアバッグが作動するには一定の条件を満たしたときに限定され、もしも不要な時にエアバッグが開くとドライバーにとっては、前方が見えなくなったりと、かえって危険な状況になってしまいます。
そこでエアバッグが作動するには、車に取り付けられたセンサーが車に起きた状況を判断し、運転手や同乗者への安全性を高めるためにのみ作動させるように設計されています。
基本的にSRSエアバッグは作動しなくなる
エアバッグの警告灯のマークが点灯するということは、エアバッグを作動させるシステムの「なにか」が異常をきたしていることを示しています。
この状態になると、エアバッグが開かないというだけでなく「いきなりエアバッグが誤作動する」という事態も回避する必要があります。
そのため、エアバッグに関する制御を停止する必要があり、各センサーなどに異常が検出されてしまうと、一時的にエアバッグが作動しなくなるように保護機能が働くのです。
ただし、絶対にエアバッグが機能しないかといえばその限りでもなく、一定の衝撃が車に加えられたときに本来の役割を果たしてくれるケースもあると思います。
エアバッグに関係するセンサーとは
まず、エアバッグは、車体に大きな衝撃が加わったときに作動するようになってします。そのため、車の前面付近に衝突を検出するためのセンサーがついています。
このセンサーは「サテライトセンサー」や「インパクトセンサー」などと呼ばれています。
もしも、このサテライトセンサーが間違った情報をECU(コンピューター)に送ってしまうと、必要のないときにエアバッグが展開することになり、非常に危険です。
そのため、重要な情報となるこれらのセンサーから、回路のショート(短絡)、またはオープン(断線)が検出されると、エアバッグは一切作動しないようになってしまうのです。
エアバッグ警告灯が点く原因
エアバッグの警告灯が点いた原因は必ずある
エアバッグを作動させるには、さまざまなセンサーからの情報をECUが判断しエアバッグモジュールに命令が送られます。
エアバッグモジュールとは、風船のように開くエアバッグ本体とインフレーターと呼ばれる火薬が入ってエアバッグを開かせるための部品がくっついたものをいいます。
そのほかにも衝突した際の衝撃を感知する「サテライトセンサー」や、急激な加速や減速を感知するための「加速度センサー」や「Gセンサー」など様々な情報をもとにエアバッグの制御をしています。
これらエアバッグの制御に重要なセンサーなどに不具合が発生すると運転席のメーターの中にエアバッグのシステム異常を知らせるためにエアバッグ警告灯が点灯します。
そのほかにも、センサーやコンピューター、エアバッグモジュールをそれぞれ繋いでいるケーブルや接続カプラーなどの回路に断線やショートなどの異常がある場合もエアバッグ警告灯のマークが点灯します。
これらの原因を見つけ出し、配線修理やセンサーの交換など、問題を解決しないと警告灯を消すことはできません。
以前あったことですが、台風と高潮の影響で水没してしまった車で
エアバッグ警告灯がうっすらと点灯したことがありました。
おそらく塩水のせいで配線に接触不良が起きたのでしょう。
原因はシートの下側にあるエアバッグ作動用のコンピューターが水に浸かってしまったことでした。
スパイラルケーブルの断線
僕の経験では日産のセレナで二回ほど連続したことがありますが、ハンドルの付け根にあるケーブルが断線することでエアバッグの警告灯が点灯した事例がありました。
セレナ以外の日産車や、スズキ車などでも経験しましたが、ハンドルを回すたびにケーブルが動く場所なので、ケーブルやその周辺が接触不良になることが多い部品と言えます。
この場合は、「エアバッグモジュールのスパイラルケーブル」などと整備士は呼ぶことが多いのですが、ずばりその部分だけの交換ができるため、比較的に時間も費用もそれほどかかりません。
エアバッグモジュールを外し、ハンドルを外してしまえば丸見えになる部位なので、上述のセレナの場合は作業時間は一時間くらい、修理費用の合計が30,000円くらいだったと思います。
着座センサーが不良でも点灯する
運転席に人が座ると、その重みでシートの下側にセットされたセンサーが人が座ったと感知するタイプの車もあります。
おもにベンツやBMWなどの外車に採用されていることが多いので日本車ではこれらのケースはあまりないです。
ただし、高級車にカテゴライズされる車種やレクサスなどでは運転席だけでなく、助手席のパッセンジャー用のセンサーも実装されているかもしれません。
エアバッグ警告灯の消し方
エアバッグ警告灯の原因となる部品を特定し交換する
エンジン警告灯のケースと全く同じですが、警告灯が点灯した場合は何らかの電子部品やセンサーが壊れているケースがほとんどです。
整備士が故障診断をする場合もオフボードテスターを使って警告灯の内容をテスターで呼び出し、そこで指定されている部品を交換することが基本です。
ほとんどの場合はそれで警告灯は消えますが、古い車や過走行の車の場合などは、センサーのカプラー部分に腐食があったり、エアバッグを制御するコンピューターそのものが故障していることもあります。
配線不良の原因を見つけて修理する
配線不良が原因でエアバッグの警告灯が点灯した場合、その原因を見つけるにはかなりの時間と手間が必要なことがあります。
上述したような古い車などは、水没したことがある車や、ユーザーが自分でハンドル周りを加工した場合、交通事故などで大がかかりな板金修理をした経歴があるなど、原因はさまざまです。
こうなると、トラブルシュート(故障診断)をするには時間と手間が必要になり、ディーラーに協力を要請して配線図を送ってもらったり、直接ディーラーに持ち込んで専用のテスターで診断を依頼することもあります。
どちらにせよ、一筋縄ではいかない修理になるので、かかる時間や費用もまったく予測できなくなり、お客様にもしっかりとご説明をするようにしています。
エアバッグキャンセラーで擬似信号を送る
車好きなユーザーならサイドエアバッグ付きのシートを社外品のレカロシートやバケットシートに交換する場合などでエアバッグの警告灯が点灯しないように処置をします。
そのときにエアバッグキャンセラーという、純正の配線に割り込ませることでエアバッグの警告灯が点灯しないようにすることができます。
このエアバッグキャンセラーを車に接続することで、コンピューターに対して「異常はありませんよ」と嘘の情報(疑似信号)を送ることで警告灯が点灯しないようにしています。
ただし、社外品の商品なので、耐久性や信頼性には「当たり外れ」があり、きちんと機能するかどうかは他のユーザーのレビューなどを参考にするのがベターでしょう。
プロの整備士として、安全に関わる部分なので「ノーマルが一番ですよ」とお客様にはお話していますし、自動車保険では安全に関する重要な事項にあたるので保険会社に報告、相談する必要があります。
エアバッグのマークが消えないと車検に合格しない?
エアバッグは安全に直結するので警告灯は不合格
残念ながらエアバッグの警告灯が点灯すると車検に合格しません。
実際にエアバッグが開くかどうかという確認はそのときにならないと確認はできませんが、この場合は保安基準を満たさないという判定になります。
たとえば、エアバッグをハンドルと一緒に外してしまって、スポーツハンドルに交換してしまった場合だと、そもそもエアバッグが装着していない車ということになるので、警告灯がつかないようにメーターの中を加工すれば車検に合格することはできます。
ただし、車の年式などによってはエアバッグが装着していることが前提となるため、エアバッグを取り外してしまった時点で車検に合格しないことになってしまいます。
どうしてもノーマルのエアバッグ内蔵ステアリングのデザインが嫌だという場合は、エアバッグのモジュールだけを移植できるステアリングにすることで車検対応にすることができます。
側方のエアバッグの警告灯も車検不合格
すべてのエアバッグが作動しないと合格できない
エアバッグシステムにもいろんな部位に設置されたものが増えてきていて、「サイドエアバッグ」「カーテンエアバッグ」などなどその取り付け場所や数も増えています。
エアバッグの警告灯の中には、メインの警告灯以外にも補助的に取り付けられた部位のエアバッグに対する警告灯も表示される車種があります。
その場合、運転手には関係がないような助手席や後席のエアバッグであっても車検には合格しません。
エアバッグに関する警告灯が一つでも点灯していれば車検には合格することができません。
任意保険でも問題がある?
エアバッグシステムは、正面衝突や追突してしまった際に、ドライバーへのダメージを大きく軽減することができます。
そのため、自動車保険(任意保険)ではエアバッグが装着されていると、保険料が少し安くなってします。
上述したように、エアバッグの警告灯が点灯したままで放置して車を運転しているということは、自動車保険上では保険契約の重要事項に反することになってしまいます。
ましてや、ユーザーが意図的にステアリングを交換してエアバッグモジュールを取り外してしまった場合などは、「エアバッグが付いてる車だから保険料を安くしてね」と保険会社を騙していることになってしまいます。
まとめ
エアバッグの警告灯が点灯したら・・・
以上のことを知っておくといいのですが、これらの内容は日常の運転には支障がなくそのままの状態で放置してしまいがちになります。
ただ、上述したようにエアバッグの警告灯が点灯したままでは車検に合格しませんし、故障の内容を調べてみたら、かなりの高額修理だとわかり、慌ててしまうこともあります。
車検+高額修理という待ったなしの状況になってしまう前に早めに対処することをお勧めします。
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