ガソリンスタンドで
「エアコンガスクリーニングしましょう」
ってすすめられたけど
してもらったほうがいいのかな・・。
最近よく整備工場やメンテナンスショップでお勧めされることがある「エアコンガスクリーニング」と言う作業。
まず、エアコンのガスをどうやってクリーニングするのでしょうか?
また、車検などで一緒にエアコンガスクリーニングをやりませんかと勧められることもあります。
ガスがきちんと入っていて正常に冷えている状態でもこの作業は必要なのでしょうか。
今回は、実際にこのエアコンガスクリーニングを作業する者として、その必要性や効果などをお話ししたいと思います。
結論を先に言うと、「必要ない」と説明するケースもあれば
「やっておいてもいい」と、やや消極的にすすめることもあります。
車のエアコンガスクリーニングって必要性があるの?
基本的には必要ないかも…
先に結論を言ってしまうと、僕なら自分の車が正常にエアコンが効いてる状態ならエアコンガスクリーンはやりません。
それではこのエアコンガスクリーニングと言う作業は全く必要のない作業なのでしょうか。
実はそんなことはなくて、エアコンガスクリーニングをしたことでエアコンの効きが改善されたことも実際にありました。
ですが、エアコンのガスをクリーニングしたから効きが良くなったのではなく、
そもそもエアコンのガスが少し減っていた状態に対して正常な状態にガスを充填してあげたことでしっかりと冷えるようになったケースがほとんどです。
エアコンのガスは配管などから抜けていく
基本的に車のエアコンのガスは減ることはありません。
家庭用のエアコンと全く同じ構造であり、エアコンのサイクルの中に封入されているフロンガスが圧縮され、噴霧されます。
フロンガスが噴霧されると気化熱と言う現象で熱交換器を冷やしていくと言うサイクルを繰り返しているだけです。
ところが自動車の場合は、エンジンルームにエアコンの配管もそれぞれ配置されています。
走行中はエンジンなどの様々な振動などもあって、それぞれの配管の継ぎ目から少しずつフロンガスが抜けていくことが多いです。
僕の経験では、
新車から5年経過した車なら全容量の5%から10%ほどロスしているようです。
例えば軽自動車クラスの車だと、フロンガスは大体300グラム前後が入っていますが、
約5年ごろほど経過した時期だと、300グラム入っているはずのフロンガスが、200グラム以下になっていることもありました。
この状態だと、エアコンの冷えはあまり良くないです。冷えない事は無いので運転手はあまり気づかないことも多いです。
エアコンガスクリーニングはガスの調整と言う意味もある
エアコンがスクリーニングと言う作業の工程をざっくり説明すると、まずはエアコンガスを完全に抜いてしまいます。
その後真空引きと言う作業でさらに配下の中を真空にしてしまいます。
その後配管からの大きな漏れがないかをチェックする、いま家の確認の作業がありその後コンプレッサーオイルを少量配管内に入れます。
最終的には設定した通りのフロンガスを配管内に封入しておしまいと言う工程です。
つまりガスクリーニングと称してエアコンガスを一旦抜き、本来のガスの量まで調整してあげることで冷えが改善するケースがほとんどなのです。
ガスクリーニングと言う説明とちがい、何も掃除しないのかというとそうでもなく、一旦回収したガスの不純物をろ過しながらチェンジャーの中にある新しいフロンガスをそこに返してあげます。
また、エアコン内部の不純物を除去することでエキスパンションバルブと言う細い通路が詰まってしまったり、コンプレッサーを摩耗させるような不具合は少しでも回避することができるかもしれません。
保冷車にはやらない作業。ということは・・?
保冷車や冷凍車と呼ばれる車たちは特殊な装置が付いているわけではなく、基本的にはカーエアコンの構造や仕組みをそのまま使っています。
ただ構造が大掛かりになっていて、専用のエンジンが搭載されていたりコンプレッサが非常に大きなものなっていたりするだけなのです。
プロが使うこれらの保冷車で、エアコンが外クリーニングなどと言う作業をする事はほぼありません。
壊れたらその時はかなり大掛かりな作業として大部分の部品を交換してしまったりすることが多いのです。
そのことを考えるとガス漏れがほぼ発生していない状態できちんと冷えている状態の車なら、エアコンガスクリーニングはあまりしなくていいというのが僕自身の個人的な意見です。
依頼をするなら整備工場へ
かなり否定的な言い方をしてしまいましたが、エアコンがスクリーニング自体が意味のない作業と言うわけではありません。
ただし依頼をするなら信頼できる整備工場を選んだほうが間違いないと思います。
自社でエアコンの修理をせず、外注に出すようなお店にはエアコンガスクリーニングは依頼しないほうがいいと思います。
エアコンガスクリーニングの頻度は?
シーズンに入る前の早めのメンテナンスがオススメ
エアコンガスクリーニングをするメリットとしては、エアコンのコンプレッサー等をいたわると言う意味では使用品度が上がる夏に入る前がいいです。
コンプレッサーオイルの抜き替えもするので、ハイシーズン前の準備として適切です。
毎年1回、本格的なシーズンに入る前のメンテナンスとして考えてみてもいいかもしれません。
エアコンガスクリーニングで不具合になる?
整備士としての失敗談
エアコンってわりと微妙なバランスで保たれていることもあります。
しっかり冷えているときは余計なメンテナンスはしないほうがいいのかもしれません・・。
実はこのエアコンガスクリーニングの機械を導入したときに、試験的に僕の整備工場で使っている代車で作業をやってみたことがあります。
かなり古い車だったのでそもそもエアコンの調子がそれほど良くなかったりコンプレッサー付近から異音が出ていたりしていたので、大丈夫かなと思いながら作業をしました。
ところが作業が終わった直後からエアコンコンプレッサーから大きな異音がし始めて、冷えもかなり悪くなってしまいました。
原因はもともと調子の良くなかったコンプレッサーに規定量のガスを入れたことでコンプレッサーにとどめをさしてしまったのかもしれません。
エアコンガスクリーニングをするなら、そもそもその車両にどれぐらいのフロンガスを注入すればいいのか規定量を知っていないといけません。
よくガソリンスタンドでエアコンガスの診断を頼むとすぐにエアコンガスを注入したがります。
フロンガスの規定量に関する知識がないサービスマンがいたずらにガスを入れすぎてしまうとそれが原因でさらに冷えが悪くなることも結構あります。
規定時よりもあえて少し少なめに入れると言うこともありますが、これもエアコンの修理をある程度経験している人でなければ判断できないことでもあります。
まとめ
エアコンガスクリーニングは、エアコン修理を専門で出来るような、専門の技術や知識を備えた整備工場になら依頼してもいいかもしれません。
できれば保冷車の整備などをやっているような整備工場ならさらにいいと思います。
ただし、すでに大きな異音や不具合が出ている状態ではエアコンガスクリーニングのような予防整備はときすでに遅しといえます。
コメント
こんにちは。よろしければ教えてください。
シエンタ・ダイスに2015年から乗り続けているものです。
昨年(2021年の6月)、初めてエアコンガスクリーニング・エバボレータ洗浄(洗浄剤吹き付けタイプ)を行い、快適に過ごしていました。
先日、同じ業者で1年ぶりに点検してもらったところ「ガスが半分程度抜けている。エアコンガスクリーニングを行った方がいい。これは1年ごとに行うもの」と言われました。
エアコンガスクリーニングを行うと、1年で半分になってしまうものでしょうか?クリーニングは1年ごとに行うものなのでしょうか?エアコンの効きはあまり悪くなっている感じはしていないのですが。
どうぞご教授ください。
おかしら様
コメントをありがとうございます。
エアコンガスクリーニングについてお答えさせていただきます。
まず、車のエアコンガスは減ることはありません。
フロンガスがエアコンのサイクルの中を循環しながら、
圧縮→液化→噴射→気加熱で冷やすという仕組みです。
車のエアコンも家庭用のエアコンや冷蔵庫と基本的には同じ仕組みなので、
冷蔵庫のガスが減らないように、カーエアコンもガスは減りません。
エアコンガスクリーニングの本来の目的は、
エアコンサイクル内のガスをすべて抜いてしまうことでガスの中の不純物を取り除くことにあります。
通常、ガスは抜いただけの量を注入するはずですが、
配管などからガス漏れが発生して抜けているケースもあり、不足しているだけ補充することもあります。
ですが、漏れがひどい場合はガス漏れの修理をおすすめするはずですが、そこの説明がなかったのでしょうか。
ですので、
↓
>「ガスが半分程度抜けている。
>エアコンガスクリーニングを行った方がいい。
>エアコンガスクリーニングを行うと、
>1年で半分になってしまうものでしょうか?
>クリーニングは1年ごとに行うものなのでしょうか?
↑ そんなことはありません。
エアコンガスクリーニングをすることでガス漏れを誘発することもなければ、
故障の原因になることも基本的にはありません。
以上、ご参考になれば幸いです。
ご丁寧なご対応、大変助かりました。これまで世話になったガソリンスタンドでしたが、これを機に別のスタンドに変えてみようかと思いました。
誠にありがとうございました。
はじめまして。丁寧なご説明大変参考にさせていただいております。
エアコンクリーニングについてですが、昨日車検の見積もりでいつもお世話になっているガソリンスタンドに行ったところ、エアコンクリーニングが必要といわれ、「コロナのワクチンのようなもの」と説明され、現在不具合がなくても予防のためにした方がいいように言われました。
そこで、ネットで調べるとこちらの説明の方が説得力があり、エアコンクリーニングについては断ろうと思っておりますが、他にもエアコンフィルター取り替えに4000円とかエアクリーナーエレメント取り替えに3500円とか見積もりされていて本当に必要か疑問に思うようになりました。
2016年に父が新車で購入したプリウスを4年前に譲り受け、その4年での走行距離は5000kmちょっと。月に2回乗る程度で2度バッテリー上がりでJAFの御世話になったぐらい使用頻度は少ないです。エアコンフィルターは2年前の車検の際交換しました。
自分で交換の要否を確かめる方法はありますでしょうか。
どうぞよろしくご教示お願いいたします!
メグ様
コメントをありがとうございます。
いただいたご質問にお答えさせていただきます。
まずメグ様の場合はエアコンガスクリーニングは必要ないと思います。
理由はいくつかありますが、そもそもプリウスはエアコンのトラブルが少ない車種です。
しかもエアコンのコンプレッサーは電動で、内部には汎用のコンプレッサーオイルは使えないようになっています。
もちろんそのタイプでもエアコンガスクリーニングをすることはできますが、
4年間で5000kmしか走行しないのであれば必要性を感じません。
もしもエアコンを調子良く維持させたいのであれば、定期的に使ってあげるほうがいいと思います。
どんな機械にも言えることですが、あまりにも使用頻度が低いと調子が悪くなることもあり、定期的に作動させるほうがトラブルを抑えることができます。
>他にもエアコンフィルター取り替えに
>4000円とかエアクリーナーエレメント取り替えに
>3500円とか見積もりされていて
>本当に必要か疑問に思うようになりました。
↑
こちらに関しても、急いで交換する必要はないと思います。
プリウスはエンジンに負担をかけない車ですので、エアクリーナーもあまり汚れません。
僕の経験では5万kmほど走行しているプリウスのエアクリーナーもかなりきれいでした。
また、エアコンフィルターに関しても年間走行距離が少ないようなので交換しなくても問題はないと思います。
メグ様の場合、年間走行が少なすぎるようで、
補機バッテリーの寿命が短くなりがちのようですから、
車検やメンテナンスの費用の大部分は
バッテリーの交換費用に充てるのではないでしょうか。
>自分で交換の要否を確かめる方法はありますでしょうか。
エアコンのフィルターに関しては比較的に簡単に取り外すこともできますので、
ネット情報などを参考にしてトライしてみてもいいかもしれません。
ご面倒であれば二年ごとに交換してもいいでしょうね。
以上、ご参考になれば幸いです。
サボカジ
サボカジ様、早速丁寧なご返答を頂き本当にありがとうございました!!大変参考になりました。
エアコンクリーニングやフィルター交換についてはすぐに電話してキャンセルを入れました。サボカジ様のおかげです。
走行距離が少ないので補機バッテリーの交換に費用がかかるというご推察まさにその通りです。エアコンも定期的に使った方が調子がよくなるなど、色々と適切なアドバイスも頂き大変参考になりました。フィルター交換もトライしてみようと思います。
すごく迷っていたので、今は気分がスッキリしました。本当にありがとうございます♪
今後ともお身体にお気をつけてよりいっそうのご活躍をお祈りしております。
メグ