小型車との相性がいいため、CVTは現在多くの車種に採用されている変速機です。
CVTもオートマチックの1つですが、いまだオートマチックといえばAT車を指している
その違いを知っている人は意外に少ないのかもしれません。
今回は、従来のオートマチックとCVTとの違いや、
メンテナンスや寿命にの違いについて整備士の経験も織り交ぜてのお話です。
オートマチックとCVTの違いとは
CVTもオートマチックの仲間
自動車のトランスミッションの中でも、自動的に変速をしてくれるのが「オートマチックトランスミッション」ですが、変速の方法にも違いがあります。
これに対して、運転手が手動でトランスミッションの内部のギアをシフトチェンジしていくタイプのものを「マニュアルトランスミッション」と呼んでいます。
今回のお話のCVTもオートマチックの仲間なので、手動でシフトチェンジをする必要はありません。
それでは「オートマチックとCVTの違いは?」という質問はそもそも的を得ていない質問ということになります。なにせ、オートマチックの中にCVTも含まれているわけですから。
日本車の小型車に採用されることが多いCVT「Continuously Variable Transmission」は別名で「無段階変速機」と呼ばれています。
その一方で、オートマチック(AT)とは、「多段変速機」のことを指すことがほとんどです。
今回のお題である「オートマチックとCVTの違い」は、正確には、
「オートマチックの中のATとCVTの違い」ということになります。
CVTはかなり後発の変速機
日本車として、古くは1960年ほどから採用されている多段変速機は、ギア比の異なる複数のギアを自動で切り替えてくれます。
この多段変速機は2019年現在でも国産車の比較的排気量の大きなハイパワーな車や大型のトラックなどにも採用されています。
それに対して、CVTは比較的最近(2010年以降)に本格的に小型車を中心に採用されるようになりました。
CVTを開発したのは日本ではありませんが、積極的に採用しているのはほぼ日本車だけです。
そのため「ガラパゴスなトランスミッション」などと言われてしまうこともあります。
オートマチックとCVTのメンテナンスの違い
メンテナンスの違いはフルードの違い
オートマチック(以下AT)とCVTはどちらもメンテナンスに関してはシンプルというか、できることはほとんど同じです。
メンテナンスは専用のフルードを定期的に交換することぐらいしかありません。
少しでも故障を遅らせ、長く乗りたいとお考えなら、丁寧で負荷の少ない運転を心がけていただくことぐらいでしょうか。
フルードには違った特性が求められている
ATの場合はATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)という専用のフルードを使います。
それに対し、CVTの場合は同じようにCVTフルードなどと呼ばれる専用のフルードを使用します。
専用のフルードを使用する理由
ATFとCVTフルード(以下CVTF)の大きな違いは、ATFはトランスミッション内部のギアなどの潤滑を目的にしていることに対して、
CVTFは、スチールベルトとプーリーが滑らないようにするための機能が求められていることです。
平たくいえば
「ATFは滑りやすくすることを目的にしている」
「CVTFは滑らないことを目的にしている」
という、まったく逆の性能が求められているのです。
市販されるフルードの中には「ATもCVTにも使えます」というのをウリにしているものもありますが、僕自身の意見としてはこういうタイプのフルードはあまり使いたくないです。
CVTとATの寿命は距離に違いがあるのか
ATとCVTとでは、作られてきた歴史の違いというか、やはりATのほうが耐久性に関しては安定しているといえます。
それだけ、何十年もかけて様々なメーカーが作り続けてきたことが、完成度の高さと大きく関係しています。
ヨーロッパでもATのほうが今でも人気がありますし、より多段化が進むことはあってもCVTへシフトすることもないようです。
それだけATへの信頼性も高いですし、ドライバビリティもATが楽しくて安定していると評価されています。
その一方で、日本では小型車にCVTを積極的に採用していますが、まだまだ開発途中というかトライ&エラーを繰り返している段階でもあります。
ATとCVTの寿命の差は?
具体的にどれくらいの耐久性の違いがあるのか、寿命が短いのかということになりますと、
はやりCVTのほうが不具合を起こす確率も多いようですし、早い段階で不具合を起こすのもCVTが多いと感じています。
具体的には小型車を例に挙げると、CVTなら八万キロくらいで異音が気になり始めたりすることがあります。それに対してATだと、ほとんど問題なく性能を維持できていると思います。
ただし、燃費性能の優劣となると、圧倒的にCVTのほうが燃費はいいですので、今後も時代が求めるという意味でCVTの開発が進んでいくのだと思います。
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