CVTからヘンな音が聞こえ始めたら
「もうおしまいだ・・・」
と思ってしまうかもしれません。
そもそも、どんな原因でCVTから異音がするのでしょうか。
うなり音の原因にもよりますが、解消できるケースもあります。
ただし、今回のお話は、
整備士の僕自身の経験談なので必ず同じ結果になるとは限りません。
なので、
「ほんまでっか?!」
な感じで読み進めていただけたらと思います。
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CVTからうなり音がすることは珍しくない
まず、CVT自体はわりとうるさいところがあります。
音でいえば「ウィーーーン」とか「キーーン」とか「ギュイーーーン」など。
特にエンジンが冷えている状態では耳障りに感じることもあるでしょう。
ただ、これらの音は異常ではないので異音とは言えません。
CVTのスチールベルトが発する音として、メーカー側からすれば「普通です」と言いたいところです。
エンジン始動時にCVTの中から大きなうなり音
おもにエンジンが冷えているときなどで、寒い日の朝とか、数日ぶりにエンジンをかけたときなどは、
CVTの中から
「ウォーーーーン」とか
「ウィーーーーン」みたいな
モーターのような音がするときがあります。
これはCVTの内部が冷えていることで起きますが、CVTフルードの温度が上がってくると次第に静かになってきます。
つまり異常とはいえない、CVTの特性とみていいでしょう。
加速するときにもうなり音がする
加速をするときはCVTの内部でスチールベルトとプーリーとの当たり面がズレていっている状態なので、うなり音などがしやすいかもしれません。
とくにアクセルをグイっと踏み込んでCVTに負荷をかけているときなどはスチールベルトからの音も大きくなる傾向にあります。
これも異音とは言えませんが、走行距離が伸びてくると、次第にこの音が大きくなることもあります。
減速時やエンジンブレーキで甲高い音がする
とくに小型車や軽自動車のCVT車ではこの音が大きいかもしれません。
これもモーターのような「キーーーン」という感じの甲高い音がするケースが多いです。
車種にもよりますが、この減速時やエンジンブレーキをきかせているときの音が最も大きな音かもしれません。
普段よりも音が大きく感じたらなんらかの対策を
ところが、走行距離がある程度伸びてくるとこれらの「CVTならでは」の音も、いつしかうなり音というか、耳に残るような音がするときがあります。
CVTは比較的にフルードへの負担が大きいので、音が大きくなったかなと感じたら、一度CVTフルードの交換をしてみるといいでしょう。
結果論になってしまいますが、CVTフルードを交換して音が解消されたり小さくなった場合はやはりCVTフルードの劣化と判断することができます。
なお、それぞれのメーカーのCVTフルードの交換時期に関しては別の記事を参考にしてください。
CVTの異音の原因は過走行だけではない
CVTも機械である限りは、いつかは調子が悪くなるときがあります。
どんな機械も壊れる少し前には予兆というか、壊れかけている機械ならではの異音がします。
機械の中のガタというか、本来のクリアランスが保たれていない状態です。
CVTの異音に関して多いのはスチールベルトの摩耗です。
いくらCVTフルードが入っているとはいえ、回転する物どうしが接触して大きな力を伝えているので、部品としての寿命を迎えることはいたしかたないことと言えます。
フルード劣化も異音の原因になる
ガタができる原因の一つとして、メンテナンスが不十分なケースもあります。
CVTのメンテナンスに関してはできることは少なくて、機械として丁寧に扱うという以外ではCVTフルードを適度なタイミングで交換して少しでも故障を遅らせるということに尽きます。
メーカーはなぜかCVTフルードの交換に消極的というか、交換すること自体をあまりユーザーに進めていません。
使用条件でもCVTの異音は大きくなる
オートマチックの操作の中に「キックダウン」というものがあるのをご存知でしょうか。
もともとはAT車からきた操作ですが、走行中にアクセルを「ガバッ」と一気に踏み込んでいくと、シフトダウンをして加速力を得るわけですが、CVTでも同じようにすることができます。
このキックダウンがCVTにはかなり負担をかける原因となります。
なぜなら、高速で回転しているプーリーとスチールベルトの当たり面を一気に変えてしまうわけで、スチールベルトは大きな力で引っ張られつつ、プーリーとも接触しています。
また、街乗りがメインのユーザーさんの場合は、加速と減速を頻繁に繰り返す運転をしていますので、これもCVTには過酷な使用条件と言えます。
CVTの異音を添加剤で消すことができるケースとは
これは、一定の車種に限られてくるかもしれませんが、同じような車種には同じような不具合が出ることが多く、それに対して有効な対策が見つかるケースもあるのです。
たとえば、僕自身が経験したのは整備士の間ではあまりにも有名な「初代フィットのCVTジャダー」ではないでしょうか。
ジャダーとは、「ゴツゴツゴツ」と嫌な音とともに車がぎこちなく加速していくことを言います。おもに音ではなくて振動のことを指します。
このフィットに関しては、CVTフルードの種類を変更することでかなり緩和されるケースがありました。
ホンダの純正CVTフルード「HMMF」が対策として出回り始めてから、従来の純正フルードからこのHMMFに交換しただけでかなり異音と振動が解消されました。
おそらく、HMMFにはあたらしく添加剤などが入っていたのでしょう。
この経験から、ホンダ車だけではありませんが、CVTフルードの種類を変更して見たりするだけで異音や振動を抑えることもできます。
添加剤の効果が期待できないケース
あきらかにCVT内部の損傷が見られるような大きな音、たとえば「バリバリ」とか「ゴトゴト」といった大きな音がする場合は、残念ながら手遅れかもしれません。
添加剤の効果はあくまでも故障の初期段階に「延命措置」として使うような認識でいるほうがいいでしょう。
最後に・・・
お客様から、
「あと少しだけこの車に乗りたい」とか
「次の車を注文しているのでそれまで乗れればいい」といった、
延命措置を望む声もかなりあります。
ご高齢で次の車を購入するつもりはないという方はなんとかしてほしいとおっしゃることが多いです。
そんな要望をいただいたときは、添加剤を試してみることを提案します。
提案はしますが、どれほどの効果があるのかは保証できないと事前にご説明しておきます。
あとでトラブルやクレームに発展する可能性もあるので当然なのですが、それでもかまわないと了承をいただいたうえで添加剤を使用してみることもあります。
以前、非常に古いソアラで(CVTじゃないですけど)添加剤を入れて、滑りが解消された事例もあります。
ちなみにですが、当工場でよく使われるCVTの異音対策の添加剤は、
RISLONE(リスローン)の「CVTトランスミッションフィックス」です。
なぜよく使われるのかというと、取引先の部品商の担当者さんが
「ほかの整備工場さんでもこれがよく出てます」
というのでウチでも使ってます。
よく使われるということは、ほかの整備工場に持ち込んでも、あまり嫌がられないというか、
「ああ、それね。」
となりますので、作業として受けてくれやすいというのもあります。
どうにか安くCVTの異音やジャダを解消できることを試してみたいとお考えなら使ってみる価値はあります。
ただし、さきほどもご説明しましたが、すでに大きな振動や異音が出ている場合は効果が薄いので整備工場側も嫌がるでしょうから、初期症状の段階で試すほうがいいでしょう。
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