真夏の炎天下でカーエアコンを使っていて、
「あれ?吹き出し口によってクーラーの効きが違う?」
と感じたことはないでしょうか。
とくに運転席の窓側の吹き出し口の冷気が最も冷えが悪いのですが、
新車から5年以上経過している車なら実感しやすいかもしれません。
とはいえ、お客様から修理の相談としていただく場合は本当に故障しているケースもあるのですが、
今回は車の構造上で起きる、エアコンの冷えにムラができる理由についてのお話です。
車のエアコンは運転席側が効かない理由
エバポレーターから離れていることが原因
車の場合、冷房は「エバポレーター」という部分で冷たい風が作られています。
エバポレーターとは、圧縮されて液化したクーラーガスが一気に噴射されて気化熱で冷たくなる部分です。
このエバポレーターの前後に「ブロアファン」という、送風するための装置があり、そこからそれぞれの吹き出し口へ冷たい風を送っています。
エバポレーターは助手席側にある
↑ 中央に見える黒い部品のかたまりがエアコンユニット。助手席の奥にあるので助手席側がエアコンの効きがいいケースが多いです。
ほとんどの車の場合、運転席側には運転に必要な装置がぎっしりと集まっているので、助手席側にエアコンのユニットが配置されています。
つまり、運転席のエアコン吹き出し口はエアコンユニットから離れてしまっているため、エバポレーターから吹き出し口の途中にある通気ダクトを通っていくうちに冷気をロスしてしまっています。
運転席側を少しでも涼しくする小技
エアコンの風は一箇所のブロアファンから送られてくるので、作り出される風量には限界があります。
車種によっては吹き出し口を閉じてしまうことができる形状のものがあり、助手席に人がいない場合はその部分の吹き出し口を閉じてしまうと他の吹き出し口への風の量が少し多くなります。
無駄な風はカットすれば風量を増量できる
↑ 助手席の外側の吹き出し口から出る風は無駄になっていることもあります。
↑ 完全に閉じてしまうことができれば、他の3ヶ所の吹き出し口の風量を増やすことができます。
また、車用のファブリーズなどで、吹き出し口に装着するタイプの消臭剤がありますが、吹き出し口に物をつけることで風量が減ってしまいます。
できれば助手席側につけておいて、運転席側の吹き出し口には風の抵抗を作らないようにするのもおすすめです。
チープだけどバカにできない便利アイテム
エアコンの吹き出し口に扇風機を追加することで風の量を増やすという原始的なやり方ですが、とくに涼しくしたい吹き出し口にだけ設置することでエアコン内部の冷たい風を積極的に吸い出すことができます。
この扇風機を単体で使うとたんなる扇風機ですが、エアコンをかけながら冷えてほしい吹き出し口に設置するのが有効です。
エアミックスドアから暖房が入り込んでいる?
新しい車の場合は問題ないのですが、ある程度エアコンを使っていると、エアコンの機構に多少のガタができ始めます。
とくに多いのがエアコンの暖房と冷房を切り替える役割の「エアミックスドア」(エアミクスチャーダンパーとも言います)の作動が不十分なケースです。
車の暖房は、エンジン冷却水の熱気を室内に取り込むことでヒーターがなくても暖かい空気を作ることができます。
エアミックスドアが正常な場合だと、エアコンの設定温度を低くしておけば、ヒーターコアからの熱気が吹き出し口に送られることはありません。
フルオートのエアコンに起きやすい?
ところが、エアミックスドアが、しっかりと動いて冷房と暖房の切り替えができなくなることがあり、エアコンの設定温度を「Lo」にしても熱気が混ざってしまうことがあります。
しかもヒーターコアはエバポレーターよりも運転席側に近い位置にあることが多く、運転席側に熱気が多めに送られるケースもあります。
つまり、運転席側にだけ暖房の風が多く送られることで「クーラーの効きが悪い」のではなく、暖かい風が混ざってしまっているのです。
とくに、オートエアコンの場合は、
エアミックスドアを小さなモーターで動かしているため、
手動で切り替えするタイプよりもエアミックスドアの仕切板が
しっかりと最後まで動ききっていないことがあります。
↑ 手動で温度調節をするタイプのエアコンはワイヤーでエアミックスドアを動かしているだけに壊れにくいというメリットがります。
カーエアコンの吹き出し口の温度差
↑ 吹き出し口温度が11℃というのは真夏でもだんだん寒くなるレベルです。
運転席と助手席の吹き出し口温度の違いは?
エアミックスドアの不調で暖房が混ざってしまっているケースなどは別として、正常な状態でも運転席と助手席でどれくらいの温度差があるのでしょうか。
これは車種によっても違ってきますので、一概には言えませんが、車が新しい状態でもエバポレーターに最も近い吹き出し口と、運転席側の端の吹き出し口では3℃くらいの違いは出てくるでしょう。
もちろん、真夏の炎天下でダッシュボードが80℃を超えるような状態になっていた直後ではもっと温度差が出てしまうことは言うまでもありません。
それでも、室内の温度が均一になるまで冷房が行き届いた状態になった状態ですら、吹き出し口の温度差はできてしまいます。
最も冷たくなる吹き出し口は?
エアコンユニットは、助手席のグローブボックスの奥から中央付近にかけて配置されています。
そのため、中央付近のエアコン吹き出し口が最もエバポレーターに近く、ほぼダイレクトに冷気が送られてくるので、助手席側の中央よりの吹き出し口が最も冷たい風が出ることが多いのです。
エアコンの排水ドレンの位置はどこ?
コンビニに車を止めていると車の下側からポタポタと水が落ちて駐車場に水のシミができるのをご存知でしょうか?
あの水はエバポレーターの周辺が結露してできた水滴が車外に排出されている水なのですが、その排水ドレンのほぼ真上がエバポレーターの位置なのです。
セダン、ステーションワゴン、トラックやワンボックスカーなど、車の形状によってエバポレーターの配置されている場所も少し違います。
自分の車のエバポレーターがどのあたりにあるのか探すには、エアコンの排水ドレンの位置を見つけると探しやすいです。
いつも止めている駐車場のどの位置に水のシミができるのかを観察すると、助手席の中央よりの辺りに水滴が落ちているのがわかります。
その位置に最も近い吹き出し口が、最も冷たい風が出る吹き出し口なのです。
まとめ
今回はエアコンの吹き出し口の温度差についてのお話でした。なお、車種によってはこれらのケースに当てはまらないこともありますのでご了承ください。
https://kuruma-lifehack.com/car_air_conditioner_matome/
コメント
サボカジさん
はじめまして。
エアコン、片側が効かないで検索して辿り着きました。
インプレッサスポーツGP7、10年越え、11万キロ越えです。昨年9月に中古で購入以降、エアコンは冷暖房とも問題なく使って来ましたが、先週末の35度超えの日に突然に効かなくなりました。
今日、少し気温の低い昼間に乗ったら、助手席側は冷えているが、運転席側は生暖かい風です。フルオート、デュアルタイプのエアコンです。
スバルはレガシィから何台も乗り継いで来ましたが、今回のケースは初めて。助手席から冷風が出ている以上、エアコンは壊れてない感じです。
壊れる前の週に洗車機で洗車しましたが、それが影響があるとも思えず。
ネットで調べると、
・室内機内部の埃詰まり
・フィルタ詰まり
なら掃除で何とかなりそうですが、
メカニカルなトラブルなら修理代もかかりそう。
多年式、他走行なので仕方ないと思いつつ、故障の原因と解決法を知りたいです。
よろしくお願いします。
余談ですが、プロフィールを拝見したところ、チヌや太刀魚釣りをされているということは関西の方でしょうか?私も大阪在住時はよくチヌ釣りに行きました。懐かしいです。
よっしー様
コメントをありがとうございます。
いただいたご質問ですが、
>昨年9月に中古で購入以降、
>エアコンは冷暖房とも問題なく使って来ましたが、
>先週末の35度超えの日に突然に効かなくなりました。
>今日、少し気温の低い昼間に乗ったら、
>助手席側は冷えているが、
>運転席側は生暖かい風です。
>フルオート、デュアルタイプのエアコンです。
↑
ということですが、助手席側の冷え具合はどれくらいでしょうか?
僕の知る限り、運転席側と助手席側でエアコンの温度設定を個別に調節する機能はこの車種にはないはずなので、冷暖房の切り替え部分の不良などではないはずです。
この情報だけでは判断が難しいですが、「助手席側がそこそこ冷える」という状態なら、それはあまりクーラーとして効いていないということになり、その場合の原因はクーラーガスが少ない可能性が高いです。
この記事でも述べましたが、運転席側はクーラーユニットから距離があるのでダクトが長いぶん途中で冷気を多く損失しています。
エアコンのガスが「少し不足している」という状態ではクーラーはそれなりに効きますし、走行中や夜間の走行では「わりと効いている」と感じてしまいます。
その理由は、コンデンサーに走行風が当たり、しっかりと冷却されると、多少ガスが不足していてもなんとなく冷えるからです。
ですので、まずはエアコンのガスの量をエアコンの診断に強い整備工場や電装屋さんにて確認してもらうことをおすすめします。
以上、参考になれば幸いです。
PS
趣味の釣りですが、ここ最近はあまり行けていませんが、お推察のとおり西日本エリア在住ですので、チヌ釣りは小さなころから父親について行ってよくやっていました。
ポッパーで釣り上げた45センチが自己記録です^^
これあるある
運転席付近にある 室内温度センサーの不良です
ihara様
センサー類の不良、たしかに「あるある」かもですね。