梅雨の真っ最中や真夏の通り雨で車内がジメジメすることがあります。
そんなときは暑さもあってエアコンの設定温度は低くしてしまいがちです。
そんなとき、エアコンの吹出口に水滴がついていることがあり
「なんでここに水が?」と思うかもしれません。
今回はエアコンに関する「へぇー」なお話です。
車のエアコン吹き出し口に水滴ができる理由
原因は吹き出し口の結露
『結露』という現象をお客様に説明するときに僕がよくつかう例えが、「冷たい缶ジュースを置いておくと汗をかいたようになりますよね」というやつ。
人によっては「缶ジュース」を「ビールジョッキ」にすることもありますが、ようするに冷たいものに空気中の水分(水蒸気)が触れると、冷やされて液体になり水滴となるわけです。
この現象は空気中に含まれる水分が多いほどなりやすく、夏場のように気温が高いほど水分を多く含んだ空気が車の中にとどまったままになりやすくなります。
車内の湿度が高くなりやすい理由
車内は気密性が高く入り込んだ湿気が出ていかないことが多いため、直射日光が室内に照りこむことで高温多湿な空間になりやすいからです。
もしもこんな状態の車内に冷たい缶ジュースを持ち込んだら、あっというまに缶ジュースの表面は結露してビチャビチャになってしまいます。
高温多湿な空間に冷たい物体(缶ジュース)を置くことで、結露が起きやすい状態になります。
同じように、高温多湿な車に乗り込んでエアコンを使用すると、エアコンユニットの中に組み込まれた「エバポレーター」と呼ばれる冷たい空気を作る装置が結露します。
吹き出し口の周辺が急激に冷却されると・・
↑ よく冷えるエアコンなら吹き出し口が11℃前後までの温度になります。車内の湿度が高い状態なら結露することは避けられません。
高温多湿な車内で冷房をガンガンにかけると、冷たい風が通過しつづけるエアコンのダクトや吹き出し口が冷たくなります。
すると、その周辺で結露が起きて吹き出し口だけでなく、すぐちかくのダッシュボードなどにも水滴が付着していることがあります。
つまり、車内にある水蒸気が一部の冷たくなった部分に集結したものが水滴になっているのです。
車のエアコンから水漏れ。助手席の下から・・?
助手席の奥になにがある?
夏場になると、「助手席の足元に水が流れ込んでる」といった相談を受けることがあります。
この場合のほとんどは、エアコンを効かせたことでクーラーユニットの内部に溜まった結露した水滴がうまく排水できていないことが原因です。
しかも運転席よりも助手席のほうに水が溜まりやすいことが多く、「どうして助手席側にだけ?」という質問も受けます。
エアコンのユニットは、ダッシュボードの奥のスペースの関係で、運転席よりも助手席側に配置されていることが多いです。
運転席側には、運転操作に必要なステアリング機構やメーター、アクセルペダルやブレーキ関連の部品などがあるので、エアコン関連のパーツが入る余地がありません。
そこで、大きなエアコンユニットを収められるスペースとなると、助手席のグローブボックスの奥あたりになることがほとんどなのです。
エアコンユニット内部に結露した水滴の行方
湿度が高い車内でエアコン(冷房)を使用すると、エバポレーターと呼ばれる冷たい風を生み出す装置の周辺が結露します。
直に見ることが難しい部分ですが、想像以上に水滴でビチャビチャになっていて、エバポレーターの下側にある通路に流れ込んだあと車外に排出されます。
排水されるはずの水がオーバーフロー
エバポレーター下側にある排水の通路を「ドレン」とか「ドレンホース」などと呼んでいますが、このドレンにゴミが詰まったり、ホースの部分が外れてしまってしまうことがあります。
すると、車の下側に排出されるはずの水がどんどんクーラーユニットの内部に溜まってしまい、助手席の足元に溢れることがあります。
ホンダのライフ(JB系)でよくあったトラブルがまさにこれで、助手席の奥にある排水ドレンが詰まってしまい、オーバーフローします。
解決策は簡単で、リフトアップしてドレンホースの下側を少しだけチョキンと切り取るだけ。
ようするにドレンの下端がすぼまっていることでゴミが詰まりやすいんです。
夏のコンビニ駐車場にできるシミの正体
夏場にコンビニなどの、車の出入りが激しい駐車上に水滴が落ちたようなシミができています。
中にはシミというよりは、あきらかに水が落ち続けたような小さな水たまりのようになっていることもあります。
これらのシミは、車内にあるクーラーユニットのエバポレーターに結露した水が車外に排水されてできるものです。
↑ 夏場に車の下回りを点検していると水滴が落ちてきて顔にかかることもよくあります(笑)この水滴は車内のエアコンユニット内で結露した水なのです。
↑ 大量にボタボタと流れることもあり、これが駐車場のアスファルトの上にできる水のシミの正体なのです。
空気中の水分なので心配無用
この水分は車内空間に漂っていた水蒸気がエバポレーターに触れて冷やされてできたものなので、車から流出したわけではありません。
■サボカジ
たまに運転経験の浅いお客様から
「車から水が漏れている!」
と相談をうけることがあります^^
エアコンの吹き出し口の位置が思わぬ弊害をおこすことも?
ダクトまわりの水分がカーオーディオの故障に
車種によってカーオーディオが配置されている場所が違いますが、なかにはオーディオのすぐとなりにエアコンの吹き出し口があるケースがあります。
実際に僕が経験したことですが、カーオーディオの周辺がダクトの冷気で冷やされてしまい、オーディオの内部で結露が発生したことがありました。
雨降りの日などで、車内をクーラーで冷やした状態で車外の高温多湿な空気を取り込んでしまうと、エアコンの冷気で冷えているオーディオやナビに湿度の高い空気が触れることで内部が結露してしまったようでした。
すると、水分が原因でオーディオ内部がショートしてしまい液晶部分の表示がおかしくなっていました。
その場合は、オーディオの電源をオフにして車内の多湿な状態が解消できるまで除湿をしてオーディオ内部を乾燥させることでもとの状態に復帰できます。
もしもオーディオ内部が結露したままで使用していたら、最悪の場合フューズが飛んでしまったり、基盤が壊れてしまうことにもなりかねません。
暖房を入れてクーラーのスイッチを入れると暖かく乾いた空気を作ることができます。冬場は「除湿」や「ドライ」として使用することができますよ。
まとめ
今回はエアコン周辺の結露についてのお話でした。
車内は密閉性が高いこともあり、湿気が溜まったまま高温になると、まさに高温多湿な空間になり、そこでエアコンを使用することで結露が発生しやすい状況になります。
濡れた傘や衣服の水分が原因で湿気が大量に入り込んでしまうこともあり、そこに直射日光が長時間差し込み続けると湿度が異常なまでの上昇することもあります。
車内にはカーオーディオやカーナビだけでなく、いろんな電子部品が配置されていますので、高温で多湿な時間が長く続くと電子機器の故障につながることもあります。
余談ですが、エアコンユニットの周辺や吹き出し口の周りに付着した水分は、エアコンの嫌なニオイの原因にもなっています。水分が多く、直射日光が当たりにくい場所はニオイの原因となるバクテリアやカビが発生しやすいのです。
エアコンを多用する季節では、外気導入モードにしてエアコンユニットに新鮮な空気を取り入れることで直射日光が当たらない部分の換気をすることができます。
また、天気がいい日には窓を開けて走行したり、ドアをすべて開けて車内の湿気を追い出すことを心がけると、カビ臭いニオイの原因を抑えることができます。
コメント
夏場はドアを開けると凄い蒸された空気が車内から出てきますよね。
内気にして使ってましたが、外気にした方が湿度を下げる効果があるのですね。
ゆうや様
コメントをありがとうございます。
>内気にして使ってましたが、
>外気にした方が湿度を下げる効果があるのですね。
そうですね。
とくに天気のいい日は外気導入にして少しだけ送風にしてみてください。
エアコンユニット内の換気ができてニオイ対策にもなりますよ。