今やファーストカーにもなり得る軽自動車。
広くて使い勝手が良くてしかもスタイリッシュなモデルも増えてきました。
ですが、軽自動車はターボモデルでないと高速道路などではしんどいことも多々あります。
今回は軽自動車のターボ車の購入を検討されている方が知りたいであろう、
軽ターボ車の寿命などについてお話していきます。
軽自動車の走行距離の限界をターボ車で知りたいお客様に伝えたこと
当ブログの管理人は、普段は自動車整備士として自動車の車検や整備をしています。
ですが、車の乗り換えが多い二月、三月の年度末になると、大忙しの自動車販売の営業さんのお手伝いをすることもあります。
車の販売員として、車検でご来店いただいたお客様に乗り換えをご提案することも少なくありません。
最近のお客様が関心を示す車種は、ざっくりいえば「軽自動車」と「ハイブリッドカー」が圧倒的に多いです。
なかでも軽自動車をファーストカーとして購入しようと考えておられるお客様も非常に多いです。
客「今どきの軽自動車って、ホント広いし乗り心地もいいよねー」
僕「ですね、小型車の立場がなくなっちゃいますねw」
客「ただ、ちょっと馬力がないというかね。やっぱターボはいるよね」
僕「ええ。高速道路での長距離走行をお考えならターボはいるでしょうね」
客「でもなんかね、軽自動車ってどれくらい乗れるのかな?新車の値段もけっこう高いしさ」
僕「・・・ターボ車の話ですか?」
客「そう、軽自動車のターボってどれくらい乗れるもんなの?」
もうこの手のやり取りは何人ものお客様としましたw
お客様は整備士の姿の僕を見ながら
「あんたならどうするの?」と言いたげです。
軽自動車を普通車並みに扱っても大丈夫なのかどうかという意味もあるでしょうし、お得なのか、とも言いたげです。
そして何度もあるこの手の質問に対して、僕がお答えする内容も同じことをお伝えすることになります。
20年以上の整備士経験から言えることは、
ターボエンジンを搭載する軽自動車のメリットとデメリットを簡単にお伝えします。
「加速の良さ」と「燃費の悪さ」はセットでお話するのですが、なによりも強調してお話しすることは、
『ターボエンジンの寿命はオイル交換の管理で大きく変わる』
ということと、
『ターボの寿命はトータルの仕事量で決まる』
この二つのことを時間が許す限りは丁寧にお話するようにしています。
しかし、ここまで読んでいただいたあなたは、ふと疑問に思ったかもしれませんね。
(ターボの限界が車の限界じゃないんだろ・・・?)
と思いませんでしたか?
さきほど、『ターボの寿命はトータルの仕事量』だと書きましたが、ここら辺の話は最後のまとめでお話します。
軽自動車のターボの耐久性はどれくらい?
まずはターボの寿命というか耐久性についてですが、そもそも軽自動車のターボ(タービン)はちょっと無理している設計だと思っています。
なぜなら、排気量の乏しい軽自動車は低回転域からトルクフルに走ることができません。
そのためにはターボチャージャーの回転を一気に上げることで馬力を出しています。
比較するのもヘンですが、ディーゼルターボのエンジンなら3,000回転くらいでも「グイッ」とトルクが出ますが、
軽自動車のターボならそんな低回転域では低速トルクは得られません。排気量の違いがターボの特性の差も生みますので。
そして、ここが軽自動車のターボが短命になりがちな理由なのです。
簡単に言えば、軽自動車のターボエンジンは「いつも無理をしている」エンジンなのです。
ただ、軽自動車でも普通車と同じく、
メーカーの新車からの特別保証(エンジン、ミッション本体のみ)として、
5年、または10万キロのどちらか早い方で保証されています。
ですので、10万キロは確実に持つような設計にはなっています。
問題は走行距離としての限界はどれくらいなのかということ。
これはメンテナンスで大きく変わりますが、僕の経験ではエンジンは15万キロ、
ターボは10万キロくらいは問題ないと思っています。ちなみにターボのメーカー保障は3年、6万キロです。
ターボを長持ちさせる秘訣は?
小さなタービンで高回転を維持しながら常にキャパぎりぎりの仕事をしている軽自動車のタービン。
タービンはエンジンオイルで潤滑されて性能を維持していますが、
もしもそのエンジンオイルが劣化したままだと、どうなるでしょうか?
1分間に何万回転も回り続けるタービンの軸受けの部分のガタや劣化がタービンの寿命で、
それは「エンジンオイルありき」だと思ってください。
また、エンジンを始動してからの暖機運転もかなり大事です。
エンジンがまだ冷えているときにフルスロットル、フルブーストなんていうのはタービンにもエンジンにも、
それからオートマチックなどのトランスミッションにも優しくない運転です。
ターボの寿命はトータルの仕事量で決まる
ここからが僕が最も言いたかったことですけど、「トータルの仕事量」とは、壊れるまでどれくらいの「負荷」をかけてきたかということ。
例えば、軽自動車の貨物タイプのターボ車をお仕事で使っているとします。
貨物なので軽自動車でも荷物の積載は350kgは乗せられます。乗車定員は4名、この場合、車検での解釈は一人当たり55kgと計算することになっています。
さて、この計算でいくと、荷物を限界まで乗せて、人も常に4人で乗っていたとすると
350kg + (55kg × 4人)= 570kg
ということになります。
常に荷物満載で高速道路をバンバン走って追い越し車線からガンガン追い抜きもかけるターボ車
全く同じ車種だけど、
常に1人運転が多く、運転は大人しめでターボを効かせて加速なんてあんまりしないターボ車
どちらの使用条件がターボに負担をかけていますでしょうか?
わかりやすく説明するために、かなり両極端な例えをしましたが、僕が言いたいことはお解りいただけたでしょうか?
上記の二台、オイル交換などのメンテナンスはおんなじくらいバッチリだったとしても、
4人乗りで荷物満載のほうのタービンは、おそらく10万キロ前半も持たないかもしれません。
しかも、ターボ車はパワーがあるのでエンジンにもそれなりに負担をかけますし、もちろんオートマチックなどにも負荷をかけ続けることになります。
「タービン」「エンジン本体」「オートマチック本体」
一般的にファミリーカーとして乗っている方たちからすれば、
上記のような大きな部品の交換が続けば、「そろそろ限界かな」と思いますよね。
エンジンの圧縮が無くなって載せ替えすることになった
オートマチックの変速ショックが大きくて載せ替えを薦められた
どちらも10万キロ半ばくらいじゃないでしょうか。
それに対して、15万キロくらい走っていてもターボもまだ壊れてないし加速もそれなりだし、
エンジン、オートマチックも問題ないという方のターボ車の乗り方は、
普段は1人で乗っていて、ターボを効かせてグイグイ加速なんて滅多にしない、という方でした。もちろんメンテもしっかりとされています。
まとめ
軽自動車のターボモデルは、オイル交換などのメンテナンスと、『タービンにどれくらいの負荷をトータルでかけ続けるのか』で大きく寿命が変わってきます。
高速道路などで巡行するときは軽自動車にとってターボは必須かもしれませんが、ターボの便利さを受けつつ、車を長く乗りたいならば、普段はターボに優しい運転をしてあげてください。
「ターボに優しい運転」とは、言い換えれば「燃費が良くなる運転」と言えます。
別の記事でそこらへんのお話もしていますのでチェックしてみてくださいね。
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