日産ノートのエンジンがかからないトラブルの意外な理由とは

整備士の経験談 バッテリー

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今回は、日産ノートのエンジンが突然かからなくなったというトラブルのお話です。

整備士を長年やっていると、トラブルシュートをたくさんしてきます。

すると「へぇー」と思わずつぶやいてしまうような出来事もあります。

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日産ノートのエンジンがかからない!

今回のトラブルは、日産のノートで実際にあった、『突然エンジンがかからなくなった』
というものです。

ことの発端は、レッカーサービスで運ばれてきたノートの診断。

セルモーターが回らない

この車両の場合、イモビライザーと呼ばれる、リモコンキーを車内に置いておくことで、スタータースイッチをひねることができるタイプです。

ところが、いくらイモビライザーを運転席付近においてスタータースイッチを回してもセルモーターが回りません。

セルモーターが回らないという場合、バッテリーあがりは別とすると、

・セルモーターそのものが壊れている

・セルモーターへの電源が供給されていない

・スターター信号が入っていない

大まかにいえばこのどれかが原因となります。

今回の場合は、スタータースイッチを回しても、セルモーターが動く気配がまったくありません。

壊れかけのセルでも、「カチ」とか「ギュイ」みたいな音がセルモーター付近からするはずです。

よって、セルモーター単体の故障以前の問題だと仮に判断します。

次に怪しいのは、イモビライザーになんらかの原因があってスターター信号を車両側が遮断してしまっているというケース。

ただ、これはキーレス機能が使えるので可能性は薄そう。

となると、スタータースイッチを回しても、スターター信号がセルモーターに送られていないとうのが妥当な判断といえます。

僕ならセルモーターにスターター信号が送られているかをテスターで調べるのですが、シフトや役回りの問題で僕はこの車の診断から離れることに。

その後、別のメカニックが診断しているのを合間にチラチラ見ていると、エンジンルームの左側のバッテリーをまるごと外した状態にしているようでした。

すると、バッテリーの真下にあるオートマチックミッション周辺だけが異常に腐食しているのが見えました。

つまり、バッテリーから希硫酸が吹き出し、その下側に位置するオートマチックに流れ落ちているようでした。

「なんかこのあたり・・・怪しいよな。」

と僕が声をかけると、そのメカニックも

「ええ。ですよね。」

と、だいたいの診断の目処を立てている様子。

その後しばらくすると、セルモーターが元気よく回転し、エンジンが快調にかかっている音が聞こえてきました。

 

エンジンがかからない理由と原因

バッテリーへの過充電が原因?

ミッション周りの腐食
今回のエンジンがかからなかった原因は、「インヒビタースイッチ」(inhibitor switch)とか、「セレクタースイッチ」と呼ばれる部品の故障でした。

直接的に故障させた原因は、バッテリーから吹き出した希硫酸がスイッチを激しく腐食させたことによる回路の溶断。

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インヒビタースイッチとは、オートマチックのシフトレバーを「P」または「N」のレンジに入れていないと、スタータースイッチを回してもスターター信号を送らないようにするものです。

つまり、ドライブレンジやリバースにセレクターを入れた状態でエンジンが始動できないようにする安全機構の役割もしているのです。

基本的にはこの部分が壊れることはめったにありませんし、エンジンルームの下側付近にあるミッション周りの部品には防水処理が施されています。

ところが、バッテリーから吹き出した希硫酸なら、いともかんたんに被覆を溶かしてしまいますし、アルミ製のパーツへの腐食も進んでしまいます。

定期的なバッテリーの交換で予防できた?

日産のノート バッテリー腐食

バッテリーそのものはまだ元気な状態でしたが、バッテリー上部の栓の部分には吹きこぼれたようなあとがありました。

バッテリーを長時間にわたって充電し続けたり、温度が高いところに置いていてもこのようなことは起きます。

また、バッテリーの液を規定値よりも多く補水してしまうと、液面が高いため、通常の充電でも希硫酸が吹きこぼれることがあります。

今回の場合は、バッテリーそのもののに原因があるのかもしれませんし、エンジンルームの温度が上がっていた状態で充電されていたことに一因するのかもしれません。

夏場にバッテリーを単体で充電するときは、僕の場合、バッテリーの下側半分をパレットなどに水を張ってそこに漬けておくこともします。

こうすることでバッテリー内部の温度の上昇を抑えつつバッテリーの充電をすることができ、「いたわり充電」をすることができます。

バッテリーにも車にも「個体差」がある?

まったく同じ車種でも、バッテリーへの充電電圧が必ずしも同じ数値を示すとは限りません。
12.8Vだったり13.1Vだったりすることは普通にあります。

同じようにバッテリー単体も、まったく同じ製品でもバッテリーで個体差があります。

基本的な電圧が低めのバッテリーと、充電電圧が高めの車、もしかすると相性によっては、つねにバッテリーに負担をかけることがあるのかもしれません。

また、車種によってはバッテリーを高温にしてしまう場所に配置していることもあるかもしれません。
とくにエンジンに近いとか、排熱性が悪場所にあるとバッテリーが過充電になったり、短命になるのかもしれません。

整備士としては、車検などの点検でバッテリーをチェックするときは、専用のテスターを使って電圧を測定したり、負荷をかけてバッテリーの瞬発力を試すこともあります。

ただ、それ以前に、バッテリーの上部にホコリが降り積もっていて、そこにムラがある場合は、希硫酸が吹いたいた可能性を疑います。

つまり、外観で見てみてバッテリーの健康状態をうかがい知ることもあるのです。

数値上で健康なバッテリーでも、使用開始から3年以上経過していて、周辺のバッテリーステーを腐食させている場合なら、バッテリーの交換をおすすめすることもあります。

 

 

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