車のバッテリー交換でバックアップは絶対に必要?不要な車もある

バッテリー端子 取り外し作業 バッテリー

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車のバッテリーを交換するときには別の電源を準備して「バックアップ」をとっておく必要があります。

「バックアップ?なにそれ、

別にやらなくても車は壊れないんでしょ」

お客様から電話でバッテリー交換に関する質問を受けることがありますが、バックアップの話をすると、こんな言葉も返ってきます。

今回は寒くなるとよくいただく、バッテリー交換のバックアップに関するお話です。

初めて車のバッテリー交換に挑戦しようとしている方や、より知識を増やしたい方のお役に立てればと思います。

先に言ってしまうと、バックアップをしなくても問題ない車もけっこうありますが、絶対に必要な車種もあります。

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車のバッテリー交換でバックアップが必要な理由

バッテリー性能チェック

バッテリー交換でバックアップをしないとどうなる?

エンジントラブルの予感

車にはいろんな「メモリ」が記憶されている

車のバッテリー交換をするときに、コンピューターなどに記憶されている内容が消えないようにすることを「バックアップを取る」という言い方をします。

もう少し正確な言い方をすると「メモリーバックアップ」などといいますが、文字通り「メモリーをバックアップ」するわけで、なにかしらのメモリー(記憶)が消えてしまわないようにする必要があります。

ECU(コンピューター)の学習内容が初期化されてしまう

自動車にはECUと呼ばれる車の運転に関する制御をしているコンピューターがあり、エンジンがつねにベストな性能を出せるように細やかな司令をエンジン周辺のセンサーから受け取っています。

ECUは新しい車になるほど複雑でいろんな制御を同時やっていて、オートマチックとエンジンの制御を総括的に行っている車種も多くなっています。

高度な制御の補正内容が記録され続けている

エアコンを入れたときにコンプレッサーの負荷がエンジンにかかった場合もECUがエンジンの回転を上げるための命令をして、そのときの運転状況によってはアイドリングの回転も調整します。

さらに、走行距離が増えてエンジンが古くなってきた場合もECUがエンジンのコンディションに合わせて制御する内容を微調整してくれます。

これらの学習内容はECUにフィードバックされ記憶領域に保存されていくことで、いろいろな状況で適切なエンジン制御ができるようになっていきます。

もしもバックアップ電源を接続せずにバッテリーを外してしまうと、30秒前後でECU内に残留していた電気はなくなり、学習されてきたメモリーは初期化されます。

バッテリーを交換し、エンジンを始動するとエンジンの回転が異常に高くなっていたり低すぎたりと、しばらくはエンジンの回転は不安定になってしまいます。

じつはこの状態、しばらくアイドリングさせておくことで学習機能がすすめば少しづつもとの状態にもどっていくので必ずバックアップが必要とは言い切れません。

とはいえ、走行距離が10万キロを超えるような車の場合、スロットル周辺のカーボンの蓄積や水温センサーの劣化、バキュームセンサーやエアフロメーターの基準値のズレなどリスクが高いです。

センサーの劣化に加えて、エンジン本体の圧縮性能の低下などもあり、ECUのバックアップが飛んでしまうとなかなかもとの状態に戻らなくなります。

サボカジ
サボカジ

なかには

「バッテリーをここで交換してから、

ずーーーっとエンジンの調子が悪い!気がする!!」

とお叱りをいただいたこともありました。

手違いでバックアップができてなかったようでした。

 

走行距離が多い車ほど、バックアップを飛ばしてしまうと

再学習に時間がかかります。

オートマチックの学習機能も初期化される

エンジンの制御と同じようにオートマチックにも学習機能が備わっている車種が多く、バッテリーの端子を外してしまうとエンジン制御と同様、それまで学習してきたメモリーは初期化されます。

ちなみに、オートマチックの学習機能とは、アクセルを踏み込んだときのシフトダウン(キックダウン)のタイミングなどを個々のユーザーの運転傾向に合わせて学習してくれます。

そのため、運転手の知らないところでオートマチックのバックアップを消去してしまった場合、「なんかいつもと違う感じがする・・・・。」という違和感を感じることがあります。

シフトアップのタイミング、CVTならギア比の変化を、コンピューターが学習しながら制御しているのでメモリーが初期化されてしまえば、はっきりと違いを感じてしまいます。

パワーウィンドウのオートモードの再設定

バッテリーを外してメモリーを初期化してしまうと、パワーウィンドウの挟み込み防止機能の機能も本来の状態にまで戻ってしまうこともあります。

運転席のパワーウィンドウだとスイッチが二段階になっていて、オートで窓ガラスが下がり切ったり、上限まで上がってくれます。

オートで窓が閉まっているときでも人の顔や腕を挟み込んでしまっった場合のために、一定の負荷がかかるとガラスを下げる安全機構が備わっています。

上限と下限の位置をコントロールユニットが記憶していることでオートモードが正常に作動するようになっているので、バッテリーの端子を外すと初期化されてしまいます。

カーナビやオーディオの再設定

カーオーディオの時計やラジオの設定が初期化されてしまうことはもちろんですが、カーナビの場合も設定が消えてしまうことがあります。

ある程度新しいカーナビなら内蔵している電池が生きているなら問題ありませんが、少し古いカーナビなら電池の寿命でメモリーが消えてしまうこともあります。

HDDナビのハードディスクが壊れることも

以前に別の記事で紹介しましたが、一部のカーナビのハードディスクがバックアップをせずにバッテリー交換をすると壊れるという事例がありました。

【関連記事】車のバッテリーは乗らないから外す?外しておくメリットとデメリットは?

これは当時のJAFやレッカーサービスのスタッフの間では有名な事例で、バッテリー上がりの救援でも起きてしまうことがあったようです。

絶対にバックアップが必要なケース

バッテリートラブル

輸入車のバッテリー交換は要注意

フォルクスワーゲン 純正バッテリー

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住民票を取りに行くハメに・・。

ニュービートルにお乗りのお客様から聞かせていただいたお話ですが、バッテリーの交換をしていてバックアップがうまくできなかったために、カーナビのセキュリティがロック、解除できなくなったそうです。

この場合、購入したディーラーに相談すると、ユーザー情報とカーナビに打刻されているシリアルナンバーを照合、セキュリティロックを解除するために身分証明書とか住民票の提示を求められたそうです。

BMW7シリーズ|エラーコードが消えない

完全な原因はわからずじまいだったものの、OBDカプラーからバックアップ電源を供給しながらバッテリーを交換したあとでメーター内のウォーニングランプが点灯しました。

担当した同僚の話では、汎用のオフボードテスターではコードを消去することができず、ディーラーに相談することになったとのこと。

バッテリー交換でバックアップが不要なケース

エンジンルームとバッテリー
あえてバッテリーのバックアップを取らずにメモリーを飛ばしてしまう必要がある車種もあります。

スズキのアイドルストップ付き軽自動車

実は僕自身の苦い経験でもありますが、スズキのアイドルストップ車のバッテリーを交換したときにバッテリーバックアップを取ってバッテリーを交換しました。

するとその日の夕方にお客様から電話があり、「バッテリーを交換したら消えるはずのマークがまだ表示されてます」と心配そうな声の問い合わせがありました。

じつはこの車両、バッテリーの電圧が低下するとアイドルストップ機能を停止する表示が出るのですが、これを消すにはバッテリー交換とメモリーの消去が必要だったのです。

それまでの認識では、新しいバッテリーに交換することで正常な電圧を検出すれば走行するうちに「A」のマークの点滅も解消されると思っていました。

バッテリー性能低下の履歴をリセットする

アイドルストップ車はバッテリーの劣化をシビアに監視していて、バッテリー電圧が低いと判断した場合やこれまでのアイドルストップをした回数や放電電圧の積算値を記録しています。

つまりコンピューター側は『バッテリーが劣化してるからアイドルストップはさせないほうがいい』と判断し、なんらかの表示をドライバーに伝えてきます。

バッテリー端子を外してリセットするからバックアップが必要ない

初期のアイドルストップ車ならバッテリーを新しいものに交換するだけで自然にアイドルストップ機能を復活させるものもありましたが、より高度な制御になるとリセットが必要になります。

バッテリー交換後のリセットのやり方はそれぞれのメーカーや車種によって違ってきますが、バッテリーの端子を一定時間外したままにすることでECUのメモリーを初期化する場合もあります。

つまり、その場合はバッテリーを交換するときには端子を外したままにすることでリセット作業も同時にするから、むしろバックアップはしてはいけないということになります。

ただ、オフボードテスターがあれば「作業サポート」という項目でバッテリー交換をしたことをECUに覚えさせることもできます。

アナログな制御の車にはバックアップはいらない

キャブ仕様 旧車
すべての車のバッテリー交換にバックアップ作業が必要ではなく、まるで懐中電灯の電池を交換するようなノリで交換しても問題ない車種もあります。

キャブレター仕様の古い車

今でも古い軽トラックなどが農家のガレージにトラクターと並んで保管されていることがあります。

一年間で使用するのはほんの数回で、農耕機に使用するようなまるで農機具のような扱いをされている軽トラックなどはバッテリーが上がってしまっていることがよくあります。

アナログな制御をしているエンジンはカーラジオの時計くらいしか常時電源に接続されていませんので、バッテリーの交換も物理的に交換してしまうだけでおしまいです。

単純な電子制御の車

キャブレターではないものの、電子制御が採用されて間もないころの車ならバッテリー交換にバックアップは必要なく、イグニッションスイッチをオフにしていれば問題ありません。

できればバックアップを取っていればそれに越したことはないですが、こだわる必要はなさそうです。

長期間放置されていた車

不動車
バッテリーは完全に放電しきっていて、タイヤも空気が抜けてしまっているような、数ヶ月、一年ちかく放置していた車ならバッテリー交換にバックアップなど必要ありません。

セキュリティアラームが鳴り響くかも

バッテリーが完全に上がってしまった状態が一定期間続いたあとで車にバッテリーを繋ぐと、セキュリティーの警報がなり始めることがあります。

この場合はその車のイモビライザーやチップが内蔵されているメインキーなどでエンジンを始動させれば警報を止めることができます。

エンジンが始動できてから新しいバッテリーを組むのがおすすめ

エンジンがかかるまで時間がかかるのでバッテリーではなくブースターケーブルなどで始動させるほうが、せっかくの新品バッテリーが弱ってしまいかねません。

 

最後に

今回のお話のまとめ

廃バッテリーの見た目

車のバッテリー交換にはバックアップをやらないとどうなる?

・コンピューター制御をしている車では学習・補正した情報が消えてしまう

・オートマチックの変速タイミングなどの学習内容がリセットされる

・カーオーディオやカーナビのメモリーが消える

・カーナビのハードディスクが壊れた事例もある

・パワーウィンドウのオート機能がリセットされる

・走行距離が多い車ではエンジンの調子が悪くなることもある

バックアップをしなくてもいいケース

・キャブ仕様などの電子制御されていない古い車

・一部のアイドルストップ車はバッテリー端子を外してリセットが必要

・長期間を放置し完全にバッテリーが上がった状態の車

自分でバッテリー交換をするなら事前の準備が大事

DIYでバッテリー交換をすることができれば、バッテリーをネットで安く購入したものを使うことができます。

とくにアイドルストップ車のバッテリーはかなり高額で、店舗で購入すれば3万円するものがネットでは1万円ちょっとで買えたりします。

ただし、車の制御や安全装置などが高度で複雑になってきているので、バックアップをせずにバッテリー交換をしてしまうとかなり面倒なリカバリーが必要になる車も増えています。

バックアップ作業を確実にするための便利アイテムやバックアップに失敗してしまったときの再設定のやり方などをしっかとり調べておくことも大事です。

 

 

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コメント

  1. タカハシ より:

    バッテリーバックアップのお話ありがとうございます!
    以前バッテリーが上がった際はパワーウィンドウで気づきましたがエンジンなどそれ以外にもあるんですね
    上がった当初は4年落ちでまだまだ元気だったのでアイドリングなどは気づきませんでした

    • サボカジ サボカジ より:

      タカハシ様

      ありがとうございます。
      このあいだ、タカハシ様から頂いたコメントで
      「書いてみようかな」と思ってました。

      >上がった当初は4年落ちで
      >まだまだ元気だったので
      >アイドリングなどは気づきませんでした

      ↑ そうですね。4年落ちくらいならすぐに補正されるくらいの
      誤差レベルだったのかもしれません。

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