今回はホンダのN-BOXのCVTから発生する異音についてのお話です。
N-BOXは人気車なだけにかなりの台数が販売されていることもあり、
ディーラーだけでなく民間車検場や町工場でも整備されています。
もしもCVTから異音が出た場合の実際の修理費などについてもお話します。
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N-BOXのCVTから異音がする原因
CVTの定番?冷間時のモーター音
今回はN-BOXに関するお話ですが、CVTからの異音というのはN-BOXに限ったことではありません。
別の記事でも書きましたが、CVTは構造上「ウィーン」とか「ウォーン」みたいなモーターのような異音が発生することがよくあります。
冷間時のモーター音は定番?
とくに朝の冷えた時間帯などにエンジンを始動すると、あきらかに異音だと感じてしまうほどの大きな音がします。
これはCVTの内部にあるスチールベルトから発生する音で、CVT内部が暖気されることで次第に静かになっていきます。
この音が気になる場合は、エンジンの暖気時間をやや長めにとりながら、始動直後はなるべく大人しく丁寧な暖機運転がおすすめです。
余談ですが、エンジンやCVTが暖まっていないときは、燃費もよくないうえに、高負荷の運転をすると消耗部品の異常摩耗につながることもあります。
運転条件やフルードの劣化でも異音がする?
「急」のつく運転は異音を増幅する?
CVTはエンジンと同じくらい、場合によってはそれ以上に、運転条件で壊れるリスクが上がります。
CVTはエンジンから出力された動力を最終的にはタイヤに伝えるための役割をしています。
もしも停車している状態からいきなりフルスロットルで車を加速さそうとすれば、CVTにもそれなりの負担をかけてしまいます。
CVTは基本的にはスチールベルトと2つのプーリーで構成されているため、シンプルであるがゆえにラフな運転を繰り返すことでスチールベルトとの接触面が偏摩耗することもあります。
ホンダ純正フルードのHMMFで定期交換
また、CVTフルードの交換頻度でも異音の発生頻度や音の大きさも違ってくることがあります。
CVTはスチールベルトとプーリーの接点に大きな力がかかるため、フルードが汚れてしまったままだとスチールベルトの摩耗を早めてしまうでしょう。
結果的にはこれがCVTからの異音につながってしまうのです。
ちなみにN-BOXの場合、CVTフルードは40,000km毎の交換を推奨していて、車種によってはわざわざ「HMMF」という純正フルードの名称の警告灯が定期的に点灯することもあるくらいです。
ホンダ車に関してはCVTフルードはホンダ純正を使用するほうがいいと感じています。
僕の勤務する整備工場でもホンダ車に関しては純正のCVTフルードを使ってます。
ホンダ車に関しては社外品のフルードを使うメリットを感じないので。
N-BOXはCVTに関するリコールもある
N-BOXの一部モデルにはCVTに対するリコールが出されています。
内容としては、CVT内部にあるトルクコンバーターと呼ばれる、AT車にも採用されているクリープを発生させて滑らかな発進をするための部位の不具合です。
トルクコンバーター内部のパーツの強度不足のため、異音やCVTの破損につながるというものです。
【外部リンク】ホンダ公式|N-BOX、N-BOX Customのリコール
ですがCVTそのものに問題があるのではなく、隣り合わせにくっついているトルクコンバーターのパーツの破損が原因ということになります。
N-BOXのCVTは修理できる?
CVTはブラックボックス的な扱い
CVTの内部は非常に精度の高いパーツで構成されていて、一般的な整備工場でCVTの内部を分解することはまずありません。
かりに分解することはできても組み上げることは難しいでしょう。
そのため、オートマチック全般に言えることですが、トランスミッションの内部から異音や不具合が出た場合は、基本的に丸ごと交換してしまうパターンがほとんどです。
ただし内部ではなくミッションの周辺にくっついているような部分なら交換することはできます。
たとえば、ソレノイドバルブのような油圧の制御に関係する部分でも、単体で交換できる場所にあったり、オイルパンを外すことで丸見えにできる部分なら交換作業をすることもあります。
ほとんどの場合は、走行距離がそれなりに多くなっているケースなので、CVT内部のスチールベルトや軸受け部分のベアリングなども寿命を迎えていることがほとんどです。
つまり、部分的に不具合が出ているパーツを交換したとても結局は大きな消耗品も交換する必要があり、「最初から丸ごと交換してしまうほうが早い」という結論になってしまいます。
添加剤で異音は消える?
CVT内部からの異音のなかには添加剤を入れることで緩和されるケースもあります。
ただし、基本的には「その場しのぎ」になってしまうケースが多く、おそかれはやかれリビルト品や新品のCVTに交換する必要があります。
添加剤を使用するべきはどんな状況かといえば、車を手ばそうと考えている矢先の不具合で、どうにかあと少し走行できればいいという状況でしょうか。
あまりお金はかけたくないけど、なんとか手軽にお金をかけずに応急処置をするなら添加剤でしのぐのもいいかもしれません。
ただし、突然の走行不能なども考えられるので高速道路などの高負荷で長距離の使用は避けたほうがいいでしょう。
ホンダディーラーでの修理方法は?
ホンダ系のディーラーに務める整備士さんに聞いてみましたが、もしもCVTに不具合があり、原因が内部にある場合は、やはりCVTをまるごと交換するようです。
どちらかといえば、CVTフルードを交換してみましょうなどの提案はほぼなく、いきなり「載せ替えするしかないです」という説明が多いようです。
N-BOXのCVT本体の保証期間について
CVTは特別保証として扱われる
車の保証期間は一般保証と特別保証の2つにわけられますが、CVT本体は特別保証になります。
そのため、新車から5年または10万kmのどちらか早いほうで保証が切れます。
たとえば、4年10ヶ月で9万km走行しているN-BOXの場合だと、特別保証として適応され、ほとんどは無償修理してもらえます。
ただし、純正でなはないCVTフルードを使用していて、明らかに選定している油脂が誤っている場合は保証してもらえないケースがあります。
ですが、純正以外の社外品フルードとして問題がないと判断されれば保証されることも多いので、純正以外はすべて保証対象から外れるわけではありません。
スムーズに保証をうけるコツとは
ホンダディーラーの整備士さんにも厳しい判定をする人もいますが、ディーラーとの付き合いが新車購入時から定期的にあるようなユーザーさんの場合は特別保証も受けやすいです。
ホンダ車の場合、ディーラーと言われていても代理店としての指定を受けているだけで、地方の整備工場であることが多いです。
かりに特別保証として修理をすすめるときも、保証として載せ替えしたCVTをメーカーに送らなければならないケースが多いです。
しかもメーカーからもらえる作業工賃は一律で、やや低めのレバーレートなので、ディーラー側としてはあまりありがたくない作業です。
ほとんど付き合いの無かったユーザーから数年ぶりに「保証してくれ」と依頼を受けても、少し慎重になることがあります。
CVTの修理期間はどれくらい?
修理ではなく載せ替え
CVTの内部を分解してオーバーホールすることはなく、完成した状態の別のCVTと載せ替えをしてしまいます。
実際にCVTから異音が出た場合などでCVTの交換作業をする場合、事前に代わりのCVTを用意しておく必要があります。
そのうえで、車を預かり作業をスタートしますが、載せ替え作業自体はかかりきりでやれば一日もかかりませんが、作業後の確認や試運転なども行います。
エンジンをかけたままで暖機しながら、油脂類の漏れや量の確認などをして、2日もあれば作業としては完了するでしょう。
ですが、実際はどの整備工場やディーラーも、他の作業を掛け持ちしながら進めることも珍しくなく、車を預かったままで手をつけていないこともあります。
現実的には、車を預けて3日から5日くらいはかかるのではないでしょうか。
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