車検での見積もりを見て「スパークプラグ交換」という作業が入っていることはよくあります。
場合によっては、車検の前の見積もりを取った段階ですでにスパークプラグ交換が組み込まれていることもよくある話です。
ですが、この「車検だからスパークプラグを交換しましょう」というお薦めの仕方は整備士の僕にはちょっと違和感があります。
ありますけど、間違ってはない気もします。
それは、スパークプラグ交換の時期なども関係しているからです。
今回は車検でスパークプラグの交換を勧められた場合のお話なので、長寿命タイプのものは除外してのお話となります。
ちなみに、長寿命タイプのスパークプラグは100,000㎞は無交換でいいので車検で交換を勧められることはあまりありません。
車検がスパークプラグの交換時期とされる理由
まずスパークプラグの交換時期はどれくらいなのかをご説明します。
大きく分けますとスパークプラグには「標準タイプ」と「長寿命タイプ」があります。
これは新車の時から組み込まれている物がそもそも違うと思っていてください。
普通車の場合のスパークプラグの交換時期
プラグメーカーのNGKによると「普通車のプラグ交換は標準タイプなら20,000㎞で交換」と説明しています。
また、マイカーの年間走行距離は10,000㎞前後と言われていますから、普通車で平均的な走行をする場合は、二年間で20,000㎞ほどとなります。
つまり、標準タイプのスパークプラグの交換時期とはちょうど合うわけです。
あくまでも期間ではなく走行距離で判断するべき
ですが、すべてのマイカーが年間走行距離が10,000㎞とは限りませんよね。
年間走行距離が、少ないかただと5,000㎞くらいの場合だってあります。そうなると二年後の車検でも走行距離が10,000㎞ということになります。
「車検なので交換しましょう」というのはちょっと違いますよね
軽自動車のスパークプラグの交換時期が短くなる理由
プラグメーカーのNGKの推奨する軽自動車の交換時期は10,000㎞で点検、必要に応じて交換となっています。
つまり、年間走行が10,000㎞の場合だと二年間で20,000㎞、推奨距離の二倍も走ってしまっていることになります。
実際に車検で入庫した軽自動車のスパークプラグを見ていただきたいのですが、
外側電極が、新品のものに比べると恐ろしくやせ細ってしまっているのがわかるでしょうか。
このスパークプラグはダイハツの「KF」という軽自動車用の660ccのエンジンなのですが、こんな状態では燃費が悪くなっていても、イグニッションコイルに負担をかけていても不思議ではないですね。
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「車検だから」ではなく交換時期だから交換を
車検の見積もりでスパークプラグの交換を推奨するのは「交換時期に近いことが多い」からという、予測値と近いからというだけの理由だからです。
スパークプラグは、徐々に性能が低下していく部品なので、交換をしないままで走っていても運転手がその劣化に気づくことは非常に難しいです。
基本的にはエンジンから外して目視でチェックするか、前回の交換距離を参考に予測するだけしかできません。
エンジンオイルの交換などよりもスパークプラグの交換時期はかなりあいまいなままで管理されないケースが多いですが、必要ないわけではないのです。
車検でのスパークプラグの交換費用は便乗している?
車検では長寿命タイプのスパークプラグは取り外して点検することを省略してもいいのですが、標準タイプのスパークプラグは必ずエンジンから外して目視で点検する必要があります。
ここで少し「おや?」と思っていただきたいのですが、そもそも車検ならスパークプラグを取り外さないといけません。つまり車検の基本的な工賃である「車検点検整備一式」の中にスパークプラグを外して点検しないといけないわけです。
「そもそも外して当然のものを、外したついでに交換して追加の料金を取るの?」
と思いませんか?
整備工場によっては、「車検での標準タイプのスパークプラグの交換工賃は無料」としていることもあるのです。
以外にもディーラー系の整備工場が、こういったユーザーの
「なんかよくわからないけどプロに任せよう」という心理に付け込んでいるケースも少なくないです。
良心的な価格でスパークプラグを交換してくれる整備工場であらかじめ交換だけを依頼してくるほうがお得ということになってしまいます。
まとめ
スパークプラグの交換を車検で勧められたら、こんな質問をしてみてください。
「それ、あとどれくらいもちますか?一年後には法定点検で交換するのじゃだめですか?」
こんな質問をすると、たいていは
「いやー、一年後にもう一度点検するなら、大丈夫かもしれませんけど」
こんな答えが返ってくるなら、まだ使えそうなスパークプラグを便乗して交換させようとしている可能性があります。
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